死亡フラグだらけの世界で、破滅フラグしかない探偵王子に憑依転生してしまった   作:昨日辛雪

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*拙作には「名探偵コナン」並びに「ペルソナ5」を中心に様々な作品のネタバレを含んでおります。どの作品のネタバレをするかは予め告知しませんので、ネタバレを気にしない方のみ読み進めてください。

*拙作はアニメ版「名探偵コナン」をベースにしているとともに、一部作中の時系列を無視してクロスオーバーさせています。ご承知おきください。


第一話

 世の中には死亡フラグと呼ばれるものがある。それはセリフだったり、行動であったりと、その種類は多岐にわたっている。

 代表的なものだと「俺この戦争が終わったら結婚するんだ」と言ってみるとか、殺人事件が起きた山荘で単独行動をとるといったものだろうか。

 いずれにしても創作物において、登場人物がこれから死ぬのだと視聴者に予感させる効果がある点は変わらない。

 もしもあなたが死の危険がある漫画やドラマの世界に迷い込んでしまったとしたら、この死亡フラグを避けることで生き残ろうとするのではないだろうか。

 だが、考えてみて欲しい。あなたが迷い込んだ世界そのものが死亡フラグだったとしたららどうだろう? 例えあなたに瑕がなくても理不尽な死に見舞われる世界であったのなら……

 

 あなたは一体どうしますか?

 

 

東都・米花町・寿司屋「こんどう」 21:30

 

「ごちそうさまです、玲子さん。でも、本当によかったんですか? ここ、星付きですよね。お高いんじゃありません?」

「気にしなくていいの。それに、廻らない寿司を要求したのは貴方だったはずよ」

 

 九条玲子は目の前で恐縮しながらも、「そうですか? ありがとうございます」と言いって高価なネタを何の躊躇いもなく次々に注文する少年を見た。

 彼の名は明智吾郎。耳を隠し首下まで伸びた茶髪が特徴的な少年だ。少しクセのある毛先が彼の爽やかな顔立ちにエッセンスとして可愛らしさをプラスしている。女性受けする容姿であることは間違いない。

 それにしても、確かに「気にしなくてもいい」とは言ったが、なんとも無遠慮ではないか。

 だが、それを少し嬉しく思う玲子がいた。普段の落ち着いた態度とは打って変わった等身大の姿。

 これは明智が義理の兄にあたる人物と話す時にも見られる特徴だ。おそらくこれが彼の本来の性格なのだろう。そんな一面を明智が玲子の前で覗かせると、まるで甘えられているような気がして、年上の女性としての充足感が玲子を満たすのだ。

 

 玲子は検察官の職に就いている。裕福と言って差し支えない暮らしができるだけの収入は貰っているし、金のかかる趣味もないから貯蓄にも余裕がある。多少値の張る店とはいえ、明智一人に奢るくらいでは負担の内に入らない。

 玲子本人はあまり意識してはないが、セミロングの黒髪と凛々しい顔立ちから美人だと言われることが多く、実際に「検察のマドンナ」と呼ばれている。

 二つ名のこともあり何かと目立つ立場にあると玲子は自覚しており、嫉妬ややっかみの対象となることも少なくない。

 それでも、これまでは検察官としての実力に対して注がれていたものが、明智を連れ歩くようになってからは「女」としての部分に向けられるようになった。

 明智と二人でいると、女性職員から浴びせられる羨望の眼差し。本来なら煩わしいだけ視線を不快どころか心地良いとさえ感じられる瞬間がある。玲子にはそれが不思議でならなかった。

 

 社会人である玲子と18歳でいまだ学生の明智。少しばかり年齢は離れているが、両者とも容姿端麗なこともあり、二人でいると絵になることから検察署内では玲子が明智と男女の仲なのでは噂する声がある。興奮気味に尋ねてきたゴシップ好きの同僚には悪いが、今のところそのような事実はない。この場での会話も男女の睦言とはかけ離れたものだ。

 

「明智君には感謝しているの。こんな時間まで付き合わせてしまったし、貴方のおかげで宇佐美義則に実刑判決を下すことができたわ。」

 

 玲子は今回、とある詐欺事件を担当することになった。被疑者を尋問する過程で余罪があると確信した玲子は明智に協力を依頼した。

 明智はただの学生ではない。現役の高校生ながら幾つもの難事件を解決に導いてきた探偵だ。ここ半年ほど工藤新一・服部平次らとともに「高校生探偵」として世間を賑わせている。

 二人が出会ったのは約半年前、まだ駆け出しだった頃の明智は玲子が起訴した被告人に対し、弁護側の証人として現れた。明智はそこで被告人の無罪だけでなく、被告人を嵌めた真犯人をも明らかにしてみせたのだ。

 それ以来、明智の能力をかった玲子は、今回のように協力を要請することが度々ある。

 

「僕はあくまでちょっと手を貸しただけですよ。宇佐美を有罪にできたのも玲子さんの実力あってのもですから」

 玲子に媚を売り美辞麗句を並べ立てる輩はこれまで腐るほど見てきた。そのせいか玲子は近頃、賛辞を素直に受け取ることが出来ないでいたのだ。ところが、明智からの誉め言葉は自然と胸の内に入ってきて嬉いとさえ思える。

 これは彼から権力の腐臭を感じないからだろうか? それとも……

 

「これで、あの兄弟からの依頼も果たせましたね」

 

 玲子は明智と捜査していく中で、父が宇佐美に騙されて五千万の借金を背負わされた兄弟と出会った。明智がテレビでも取り上げられる「探偵王子」と知った二人は、父を助けて欲しいと頼んできたのだ。

 明智は「父を支える母を二人でしっかり守ること」を報酬に彼等の依頼を受けた。一銭にもならないけれど、犯罪被害者を放っておけない正義感を持つ明智が玲子には好ましく思えた。そんな彼だからこそ少し性格が悪いところも微笑ましく感じられるのだ。

 

「あの子たちがいたから『園山組』にメスを入れるきっかけにもなったかわ。『組対』に貸しをつくれたのは大きいわよ。それに、ようやっと浅井権三の尻尾を掴むことができたのだもの。これから忙しくなるわ」

 宇佐美は指定暴力団「園山組」と結託して、兄弟の父親である鮫島利勝を騙していた。組長である浅井権三は狡猾な男で、これまで隙を見せなかったのだが、宇佐美の一件で部下が暴走したことにより警察はようやく捜査の取っ掛かりを得ることができたのだ。

 今頃は慌ただしく動いていることだろう。

 

 玲子はふと、明智の脇に置かれている一振りの刀を見た。「薄刀・針」、戦国時代の名工・四季崎記紀によって鍛えられた国宝級の代物だ。

 ある事件を解決した報酬に貰ったものらしいが、その刀身の美しさは刀に興味のない玲子さえ魅了してしまうほどであった。

 日本で帯剣するのは銃刀法違反である。当然ながあ明智のソレはちゃんと認可を得ているものだ。明智も玲子の視線に気付いたようで

「これがどうかしましたか?」

「いえ、今回は貴方のソレに助けられたと思ってね」

 宇佐美は鮫島の事業を立ち上げると言って鮫島を騙し、彼の名義で「園山組」から金を借り、その一部を組みに流していた。それは「園山組」にとっても大きな資金源の一つであったため、調査の過程で妨害しようとする組員に二人は襲われたのだ。

 明智は荒事が好きではないと言っていたが、銃を持った相手にも果敢に立ち向かっていったのを玲子は覚えている。

 フェンシングの全日本に召集されたこともある明智の義理の兄から、直々に剣技を仕込まれたと聞かされていたが、その腕前は玲子の予想を遥かに超えており、発砲された弾丸を造作もないことのように切り払っていた。

 明智は武装した本物の暴力団組員十数人を刀一本で、かすり傷ひとつ負わずに鎮圧している。

 

「もったいないわね。あれだけの実力があるのに、フェンシング部や剣道部には入らなかったのでしょう?」

「ええ。挑戦したいことは沢山ありましたし、義兄みたいに在学中に司法試験に受かるという目標もありましたから。それに、僕が今の学校で何か部活を初めてしまうと、実力が違いすぎて他の部員達の士気を下げてしまうので」

「フフ、自信家なところは警視さんそっくりね」

「やめてくださいよ。義兄さんに比べたら僕なんてまだまだですって。他にもチェスやバイオリン。色々なことを教えてもらっていますけど、剣技以外はどれも一歩およばなくて」

 

 明智の義兄には玲子も何度か会ったことがある。「警視庁捜査一課きっての切れ者」であると同時に「警視庁捜査一課きっての変わり者」と有名な男だ。

 ロサンゼルス市警に出向したことも話題になっていた。明智の話からもその多芸ぶりが伺える。

 

 時計を見れば時刻は既に十時半を回っている。互いに皿も空になったことだし、時間ももう遅い。名残惜しいが今日はもうお開きにした方が良さそうだ。

 玲子はクレジットカードで会計を済ませ店を後にする。

「明智君、今日はありがとう。では、私はこれで」

 帰路につこうとした玲子は明智に呼び止められた。振り返った玲子の腕に明智が投げたヘルメットがスッポリと収まる。

「送っていきますよ玲子さん。女性が夜道を一人で歩くのは危険ですから」

 玲子は少し逡巡した後、明智の好意を受けることにした。「園山組」は警察がマークしており、もう不躾なまねは起こさないだろうが、襲撃を受けてからそこまで日もたっていない。

 玲子は明智に促されるままにバイクに跨り、彼の腰に手を回す。二人で事件を捜査するときは明智のバイクで移動することは少なくない。

 だが、「僕にときめいてもらおうかな」と言って、刀片手に大立ち回りした彼の姿を思い出すと、どうしても顔が赤くなってしまう。「らしくない」と自嘲しながらも、そんな自分の変化が明智の背中越しに感じる風と同じように、玲子は嫌いではなかった。

 

 

東都・米花町・明智邸 23:00

 

 玲子さんを送り届け、帰宅して一息つく。彼女のおかげで宇佐美と「園山組」との関係を明らかにできた。それに鮫島夫妻の借金関係は何故か僕を気に入ってくれているスーパー弁護士の北岡さんが引き受けてくれたから、問題ないだろう。

 

 改めまして僕は明智吾郎、憑依型転生者だ。前世の記憶は朧気にしかないけれど、最期の瞬間にけたたましいブレーキ音が聞こえたことだけは、はっきりと覚えている。

 そして目が覚めたら、体が縮むどころか別人として生まれ変わっていた。

 

 ある程度物心つく年齢になると、自身の境遇や容姿から、僕が「ペルソナ5」における主人公の対となるキャラクター・明智吾郎であることが分かった。

 この人物は物語の終盤に敵として命を散らすことになるんだけど、幸い破滅へのターニングポイントは判断しやすい。そこで選択を間違えなければ、主人公と友好な関係を築くことも出来るだろう。

 その日から僕と原作主人公を中心に「ペルソナ5」のイベントをこなしていく「ペルソナ5バディ作品化計画」がスタートした。

 

 でも、このプランは思わぬ形で頓挫することになる。「ペルソナ5」は舞台となるのが東京なのは確かなんだけど、正確な原作開始日は不明だ。僕の年齢から逆算することもできるけど、時間軸がズレている可能性もある。

 そこで、僕は関連作品の出来事や地名を調べることで、原作開始までの猶予期間を計ろうと思ったんだ。だけど……

「ない! 辰巳ポートアイランドも! 八十稲羽町も! それどころか桐条グループさえ存在していない‼」

 僕を待っていたのは、この世界が「ペルソナ5」とは無関係だという事実だった。さらに追い打ちをかける出来事が起こる。

 僕は発見してしまったのだ、日本の首都が「東京」ではなく「東都」であることを。そしてそこには「米花町」や「杯戸町」といった地名があることに。

 

 僕には前世の記憶がほとんどない。好きだった筈の創作物の思い出も大部分を転生の際に失ってしまっている。

 それでも、いくつかは覚えている作品があった。それが「ペルソナ5」であり、この世界の原作である「名探偵コナン」だ。

 この世界は兎に角危険だ。作品が所謂サザエサン時空であることもそうだけど、連載は二十五年に達しているのに、作中の時間は一年もたってはいない。

 その結果として一日に起きる殺人件数が異常なまでに膨れ上がっている。

 僕はここが「名探偵コナン」の世界だと知った時、死も覚悟した。僕を妊娠してクズ男から捨てられた母はヒステリーを起こしていて、当時の僕は幼く逃げ出すこともできない。

 この世界が「ペルソナ5」でないなのなら、僕の役目はないに等しい。発狂した母にいつ殺されてもおかしくはなかった。

 

 結局、オリジナルの明智吾郎と同じように程なくして母は死に、僕は親戚の間をたらい回しにされることになった。

 今なら、なぜオリジナルが原作であのような行動をとったのか分かる気がする。どこの家庭でも僕は異物にすぎない。いらないと放りだされないように、「イイ子」を演じるしかなった。

 それに、あまり優秀さも出してはいけない。預け先に子供がいればトラブルの種になってしまうから。そんな生活は窮屈でしかたなかった。それでも生きるためには耐えるしかない。

 おかげで図らずしも、口調を含めて明智吾郎ロールプレイ状態になってしまったのは皮肉が効いている

 僕には前世から引き継がれた人格があるから、自分を納得させることが出来た。でもオリジナルの彼は……

 

 僕はオリジナルと比べれば、大分恵まれているとは思う。何故なら、養子として引き取ってくれる家族が現れたからだ。

 養父さんは母の従妹で、夫妻そろって警察官だった。今はもう殉職してしまったけれど、とても立派な人で現在でも僕は尊敬している。

 義兄さんも僕を実の弟のように可愛がってくれた。転生者である僕が言うのもなんだけど、義兄さんほど「チート」の言葉が似合う人もいないだろう。なんせ「秀央のホームズ」とまで呼ばれた人だからね。

 

 まさに文武両道で、僕に様々なことを教えてくれたよ。オリジナルは「ペルソナ5」において、たった一人で主人公パーティーと互角以上に渡り合っていた。だから、この体のポテンシャルは底知れないものがある。

 僕は生き残るためと、今の体をフルスペックで使ってみたいという二つの欲求から、義兄の教えを余すことなく吸収しようと死にもの狂いで努力したんだ。

 今ではオリジナルに勝るとも劣らない能力を身に着けられたという自負を持っているよ。

 

 しかし、そこまでやっても追い越せない義兄さんっていったい何者なんだろう。唯一、僕が勝っているのが剣の腕前なんだけど、義兄さんはある事件がきっかけで剣を握らなくなってしまったから、あまり自慢にはならない。

 僕が覚えていないだけで「名探偵コナン」の主要キャラだったのだろうか。警視の職にあるから事件に関わる機会は多いだろうし、あるいはロサンゼルス編のゲストキャラという線も捨てがたい。

 僕みたいなクロスオーバーの産物である可能性も捨てきれないが、創作物に関する記憶のほとんどを失くしてしまった以上、確かめようもない。

 

 義兄さんのおかげで「名探偵コナン」の原作キャラにも伍する実力を手に入れた僕だけど、この世界で生き残るにはまだ不十分だ。

 というのも、主人公の江戸川コナンは出歩く先で必ずと言っていいほどに殺人事件と遭遇する。そのことからファンの間でさえ「歩く死神」と揶揄されているほどだ。

 この世界の厄介なところは殺人件数の多さに留まらない。普通、推理小説などのサスペンスは犯人にもしっかりとした動機がある場合が多く、死亡フラグを立てない限り無関係の人間が殺されることはそこまで多くない。

 

 だけど、「名探偵コナン」は違う。殺人の動機は重いものから、「えっそんなことで人をころしちゃうの?」と驚くものまで様々だ。

 単行本で七十巻を超えている作品のため、作品概要はともかく事件の詳細などの大半は前世の僕の記憶力じゃとても覚えていられなかったけど、それでも「ハンガーをぶつけられた」・「義経になりたかった」・「自分の設計した建物が左右対称じゃない」なんて、あまりに衝撃的すぎて脳裏に焼き付いている動機もある。

 しかもこの世界、日本の各地に高校生探偵がいて、東西南北の代表者を集めれば全員が三桁を上回る事件を解決しているんだ。

 そう、この世界に逃げ場なんてない。ただ生きている。それだけで死亡フラグになりえる世界で生き延びるにはどうすればいいだろうか?

 答えは一つ、生存フラグを立てるしかないんだ。

 

 では「名探偵コナン」における生存フラグとは一体何だろう? その答えは江戸川コナン=工藤新一という事実を知る味方側の人物になることさ。

 このフラグを立てたキャラは僕の知る限り、どんな危険な状況からも生還している。

 ただし、気を付けなければいけないのが、これを知ってコナン君と敵対してしまうと黒の組織の自浄作用によって、とたんに死亡フラグに変わってしまうことだ。

 味方殺しに定評があるジンの襲来は勘弁してほしいかな。

 

 ともかく、僕は当面の目標を事件現場でコナンと遭遇し、一度目で僕がコナン君の正体が工藤新一だと疑っても不自然じゃない場面をつくり、二回目で正体を暴いたうえで協力者になる。

 その後は服部君がいない時にでも顔を出して、協力して事件を解決していけば、僕も「名探偵コナン」の準レギュラーの仲間入り。 

 映画になるような大規模な事件に巻き込まれるリスクを負うことになるけど、普通に過ごしているよりも生存率はあがるはずさ。

 そう思っていたんだけど……

 

 僕が最初に解決した事件は義兄さんと旅行で四国に行った時に、高校生探偵・時津潤哉の犯した推理ミスを指摘して冤罪を防いだってものだった。

 これは印象的なエピソードだったため原作知識もあり、人助けになるのならと軽い気持ちで口を出してしまったんだけど、それマズかったよ。ちょっと調子に乗ってキメ台詞を言ってしまったのも良くなかった。

 なんか毎回言わなきゃいけない空気ができちゃったからね。

 勿論、無実の罪への取り調べで自殺してしまうはずだった女性を助けられたんだ。介入自体を後悔している訳じゃない。

 でもそれ以来、次から次へと事件が舞い込んでくるんだよ。ホントどうかしているよ、この世界。今では僕自身が「歩く死神」さ。「木乃伊取りが木乃伊になる」とはよく言ったものだと近頃身に染みて感じているところだね。

 

 新聞を広げれば、そこにはトロピカルランドでの殺人事件を工藤新一が解決したという記事が載っていた。いよいよ原作が始まるのか。

 感慨にふけっていた僕の意識を、着信音が現実に呼び戻した。

 発信者を見れば、船崎葉月と表示されている。女子大生の彼女とは廃校で起きた事件を解決して以来の付き合いだ。

 思えば彼女に誘われてゲレンデに行った際に宿泊した山荘「シュプール」。そこで起きた密室殺人を解決した時に居合わせた、大阪の商社の社長のせいで僕の名前が「探偵王子」のキャッチコピーで全国に広まったんだっけ。

 命を助けたお礼にって「薄刀・針」を譲ってくれたのには感謝してるけどさ。

 

「はい、明智です」

『もしもし、吾郎君。葉月です。こんな時間にごめんなさい。今度の日曜日空いてるかしら? お父様から映画のチケットをもらったのだけど――』

 とりあえず葉月の誘いには了承の意を伝えておいた。今度の誘いは二人きりだ。彼女の学友である小沢さんや斉藤さんが同行しないのなら、事件に遭う確率もそう高くないだろう。

 

 なにはともあれ、江戸川コナンが誕生したんだ。この先、生き残るためにも生存フラグをちゃんと建てなきゃだよね。

 

 




別作品ではオリ主に要素を盛りまくったんで、本作では転生先の世界を盛ってみました。推理ものの作品は「名探偵コナン」の記憶しか持っていないオリ主は気付いていませんが、かなりヤバい世界になっております。
事件が起こり過ぎてホームズが大量発生するという異常事態に……

九条玲子さんはコナンのアニオリキャラです。本話でオリ主と一緒にとある名作を始める前に終わらせてしまいました。
容姿は「法廷の対決Ⅲ 目撃者は検察官」の姿が一番好みなので、本作はそれに準じております。

キャラの戦闘力は京極真氏によってインフレしています。オリ主の武器が薄刀・針なのは原作のビームサーベルに見た目のイメージが近かったためです。
戦闘力の並びは私の想定では以下の通りです。
京極真=オリ明智吾郎(帯剣)≧赤井秀一(ライフル)=オリ主の義兄≧安室透

オリ主の義兄の正体に気付いた人は、そのハイスペックさにも納得いただけるでしょう。耐久力のランキングでは某名探偵の孫がトップにきそうです。


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