翼を失くした少年   作:ラグーン

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久々に見たら評価、お気に入りがなんか凄く伸びているのは気のせい……?そうだ、気のせいだヨネ!……失踪の準備しないと((クソ雑魚メンタル

沢山の感想ありがとうございますっ!ありがたやー、ありがたやー。

……当分はfgoとウマ娘とグラブルにちょっと失踪しないと……((


第19話 約束

(……どうしたら、よかったんだろう……)

 

彼女――――シャルロットさんから告白され数日間という時間が経った。IS学園は良くも悪くも変化というのに敏感で、彼女と僕の間に何かがあったことに気づいていてそれで話題は持ちきりだった。告白されたという結論にはまだたどり着いていないけど……それも時間の問題だろう。

 

(……僕よりも彼女の方が苦しいのにこうやって閉じ籠って何をしているんだ、僕は……)

 

彼女を傷つけない方法はなかったのかと考えても、それは彼女の想いを受け止めるという答えしかなかった。だけどあの時と同じように偽りの関係になるだけで……それも結局は彼女の想いを踏み躙ることにしかならない。お互いに苦しんでしまう、偽りの関係になることだけは2度となっちゃいけないんだ。

 

「……これが、正しかったはずなんだ……」

 

僕の心にはまだフレイへの想いがある。この気持ちは忘れない、忘れたりしたら駄目なんだ。……それに今誰かの想いに甘えてしまえば自分の中にある何かが壊れてしまう気がした。それが壊れてしまえば……多分、この口から自分のことに関する全てを曝け出してしまう、そんな予感がする。錯乱した時は織斑先生にフレイを失ったことを厳さんには生きていることがつらいことを……。

 

(……これ以上は考えるのはやめよう……放課後なんだからもう寝てしまおう……)

 

考えるのに、生きていることにつらいと感じるぐらいなら悪夢を見るとしても寝る方がマシだ。自室の床に座り込んでいた僕は立ち上がり、力なくベットに仰向けで倒れ込む。シャルロットさんに声をかけても、更に彼女を傷つけることになるのなら何も行動しない方がいいのかもしれない……。

 

「――――うわっ、まさかとは思ってたけど鍵開けっ放しとか不用心にも程があんでしょ……いや、閉まってても今回は無理矢理開けるつもりだったけど……ほら、そこの辛気臭いでベットに寝込んでいる奴、起きなさいっ!!」

 

「…………」

 

「……えっと、もしかして寝てるの?起きてるなら部屋に入ったのには気づくはずだろうし……いや、キラだし、もしかしたらってことも……えっと、キラ、起きてるー?」

 

何度か誰かに身体を揺さぶられる。沈みかけていた意識をなんとか浮上させて薄らと瞼を開ければ鈴がジッと僕の顔を覗き込む彼女の姿がそこにあった。突然の来訪者である彼女の名を掠れた声で呼ぶ。

 

「……り、ん……?」

 

「……もしかして本気で寝ちゃってたところ?」

 

「……う、ううん……大丈夫……寝ようとはしたけど……大丈夫……」

 

起こしたことによる罪悪感で表情を歪ませる彼女を安心させるため回らない頭でなんとか声を出す。寝起き特有の脱力感に襲われてはいるものの、完全には意識を失くしてなかったこともあり身体を起こす分にはなんとかなりそうだ。

 

「……えっと、どうしたの……?」

 

「……いや、急に訪ねて起こしたアタシが言うのもなんだけど……怒らないの?」

 

「……僕に用事があるからなんでしょ?それなら別に怒る理由にはならないよ」

 

寝ている時に敵襲によって起きることだってあったから、これぐらいなら特に怒る理由にはならない。寝ようとしたいたのだって結局は起きていても嫌なことばかり考えるのが理由だったから……それについては教えることは無理だけど。

 

「回りくどいのは嫌いだからハッキリ聞くけど……アンタとシャルロットってなんかあったわけ?ここ数日間ずっと話すにしても最低限だし、特にアンタはいつもより何倍に増して辛気臭い顔してるし……喧嘩でもしたの?アンタらが食堂で転校生と口論してたってのは薄らと聞いたけど……それなのにシャルロットと仲違い起こしてるのはおかしな話だし」

 

「……僕の口から、言えることは特にないよ……」

 

「そんな辛気臭い顔してるの見てはい、そうですかって引き返すほど薄情なつもりないんだけど?……喧嘩でもないなら……アンタ、告白でもされたの?」

 

「……っ」

 

「その反応は図星ってわけね……まっ、キラとシャルロットが喧嘩したわけじゃなさそうなのはわかってたけど、告白なのは少し想定外だったかも……お互い気まずくなってるのは、キラがシャルロットを振ったってところかしら?」

 

「…………」

 

「無言でいるってことは肯定と受け取るわよ?……告白、告白ね……アンタら仲良かったから時間が経てばそう言う関係になるのかなっと思ってたけど……そのさ、アンタがシャルロットの告白を断ったのって……キラが前に言ってたその人のことがまだ好きだからが理由?」

 

「……うん、僕は、その人のことが好きだから……」

 

鈴があの時の話を覚えているとは思っていなくて答えるのに間が空いてしまうものの、ハッキリと僕はフレイを彼女が好きなのだと言葉にする。自分が今どんな顔で彼女のことを好きだと言っているのだろう……?

 

「……キラはきちんとシャルロットの想いを聞いて、それで答えを返してるのならそれでいいわ。アンタらが気まずくなってる理由は納得がいった。こればかりは時の運としか言いようがないしね……シャルロットのことはとりあえずはアタシたちに任せなさい」

 

「……うん、そうさせてもらうよ……ごめん……」

 

「そうやってすぐに謝る癖は直しなさい。今回は別にお互いが悪いのかって言われたらそうじゃないし。……後一つ、聞きたいことあるけど、アンタなんかあの転校生に言われたの?」

 

「……ううん、何も言われてないよ……」

 

「……そっ、ちょっとつまらない事を聞いたわね。気分的には乗り気じゃなさそうだけど、寝るぐらいなら学年個別のパートナー探しぐらいしなさい。わかったわね?まっ、気が向いたらアリーナに来たらいいんじゃない?アタシは学年個別に備えて訓練するつもりだから、それのついでにアンタの特訓にも付き合ってやるからさ」

 

「……うん、気が向いたら来るよ……」

 

「んっ、期待しないで待ってるわ」

 

最後にまたねっと優しく笑って彼女はこの部屋から出て行く。……どうして、ラウラ・ボーデヴィッヒさんとのことも聞いてきたのだろうか?そのことは僕にはわからなかった。再度寝る気分にはなれず、やれることを探した結果が整備室でストライクを見ることだ。重たく感じる足取りで僕は整備室に向かった――――

 

◇◇◇

 

 

(……こればかりはどうしようもないわよねぇ)

 

キラが体調不良で早退した日から2人の間がおかしくなったのは察していた。アタシが入学する前も一度そうなった時があるとは聞いてたから気づかないフリはしていたものの……数日間に渡って変化がない事に我慢ができなくなり、直接キラの元に訪ねることにした。アイツが友達を、ましてはシャルロットを傷つけるような奴じゃないのはわかっている……まぁ、それでもくだらない理由で悲しませたのなら、ぶん殴ってでも謝らせるつもりだった。……いや、冷静に考えればぶん殴るわけにはいかないわよね……。

 

(……キラとシャルロットは別にお互いに悪くはない。キラはちゃんと想いを聞いて、ちゃんと答えを出した。それについて責めるのはお門違いよね)

 

キラには好きな人がいた、シャルロットには多少可哀想には思うけどそれについてはどうしようもない。キラの好きな人は多分だけど、アイツが前に話していた人のことだろうし……けど、好きな人を話しているくせにアイツの顔に陰があるのはどうしてだろ?

 

「――――あら、ISを纏って呆けている人が誰かと思えば、鈴さんではありませんか。キラさんの様子を見に行ったのではありませんの?」

 

「……それについては終わったわよ。まぁ、多分アイツの方は大丈夫だとは思う……それで?そっちの方はどうだったのよ?」

 

「こちらも恐らくはキラさんと同じだと思いますわ。キラさんと気まずくなっている理由については不明ですの。数日前に食堂でドイツの代表候補の方と口論をした情報しかない以上は本人たちの口から話してもらわない事にはどうすることもできませんわね。鈴さんの方はどうしでしたの?」

 

セシリアの口から2人の気まずくなっている理由がわからないと聞いた時は怪訝に思うけど、シャルロットの気持ちを考えれば仕方ないかっと納得する。下手に教えるよりアタシも知らないフリしてる方が2人の為になるか。

 

「……こっちも大差変わらないわよ。多分だけど、これについては時間が解決するしかないと思うわよ。当人らも気持ちの整理に時間が必要と思うだろうし」

 

「……そうだといいのですが。シャルロットさんには箒さんと一夏さんが付き添っていますので当分は大丈夫だとは思いますわ」

 

「そっ、なら後でアタシがキラの様子をまた見に行っておくわ。アンタもシャルロットの方を気にかけておいてあげて」

 

「それは別に構いませんが……ずっと気になっていましたが、どうしてそこまで鈴さんはキラさんの事を気にかけていますの?ルームメイト期間の時はわからなくはなかったのですが……」

 

「…………まっ、ただの義理よ義理。ルームメイトになったからアイツがどんだけ自堕落なのかを知ってるのよ、アタシは」

 

怪訝そうに見てくるセシリアにアタシは誤魔化した。キラと奇妙な関係が続いているのは自覚はしている……だけど、キラが厳さんに吐き出していた話を聞いてしまって、そんなの聞いたらアイツを放っておくことなんてできるわけないじゃない……。

 

「――――ほぅ、専用機持ちが2人か。中国の甲龍(シェンロン)とイギリスのブルー・ティアーズか。丁度いい暇つぶしにはなりそうだな」

 

「……ドイツ代表候補のラウラ・ボーデヴィッヒさんがいったい何のようがありますの?生憎ですがわたくしは貴女に構っている時間はありませんのよ」

 

「……ふーん、合同授業の時に見慣れない顔がいるとは思ってたけど、アンタがその一夏を平手打ちしたドイツの代表候補だったとわねぇ」

 

「ふんっ、代表候補でありながら他国の代表候補の情報も持っていないのか?情報収集すらも怠る貴様が中国の代表候補など笑わせる話だ」

 

「そんな見え透いた構って発言に付き合ってあげられるほどアタシ、暇じゃないのよ。それにアンタみたいに他人を見下すような奴を知りたいだなんて微塵も思わないわ」

 

アタシとセシリアに視界にいるのは最近転校してきたらしい、ドイツの代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒ。見た感じ専用機なのは間違いないけど……たしかドイツの新型だっけ?それにしても、あの馬鹿(キラ)何も言われてないって言ってたけど絶対嘘ね。とりあえず後で無理矢理食堂に連行してやる……。

 

「私から貴様ら2人は暇で仕方がなさそうだから相手をしてやると言っているんだ。それとも、あの腑抜けた男を取り合う事で手一杯なのか?」

 

「……わたくしを侮辱するのならばまだ我慢はできましたが一夏さんとなると話は別ですわ。それに、貴女が突然と彼の頬をはたいたことについて謝罪はまだ聞いていませんもの」

 

「いや、流石に安い挑発だから冷静になりなさいよ。一夏が唐変木なのは事実でしょうが」

 

「イギリスの代表候補はともかく、どうやら中国の代表候補であるお前はアレと同じく臆病者のようだな。専用機でありながら、剰え『撃たなくていいのなら、撃ちたくない』などと下らん戯言抜かしたあの男のようだ」

 

「……ふーん、その臆病者って誰のこと指してるつもり?アンタが一夏の事を臆病者って罵ってんなら一度までは聞かないフリをしてあげるけど?」

 

「織斑一夏は腑抜けた男ではあるが噛み付いた分は評価している。私が言っているのはあの男、第二操縦者の方だ。戦う覚悟もないあの男は臆病者がお似合いだろう?」

 

「……臆病者、臆病者ね」

 

――――今この目の前の女は誰のことを臆病者だと馬鹿にした?アタシはその言葉にあの時のことを思い出していた。突然と厳さんに呼び止められたアイツを心配して戻れば、扉越しから聞こえてきた会話をあの時のアタシは呆然と聞いていた。

 

『……わから、ないんです……僕自身が今何をしないといけないのか……どうして今生きている意味も……全部わからないんです……』

 

扉越しからでもアイツはつらそうに、苦しそうに厳さんに話していた。……キラが臆病者?料理の味を楽しむことができず、家族がいないで1人で生きているアイツが?苦しいことも、つらいことも、悲しいことも全部我慢しているアイツが?生きているのも、何をすべきこともわからないと苦しんでいるアイツが……?アタシの中でハッキリと何かがキレる音が聞こえた。

 

「……キラが臆病ですって……?ふざけんじゃないわよっ!!アイツが今どんだけ苦しんでて、悲しんでるのを知らないのにっ!それを我慢し続けてる奴が臆病者ですって!?少なくとも、アイツが抱えているものを知りもしない、アタシもアンタもキラを臆病者だって馬鹿にする権利なんてないわっ!」

 

「はっ、よもや中国の代表候補はあの臆病者に執心だったとはな。ならば何度でも言ってやる、あの男は臆病者だとな」

 

「……ええ、乗ってやるわよ。その見え透いた餓鬼みたいな挑発にっ!アイツを臆病者って馬鹿にしたこと絶対に後悔させてやるんだからっ!」

 

まずこの目の前にいる女を絶対に後悔させてやる。そんでその後にキラのところに行って、臆病者だって言われても怒らないのを叱ってその後に我慢していることも怒ってやるんだからっ!!

 

 

◇◇◇

 

 

(……駄目だ、やっぱり集中できない)

 

整備室に来ていざストライクの調整を始めても全く集中ができないでいた。やれることを探した結果、ストライクの整備だったのにそれすらも手付かずになるのは想定外だった。……鈴がアリーナで学年個別の備えて訓練するのを思い出すけど、到底行く気分にもなれない……。

 

「……キラ君、大丈夫?」

 

「……えっ、うん、大丈夫だよ」

 

先ほど整備室に来たのか心配そうに更識さんが声をかけてくれる。考えていたのが顔に出ちゃっていたかな……?最近自分の感情が表に出ていることが多いような気もするし……もう少し気を引き締めないと……。

 

「……そういえばだけど、ここに来る前に聞いたけど今第三・アリーナで専用機持ち同士が戦闘してるらしいよ……」

 

「もう少しで学年個別トーナメントもあるからじゃないかな?多分、鈴とセシリアさんか一夏だとは思うけど……」

 

「……ううん、最近来たドイツ代表候補の人と、中国の人とイギリスの人が――――」

 

「……っ、ごめん!!急な用事を思い出した、ごめんっ!!」

 

「……キラ君……!?」

 

更識さんの言葉を最後まで聞くことなく僕は駆け出した。別に専用機持ち同士が学年個別トーナメントに向けて訓練として戦うのは不思議なことじゃない。だけど、彼女の名前を聞いたらどうしようもない不安に駆られてしまう。……一夏に固執していた、彼女――――ラウラ・ボーデヴィッヒさんが何かをしているのではないのかと嫌な予感が拭えない。第三・アリーナの観客の方よりもアリーナ・ピッドの方が近いと判断をして入れば、そこには目を疑う光景があった。

 

「――――どうした?この私の口から撤回させるつもりだったんだろう?奴が臆病者だということを」

 

「……うっさい、わねぇ!!そんなのアンタに言われなくても、わかってるつうのっ!!」

 

「っ、いけませんわっ!これ以上戦えばISの方が持ちませんわよっ!!」

 

「それもわかってるっ!!でも、ここで引いたらアタシは絶対に後悔するっ!!今ここで自分の身が可愛くて引いたら、アタシは自分が許せなくなるっ!!」

 

黒いISを身に纏い涼しそうに佇むドイツ代表候補である彼女と対照的に2人のISは限界に近く、これ以上の戦闘は継続不可能に近い。それでも鈴は真っ直ぐに目の前にいる敵を睨みつけるように見ていた。

 

「ふんっ。吠える姿は一人前だな、中国代表候補。だが、喧しく吠えるのもここまでだ。せいぜい無様に床に這いつくばれ。相手の力量を見極めることもできず、あのような軟弱者を無視できなかった己を恨むがいいさ」

 

「――――まずっ!?」

 

「――――もうっ、やめろぉぉぉぉ!!」

 

――――身体が勝手に動いていた。ストライクに身を纏いビームライフルを乱射し、彼女の意識を僕へと向ける。忌々しそうに舌打ちをして、回避行動に移る彼女には深追いせず、2人を守るように彼女たちの前で着地する。

 

「……キラさん」

 

「……っ、キラ……」

 

「ちっ、織斑一夏が誘い込むために甚振っていたがよもや貴様が釣れるとはな」

 

「なぜっ!!なぜ君はこんなことをっ!!彼女たちがいったい何をしたって言うんだっ!!」

 

「臆病者である貴様に答える舌などない。知りたいのなら無理矢理吐かせてみろ。それが貴様にできるのならだがな」

 

「……っ!」

 

嘲笑う彼女の姿に無意識に手に力を込める。2人がいったい彼女に何をしたんだ?それに一夏を誘い込む……?どうしてそこで一夏が出てくるんだ?2人が一夏と親しいから狙ったというのか……?

 

「はんっ、だから貴様は臆病者なのだ。臆病者は臆病者らしく今すぐそこを退け、戦う覚悟も持ち合わせていない貴様など甚振る気も湧かん」

 

「っ、アンタはっ!!」

 

「……退かない。約束したから、鈴をみんなを守るんだって。……戦わないと守れないものがあるのは僕も知っているから」

 

ビームライフルから、ストライクバズーカに切り替えシールドも展開する。僕は鈴と約束をした、彼女をみんなを守るんだって。戦わないと守れないものがあるのだと、一番知っているから。

 

「……よくもぬけぬけと戯言を口にする。守る……?守るだと……?……貴様のような弱いものが守れるものなどない現実を教えてやるっ!!」

 

「……っ!」

 

彼女から向けられた感情が怒りだけではないことに動揺してしまうがすぐに頭を切り替える。右肩に装備されている大型のレールカノンからの砲撃をバズーカで相殺する。PS装甲が未知数な以上は不用意な被弾は避けるべきだ。

 

「鈴とセシリアさんは一旦退いてっ!これ以上2人が戦うのは危険だっ!」

 

「……でも、それじゃあ、アンタがっ!!」

 

「――――余所見をするとは大した自信だなっ!!」

 

2人に気を取られた隙に一瞬で前へと詰められて接近戦へと詰められる。イージスのように手首から出現しているビームサーベルのような武器による初撃は僅かに後退して回避、ストライクバズーカはそのまま投げ捨て、ビームサーベルへと即座に展開して応戦する。

 

「臆病者にしてはよく反応するっ!!レールカノンの相殺、そしてこの初撃を凌いだことは褒めてやるっ!」

 

「これ以上戦うことにいったいなんの意味があるんだっ!君も僕も敵対しているわけじゃないっ!なのに、どうしてっ!?」

 

「臆病者である、貴様に理由を話す舌などないと言ったはずだっ!!それに私は言ったはずだぞ?貴様のような軟弱者に守れるものなどないという現実を教えるとな」

 

「っ……!君はいったい何を……っ!?」

 

突然と身体が何かに縛りつけられるような感覚に襲われ身動きが取れなくなる。何が起きたのかと理解する前に彼女の両腕手首から発生しているビームサーベルが突き刺され、そのまま蹴り飛ばされてしまう。

 

「ちっ、なんだ奴のISの強度は?プラズマで突き刺した時はともかく、蹴り飛ばした時はやけに硬く感じた。全身装甲タイプだからなのか……?」

 

(……ぐっ……さっきのはなんだったんだ?急に動けなくなったのはいったい……)

 

「……それにしてもよく見れば貴様のISは未完成品か。先の斬り合いでわかったが出力は専用機としてはそう高くはあるまい。第二世代以上、第三世代以下といったところか?ISとしてのポテンシャルは未完成である以上伸びる可能性はあるが、貴様のような臆病者が搭乗者である事に同情するよ」

 

「アンタの相手はアタシでしょうがっ!!」

 

「実力差は歴然としているのによくも挑んでくる。ISとしての相性も最悪だというのに……そろそろ、鬱陶しいものだ」

 

「っ、鈴さんは完全に頭に血が上っていますわねっ!!」

 

「……っ、それ、はっ……!!」

 

セシリアさんが展開したあの武装が視界に入る。彼女が鈴の援護のために使ったそれはあの人の武装と酷似していて、マズイとわかっていながら身体があの時のように硬直して呼吸が浅くなる。グラリっと自分の視界が歪み、あの人の言葉が頭の中で響く。

 

『いくら叫ぼうが今更……! これが定めさ! 知りながらも突き進んだ道だろう』

 

『正義と信じ、わからぬと逃げ、知らず、聴かず!! その果ての終局だ、最早止める術などない!! そして滅ぶ、人は滅ぶべくしてな!!』

 

「……違うっ!!人は、人はそんな、ものじゃない……っ!!」

 

「……キラっ!?」

 

「キラさんっ……!?」

 

「馬鹿めっ!先もそうだが戦いで隙を見せるのはただの的だっ!」

 

2人の悲鳴が聞こえて一瞬だけ我に帰れば鈴とセシリアさんがワイヤーによって共に叩きつけられた姿がそこにあった。右肩の大型レールカノンの銃口のその先は彼女たちに向けられていて、それがあの人が彼女を、フレイが乗る脱出艇へと引き金を引く姿と酷似していた。――――頭の中で種を割るイメージを、SEEDを発動させる。

 

「これ以上、やらせないっ!!やらせるもんかぁぁぁぁ!!」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰め2人の間に割り込む。ビームサーベルから高速切替(ラピッド・スイッチ)でビームライフルに展開し、彼女たちに当たる可能性がある実弾だけを撃ち落とす。自分の被弾のことなんて度外視して被弾をしてしまうが、そんなことはほんの些細な問題に過ぎない。

 

「最後まで指を咥えていればいいものをっ!貴様もろともそこの2人も沈めてやろうっ!」

 

「また、あなたはそうやってっ!!僕から、また大切な人を奪うのかっ……!!」

 

両肩とリアアーマーから射出された計6機のワイヤーが襲ってくる。その半数の狙いは僕ではなく背後にいる彼女だ。冷静にそのワイヤーだけを見極め、そのワイヤーだけを武装を離した両手で掴む。そして無防備になっている自分に再度被弾をすればシールドエネルギーが残り僅かという警告音がストライクから聞こえてくる。

 

「……っ!?こいつ後ろの狙っているワイヤーだけを……!」

 

「あなたはっ……!あなただけは……っ!!」

 

「ぐっ、この男……っ!?」

 

力任せに握っているワイヤーを使い彼女を引き寄せる。また、"あの人"は再度僕の大切な人へ引き金を引いた。フレイを、彼女を殺したこの人だけはっ!!スラスターを一直線に吹かし、先ほどからストライクから警告音が鳴り響くが無視をする。再度大切な人を失うのなら僕は――――っ!!

 

「なんだ、この感覚はっ……?来るなっ……!!」

 

レールカノンが直撃してシールドエネルギーがなくなり、はっきりとストライクからエネルギーが尽きかけている感覚がわかる。PS装甲がダウンした感覚はハッキリとわかるが……それだけだっ、ビーム兵器が使えないの?まだ武器はあるっ!!

 

「ゔあぁぁぁぁぁっ!!」

 

「っ、この男、シールドエネルギーがなくなったのを知っていながら――――」

 

動きが止まったあの人にアーマーシュナイダーを突き刺そうとしたその瞬間にその腕を力強く握られる。さっきまでは他の敵対反応なんてなかったはずなのにいったい誰が……っ!

 

「――――急いで駆けつけてみれば……ほんのギリギリだったか。キラ、キラ・ヤマト。お前は私が誰かわかるか……?私の名前を言ってみろ、キラ」

 

「あっ……おり、むらさん……僕は、僕は……」

 

「落ち着け。大丈夫だ、お前の敵はここにはいない。だから、大丈夫だ、キラ」

 

織斑先生に諭され、自分が何をしようとしていたのか、目の前にいる転校生である彼女を"あの人"だと錯乱して――――殺そうとした事を思い出す。怒りで我を忘れて、取り返しもつかない事にしようとしていた事に身体が震えてアーマーシュナイダーが手から零れ落ち、エネルギーがなくなったストライクは強制的に解除される。

 

「キラっ!!」

 

「……り、ん……?」

 

「大丈夫、大丈夫だからっ!アタシも、セシリアも大丈夫だからっ!」

 

「やく、そくしたのに……君を守るんだって、約束したのに……」

 

「っ……!大丈夫、大丈夫だから。アタシはキラの前にいるから、だから大丈夫。安心して、ね?」

 

震える身体を彼女は優しく抱きしめて落ち着かせるように何度も背中をさすってくれる。その温もりで彼女が鈴がこの場にいるという事実に浅くなっていた呼吸が落ち着いてくる。

 

「……鈴音、キラのことを暫く頼むぞ。ラウラ、お前にも聞きたいことがあるが一度休め。気づいていないが今のお前は酷い顔をしているぞ」

 

「……っ、そんな、ことは……っ!!」

 

「無理をするな。落ち着いたら職員室に来い、わかったな?」

 

「……了解、しました……」

 

落ち着いてきて自分が今どこにいるのかをハッキリと認識する。あんな思いをさせた、転校生である彼女に謝らないといけないのに身体が上手く動いてくれない。声をかけることもできず彼女が去って行く後ろ姿を見ていることしかできなかった。

 

「セシリア、立てるか?」

 

「は、はい、わたくしも大丈夫ですわ。織斑先生のお手を煩わせる程ではありません」

 

「……全く模擬戦をやるなと言わんが貴様らは加減を知れ。学年個別トーナメントがあるまでは一切の私闘を禁じなければな。鈴、キラの様子はどうだ?」

 

「……今落ち着いてきたところです」

 

「……すみ、ません……僕は大丈夫ですから、2人をお願いします……」

 

「……っ、どこが大丈夫よ!アンタが今一番キツイのはわかってんだからっ!!千冬さん!コイツも一緒に保健室でお願いしますっ!」

 

「ああ、元からそのつもりだったから安心しろ。キラは私が連れて行く、お前たちは自力で歩けるのなら悪いが保健室まで歩いてもらうぞ」

 

「……ごめん、なさい……」

 

「大丈夫だ、キラ。お前は何も悪くはない、よく頑張った」

 

久々にSEEDを使ったからなのか、それとも別の要因でなのか身体を動かす気力が湧かない状態の僕は織斑さんの肩を借りてかろうじて歩くことができるようになる。何度も譫言のように謝る僕に織斑さんは優しく声を掛けてくれた――――

 




ラウラさんは別に何も悪くはないんだ……ただ、セシリアさんが援護で使ったビットを見た結果、タイミング的にラウラさんが某仮面認定されちゃってキラ君の殺意が溢れただけで……キラ君が既に錯乱しちゃったから、キラ君はラウラさんではなく某仮面の人の幻影と話してただけだから……一夏君も武力介入はしようとしましたがそのタイミングでSEED発動したと思ってください、はい((

今回もキリが良かったので切った感じです。まぁ、仕方がなかったんです……ゆるしてぇ!!

誤字&脱字報告お待ちしておりますっ!!いつも感想ありがとうございます!とても励みになっています!!次回の更新は未定ですが気長にお待ちください!!
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