翼を失くした少年   作:ラグーン

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昼ぐらいに投稿するのは今回が初めてなんじゃないだろうか……?基本夜や夜中に作品投稿するのが多いので(白目
最近出たフリーダムのプラモデルがほしい、ほしい……でもお金がないから買えない悲しみが……(吐血

こんな私の前書きは無視をして本文にどうぞっ!


第2話 目覚め

「……ここは……?」

 

 意識を失っていた僕が目を覚まして最初に視界に入ったのは見たことのない知らない天井だった。

 アークエンジェルでもなく、エターナルでもない、見知らぬ天井に困惑しながら上半身を起こす。

 周りを見渡せば艦内の個室というより、一軒家の個室のよう。周囲を観察していると僕の寝ているベットの近くに一つの椅子がある。

 この少ない情報ではなんとも言えないけど……誰かが僕のことを看病してくれていたというのはわかった。

 

「そう、だ……僕は確か―――っ!!」

 

 自分の状態を整理していると、自分が意識を失う前の全てを脳裏に思い出す。

 プロヴィデンスを心に湧き上がった怒りと憎しみで彼を撃ち、プロヴィデンスと共にフリーダム諸共ジェネシスγ線レーザーに直撃したこと。

 そして僕にとって守りたくて大切だった彼女――フレイ・アルスターを失ったことを。

 

「……守りたい、世界があるんだ……」

 

 彼―――ラウ・ル・クルーゼを討つ時に僕自身が口にした言葉を反芻しながら身体を丸める。

 その言葉を反芻して思い浮かぶのは彼との激闘の最中に口論をしたこと、そして目の前で守れずに、守ることができなかった彼女のこと頭の中で何度も何度もフラッシュバックする……。

 僕が、守りたかった世界はいったいどんなものなのだろう?

 そんな自問自答を繰り返して辿り着く答えは決まっているのはわかってるんだ。

 

「……どうして僕は生き残っているのかな」

 

 どうして生き残ったのか?そんなことばかりをぐるぐると頭の中で何度も考える。

 自問自答したって答えを得ることだってできなくて、自分がなぜ生き残ってしまったのかを他者へと聞きたくても、この部屋には僕以外誰もいない。

 誰かにこの気持ちを曝け出せば少しは楽になるのかな……?

 

「ほぅ、どうやら無事に目を覚ましたようだな」

 

 なにかを行動することも考えることもやめて、何もない天井をぼうっと見つめていれば扉が開き女性の声が聞こえた。

 知り合いの声に少しだけ似ていて声が聞こえた方へと顔だけ向ければ、そこには僕の知らないスーツ姿の女性が立っていた。

 どうやって話しかければいいのか戸惑っていると、ベットの近くにいる椅子に座り僕の顔を確認するように見てくる。

 

「顔色は拾った時よりもだいぶマシになったようだな。大丈夫だとは思うが身体に痛みなどは感じるか?」

 

「は、はい。特に身体には何も支障はないと思います。えっと、貴方が僕を看病していたんですよね……?」

 

「私ともう1人の2人がかりではあるがな。気絶して2時間ほど経っていたからそれ以上目を覚まさないのなら病院にでも連れて行こうとしていたが……身体にも支障がないのならその必要もないだろう」

 

 気絶していたという言葉に僕自身は複雑な心境でしかなかった。

 そのまま目を覚まさないでいればと口にしたくなるけれど看病をしてもらっていたことを思い出し口を噤む。

 

「……あの、僕のことをわざわざ診てくださってありがとうございます」

 

「礼を言われるほどのことをしていない。そもそもお前を助けることになったのは結果的にそうする必要があったと言うべきなのだろうな。それで?お前はいったいなぜ、ここIS学園のアリーナの遮断シールドを破るようなことをしたんだ。貴様のISを見るからに専用機クラスだと思うんだが」

 

「……アイ、エス?……もしかしてMSのことですか?」

 

「……モビルスーツ?それこそいったいなんの話だ。少なくとも私はそんなものは知らないが」

 

 お互いの何かがズレているかのように僕と女性の会話は不自然に止まった。

 僕がISという意味を理解していなければ、女性もMSという意味を理解できていないからだ。

 『アイエス』、そんな言葉に僕は心当たりもなくただ困惑してしまう。

 女性の反応に何かがおかしい。どうするかと考えた末に、起きていた戦争のことを女性に恐る恐る聞いた。

 

「あの、戦争はどうなったんですか……?無事に戦争は終わったんですか……?」

 

「戦争?なにを言っているんだ、お前は。ここ日本で戦争が起きたことなど何十年も前の話だぞ」

 

「なっ……!?」

 

女性から返ってきた答えに僕はただ絶句した。戦争がない?少なくとも僕が気絶する前はその戦争の最中だったし、彼をこの手で感情のままに討った感触がまだ残っている。戦争はついさっきまで起きてたはずなのに、目の前の女性は戦争など起きていないと断言する。その言葉を信じられず、僕は震える声で再度確認するが答えは同じものだった。

 

「貴様のその確認がなんの意味があるのか悪いが私にはサッパリわからん。それで、お前はいったい何者だ?その動揺を見るにただ事ではないというのはわかるが」

 

「……僕は、キラ・ヤマトです。最後の確認なんですけど……オーブ国、地球連合、プラントという言葉に聞き覚えはありますか……?」

 

「いや、残念ながらその言葉も今お前の口から聞いたのが初めてだ」

 

「……そう、ですか……」

 

予想していた答えではあるけどそれを実際に聞けば想像した以上の衝撃が僕を襲い、呆然としながら返事をするのがやっとだった。じゃあ、僕が今いるここはいったい何処なんだろう……?想像もしていなかったことに頭が真っ白になってうまく考えが纏まらない。

 

「その狼狽を見るにやはり訳ありといったところか。お前が私に聞いてきたその質問の意図に理由があるのは間違いなさそうだ……。それで?キラ・ヤマト、貴様は何者だ。悪いがお前が何者かわかるまで拘束する必要がある」

 

「……わかり、ました。でも、話してもきっと信じてもらえないと思いますよ……僕も実感がありませんし」

 

「そうだとしても私はお前が誰なのかを知る必要がある、その話がどのようなものであれな。その話が嘘か本当かはお前の表情などで判断するつもりだ」

 

自分自身を落ち着かせるように深呼吸をして僕はゆっくりと自分のことを女性に話す。僕がこの世界の人間じゃなくて別世界の人間、僕の世界について、そしてその世界は戦争があったこと、コーディネイターとナチュラルなことや、MSのことなど。嘘だと思われない様に僕自身の知っている範囲ならできる限り女性に全て話し尽くした。

 

「……C.E.(コズミック・イラ)、MSという名を持つ兵器、ナチュラルとコーディネイター、その両者によって起きた戦争……到底信じられない話だが、お前のその表情を見るにその話は全部本当なのだろう」

 

「……はい、全部僕の世界では当たり前の知識ですから」

 

「遺伝子調整により生まれた存在がコーディネイターと呼ばれ、それをせずに生まれた者をナチュラルと呼ぶ。少なくとも私たちの世界はそのような存在はいない……。そして、お前の世界では地球の外、つまり宇宙で生活しているものもいるというのは本当なのか?」

 

「……はい、僕の世界ではプラントやコロニーで宇宙で生活している人もいました。僕もその1人でオーブ連合首長国であるヘリオポリスに住んでましたから……」

 

「私たちの世界では到底考えられないな。地球の外、つまり宇宙に行く技術は持っているが宇宙に移り住む技術を私たちはまだ持っていない……。この話をアイツが聞いたら厄介なことこの上ないな」

 

「え、えっと……」

 

「最後の言葉は気にするな、私のちょっとした独り言にすぎない」

 

女性が呟いた最後の言葉が気になるけど、気にするなと言われてしまえばそれ以上聞くことが僕にはできなかった。女性に説明している最中に自分が本当に自分の知らない世界にいるという実感がふつふつと湧いてきたこともあって、なんとかごちゃごちゃだった頭の中は少しは整理ができたと思う。

 

「お前がこの世界の人間ではないということは私には理解できた。お前の表情や説明を見た限り、嘘や作り話ではないのだろう」

 

「信じてもらえて僕としても助かります……」

 

「信じられる材料がそこにあるのならば疑いはしても否定をするつもりはない。キラ・ヤマト、これは確認だがお前はなぜここに来てしまったのかわからないのか?」

 

「……はい、僕自身もどうしてここにいるのか、そしてなんで生きているのかわからないんです……僕は間違いなくジェネシスのレーザー線に巻き込まれたはずなんですから……」

 

僕は項垂れあの時の光景を再度思い出す。プロヴィデンスのコックピットをビームサーベルで貫き、そこがたまたまジェネシスのレーザー線の射線上でそのままレーザー線は発射されプロヴィデンスもろとも僕が搭乗していたフリーダムに直撃した。その記憶は間違いなくあっているはずで……だからこそ自分が生きているということ、生き残ってしまったということに落胆してしまう。

 

「……お前はどうやら私の想像を絶するほどの過酷な道を歩んでいたんだな」

 

「……その道を選んだのは、僕自身ですから……選んだことについては後悔はするつもりはありません……」

 

「……そうか」

 

「あの……MS、フリーダムはどんな風になっているのか教えてくれませんか?」

 

「お前の世界のいうMSとやらは少なくとも私の視界に入るかぎり存在はなかった。お前が説明したMSのサイズを考えるかぎり近くにあればすぐに気づく」

 

「そう、ですか……」

 

やっぱりフリーダムは大破どころか存在そのものが無くなったのだろう。プロヴィデンスとの激闘で既にフリーダムはボロボロになり、ジェネシスに直撃したことを考えれば大破ではすまないはずだ。フリーダムも失ってしまった喪失感を感じていれば女性はふっと思い出したかのように口にした、

 

「これは伝えそびれていたんだが、私がお前を初めて視界に入れた時はお前の姿は私のよく知るもの、ISに身体を包まれている状態でキラ・ヤマト、お前を発見した……。これは勝手な私の推測ではあるが、お前の搭乗していたMSはISへと姿を変えたのではないか?あくまで推測ではあるし、到底考えられないものであるがな」

 

「……えっと、ISというのはいったいなんですか?」

 

「すまない、お前の話ばかりを聞いていてこちら側の世界の情報を教えることを失念していた。次はこちら側の世界について話そう。お互いの情報共有をすることには損はないはずだ」

 

女性から僕は今いる世界についての説明が始まる。ここが地球、そしてインフニット・ストラトス通常ISという名の持つ兵器、そしてそれが原因でのこの世界で起こっている女尊男卑という世界になっていることに。

 

「これが私たちの世界で基本的な情報だろうな。より詳しく話すとなると更に時間がかかると思うが」

 

「……いえ、これぐらいの情報を貰えれば今のところは充分です。今は僕と貴女の世界が違うということを知るのが優先ですから……。女性限定にしても人のサイズまでに小さくして運用するのはとても凄いことだと思います」

 

「だがそれが原因で女尊男卑社会が生まれてしまったがな……」

 

「僕の世界も似たようなものですから……。いえ、戦争にまで発展した僕の世界の方がもっと酷いと思います」

 

自嘲気味に僕は自分の世界のことを振り返った。人類の存続までの危機に陥った僕の世界の方が差別という意味を考えればもっと酷いだろう……。これ以上考えればあの人の言葉がまたフラッシュバックするかも知れないと思い思考回路を遮断する。

 

「これで一先ずはお互いの世界の違いをわかることができた。だが、今からが本題だ、話を進めるがいいか?」

 

「はい、大丈夫です……僕をどうするかについてですね?」

 

「ああ、理解が早くて助かる。キラ・ヤマト、お前が発見された時についてなんだが、先ほどお前を発見した時はISに身を包まれた状態だった。つまりお前はこの世界ではISを動かした男性操縦者ということになってしまうんだ。この世界でISを動かした男はお前を含めて2人しかいない。そしてその1人であるお前は別世界の人間であり、証明する人もいなければ後ろ盾もいない。今のところお前の情報が外部に漏れてはいないがIS学園に何かが起きたことについては既に世界では一つの情報として認知されている」

 

「……つまり、僕の選択肢は殆どないってことですよね?」

 

「ああ、お前が選ぶ、いや選ばなければならない選択肢は1つだけだ。このIS学園に入学すること、そうすれば少なくとも3年間は生活することには苦労しないだろう」

 

「……もし、入学しなかったらどうなりますか?」

 

「お前は天涯孤独の身だ。その選択肢をとればお前がISを動かせるとバレた場合はその時は私が口にしなくてもわかるだろう?」

 

女性の言葉に僕は何も言えずただ俯く。別に僕はこの世界で図々しく生きていこうとなんて思っていないし、もし叶うのならその逆で今すぐにでも”彼女”のもとにでも行きたいのが本音だ。ISは男が操縦できないと目の前の人に教えられ、この世界で天涯孤独な僕が外に出たら?そんな結果は誰にだってわかるし……それに僕の秘密が他者に知られてしまうのはこの世界でも危険なのは変わりない。僕の選択肢は初めから一つしかなかったんだ。

 

「……わかりました。IS学園には入学します、けど僕からも条件があります……」

 

「構わない、なかば脅しのようなものでお前を入学させようとしているのだからな」

 

「……僕を、ISに乗せないでください。この世界のISと僕の世界のMSが違うのは話を聞いていてわかりました。でももう嫌なんです……どんな形でも誰かに向けて引き金を向けたくないんです……」

 

「……それは難しいな、授業の一環でISを動かすことがある。学校行事についてならある程度フォローはできるが」

 

「……わかりました。授業の時はなんとか乗れるように頑張りますから……それ以外で僕はISに乗る気はありません」

 

「……わかった、その点については今後は私がサポートをしよう」

 

難しい顔をしていたけど授業の時は乗るように努力をすると言えば女性は静かに首を縦に頷いてくれた。条件を飲んでくれたことに僕は安堵する。こんな自分勝手な条件を飲んでくれたこの人はきっと優しい人なんだろうって思う……。けどISに乗りたくないのは本当で、今はただ何もしたくないし何も考えたくないんだ。

 

「……あの、そういえば僕、貴女の名前を知らないんです。よければ教えてくれませんか?」

 

「んっ、そういえば私としたことが自己紹介が遅れたな、私は織斑千冬だ、今後はよろしく頼むぞ、キラ」

 

「は、はい、こちらこそよろしくお願いします……」

 

目の前の女性、織斑さんが手を差し出してきたので僕はその手をおずおずとしながら握る。誰かとこうやって握手をするということが久しぶりなようなそうじゃないような気がするけど……ううん、今はそんなことを考えるのはやめよう。

 

「今日はもう心身共に疲れただろう。今日はもう休め、お前のこの世界の戸籍については私が後で用意しておこう」

 

「……えっと、お願いします」

 

「ではな、また明日に様子を観に来るぞ」

 

(……僕はどうしたらいいんだろう……?)

 

織斑さんはそう言ってこの部屋から退出していった。僕はベットに身体を預けて天井を見上げる。自分が異なる世界にいるという実感はまだわかないけど、生き残っているということに関してだけは真実でそれが堪らなく嫌になってしまう……。今日はもう考えるのは疲れた……織斑さんの言葉に甘えてもう寝よう。起きていたってどうせ考えることは同じなんだから。

 




ISでは基本的に1万を超えることはないと思います。息抜きで書き始めたようなものなので(白目
さて、IS作品なのにさっそくISに乗らないというムーブになりましたがキラ君の精神メンタルはボロボロで廃人の一歩寸前に近いので寛大な心で見てあげてください。乗らないけど、乗せないとは言っていないのでネ!次回から原作開始と言いたいけど後一回オリジナル展開が続きます……多分ですけどネ!

誤字&脱字を見つけたら報告してもらえると助かります!それでは、また次回にお会いしましょう!

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