もしも、オリオンがクソ真面目な堅物だったら   作:萃夢想天

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どうも皆様、萃夢想天です。
明けましておめでとうございます(激遲)。
本年も拙作をよろしくお願い致します。

それでは本編、どうぞ!





夏の微小特異点・その5

 

寄せては返す青い波、広々と続く空、爽やかな風に乗って浮かぶ白雲。視界に映る風景の総てが、人間である藤丸少年の心を浮足立たせる。およそ特異点と言う緊急状況下であることを一瞬だけだが忘れさせるほどに、美しい場所だった。

 

尤もそれは、風情も何もない巨大神殿を目にするまでの話だったが。

 

 

「兄様、アレは…!」

 

「ああ。まさか斯様な僻地で、我らがギリシャの神性を讃える神殿を目にすることになろうとは」

 

 

マスターの傍らに控える【剣士(セイバー)】のサーヴァント、双子座の【ディオスクロイ】がやけにサイバネティックな造形部が目立つ神殿を見上げて呟く。どうやら二人には心当たりがあるようだ。

 

ひとまずレイシフトは成功。礼装による防護機能も正常。同行サーヴァントも目視で確認。目立った問題なく活動を開始させられると、藤丸少年は少し安心する。

 

 

「オリオン様ぁー! どちらにいらっしゃいますのー!?」

 

 

安心したそばからコレだよ(落胆)。

 

水着霊基を得て【狂戦士(バーサーカー)】にジョブチェンジしたサーヴァント、白仮面の老婆こと【メロペー】の行動は一から十まで一貫している。その行動原理は、オリオンという愛しい男性のみ。分かり切っていたことだと藤丸少年とマシュは勿論、双子の兄妹カストロとポルクスも眼を逸らした。

 

 

『レイシフト成功! 通信状況も良好だね!』

 

「ダヴィンチちゃん。こちらも特に問題はありません」

 

 

カルデアとの通信も健在。情報共有も恙なく行うことができるだろう。これからの特異点攻略の難易度が少し下がったと感じた一行だった。

 

一先ず周辺状況と安全地帯の確認に動こうとするが、通信機から緊迫した声が届く。

 

 

『藤丸君! 11時の方向から超強力なサーヴァントの反応が近付いてきている!』

 

「神殿の方からです!」

 

「マシュ! カストロ! 盾を!」

 

「了解です、マスター!」

 

「お任せください!」

 

「我らに命令とは、頭が高いぞ人間ッ!」

 

 

事態の急変にも焦らず、歴戦のマスターとしての対応をしてみせる。マシュは円卓の大盾を、カストロは導きの灯たる光をそれぞれ構え、マスターの前方へ並ぶ。ポルクスはセイバーの英霊らしく剣を携え、兄の傍らで切っ先を空へ向ける。

 

 

「オリオン様ぁー! オリオン様ぁー!」

 

 

そして、そんなこと知るかと言わんばかりに平常運転のメロペー姫。ある意味無敵である。

 

緊張が奔る中、五人の目の前に何者かが降り立った。

 

 

「妾の呼び声に応え、よく来たな人間ども!」

 

 

特異点に到着したカルデア一行へかけられた第一声。

どこまでも上から目線の労いの言葉であった。

 

 

「こ、この凄まじい神性は…‼」

 

「そんな、莫迦な…!?」

 

 

マシュと藤丸少年は警戒態勢を解いていないが、ポルクス&カストロは眼前に現れた女性に対し驚愕する。先程も目にした、同郷の意匠を凝らした神殿があったことから「まさか」とは思っていたが、想定していた以上の出来事が起きたような驚き方であった。

 

硬直している兄妹を一瞥し、女性は眉根を上げた。

 

 

「……ほぅ? 懐かしい気配だな。カルデアとやらにはギリシャに縁ある者も居ったとは」

 

「まさか、貴女は…!」

 

 

ポルクスの瞳が大きく揺れる。カストロも普段の冷徹な態度を上回る驚きで顔色が変わっていた。二人のあからさまな変化を見て、藤丸少年は相手が兄妹よりも格上の存在であることを察する。

同時に、現状の戦力を投入しても撃退できるかどうか分からないほどの圧を感じた。

 

現れた美女の目がカルデア一行を撫でるように流し見る。

常人とは比較にならない程に美麗な光彩が丸みを帯びた。

 

 

「ふむ。小僧、お前がカルデアのマスターとやらだな? 妾の知る英雄豪傑とは比べるべくもないが、素質はあるようだ。人理の修復という英雄的偉業、存分に果たすがよいぞ」

 

「は、はぁ…ありがとうございます?」

 

「うむ! 若い芽にも目をかけてやる妾の慈愛ぶりは天地に類無しよな」

 

 

どうやら自然と値踏みをされたようだ、と藤丸少年は内心で息を吐く。

これまでも数多の英霊たちから品定めをされてきた為に、人理修復当初と比べても心身ともに逞しく成長していた。言い方を変えれば、神経が図太くなったと言えなくもないが。

 

 

『自分で言うか普通』

 

『普通じゃないから自分で言えるんだよ』

 

「うっさいわ‼」

 

「と、突然なに!?」

 

「……何でもない。妾が何でもない、と言ったら何でもないのだ、よいな?」

 

 

黒と赤の二色をベースとした豪奢なドレスを纏う美女は、突如叫んだかと思えば反応したカルデア一行を凄味で黙らせようとする。既に幾つもの特異点を攻略した人類最後のマスターは、「あ、訳ありな奴だコレ」と目敏く察知。相手側からアクションを起こさない限り黙っていようと考えた。

 

コホン、と小さな咳払いを一つ挟み、美女は髪を掻き上げつつ改めて藤丸少年らを睥睨する。

 

 

「さて。我が呼び声に応えし者どもよ、妾は回りくどい話は好かぬ。故にまず結論から述べるぞ」

 

「は、はい」

 

 

絶対的な上位者が纏うオーラに中てられ、声が上擦り身体が強張る藤丸少年。そんな彼を意にも介さず、美女は自分のペースで話を進めていった。

 

 

「妾はこの地にて聖杯を顕現させ、望みを叶えよと命じた。しかし、聖杯は正しく機能せず、妾の願望を悍ましい形で具現化してみせた。まぁ、それが貴様らカルデアとやらに居たであろう、オリオンを引き寄せた為なのか。あるいはもっと他の理由があるのか、妾には与り知らぬところ。貴様らに求めることはただ一つ。混沌の魔獣と化したあの男と聖杯を、今一度我が手元へ―」

 

 

キャスタークラスの高速詠唱スキルを彷彿とさせる早口で紡がれた状況説明に困惑するカルデア一行。その中で藤丸少年は聞き捨てならない言葉を聞き拾った為、相手の話を遮るように声を上げてしまった。

 

 

「え、え? あの、ちょっと待ってください」

 

「待てぬ。もはや一刻の猶予も残されてはおらぬのだ。そも、たかが人間風情が、神たる妾に異を申し立てるなぞ言語道断。身の程を弁えよ」

 

「いや、だから…」

 

「マスター、貴様はもう二度と余計な口を開くな」

 

 

口を挟んだ藤丸少年だったが、取り付く島もないといった具合に相手にされない。それどころか、同行しているカストロにダメ出しされる始末。少しばかり傷ついたが、それでも人類史の危機を救ったマスターである。すぐに気を取り直して、口を噤むことにした。

 

マスターが閉口した為、情報を得る役割は残ったサーヴァントに任せるしかないのだが、サッと見回しただけで頼れる者はほとんどいないことに気付くポルクス。兄に代わり、不敬を承知で美女に話しかけた。

 

 

「あの…よろしいでしょうか?」

 

「ふむ? なんだ小娘。貴様もギリシャの神性であるようだが」

 

「は、はい! 我らの素性もそうですが、何より情報に乏しいので、一先ず落ち着いて話せる場所へマスターをお連れしたいのですが…」

 

 

物腰の柔らかい彼女の言葉に気を良くしたのか。美女は「そうかそうか」と大きく頷き、そびえ立つ巨大な神殿らしきものの方角へ視線を向ける。

 

 

「では、妾達の神殿へ行くとしよう。光栄に思うがよいぞ。ギリシャが誇る女神の神殿へ、足を踏み入れられるのだからな」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

「……兄様、私はマスターの前に入ります」

 

「良かろう。俺は後ろで有事に備える」

 

 

そのまま美女は、カルデア一行を伴い、神殿へと歩を進めた。

 

 

「あら? そちらにオリオン様がいらっしゃるの? お待ちくださいませ、マスター!」

 

 

…約一名、状況を飲み込む気が一切ない人物も連れ立って。

 

 

 

 

 

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「――改めて、妾がギリシャ世界を統べる大神が妃! 女神ヘ……テレイアじゃ」

 

『今ヘラって言いかけたね』

 

『言いかけたねこの莫迦』

 

 

美女の案内の元、一行は巨大な二つの神殿のうち、幾何学的な意匠の強い方の最上階に辿り着く。そこで件の美女こと「テレイア」の自己紹介を受けた。

 

 

((今、明らかにヘラの名を口に出しかけていた気が…))

 

「よろしくお願いします、テレイアさん。自分は、藤丸立香と言います」

 

 

警戒を続けている双子の英霊はジト目でテレイアを見つめるが、藤丸少年は先程の威圧感もあってか、気を張った挨拶に留まる。無論、彼らの後を着いて来ているメロペーはオリオンの名を呼び続けていた。自由人過ぎるでしょこのお姫様。

 

 

「……この愚物のサーヴァント、ディオスクロイ・カストロだ」

 

「同じく、ディオスクロイ・ポルクスです」

 

 

マスターに続けての自己紹介だが、テレイアは気にする様子もなく面倒そうに瞳を細める。

 

 

「あぁ、よいよい。子細な説明なぞ、妾の行いではない。この場は任せるぞ、義姉上」

 

 

この場にいない第三者と会話するようなテレイアの口調に硬直する藤丸少年。ところが、言うが早いかテレイアの全身を光が包み、眩さに目を晦ませた直後、その姿が大きく変化していた。

 

 

「……自分から招いておいてコレだ。我が愚弟が持て余すのも頷けるね」

 

『はぁ? 妾が彼奴を弄んでおったのだ! 勘違いするでないわ!』

 

機体性能(カラダ)にしか興味が無いって、ハッキリ分かんだね』

 

『どういう意味だオイ。怒らんから言うてみろ』

 

 

藤丸少年の目の前に立つのは、赤と黒の豪奢なドレスの貴婦人でなない。

其処に居たのは、水色のレオタードの様な体のラインをこれでもかと強調する際どい衣装に、胸元や腰回りを黄金の装飾と軽鎧で固めた知的な美女。切れ長の目がセクシーな印象を受ける。

 

突如として姿を変えたテレイアに目を剥く双子に、濃い青のメッシュが入ったウェーブロングを靡かせながら水色の女神が口を開いた。

 

 

「いきなりで済まないね。だが、ここからは私が話を進めよう。君達もそれで構わないかな?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「おや。思ったより動揺が少ないね。潜った修羅場が違う、というヤツかい? うーん、むくつけき豪傑もいいが、こういうのも中々悪くないじゃないか…」

 

 

初めて出逢った時の値踏みするような視線とはまた別種の、試すような目を向けられて困り顔で笑う藤丸少年。ディオスクロイ兄妹は、一つの体に異なる神格が混在している様子に酷く驚き、返事をする余裕など無くなっていた。なお、初めからメロペーは気にしてすらいない。もう好きにしてくれよ。

 

 

『アレ……義姉上ってもしや、こういう小僧が好みじゃったか?』

 

『大神の姉だからって誰も手を出さないから、日照ったんじゃない?』

 

『可哀想にのぉ。処女神性ってホント、哀れに思えてならんわ』

 

『……処女神のクセにアイツを射止めた勝ち組(アルテミス)の話、する?』

 

『止めろ。マジで、止めろ』

 

 

何やら複雑そうな顔でテレイアは黙ってしまった。何事かと尋ねようとするが、手を振って「大丈夫」とアピールしてきたので、それ以上は何も言い出せなかった。

 

しばらくして、閉ざされていたテレイアの口が開き、この特異点の現状をつらつらと語りだした。

 

 

「――という事なのさ。要は、我々が生み出した聖杯擬きの力で、そちらにいたオリオンを召喚してしまった。おまけに、正当な手順を踏んでの召喚ではないからか、彼の霊基に歪みが生じたのかもしれない。口にするのも悍ましいケダモノになってしまってね。我々の失態のもみ消しと、彼自身の名誉のために、力を貸してほしい」

 

「分かりました。カストロとポルクスも、良いよね?」

 

「ふん! 聞くなら承諾する前に聞け! 能無しめ!」

 

「兄様! あ、私はマスターに賛同します」

 

「決まりだね」

 

 

テレイアが綺麗にまとめてくれたおかげで、特異点での目的がスッキリ頭に入ってきた藤丸少年はコレを快諾。ディオスクロイもそれに従った。なお、メロペーは言わずもがな。オリオンの為ならばと奮起してみせたのだが、割愛する。

 

 

「けど、森に逃げたなら追うのは苦労しそうだね」

 

「そうですね。相手はギリシャ最強の狩人たるオリオン、自身の痕跡を消すことなど容易いでしょうし…」

 

「ああ。おまけに聖杯まで所有している」

 

 

藤丸少年とディオスクロイは真面目に作戦会議を行う。なにせ、相手は小柄なヌイグルミで、森の中を縦横無尽に駆け巡るのだ。まともに追いかけても捕まえられないのは火を見るよりも明らかである。

 

その時、テレイアが光明を示す。

 

 

「それについてなんだが。彼は奪った聖杯で多くの英霊…それも女性ばかりを召喚し続けている、ということは知っているかな?」

 

「はい。カルデアのサーヴァントがいなくなってますから」

 

「あぁ……分かった。それなら、その反応を追えないかな? 君たちの科学技術程度でも、その位なら可能だろう?」

 

 

ダヴィンチちゃんが聞けば「何だ喧嘩売ってるのか? やるか?」と袖をまくって突撃しそうな言い方をするテレイア。カルデア一行は通信でカルデアと連絡を取り、オリオンの反応をそちらで追えるか確認する。

 

 

『うーん。精度が安定しなくてね。多分、そちらのマナ濃度が不安定なせいかな』

 

「空気中のマナが、ですか?」

 

『それしか考えられない。きっと、時代があやふや過ぎる特異点だからだろうね。あー、あと考えられるのは、あのオリオン(仮)がサーヴァントをしっちゃかめっちゃか喚び出すからかな』

 

「分かった。ありがとう、ダヴィンチちゃん!」

 

『困ったらいつでも頼ってくれ。何か分かればこちらからも連絡するよ』

 

 

通信を切り、テレイアに向き直る。今の話を聞いていた彼女は、深く息を吐きながら頭を振った。

 

 

「……となると、地道に痕跡集めをするしかないね」

 

「痕跡って、例えばどんな?」

 

「魔力残滓…は何とでもなるから、オリオンの毛とか、足跡とか。それをかき集めるんだ」

 

「あの森の中から、ですか?」

 

「そうなるねぇ…」

 

 

神殿の吹き抜けのような場所から分かる、見渡す限りの大森林。

この中から、ヌイグルミサイズの痕跡を集めなければならない。

控えめに言って地獄の労働と言えよう。

 

 

「やらなきゃいけない事は、やらなきゃ終わらない。大変だけど、そういうものだから」

 

「……なんか夏休みの宿題みたいだ」

 

「マスター? 顔色が悪いようですが?」

 

「嫌な事でも思い出したのだろう。軟弱者め!」

 

 

過去の痛烈な記憶と戦い、何とか乗り越えた藤丸少年は、テレイア協力の元で神殿を拠点として痕跡集めの活動を開始する。

 

さぁ。いよいよ諸君らの大嫌い(すき)な、地獄の素材周回(マラソン)のスタートである。

 

 

 

 

 

□□□□□□…Loading…□□□□□□

 

 

 

 

 

一方その頃、名もなき島の片隅。

 

 

「ふぅ…ここにもいなぁ~い! もう! ダーリンどこー!」

 

 

鬱蒼と生い茂る森林の中、枝葉を掻き分けて進むのはこの場に似つかわしくない絶世の美女。誰あろうその美女こそ、ギリシャ神話の資料と月を司る女神「アルテミス」だ。

 

白を基調としたドレスを葉や土で汚してもなお彼女が森を突き進むのには、理由がある。

 

 

「うぅ……だぁり~ん!」

 

 

彼女は最愛の人を探してこの僻地を彷徨っていた。彼女の愛する人物など、最早言うまでもない。

 

優しくも雄々しきかの狩人の姿が消えたと知った直後は、自分の半身を欠いたような喪失感に襲われた。実際、ダーリンの次に好きなマスターに声をかけられても抜け殻の様になって返事など出来なくなっていた。

 

しかし、愛しのダーリンを探しにレイシフトで旅立つ直前。憎き恋敵であるメロペーにとんでもない侮辱を受けたことに端を発し、アルテミスは自力で絶望の淵より復帰。怒りに任せて後を追ってきたのである。

 

 

「ダーリン! ダーリン! ダーリン…」

 

 

だというのに、いない。

何処を探してもいないのだ。

 

アルテミスには愛しのオリオンを超直感で探り当てるセンサーが備わっていない()のだが、特異点に来てからイマイチ「ピン」とこない。その為、あてずっぽうで森林をグイグイと探索していたアルテミスだった。

 

 

「どこにいるのぉ~!?」

 

 

半ベソをかいて草むらを掻き分けるが、あの愛らしいフォルムの影も見当たらない。

また悲しみに心が覆い尽くされそうになるも、そこでアルテミスは手がかりを見つけた。

 

 

「あら? そこにいるのって、確か…」

 

 

ガサガサと低木を鳴らして進んだ先で、二人の女性が倒れているではないか。

慌てて駆け寄ったアルテミス。音に驚いて向けられた顔に、アルテミスは心当たりがあった。

 

 

「確か、アニーちゃんとメリリーちゃん! そうでしょ?」

 

「アン! アン・ボニーとメアリー・リードだよ! ちょっと違う!」

 

「そうだった? ゴメンゴメン…って、大丈夫?」

 

 

名前を間違えたが、二人一組という珍しい霊基のサーヴァントということは覚えていた。

 

比翼連理の女海賊である彼女らが海に浮かぶ孤島にいることは不思議ではない。だが、アンは頬を朱に染め、苦し気に浅い呼吸を繰り返しているではないか。目に見える異常に気付き、心配そうに声をかける。

 

 

「大丈夫かどうかで言えば、大丈夫。コレは一時的なモノだから」

 

「そうなんだ、良かった」

 

「良くない! もとはと言えば、キミの問題なんだぞ!」

 

「え? 私? なんで?」

 

 

身体をぐったりとさせるアンを傍で見守るメアリーから、彼女らを見舞った不幸の原因が自分にあると知るアルテミス。いったい何のことか見当もつかずに首を傾げるが、メアリーは語気を荒げて続けた。

 

 

「なんでって、キミんとこのオリオンだろ。さっきの」

 

「ダーリンいたの!? ど、どこにいったか教えて!」

 

「知らないよ、そんなの。けど……」

 

「けど?」

 

 

メアリーはオリオンを見たと話す。食い気味に行方を尋ねるも、生憎行き先は分からなかった。そこから先を何故か言い澱むメアリーを見つめていると、どこかうっとりしたような表情で虚空を見ていたアンが、声を震わせ理由を話した。

 

 

「も、森の奥へ消える前に…」

 

「前に?」

 

「……私の胸を、お揉みになっていかれましたわ♡」

 

 

「 は? 」

 

 

 








丸ごと一年投稿しなかったSSがあるらしいっすよ皆様(ブーメラン)


と言うわけで、お久しぶりでございます。
自宅のWi-Fiが御陀仏となり、まともにネットが通じずはや半年。
気付けば一年が過ぎておりました。本当に申し訳ない…。

コロナになったり仕事量が激増したりでてんやわんやですが、どうにか時間を見つけて書いていく所存ですので何卒応援を…‼


今後も、よろしくお願い致します…‼
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