Xenoblade2 The Ancient Remnant   作:蛮鬼

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 今回は前回の予告通り、ダクソキャラ登場予定です。
 誰が出るのかは読んでからのお楽しみ。
 それではどうぞ。


11.嵐と共に来たる

「――うぉおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

 

 喉が張り裂けんばかりの裂帛を伴って、赤い大剣をメツ目がけて振るうレックス。

 それを巧みに避け、時に構えた奇剣で受け止めながら、メツは上手くレックスの剣撃を捌いていた。

 

 だが、相手はレックスだけではない。シンを戦わせない代わりに、彼にはもう1人相手せねばならない“敵”が居たのだ。

 

 

「ぜぇあああああァッ!!」

 

「チィ――ッ!?」

 

 

 レックスの大剣(それ)とは比較にならない巨大剣。

 黒焦げた刀身を持つ黒大剣の一撃をメツは全力で回避しつつ跳躍、からの空中よりエーテルの斬撃を飛ばし、スタクティを牽制した。

 

 

「――やめなよメツッ! 騎士鎧の方はともかく、もう1人は子供じゃないかッ!」

 

「子供――だぁッ!?」

 

 

 奇剣で赤い大剣を受け止めつつ、戦いを止めるよう言ってきたニアへメツは余裕を欠いた声で返す。

 

 

「冗談はよしな、ニア! こいつは――とっくに“天の聖杯”の()()()()()だッ!」

 

 

 止めた大剣を奇剣の一閃で弾くと、そのまま後方に跳んだレックスへ向けてメツは疾走。次撃を仕掛けるべく剣を振るう。

 

 

「“天の聖杯”のドライバー……レックスが?」

 

 

 信じがたいその事実に呆然とするニアだが、だからと言って戦いが止まることはない。

 次撃を仕掛けにいったメツは斬撃を繋げ、連撃へと切り替えてレックスを徐々に追い詰めていく。

 そして力を溜めた一閃により再び彼を吹き飛ばすと、手にした奇剣を上空へと放り投げ――

 

 

「――喰らえッ!」

 

 

 空中へ飛んだメツのブレイド『ザンテツ』がそれを受け取り、十字型の斬撃をレックス目がけて撃ち放った。

 

 

「く、ぅ……!」

 

「「――レックスッ!」」

 

 

 斬撃が届く直前、彼の前にホムラとスタクティの2人が割り入り、ホムラは障壁(シールド)、スタクティはソウルより取り出した『ヨームの大盾』を展開すると、飛来する斬撃を防ぎ、その余波が周囲に拡散した。

 

 

「――無事か、レックス!」

 

「うん! ありがとう、ホムラ! スタクティさん!」

 

「どういたしまして! 続き――()っ?」

 

 

 レックスが口にした名前。自分(ホムラ)の後に呼ばれたもう1つの名前を耳にした途端、ホムラは一瞬動きを止め、己の耳を疑った。

 だが思案に耽る暇はない。こちらのどんな事情があろうとも、敵は待ってはくれないのだ。

 

 

「――ホムラ君ッ!」

 

「え――はっ、はいッ!」

 

 

 傍らで黒大剣と大盾を携えたスタクティの呼び掛けで、ホムラは意識を取り戻す。

 そして2人と共にメツたちの下へ疾走し、その間にも放たれるザンテツからの斬撃を障壁で防ぎ、レックスたちのサポートに徹した。

 

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

 

 怒涛の連撃。それがメツへと繰り出される。

 小柄な体躯を精一杯に駆使し、大振りなその一振りを可能な限りに振るい続ける。

 

 

「はぁ――ッ! ――皆! 今のうちに早く!」

 

 

 相手の意識が自分に向いている間に、せめて同業者(なかま)たちは逃がそうと呼び掛ける。

 レックスの声に、戸惑いながらも他のサルベージャーたちはその場から退散し始める。

 だが無論、それをわざわざ逃がすようなメツたちではなかった。

 

 

「メツ――受け取れッ!」

 

「おうッ! ――逃がすかよぉッ!」

 

 

 レックスの一撃を空中に跳んで回避しつつ、投げ渡されたザンテツの奇剣(ぶき)を手にし、古代船入口上部に降り立つと、その切っ先を銃のように見立て、古代船と『ウズシオ』を繋ぐ連絡橋を破壊しようと狙いを定める。――だが。

 

 

「させぬよ――ッ!」

 

「くぅ――!?」

 

 

 天高く跳躍し、振りかぶった黒大剣と大盾をメツ目がけて振り下ろすスタクティ。

 超重量の双撃を受けることだけは回避したいメツは、狙撃をすぐさま中断するとその場を跳び去り、反対側の入り口上部へと移り跳んだ。

 

 

「よし――()()ッ!」

 

「――!?」

 

 

 スタクティの発した声に、ようやく自分が誘い込まれたことを理解するも、既に遅い。

 ホムラと共に浮遊するレックスが、彼女と共に手にした赤き大剣を高らかに掲げ――

 

 

《バーニング――ソード》ォッ!!

 

 

 炎剣一閃――燃え上がる炎の大剣が、メツへと叩き込まれる。

 直撃と共に爆炎を上げ、轟音が雨の降り注ぐ海域に轟き渡る。

 敵も、味方も、一部を除いた全ての者がメツの敗北を確信した――そう思われたのだが。

 

 

「……っ!」

 

 

 ()()()()()()()()

 翳した奇剣で炎の大剣を受け止め、いつの間に背後にやって来たザンテツが奇剣にエーテルを注ぎ、レックスとホムラの斬撃に耐え切らせたのだ。

 

 

「小僧ォ……何でお前如きが――と、言いたいところだが……」

 

 

 互いの剣を噛み合わせながら、メツは忌々しげにレックスの目を見る。

 金色に輝くその瞳。懐かしくも忌々しい、()()()()()()()()()黄金の瞳――!

 

 

()()()()()――もっと注意しておくべきだったな」

 

「何のことだ!?」

 

「そいつぁ――教えねぇ、よッ!」

 

「――! レックスッ!」

 

 

 左手に黒紫のエーテルを生み出し、引っ掻くように左手を振るうも、そのエーテルを纏う左手が触れる直前にホムラがレックスの身体を後ろに引き、そのまま2人は後方へと離脱した。

 

 

「おおおおおおおぉッ! ――『ローリアンの炎』ッ!!」

 

 

 その隙を突き、入り口上部に立っていたスタクティが黒大剣を振るい、強烈な切り上げと共に爆炎をメツたち目がけて撃ち放つ。

 牙を剥いた蛇のように迫るそれをメツは左手の黒紫のエーテルで掻き消し、ザンテツも再び渡された奇剣の斬撃で切り裂きながら、再度メツに剣を投げ渡してレックスたち同様、甲板上に着地する。

 

 向かい合うレックス、ホムラ、メツ、ザンテツの4人。

 それに合わせてスタクティも飛び降りて、大剣と大盾を担ぎながらレックスとホムラの下に合流すると、再び2つの武具を構え、メツたちを牽制する。

 

 

「ここからが本番……と言ったところか」

 

「はい。あちら側も、本来のドライバーとブレイドの戦い方で来るみたいです」

 

「本来……ああ、『キズナ』とやらの繋がりで、ブレイドがドライバーを補助・強化しつつ戦うというアレか」

 

「良く知ってるじゃねぇか。骨董品野郎のクセに、中々に知識はあるみてぇだな!」

 

「その骨董品に背中を取られた阿呆が何を言う――レックスッ!」

 

「ああ! ――2人とも、行くよッ!」

 

「はい!」

 

「応ともッ!」

 

 

 レックスの掛け声を機に、いよいよ5人は戦闘へと移る。

 まず先に仕掛けて来たのはメツ。

 黒い鎧に包まれた大柄な体躯から想像もつかない俊敏さで距離を縮めると、逆手に構えた奇剣の連撃でレックスに切り掛かる。

 

 俊足の連撃。幾つもの戦場を経た末の連続剣。

 それを既に戦闘の基礎をスタクティに教えられているとはいえ、文字通りドライバーに成り立てのレックスが捌き切った事実は、目を見張るほどのものだった。

 

 

「《パワーチャージ》ッ!」

 

 

 レックスとの間に結ばれた『青いキズナ』。

 それを通してホムラが彼に強化を施すと、続けて繰り出すレックスの剣撃(アーツ)が勢いを増し、一撃一撃の威力も高まっていた。

 

 

「はぁあああああッ!」

 

「うざってぇ……! ――《スパイラルソバット》ッ!」

 

 

 体にエーテルを漲らせ、軽い跳躍と共に身を捻ると、メツの右回し蹴りが繰り出される。

 大剣による猛攻の隙を狙い放たれたそれが、レックスの頬に直撃せんとするも、それを大盾による突進で阻み、メツの身体をスタクティが吹き飛ばした。

 

 

「ぬぅおォ……ッ!?」

 

「メツゥッ!?」

 

「貴公もだ!」

 

「な――がぁあああああッ!?」

 

 

 再び黒大剣から豪炎を放ち、繰り出した剣風に乗せてザンテツを焼きながら、メツ同様に甲板の壁に飛ばし、叩きつける。

 

 

「行くぞッ!」

 

「ああッ!」

 

 

 壁に叩きつけられ、体勢が回復していない今こそ好機。

 全力で駆け抜け、渾身の一撃を叩き込まんと大剣を構える。

 

 

「――《ソードバッシュ》ッ!」

 

「舐めんなよ――小僧ォッ!!」

 

 

 ――《ソードストライク》ッ!

 

 レックスの突き出した大剣と、メツの繰り出した奇剣の切っ先が衝突し、豪風を生む。

 剣と剣のぶつかり合い。拮抗は一瞬、だがその後は担い手の筋力に依存する。

 まだ年若く、肉体的に恵まれているとはいえないレックスと、強靭かつ屈強な体躯を持つメツとでは単純な力の差は明らかだ。

 

 衝突の後、空いた左手を拳の形に握りしめ、重い拳撃でレックスの小柄な体躯を吹き飛ばす。

 

 

「がぁ――ッ!?」

 

「ザンテツ――使えッ!」

 

「おうッ!」

 

「ぬぅ――!?」

 

 

 またもや武器を投げ渡し、迫るスタクティに対し、ザンテツの体躯よりエーテルが漲る。

 そして手にした奇剣を瞬時に振るうと、繰り出された剣風が極小の竜巻を形成し、接近してきたスタクティの体躯を捕え、その内部で切り刻んだ。

 

 

「《ストームエッジ》ッ! 切り刻まれなぁッ!」

 

「ぐ、う、ぅぅ――ッ!?」

 

「っ!? ――スタクティさん!?」

 

()()()()()――だと?」

 

 

 レックスの口より漏れたその名に、メツが明確な反応を示す。

 それは彼だけでなく、2人の仲間であるホムラもまた同じで、メツは疑念と苛立ちを、ホムラは驚愕を抱いて竜巻に囚われた鎧騎士(スタクティ)を見る。

 

 

(何で()()()をこいつが名乗ってる? その名前(スタクティ)の意味を知らねぇわけじゃねぇだろう……!)

 

(やっぱり聞き間違いじゃなかった……! でも、何でこの騎士様がその名を……?)

 

「――シャアアアアァッ!!」

 

 

 切り刻む竜巻の中、大盾をソウルに還し、それとは別の()()()を取り出すと、ソレ――『嵐の曲剣』を両手で構え、片足を軸にして時計回りに一回転。

 回転の最中、振るわれたその曲剣に暴風が渦巻くと、それは極小の竜巻となって彼の体躯を包み、囲んでいたザンテツの竜巻を噛み千切るように内側から切り裂いた。

 

 

「俺の竜巻(ストームエッジ)が――ッ!?」

 

 

 己の必殺技(とっておき)を破られ、驚愕と共にザンテツが悲鳴を上げる。

 その一声によって皮肉にもホムラは意識を現実に戻すと、レックスへ向けて言った。

 

 

「レックス、剣を私に――!」

 

「剣――分かったッ!」

 

 

 理屈ではなく、本能的に悟ったのだろう。あるいは彼女と自分を繋ぐ『キズナ』が高まり、その影響なのか。

 ホムラの言葉に応じ、すぐさま手中の赤き大剣を彼女に投げ渡すと、彼女はそれを手にし、己の内のエーテルを大剣に巡らせる。

 

 

「騎士様、1度下がってッ!」

 

「む? ――そういうことかッ!」

 

 

 彼女と、彼女が手にする大剣のエーテルが満ち溢れているのを察し、この後に何を繰り出すのかを知って、スタクティは黒大剣と曲剣を手に2人のいる位置から少し後方の場所へと跳ぶ。

 

 

「――《フレイム――ノヴァ》ッ!!」

 

 

 手にした大剣ごと己の身体を一回転させ、周囲のエーテルを吸収。

 直後に大剣を手放すと、ホムラの力でエーテルが炎熱へと変換され、それらと共に大剣がメツたち目がけて放たれる。

 炎熱の波と大剣が迫るも、メツは再びザンテツより受け取った奇剣で何とかそれを捌く。

 ザンテツの放った《ストームエッジ》同様、今ホムラが放てる必殺技(とっておき)の1つは強力であり、彼をサポートしていたザンテツごとメツの体躯が後方に大きく後退した。

 

 

「――っ!? ……やるじゃねぇか」

 

 

 衝撃対策として十字に重ねた両腕を解き、甲板上の先に立つレックスたちに再び視線を向ける。

 

 

「ロクに歳も経験もねぇってのに、“天の聖杯”をそこまで扱えるとはな。――けどな……」

 

「うぉおおおおおおおおおおおッ!!」

 

「っ! いかん、レックス! 無闇に突進しては――」

 

「もう遅ぇッ!」

 

 

 跳躍からの大上段剣撃。

 それをメツは再び生み出した黒紫のエーテルを持つ左手で受け止めると、奇剣を握る右手を拳状に固め、がら空きとなったレックスの腹部に鉄拳を叩き込む。

 

 

「か、ぁ――ッ!?」

 

「でぇやあああああァッ!!」

 

 

 確かな手応えを右拳に感じると、掴んだ大剣ごとレックスを投げ飛ばし、何度も跳ねながらレックスの身体が甲板上に転げ倒れる。

 

 

「レックスッ!?」

 

「調子に乗るなよ――小僧ッ!」

 

 

 携えた奇剣の刃が鈍く輝く。

 その凶悪な刃で止めを刺さんとするメツの前に、あの黒大剣が突如道を塞ぎ、そのまま横薙ぎがメツに繰り出される。

 

 

「くぅ……ッ!? 何度も何度も……邪魔ばかりしやがってッ!」

 

「生憎と、しつこさには自信があってな!」

 

 

 翳された奇剣で黒大剣の一撃を止められるも、すかさず剣を引いて再び振り下ろし。

 それをまたもメツが捌き、何度も何度も刃を交えていく。

 数えること十五合目。そこで2人の剣は再び鍔迫り合いになると、重ねた互いの剣越しに睨み合い、溜めこんだ激情を言葉と変えて吐き出す。

 

 

「さっきの動作、見てたぞ。何もねぇところから()()()()()()()()()、てめぇ……!」

 

「――だからどうした!」

 

「ちらつくんだよ、()()()()()()……! てめぇの名前と言い、口調と言い、戦い方と言い……どれもこれもが俺を苛立たせるッ!」

 

 

 解除、斬り合い、からの再びの鍔迫り合い。

 込みあげる苛立ちは時を経るごとに増し、やがてそれは向かい合う相手を灼き尽さんばかりの憤怒の劫火と変わっていく。

 だが無論、そんなメツの事情をスタクティが知る由も無く、逆にその憤怒を利用せんと怒り(ほのお)言葉(たきぎ)を焚べていく。

 

 

「ほう――貴公にそこまで言わせると、余程の相手だったのだな、その者は!

 差し詰め殺したいほど憎い敵か、あるいは求め欲せども、終ぞ手に入らなかった憧憬の者(あこがれ)かッ!?」

 

「黙れ……! てめぇ如きが――()()を語るんじゃねぇッ!!」

 

 

 怒りがメツの全てを染め上げる。

 湧き上がる憤怒の激流はスタクティの予想を遥かに超え、大きさでは遥かに勝る大騎士(ローリアン)の黒大剣を弾き飛ばし、がら空きとなった腹部に刃を叩き込まんとメツが吼える。

 

 

「終いだ――!」

 

「――()()()()ッ!」

 

「承知――!」

 

 

 凛とした声と、獣の咆哮が夜天の下に響く。

 その後、突如メツ目がけて水の激流が放たれ、それをすんでのところで駆けつけたザンテツが障壁(シールド)を展開し、防ぐ。

 激流が収まると、後ろに殴り飛ばされたレックス、そして黒大剣を弾かれたスタクティを守る形で、メツの前にグーラ人の少女とそのブレイド――ニアと白虎が立ち塞がった。

 

 

「――何で邪魔をする。頭イカレてんのか、ニアッ!?」

 

「イカレてんのはそっちだろ! 子供と非ドライバー相手に!」

 

「お前……自分の立ち位置、分かってんのか?」

 

「分かってるよ! けどね――!」

 

「ああ言えばこう言う――いい加減、面倒くせぇぞ……ニアッ!!」

 

「――ッ!?」

 

 

 殺意を滲ませたメツの怒声。

 標的を完全にニアへと移し、戦闘体勢を整えるメツとザンテツ。

 ニアへと向けられる2人の意識。だがその影で、レックスの手から離れた赤き大剣を回収し、高速で接近する()()()()が1つ――!

 

 

「――はぁッ!」

 

「――ぬぅッ!」

 

 

 ギィン――ッ!

 

 鋼同士が噛み合う甲高い音色を奏で、ホムラとメツの刃が交差する。

 不意打ちを防がれたホムラは、剣を交えながら空中で体勢を整えると瞬時に跳んで着地し、女体の柔軟性を十全に活かした動きでメツの連撃に次々と応じる。

 逆手持ちの奇剣による回転斬り。それをホムラはバク転を繰り返すことで避け続け、その終わりに大剣から放った火球でメツに反撃する。

 対するメツは奇剣の剣閃で火球を両断し、爆炎を生みながらそれら全てを潰していく。

 

 

「――やぁッ!」

 

「シッ――!」

 

 

 爆炎を裂き、突進してきたホムラの大剣を、メツの奇剣が再び受け、止める。

 再び鍔迫り合いが2人の動きを止め、そこで再び2人は互いの言葉を交わし始める。

 

 

「寝起きにしちゃあ良い太刀筋してるじゃねぇか……ああ、思い出すぜ。5()0()0()()()を」

 

「……っ」

 

「……“その姿”、どういうつもりだ? やはり目指すか――『楽園』を?」

 

「それが――“()()()”の望みですッ!」

 

()()()()()()()()()()?」

 

「……それでも――それでも、行かなくてはならないんです……“私たち”はッ!」

 

 

 メツの言葉を受け、それでも『楽園』を目指すと叫ぶホムラ。

 だがその叫びはどこか悲しく、まるで慟哭のようにさえ聞こえ、その言葉1つ1つが後悔に滲んでいた。

 

 

「なら、させるわけにはいかねぇなッ!」

 

 

 剣閃を繰り出し、黒紫のエーテルを纏う左手がホムラへと振るわれる。

 凶悪な双撃をホムラは空中に跳ぶことで回避し、再び甲板上に降り立つとメツに剣を向け、継戦の意思を示す。

 一方メツは剣こそ手にしたままだが構えることはせず、その口元に不敵な笑みを湛えて、ホムラを――彼女の先に見える()()()を見ていた。

 

 そして現れた船――機甲船『モノケロス』より多連装砲台がせり上がり、複数の砲口をホムラに狙いを定めた。

 

 

「――! ホムラ、危ないッ!」

 

「――ッ!」

 

 

 回復したレックスからの呼び掛けに振り向くも、既に機甲船の攻撃準備は整っている。

 露わとなった16門の砲台から砲撃が放たれ、無慈悲にホムラを撃たんと迫り――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――轟ッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホムラに迫る16の砲撃、それが彼女と機甲船との間に落ちた、突然の()()によって全て消失した。

 

 

「なにッ!? ――ぅおおッ!?」

 

「これは……? ――きゃぁッ!?」

 

 

 落雷により不意打ちの砲撃が失敗に終わった直後、さらなる現象が彼らを襲った。

 それは暴風、それは豪雨。

 既に降り注いでた雨とは比べものにならない、痛みさえ伴う強烈な雨と風の融合体。

 雷鳴が轟き、2人から離れた場所にいたレックスとスタクティ、そしてニアたちの4人は、突然の“嵐”の出現にただ見ていることしかできなかった。

 

 

「ホムラッ! ホムラァーッ!!」

 

「待て、レックス! あの嵐の中に突っ込むのはまずい!」

 

「でもっ、でも、ホムラがあの中に!」

 

 

 渦巻く灰色の嵐の中、そこに呑まれたホムラとメツ。

 正体不明の自然現象を前に、レックスたちは勿論、メツの仲間のシンたちも迂闊に手出しはできず、ただそこで待ち続けるしかなかった。

 

 

(何だ、この嵐……この感覚(ソウル)……どこかで覚えが……?)

 

 

 唯一人、その嵐の存在にスタクティは妙な違和感を覚えた。

 嵐の内に渦巻く力の奔流。その最奥に――覚えのある4()()()()()()を、密かに彼は感じていた。

 

 

 

 

 

 

 灰色が視界を埋める。

 暴風が肌を撫で、雷鳴が鼓膜を破らんとする程に轟響している。

 閉ざされた大自然の檻の中、ホムラは自然の暴威を一身に受けながらも耐え続け、必死に2人の仲間の名を呼んだ。

 

 

「――レックスゥッ! 騎士様ぁッ!」

 

 

 何度も何度もその名を呼ぶも、それらは全て、この嵐の牢獄に響く雷鳴によって掻き消され、少女の声が届くことはない。

 必死に叫び続けたせいか、先までの戦いで蓄積された疲労が溢れ、へたりと彼女の身体がその場で崩れる。

 

 

(何なの、この嵐……エーテルが()()()()()()()……?)

 

 

 ブレイドは、人間のように睡眠や食事などを必ず摂取しなければ生きていけないわけではない。

 獣や人外の姿を取る者もいるが、人に近い姿を持つブレイドも、その正体は亜種生命体。

 雲海や大気中に漂う『エーテル』を摂取し続けていれば、少なくとも日常の生活に支障はないのだ。

 

 だが、逆に言えば『エーテル』がなければ彼らの活動は制限され、それは“天の聖杯”――力の源をエーテルとは異なるものとしているとはいえ、ホムラもまた例外ではなかった。

 

 

「レッ、クス――」

 

 

 息苦しさを覚え、朦朧としていく意識の中で、彼女は己のドライバーの名を呼ぶ。

 眠っている自分に触れ、『楽園』へと連れて行ってくれると言ってくれた優しき少年。

 家族である騎士と共に、自分を微睡みの底から引き揚げてくれた――()()()()()()()初めての大切な相棒(ドライバー)

 

 暗くなっていく視界の中で、それでも絶えず手を伸ばし、少年を求める赤き少女。

 そんな彼女の下へ、()()()が歩み寄る音がした。

 

 ざりっ、ざりっ――。

 

 カツンッ、カツンッ――。

 

 ざっ、ざっ――と。

 

 足音の種類は3つ。

 1つは軽く、1つは重く、1つは硬い。

 鉄と鎖の鳴る音を伴い、足音は徐々にホムラの下へ近づくと、やがて彼女へ至る2mほど手前のところで停止し、そこで初めて、彼女は()()の声を耳にした。

 

 

「――懐かしい(ソウル)の気配と、我が盟友(嵐の竜)の力の一端を感じて来て見れば……思わぬ者がいたものだな」

 

 

 最初の一声は、重く、そして威厳に満ちた覇者の声。

 幾千幾万の時を経て、なおも在り続ける巨岩の如き圧を含んだ、絶対的王者のもの。

 

 

「ブレイド、か。……成程、()()()()()なれど、共通する点はそう多くないゆえ、忘れていたな」

 

 

 見えざる覇者の一声の後、暴風の勢いが僅かに緩み、するとそれまで感じていた息苦しさが失せて、ホムラは再びその身の自由を得た。

 そして倒れかけていた己の身体を起き上がらせ、声のした方角に視線を向けると――そこには、彼女の知らぬ者たちの姿があった。

 

 

 1人――赤い飾り羽を付けた円柱兜(グレートヘルム)に、太陽の紋章らしきものを描いた胴鎧を纏う男。

 纏う装束は簡素なものなれど、腰に佩いた直剣からは奇妙な神聖さが感じられた。

 

 1人――最初の太陽紋の騎士と比べ、2倍近くの体格を誇る3m超えの巨躯を、獅子を模した黄金の鎧で包んだ大男。

 携えた黄金の十字槍からは雷が迸り、鋭くもどこか温かみのある眼光をホムラに向けて、彼女を見つめている。

 

 そして最後の1人――その人物は、もはや人の範疇には到底収まり切らないほどの傑物。

 黄金の獅子騎士よりもさらに巨大な、4mはあろう巨躯を刃のように鋭い鱗の鎧(スケイルアーマー)で固め、右手には大剣とも大槍とも見て取れる奇妙な武器『剣槍』を携えている。

 逆立つ灰の長髪の内に黄金の冠を頂き、屹立する姿はまさに王者。そんな人物が圧倒的存在感を持って、三者の中心に屹立している。

 

 

「……!」

 

「その顔、その(ソウル)――姿形や色合い、髪の形こそ変われど、()()()()()()……」

 

「私を……知っているんですか……?」

 

「ああ。正しくは、汝の()()1()()()()()をな。

 我らはずっと、汝を見ていた。あの男の内側(ソウル)に在ったその頃より、我らは汝を見ていた――ヒカリよ」

 

「……! ()()()()()()の、名前を……」

 

「――長子様。どうもこの赤き娘とヒカリとでは、存在が異なるやもしれませぬ」

 

 

 ホムラの反応を見て何かを悟ったのか、獅子騎士の男が隣に立つ巨人に進言する。

 そして巨人も獅子騎士の言葉に納得し、再びホムラへ視線を移すと、襟巻に隠された口を開き、彼女に問いを投げ掛けた。

 

 

「ふむ……では問おう。赤き娘よ――汝の名は?」

 

「……私は――ホムラと言います」

 

「ホムラ……(ホムラ)……成程、実に()()()の娘らしい、良き名だ」

 

「……(とうさま)を、知っているのですか!?」

 

「ああ。片割れの方をな。我も、そこな2人の騎士たちも、皆、あの男に深い関わりを有している」

 

 

 灰毛の巨人の言葉に、獅子騎士と太陽紋の騎士が頷き、彼の言葉が真実であるとホムラに告げる。

 

 

「ホムラ、今はまだ“赤き”聖杯の娘よ。汝――いや、汝の真の顔たる少女は、まだ悔恨の淵にあるのか?」

 

「……」

 

「答えぬ、か。……まあ、その沈黙こそが何よりの答えなのやもしれぬな」

 

 

 顔に陰りを見せたホムラに、灰毛の巨人は何かを悟った風に呟く。

 言葉にすれば、それはきっとこの娘の――未だ心の内に眠る本来の人格(ヒカリ)を強く傷つける刃となるだろう。

 だが、巨人はそうと知った上で、敢えてそれを口にする。

 

 

「――『()()()()』がそれ程までに堪えたか」

 

「……っ!」

 

「言葉にせずとも、汝の(ソウル)を覗き見れば、それを知るなど容易いものよ。

 無遠慮であるが、1度引きずり出さねば心は蝕まれ、悔恨に呑まれるぞ」

 

「……でも、でもっ……」

 

 

 今にも泣き出しそうな声で、ホムラは3人に言う。

 俯く顔を見ることは叶わないが、おそらく彼女は泣いているのだろう。

 

 

「私が……“私たち”が、あんなことにならなければ……! とうさまも……きっと……!」

 

「……慰めになるかは分からぬが、1つ、告げておくぞ」

 

 

 嗚咽が木霊する嵐の牢獄の中、巨人は厳かな佇まいのまま、彼女に1つの事実を告げる。

 

 

「汝の悔恨は尤もだ。己を愛し、慈しみ、命を賭けて汝が生きる世界を守らんとした父親(おとこ)を、自らの手で殺めてしまったも同然のことをしたのだ。……だが、その事については、これ以上嘆き悲しむ必要はない」

 

「え――?」

 

「告げよう、(ホムラ)の名を持つ赤き娘よ――()()の父が片割れ、『炎の巨王』は生きている」

 

「――ッ!」

 

 

 父が、神が――『炎の巨王』(とうさま)が生きている……!

 

 突然告げられたその言葉は、だがホムラは不思議と嘘とは思えなかった。

 彼女にそう告げた灰毛の巨人に虚偽の気配はなく、傍らに侍る獅子騎士と太陽紋の騎士も同じく、彼女にソレが真実であると視線を以て教えてくれている。

 

 

「汝らの父はすぐ近くにいる。この嵐の牢を解いた後、戦場を脱し、平穏の地へと向かった後に確かめるといい。

 それが汝らにとって()()()()()()()()()()は分からぬが、知りたく思うのなら、問い訊ねることだ」

 

 

 ではな――と、そう言って踵を返し、巨体を揺らして嵐の向こう側へ出ようとする巨人に、ホムラは思わず声を掛けた。

 

 

「――あの!」

 

「むぅ……?」

 

「あの――名前を……お名前を、伺ってもよろしいですか……?」

 

「名……か。そうさな……親父殿に頂いた名は、一族を裏切る際に捨て去ったが……」

 

 

 暫く考えた後、巨人は良い呼び名を思い付いたらしく、剣槍の石突きで足元の甲板を軽く突くと、威厳あるその声でホムラに告げた。

 

 

「――『無名の王』。汝の父に逢った際には、『竜狩りの戦神』、『太陽の長子』とでも伝えておくといい」

 

「無名の……王、さん……?」

 

「うむ。――行くぞ、我が騎士たち」

 

「はっ――我が主よ」

 

「長子様の御心のままに……」

 

 

 灰毛の巨人――『無名の王』と名乗る男が嵐の壁の向こうに去って行くと、それに続く形で黄金の獅子騎士も消え、その場にはホムラと太陽紋の騎士だけが残った。

 1人彼らの後を追わずに残ったソラールはホムラの下まで歩み寄ると、その兜に包まれた顔で彼女を見下ろし、明るげな声で彼女に言う。

 

 

「本当は言いたいこと、話してやりたいことは山のようにあるのだが、そいつは今はできない。

 今ここで君と多くを語れば、それはきっと、()()()と深い関わりを持つようになる。

 だが駄目なんだ。俺たちは――()()()()()()()()()()()()()

 

「それは……どういう意味なのでしょうか?」

 

「すまない……これも言えない。――だが、だからこそ、君に伝えて貰いたい。

 もしも君が、彼を――君の父親(炎の巨王)と逢えたのなら、彼にこう伝えておいて欲しい」

 

 

 言葉を区切り、太陽紋の騎士はそこで1度大きく息を吸い込むと、それを静かに吐き出して、己の心を整える。

 そして最後に彼女の赤い瞳を見つめて――先程よりも明るさを増した声音で、彼女に『彼への言葉』を伝えた。

 

 

「俺は太陽を見つけたよ。ずっとずっと、求めていた太陽(我が王)を。

 だけど、それと同じくらい……それ以上に、貴公は俺の――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――太陽(希望)だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言葉の終わりを切っ掛けに、嵐の牢が褪せ、消えていく。

 消失しゆく牢の中で、ホムラは先の太陽紋の騎士を探すも、既に彼の姿はどこにもなく。

 やがて嵐の裂け目より覗く眩い輝きの果てに――ホムラの身は、現実へと帰還を果たした。

 

 

 

 

 

 

 消えぬ巨大な灰雲。不動なる嵐の牢獄。

 ホムラとメツを呑みこんだそれは一向に変化を見せぬまま、暫しの時が経過した。

 その間にも、外にいる者たちは色々と試してみたのだが、雲は消えることなく、ただ内側より雷鳴を響かせるのみだった。

 

 

「ホムラッ、ホムラァッ!」

 

「ぜぇああああああッ! ――駄目だ、まるで手応えがない」

 

 

 必死に呼び掛けるレックスの隣で、スタクティが『嵐の曲剣』を振るい、暴風の力で吹き飛ばそうとするも、雲には一切の影響がなかった。

 反対側では、それまで不動を保っていたシンが抜刀し、太刀の連撃で雲を切り刻みが、やはりこちらも手応えはなく、すぐさま元の形へと戻り、何もなかったかのような状態をシンに示していた。

 

 

「――厄介だな……」

 

 

 物理攻撃が通じない以上、残す手はあと1つだ。

 太刀を背に戻し、左手を開いて突き出す形で前へ伸ばすと、彼の周囲の温度が急激に低下し、氷の結晶が舞い始める。

 絶対零度の領域――極寒の冷気がシンの掌中より放たれ、眼前の雲を凍て付かせ、砕き割ろうとしたその時――。

 

 

 

 

『――ギィオオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!』

 

 

 

 

 けたたましい咆哮を轟かせて、甲板上の嵐が一気に消失。

 吹き荒ぶ暴風に思わず能力行使を中断すると、シンは空中に見慣れた黒い鎧――メツの姿を捉え、落下してくる彼の体躯を受け止めた。

 

 

「無事か……メツ?」

 

「ああ……すまねぇ、シン。……くそっ、最悪の場所だったぜ。あの雲ン中……!」

 

 

 失せた雲に対して悪態をつくメツだったが、取り敢えず目立った怪我がないことにシンは密かに安堵し、それから自分たちのいる反対側――レックスたちの方へと視線を向けた。

 そこには、メツ同様、雲の消失の際に落ちて来たのだろうホムラをレックスが受け止め、だが受け止めきれず、そのままホムラ諸共背中から倒れてしまっている光景が見えた。

 

 

「痛っつぅ……ホムラ! 大丈夫? 怪我はない!?」

 

「は、はい。私は大丈夫、です……あの、レックス……」

 

「なに?」

 

「その……()が……」

 

「へ……? ――ぅおうぅッ!?」

 

 

 頬を赤らめながら指摘して来るホムラに、レックスは自分の手がどこにあるのかと見て、その後思わずそんな驚声を上げてしまった。

 作業用の手袋に包まれた彼の両手。それらがホムラの首から下――黒と赤の衣装に包まれた()()()()()()をばっちりと掴んでいた。

 

 反射で1、2回程揉んでしまったが、すぐさまレックスはホムラの胸から手を離し、ざざざざ! と座ったまま器用に後ろへと後退した。

 

 

「ご――ごごご、ごめんッ! 受け止め切れずに倒れちゃったら、まさかそんなところに手がいってるなんて思わなくて……!」

 

「……男ってほーんっとやらしいな」

 

「私は大変羨ましく――いえ、何でもありません。お嬢様」

 

「……死ねばいいのに」

 

 

 レックスとホムラのやり取りを見て、ニアはごみを見るような目付きでレックスを見、その隣でビャッコが本音を口にしようとしたところをニアに睨まれ、再び沈黙する。

 スタクティは何故か兜の内で死んだ魚のような目をしながら、過去に自分がやられた爆弾宝箱(トラップ)の際に聞こえた声と似たような言葉を呟いている。

 

 そんな2人の愉快なやり取りが終わると、再び空気が真面目なものへと戻り、レックスはホムラに雲の中で何が起きたのかを聞いた。

 

 

「ホムラ、あの雲の中で何があったの?」

 

「はい、レックス。それは――ッ!」

 

「ホムラ?」

 

「――()()()()()!」

 

『――!?』

 

 

 ホムラが突然指差した方向。

 そちらに皆一斉に視線を向けると、甲板上にいる全員が己の目を見開き、()()姿()を目にした。

 

 

 古代船甲板の直上。遥かなる空を飛翔する黒き巨体。

 黒みがかった灰色の羽根を生やした双翼をはためかせ、雨降る空の下に君臨する怪鳥の如き巨大な竜。

 その背部――硬い鱗に覆われた竜の背に立つ、3つの人影。

 その彼らの姿を視界に捉えた時、シンはメツに向けて言った。

 

 

「メツ、アレは……」

 

「ああ……間違いねぇ」

 

 

 太陽紋を刻む鎧の騎士。

 獅子を模した黄金の鎧を纏う、雷迸る十字槍の大騎士。

 そして彼らの中央にて仁王立つ――黄金の王冠を頂く灰毛の巨人。

 

 

(おやじ)の忘れ形見――『巨王の眷属』だ」

 

 

 

 

 




 次回 無名の王、無双! メツ死す! デュエルスタンバイッ!(ウソ)

 というわけで無名の王、並びに彼の従騎士たちの登場でした。
 
 次回も楽しみにして待っててください。
 皆さんの感想お待ちしております。

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