翼を失くした少年   作:ラグーン

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……思ったより短くなってしまった。うん、きりがよかったと思えばよかったんですけどね……?そして今回の眼帯銀髪っ子編は居場所を副題にしていきたいなと思っております。いや、まぁ、目標なので期待はしないでくださいね……?

……私は銀髪眼帯っ子だけがメンタル削るなんて一言も言っていないので……まぁ、仕方がなかったってやつだ((




第18話 告白

「キラと2人だけでお昼を食べるのは今日が初めてだよね」

 

「あれ?そうだったけ……?」

 

「もぅ、そのまさかだよ」

 

頬を膨らませるシャルロットさんを見ながら記憶を探れば確かに今日が初めてかもしれない。基本的にはみんなと一緒に食べることが多かったし……それに僕の場合は食堂に行かないという時があったから。2人きりの時は多分一夏への当て付けで鈴と一緒に食べていた時ぐらいかな……?

 

「でも、よかったの?確か一夏からお昼一緒にどうかって誘われてたんじゃなかったけ?」

 

「それについては大丈夫だよ。一夏からは誘われたけど、一夏の口から箒さんに誘われたって聞いた時点である程度は察したから断ってきたよ。それにシャルロットさんとの約束もあったしね」

 

「あー、うん、一夏のことだからみんなで食べた方が美味しいだろって言うのが簡単に想像できるもんね」

 

一夏たちは今頃は屋上で昼食を食べているだろう。セシリアさんと鈴を止めることは流石に無理だったけど……うん、その点は僕は公平でいるつもりではあるから。多分、一夏の誘いを聞いてわざとついてくるのは弾ぐらいだと思うよ。

 

(……いや、弾も一夏の尻拭いはもう嫌だって言ってたから流石に遠慮しそうだなぁ)

 

仮に弾がいてついていっても、まず鈴がいる時点で絶対に物理的に排除されそうなのが……数馬はその辺は無関心のスタイルだし……弾は一夏の恋路関連では一番苦労してそうだなぁ。……やっぱり、一夏の恋路については安全圏から見守るのが一番だよ。

 

「どうしたの、難しい顔をして?」

 

「……改めて、一夏の恋路については遠くから見守るのが一番だなって思ってね」

 

「……うん、それについては私も同じ意見かなぁ」

 

疲れた顔で彼女も頷くとなると箒さんたちで苦労しているんだろうなぁ。巻き込まれたら最後はお互いにフォローできる範囲でやるしかないのが……一夏を見ている限りは友達として接していることが原因になっているのかな?何か大きなきっかけが必要なのかも。

 

「……あ、あのさ、最近キラと鈴って仲がいいよね。それに最近整備室でも仲良くしてる人がいるって噂があるし……」

 

「整備室は更識さんのことかな?彼女にはISのことでわからないことを色々教えてもらったりしてるから。鈴の場合は……うーん、仲がいいって言うより、仕方なく面倒見てる感じじゃないかな?それを一夏に向けてあげればいいって思ってるけど……」

 

「た、確かにそうだよね。でも名前呼びしているのは鈴だけでしょ?それが気になるなーって思って……」

 

「……それについては単純にあの時に頷かないと許されなかったし、その後何をされるかわかったものじゃなかったから仕方なくかな……」

 

あの時ってその前に八つ当たりを含めた炭酸飲料一気飲みがあったから否定してたら次に何をされるかわからなかった恐怖心が勝ってしまったというか……直感的に頷かなかったらまずかったというか……それに鈴ってみんなと壁がなく楽しみたいタイプだろうから、それもあるんじゃないかな?あと、単純に五反田さんに対抗心が湧いたとか……一夏関連でとばっちりを受けたのは間違いないよ。

 

「それに鈴は一夏のことが好きだからね。僕は鈴の恋が実るのを応援するだけだよ。……それについては箒さんもセシリアさんも同じなんだけど」

 

一夏を取り巻く恋路について基本的には僕は関わる資格がない。愚痴ぐらいなら話を聞くけれど、それ以上となるとあくまでも平等に話を聞くことが最低限できることだ。ただ、僕のように歪んだ関係になりそうになる時は流石に止めるつもりではあるけど……一夏たちがそうなることはないだろう。

 

 

「……そういえばだけどさ、キラはどうするつもりなの?学年個別トーナメントのパートナー」

 

「確か近いうちにあるんだっけ……?すっかり忘れてたよ」

 

シャルロットさんに聞かれるまでそのことについてさっきまで完全に頭から抜けていた。どうりで最近は学園の空気が浮き足立っていたことに納得がいく。……確か強制参加なんだっけ?そのことについてはハッキリと覚えている。多分、それが原因でなるべく思い出さないようにしていたんだろう。

 

「……特にはまだパートナーは決まっていないかな。さっきまで完全に忘れていたから。参加しなくて良いのならそれに越したことはないんだけど……」

 

「それは難しいんじゃないかな。キラは専用機持ちとして期待されてることもあるからさ……それに確か今回のイベントは強制参加だったはずだし……」

 

こればかりは織斑先生に相談をしても無理だろう。ストライクが僕の意思を読み取ってくれるのならそれを逆手に取ることを一瞬考えてしまうが即座に否定する。都合が悪ければストライクを利用しようとするのは最低な行為だ。この世界でも再度僕と一緒に戦い、傍にいてくれるストライクを傷つけることは絶対にしたら駄目だ。

 

(……けど、僕は人に向けてまた引き金を向けることなんてできない。無人機ならともかく搭乗している人を撃つなんて僕には……)

 

ISはシールドエネルギー、そして絶対防御の存在によってか搭乗者の姿が丸見えな形状だ。人が搭乗していることがハッキリと視認できていて、それでいて相手を撃つことなんて僕には無理だ。

 

「ふんっ、第二操縦者がどのような奴かと見に来てみればとんだ期待はずれのようだな」

 

聞き慣れない声の方を視線を向ければそこには今日転校生としてきたラウラ・ボーデヴィッヒさんがそこにいた。見下すように呟いた彼女の言い方にシャルロットさんはムッとしたのか睨むように見ている。

 

「参加したくないと思うのは本人の自由だと思うけれど?それが貴方に関係あるのかな、ラウラ・ボーデヴィッヒさん?」

 

「フランス代表候補生であるシャルロット・デュノアが庇うとはな。確かに貴様の言う通りそこの第二操縦者が参加しようが私には無関係だ。だが、情報収集をしていればこのような記事を見つけ、この学園内でも多少は骨のある奴がいると興味を抱いて探してみれば……実際はとんだ臆病者だったということか」

 

彼女の手には僕のことが書かれていた記事があった。多分、一夏に関することを調べてる時に偶々それを見つけて僕に興味を持ったところか?その記事は僕としては内心複雑な気分だったがそれを放置していたのは失敗だったかもしれない。

 

「違うよっ!キラは臆病者なんかじゃない!あの時のキラは一夏やみんなを守るために戦った。自分が怪我をしていたのに、みんなを守るために戦ったキラのことを臆病者だって言うのは私が許さない」

 

「それならば何故当の本人は反論しない?それが事実であるのなら真っ先に否定すると思うがな」

 

「……ううん、シャルロットさん、彼女の言う通り僕は臆病者だよ」

 

「キラ……?」

 

「……あんなことの後でも撃たなくていいのなら、撃ちたくないって思ってる……受け入れないといけない現実から目を背けて、探さないといけない答えからも逃げ続けてる……そんな僕は君の言う通り臆病者だよ……」

 

この世界に来てしまった理由、生き残った理由を探すことから僕は目を逸らし続けてる。この世界で戦う必要がないのなら、もう戦いたくないってフレイを守れなかった後でもそう思っている僕がいるんだ。

 

「自らを臆病者だと認めることは評価しよう。だが、それだけだ。撃ちたくないなど甘えた言葉をよくも吐く、そんな中途半端な男が守りたいものなど守れるものか。そのような甘え考えを持つ貴様が同じ専用機持ちなど恥でしかない」

 

「……っ」

 

「ふんっ、これならばまだ噛み付いてきた織斑一夏の方が歯応えがある。貴様のような覚悟すらもない男はそこにいるフランス代表候補にせいぜい慰めてもらえ。戦う覚悟も、力もない貴様にはお似合いだ」

 

これ以上は話す価値がないと判断した彼女は去っていく。彼女の言葉は何も間違っていない。僕が中途半端だったことのせいで大切な人を守れなかったことが沢山ある。フレイのお父さんも、折り紙をくれたあの子も、トール、そしてフレイ……僕は守ることができなかった。

 

「……ごめん。織斑先生には体調が悪くなって部屋に戻ったって伝えておいて」

 

「キラっ!!」

 

シャルロットさんが呼び止めている声に振り向く気力なんてなかった。誰とも話したくない、立ち止まりたくない一心で寮まで走る。部屋につき真っ先に鍵を閉め、力なくそのまま座り込む。

 

「……こうやってまた逃げて何も変わってないじゃないか、僕は」

 

戦う力なら嫌というほど持っているのにそれを口に出すことができなかった。一夏たちを、大切なみんなを守るために戦うと決めたはずなのに、人に向けて引き金を引く覚悟がない事を指摘され、守りたいものを守れるわけがない。ラウラ・ボーデヴィッヒさんが言っていることは事実なのは僕は嫌というほど直面してきたはずなのに。

 

「……ストライク、僕はどうしたらいいのかな?……守りたい世界が、守りたかった世界があったんだ……っ……だけど僕はそれを守ることができなくて……死ぬこともできなくて……どうして、どうして僕はこの世界に来たの……?」

 

僕はみんなと違って最高の存在として造られて、その力で守りたい人を守ることもできないで、そして最後に死ぬことも許されなかった。この世界で異物である僕と一緒にいてくれるストライクに溢れ出る感情を吐露する。

 

「……僕に、居場所はあるのかな……僕が生きていい場所はあるのかな……」

 

守るためでも引き金を引き続けた、望んでもいないのに人の理想として造られた、そんな僕のことをこの世界は受け入れてくれるのだろうか?僕の世界でも許されないのに。だってこの世界は僕の世界と違って平和な世界で、争いとは無縁で僕がやってきたことを知れば、僕という存在を知られてしまえば拒絶されてしまうはずだ。

 

「……まだ、大丈夫……大丈夫だ……まだ……」

 

両腕を力強く握り何度も何度も呟く。苦しいことも、つらいことも、悲しいこともまだ我慢することはできる。とっくに限界だって心のどこかで悲鳴を上げている自分に気づかないふりをしながら。

 

「キラ、大丈夫……?もし、よかったら開けてもらっても大丈夫かな……?」

 

「……シャルロット、さん……?」

 

シャルロットさんが追いかけてくると想定していなくて驚くが呼吸をなんとか落ち着かせて鍵を開ける。多分、彼女が追いかけてきたのは自分のことを心配してくれたからだろう。その彼女をこのまま突き放す形で拒絶するにはいかない……。

 

「ごめんね……迷惑なのはわかってたけど、どうしてもキラのことが心配だったから」

 

「……ううん、大丈夫だよ。僕は大丈夫だから」

 

「嘘だよ。だって、今のキラ、凄く苦しんでる……いいんだよ?私の前では無理しなくて大丈夫だから」

 

「……っ、そんなことは……」

 

「ううん、わかるよ。だって私は見てたから、キラのことをずっと見ていたから。……好きな人を心配するのは駄目なの……?」

 

シャルロットさんの言葉の意味を理解するのに一瞬遅れる。呆然としていれば彼女は僕の身体を強くけれど優しく抱きしめる。彼女はきっと僕を落ち着かせるためにやったのかもしれない……だけどそれがどうしても彼女を思い出してしまい僕は拒絶してしまう。

 

「……キラ……?」

 

「……ごめ、ん……君の気持ちは嬉しい……でも、ごめん……好きな人が、いるんだ……だから、君の気持ちに、僕は応えることはできない……」

 

「そ、そっか……好きな人がいるんだ……私こそごめんね……それに気づかなくて……え、えっと、織斑先生にはちゃんと伝えておくから、キラはゆっくりしててね……ごめんね……」

 

無理に笑うシャルロットさんの姿が痛々しくて声をかけようとするが彼女は走り去ってしまう。その時にシャルロットさんが涙を流しているのをハッキリとこの目で捉えていた。

 

「……これで、これで……いいんだ……」

 

彼女の告白を断ったことに酷い罪悪感に襲われる。だけど、これが一番シャルロットさんを傷つけない方法だった。僕の中にはまだ彼女への、フレイへの気持ちがある……彼女への想いを誤魔化すことだけはしたくなかった。……約束も何一つ守れなくて、謝ることもできなくて、守ることもできなかった……そんな僕だから。

 

「……ごめん、なさい……」

 

シャルロットさんの気持ちを、想いを断ってしまったことに僕は謝罪の言葉を口にしていた。今にでも押しつぶされそうな罪悪感を僕はただ受け止めることしかできなかった――――

 

◇◇◇

 

 

「……なんで、なんであんなこと言ったんだろう……?」

 

あの時に勢いで言葉にしてしまったことに彼女、シャルロット・デュノアは戸惑いを隠せなかった。そして何よりも振られてしまったという事実に頭が真っ白になっており考えがうまく纏まらない。

 

「……私は、キラのことが、好き……?」

 

最近自身の中で焦りがあったことは自覚していた。キラ・ヤマトは基本的には特定の人物を除けば他人との関わり合いは少ない方だった。それは接していた彼女や、彼をよく知る人たちは薄々感じていること。同性である織斑一夏を除いたら、目的のためとは言えそんな彼とよく話せていたのは自分であると思っていた。けれど、そんな彼に大きな変化が一つあった。それは凰鈴音を呼び捨てで呼ぶようになったこと。2人は元はルームメイトということもあってそうなるのもおかしくはないものの、彼が彼女を呼び捨てで呼ぶようになったのはその後であり、そしてルームメイトが解消されてもなお、時たまに凰鈴音が彼を起こしにいくのが日常的になっている。

 

 

「……でも、2人にとってはそれが当たり前だったからで……鈴が一夏のことが好きなのは事実で……」

 

凰鈴音が好きな人は織斑一夏だということは誰もが知っていることだ。それは彼が最も把握していることのはず。だからこそ、キラ・ヤマトと凰鈴音の関係性は奇妙なものだと誰もが思っている。ルームメイトの時ならともかく、それが解消されても続いているということに。彼女は2人のそんな奇妙な関係を見ていれば何故か焦燥感に駆られていた。彼も自分のことを見なくなるのではないのかと。

 

「……わからない、わからないよ……」

 

これから利用することになってしまう彼にどのような感情を抱いているのか彼女自身わかっていなかった。彼女が思い出すのは怪我をしていたのに、友達のためにISを纏い立ち上がった彼の姿。その姿を見た時に彼女は自身すらも気づいていない一つの思いが生まれてしまった――――彼ならもしかしたら自分が必要とする居場所を作ってくれるかもしれないという淡い期待に。





キラ君視点だとそろそろ限界を感じてしまっている。やっぱり他キャラ視点をきちんと描かないと掘り下げとかが……キャラ崩壊しそうで怖いから避けたいのが本音ですが((白目

まぁ、みなさんお分かりの通りこの小説ではキラ君はフレイへの想いとかめちゃくちゃ引きずってます。キラ君攻略のラスボスはフレイになるのは間違いないでしょう((

ちなみにラウラ的にはちょっと小馬鹿にした程度なだけでそれがキラ君にクリティカルヒットしたとは全く思っておりません。だって、別世界で戦争参加して戦ってたとか思ってないし……理想とか業とか、臆病者が背負ってるとか思わないじゃん……そして、シャルロットさんが焦るのは鈴ちゃんとキラ君の奇妙な関係見てるとしょうがないよね……だからシャルロットさんにはもっと頑張ってもらうね……ちなみにシャルロットさんはキラ君の好きな人がフレイだって気づいてません。名前は錯乱した時に聞いたぐらいだし((

……まぁ、ISは修羅場が醍醐味でSEEDはすれ違いと、人間関係のドロドロが醍醐味なところがね?((

誤字&脱字の報告いつでもお待ちしております!いつも修正非常に助かっておりますっ!!感想も毎度ありがとうございますっ!!次回の更新は未定ですが、気長にお待ちください!

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