翼を失くした少年   作:ラグーン

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珍しく予約投稿を使った作者です。最近は暑いですが皆さん体調に気をつけてくださいね……本当こまめな水分補給をとってくださいっ!!

……えっ?VTシステムは次で終わるっと言ってたよねですか?私は急に1話や2話増えてしまうのはよくあることだから、あまり私の言葉は信用しないでください((

ちなみに今更なんですけど、私ISのヒロイン派閥にはどこにも所属していないのをカミングアウトしておきます((


第28話 取引

 

 

(織斑先生の大切な教え子にVTシステムを組み込み、使わせるだなんてドイツはどんな言い訳をするか見ものね)

 

 織斑先生がドイツ代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒの関係性は事前に調べていたこともあるけど、あの人が彼女のことを教え子以上に大切にしていたのは目にすれば一目でわかるのに……世界最強を敵に回すようなことをどうしてやったのかしら。

 

(……はぁ、観察室に向かってるけど、幾らおねえさんでも億劫になるわね。今回完全に織斑先生の身内全員が巻き込まれてる形だし……キラ君の場合は身内に入るか怪しいけど)

 

 けど、今までの織斑先生の行動を考えればあの子のことを身内認定している筋はあるのよねぇ。境遇を考えれば気にかけるのは一大人として当然だけど……それでも特別視しているのは間違いないでしょう。今頃はらわたが煮えくり返るぐらい苛立ってるんじゃないかしら、あの人……。

 

(VTシステムが作動した以上はアレを急いで止めないといけないけど……まずはキラ君に今回の情報をどうにかして伝えないといけないわね)

 

 VTシステムが何なのかはこの世界に知識をまだ身に付けていない彼は知らないはずだけど、これは推測になってしまうが異なる世界で戦いに身を投げていた件を考えればその危険性については察するだろう。……まず、あの場に友達の織斑君と篠ノ之箒ちゃんがいる時点で自身が撤退という選択肢はきっとないはず。

 

(良くも悪くも……シャルロットちゃんの件で壊れ、折れかけていた心を踏み止まれたのは功を奏してはいるけど、その分不安が募るわね。キラ君の心情が一番シンプルで分かりやすいけど……何をしでかすのか一番心配しちゃうのよねぇ)

 

 キラ君の戦う理由は至ってシンプルで、大切な人or友達を守るため……誰かを失うことに敏感になっているのは前の世界大切な人をで失ったことがあるからだろう。実際に生徒会室で戦う覚悟があるのか聞いた時に『大切な友達をもう失いたくないと』っとはっきりと答えた。自身が力を持っている自覚もあるし、その事を考慮すれば“自分がどうにかしなければならない”って強迫観念に似た何かに突き動かされなければいいけど……。

 

「――――失礼しまーす」

 

「今すぐ観客席にいる来賓の避難誘導、そしてISの準備をしろっ!!あの場にいる3人では――――いったい、何のようだ、更識……?」

 

(……表情に必死に出さないように冷静さを保ってるけど、内心は本気でキレてるじゃない、織斑先生)

 

観察室に入室すれば指示を出す織斑先生と慌ただしくその手伝いをする山田先生の姿があった。織斑先生が予想以上に内心は怒りで燃えているのに、これからやろうとしてることでその怒りの矛先私へと向かないわよねぇ……?

 

「いえ、私も生徒会長として事態を収拾するために来たまでですよ。一度観察室に来て織斑先生らに一応許可をもらった方が手っ取り早いので」

 

「……今はお前の企だてに付き合ってる暇はない。生徒会長として動くのも、『更識』個人で動くのならば好きにしろ」

 

「お、織斑先生それは流石にまずいですよっ!?更識さんは確かに生徒会長ですけど、まだ子供なんですよっ!?」

 

「……今は1人でも人手が必要な状況なのだ、山田先生」

 

「それではお言葉に甘えて“個人”として動かせてもらいますね?通信機一つお借りします」

 

織斑先生からきちんと許可をもらった以上は余程でもない限り口は挟んでこないでしょう。実際これからやろうとしていることはただの情報共有だもの。モニター先ではVTシステムに必死に食らい付いているあの子の姿がそこに映っている。持ち堪えてはいるけどそれも時間の問題のようね……。

 

「テステス……はーい、キラ君。私の声が聞こえてるー?」

 

『更識会長……っ!彼女はいったいどうなったんですか……っ!?あんな危険な物はいったいっ!?』

 

「対峙してるそれが、どれだけ危険なのかを理解しているのはとても助かるわ。その疑問に答えるけどそれはVTシステムと言って、世界的に使用禁止されてる程危険な代物よ。後に詳しく説明するけどそれはある人物の力をお手軽に再現し、使えるように作られた代物なの。……ちなみに搭乗者の負担についてはソレは一切考慮していないわ」

 

『……っ!?どうして、そんな危険な物が彼女のISにっ……彼女を、ラウラ・ボーデヴィッヒさんを助けることができる方法はあるんですかっ!?』

 

「あるにはあるわ。ただ、とても強引な手段になってしまうということは先に伝えておくわね。……ちなみにそれを聞いて君はどうするつもりなの?」

 

『どうにかして彼女を助けたいんです……っ!これ以上彼女は苦しんで、悲しむ必要なんてないはずなんだ……っ!!』

 

(助ける手段をこのタイミングで言えば間違いなくこの子は有限実行をしようとするでしょうね。……これが本人の意思なのか、それともそうしないといけないと思い込んでるのどちらかしら?どっちにしろ自身の中で撤退ということはなさそうね……)

 

モニターでかろうじてVTシステムと渡り合えている彼の姿を見ながら一度冷静に考える。この世界に来てたった数ヶ月でISをあそこまで適応、戦闘センスも目を見張る物がある。そしてストライクが未完成という不利でありながら、織斑先生に鍛えられたラウラ・ボーデヴィッヒちゃんとは実質互角に近い戦いを見せた。

 

(……けど、VTシステムを彼に任せるわけにはいかないわ。VTシステムはモンド・グロッソでの織斑千冬の力を再現したもの、偽物で本人と比べれば大分劣化しているとは思うけど危険である事には変わらない)

 

私が完全にあの子の戦闘能力を把握していないのもあるけど、取引の際に守ると言った手前、目に見えて危険な目に合わせるわけにはいかないもの。シャルロットちゃんの件はどうしても彼が必要だったから妥協したにすぎないし……先に織斑君と篠ノ之箒ちゃんを撤退をさせましょう。そしてキラ君と変わる形で、私へと標的を移せば教員が来る時間稼ぎ、運が良ければラウラ・ボーデヴィッヒちゃんの救助できるはず。

 

「いい?キラ君はそのまま――――」

 

「――――お忙しい中、失礼します」

 

「……失礼します」

 

「……し、失礼しますわ」

 

そのまま彼に次の指示を伝えようとする瞬間、一眼を見れば明らかに部外者だとわかる子がさも当たり前のように観察室に入室してくる。酷く不機嫌な鈴音ちゃんと何故か落ち着きのないセシリアちゃんもその後に続いてくる。……あの部外者の子どこかで見た気がするけど……確か鈴音ちゃんが道案内してた子よね?

 

『――――はぁ、予想以上に時間が掛かったけど道案内を出来たから大目に見るけど、今度から近道の一つでも二つ調べとけば?それぐらい簡単にできるようになっとくんだね』

 

「……こんなことでもない限りアンタみたいなやつ2度と道案内なんかするかってのっ!!」

 

『気に食わないけどその点だけは同意してあげるよ。私もお前には2度と道案内を任せないし、なにより移動してる時にここの道は全部頭に叩き込んだから。あとは用はないから今すぐ何もできないお前は帰っていいよ』

 

「はぁ!?いい加減頭にきたっ!!アンタがどんだけ凄い奴でもこっちにも我慢の限界ってのがあんのよっ!!」

 

「お、落ち着いてくださいましっ!?鈴さんがここに来た目的を思い出しなさいなっ!!」

 

謎の少女の持っている端末からスピーカー越しに誰かが話しており、余りにも身勝手な言葉に鈴音ちゃんがブチ切れてそれを比較的冷静なセシリアちゃんが羽交い締めして止めている。……とりあえず彼女達も何らかの目的があってここに来たようだし、流石に今すぐ退出させるのは気が引けるわねぇ。

 

『わーい、ちーちゃん久しぶりーっ!!愛しの束さんが会いに来たよっー!!』

 

「……その声、束かっ?」

 

『勿論だよーっ!!むしろ、私以外こんな状況でちーちゃんに会いにくる、いい女なんているわけないじゃんっ!!ほらほら、この束さんに惚れ直してもいいんだぜー?』

 

「束って……あの篠ノ之束さんですかっ!?」

 

山田先生が悲鳴に近い声を上げ、それとは相対的に織斑先生は鬱陶しそうな表情を上げていた。単純に今あの人に構っている余裕がない状況であるからだろうけど……それにしてもまさかこのタイミングでISの生みの親である篠ノ之束の登場か……。

 

(ISの生みの親だからこそ、自身が知らないだろう彼のストライクを視察する為にトーナメントで来賓に紛れる可能性があるとは思ってた。期待はしていなかったけど……まさか本当に登場するなんてキラ君はやっぱりそういった星の下に生まれてるのかしら……)

 

本人も否定どころか肯定気味だった事を考えれば、キラ君の運命力に今までの境遇を考えれば流石に同情するわ。はぁ、このタイミングで篠ノ之束の登場によってある一つの賭けを実行すべきか頭を悩ませる。これについては私の独断で決めるわけにはいかない……最近得た彼の信頼を失う、下手をすれば敵対する可能性があるのよ。

 

「……どんな形であれ珍しく顔を見せてるところ悪いが、今はお前に時間を割く余裕などない。話なら後で幾らでも聞いてやるから今は何もするな」

 

『状況を分かっているから私はここに来たんだよ。……馬鹿な奴らが欲をかいて、醜くて下らない欠落品に取り込まれてしまった、らーちゃんを助けたいんでしょ?私をそれを手伝う為に来たんだよ』

 

「……どういう風の吹き回しだ?それよりもその子は……いや、まさか――――」

 

『そういう事だよ、ちーちゃん。人類の下らない欲望、エゴで生まれたこの子らに私は幸せになってほしいと思ってる。身勝手な理由で造ったくせに、身勝手な理由で切り捨てる……この子たちだって今を生きてるのにどうして人はこんなことを平然とできるんだろうね』

 

「……そういった悪虐非道の行いを平然とする人間もいれば、その逆も然りだ。人間というのはそういった存在だろう、束」

 

『どうだろうねぇ?どうにしろ私は箒ちゃんたちがいればそれだけでいいし。さーて、しんみりした話もこれで終わってらーちゃん救出劇といこうかっ!ちーちゃんと私のコンビに掛かれば、ハッピーエンド以外はないんだよっ!』

 

「そうまで自信あり気に言うという事は当然のように算段はあるんだろうな?」

 

『当然っ!!打鉄でもラファールでも、そこにある甲龍(シェンロン)でもブルー・ティアーズでも今のちーちゃんの実力に合わせて調整しちゃうよぉ!!』

 

天災と最強が手を組めばVTシステムに取り込まれた彼女を助ける事も確実だろうし、何よりキラ君が戦う必要がなくなる。それにシャルロットちゃんの件がこの後控えているのも考えればこの2人に全てを任せたって問題どころか、全て解決しちゃう。……けど、ストライカーパックを確実に手に入れる方法は天災にしか無理な話なのよねぇ。

 

「……ねぇ、例の賭けの件は君はどうしたい?もし私の賭けに乗って成功する確率は2割弱、失敗する確率は8割強ってこと。どっちに転んでも、情報を渡さなくちゃいけなくなる。……それに今回は君に負担を大きくかけることになっちゃうわ。どうする、キラ君?」

 

『……悪用される可能性はあるんですよね……っ?』

 

「それについては否定はしないわ。凡人な私ではあの人の考えてることを永遠に理解することは無理でしょうから。……けど、私の全てを注いでも悪用させないことを取り付けてみせる。……ねぇ、私を信用してくれるっ?」

 

『僕は更識さんのことを何があっても信じます』

 

「……ふふっ、私のこと信じてくれてありがと。今の君と私は運命共同体よ。だから、もう少しだけ踏ん張ってちょうだい……お姉さんさんもすぐにそっちに向かうから」

 

間を開ける事もなくハッキリとした声で彼は即答する。今から、ロクデナシな取引を行おうとしている私を全面的に信用するのはちょっと警戒心が低すぎるわ……でも、そんなロクデナシな私を信用しているとハッキリと言ってくれるのは素直に嬉しいものね。普段は頼りないけど、ここぞという時は頼り甲斐があるのはちょっとずるいと思うわよ?

 

「楽し気なお話のなか申し訳ありませんが……少々お時間をよろしいでしょうか、かの天才である篠ノ之束さん?」

 

『……はぁ?私とちーちゃんの会話に割り込むとか空気読めないの?お前が私と話をするなんて一万と二千年早いんだよ、わかるっ?』

 

「ええ、私のようなものが身の程を弁えず天才である貴女に話しかけているのは重々承知しております。……ですが、そんな私が貴女の本来の目的の情報を持っているとしたら、どうしますっ?」

 

『……ふーん?私が別の目的があるってのを当ててみなよ。そしたら話ぐらい聞いてやるよ』

 

「ISの生みの親でもある貴女ですらも把握していない、正体不明のISであるストライクの情報入手、またはIS本体の強奪ですよね?貴女ご本人が表に出ることができないから、その子を使って手に入れようとしたんですよねぇ?」

 

『半分は正解だって褒めてやるよ。お前のいう私すらも知らないあのISのデータを目的だってのは認めてあげる、ただ強奪という点だけはハズレ、私は搭乗者がいなくなったと思っていた正体不明のISを引き取りに来ただけさ。研究者として、そして生みの親である私が引き取るのは当然だからね』

 

一歩でも間違えれば彼が命を落とす状況を作ったのは貴女ですよねっと言葉をなんとか呑み込む。ここで機嫌を損ねれば取引を持ち込むことが不可能になってしまう。なんとか作り笑いで誤魔化し、内側のポケットで大切に保管していてUSBメモリを取り出す。

 

「通話越しからは分かりませんと思いますが、今私の手元には天才である貴女が喉から手が出るほど欲しいデータがあります。ISの生みの親でも知り得ない、特別なISである型式番号GAT-X105、STRIKEの全てのデータがここにあります」

 

『……へー、この私を相手に取引をしようってことなんだ』

 

「天災である貴女だから、こんな取引を持ち込んでいるんですよ?」

 

「……その前に待て、更識楯無。そのISのデータはどうやって手に入れた?誤魔化すことなく正直に話せ」

 

(……やっぱり、織斑先生も聞いてくるわよねぇ。天災と最強を一度に相手をするのは身が持たなさそう……)

 

ストライクのデータを私が持っていると知った時点で織斑先生が問いただしてくるのは想定済みだったけど、睨み殺すぐらいに見てくるのは想定外なんですけど……これキラ君の許可貰ってなかったら完全に詰んでたやつね。

 

「そう睨まないでくださいよ、織斑先生。きちんとキラ君から許可と協力を得て、このデータは私が保管してたんです。私と彼の関係は今は運命共同体ですので、私を信用してなくてもこの後に彼に聞いてみればどうです?余程のことでもないかぎり言葉を濁さない彼は正直に話してくれるはずですよ。それは、織斑先生がよーくご存知だと思います」

 

「……そのね、私からも一ついいかな、更識さん」

 

「もちろん構いませんよ、山田先生」

 

「そのデータは別の用途で準備していたものじゃないんだよね?それを使ってキラ君と更識さんは何か危ない事をしようだなんて考えていないんだよね?」

 

(……流石昔に織斑先生と日本代表候補の座を競い合ったことはあるわね。普段から想像もつかないほど鋭い勘だわ)

 

普段の頼りなさは鳴りを潜めて凛とした声で山田先生は聞いてくる。さて、どうしたものかしら……山田先生であれば織斑先生や天災よりも誤魔化すことについては簡単だ。だけど私が誤魔化した後にキラ君に事情を問われれば完全にアウトだし……あまりあの子はこんな心理戦は得意そうには見えないしね。

 

「ええ、安心してください。このデータは確かに別の理由で用意していたものですが、決して危険なことをする為に用意したものではありません。むしろ、それを下げる為に必要だったので彼に協力を求めたんです。ISのデータ開示についてはキラ君は誰よりも慎重なのは、彼の事情を知っている私たちならわかりますよね?」

 

「うん、そうだね。……キラ君が更識さんにISのデータを渡しているのはそうする理由があるってことがわかりました。これ以上は深くは理由は聞かない……今から貴女がやろうとしていることにもきっと相応の理由があるとは思う。だけど、そのデータはキラ君を傷つけるようなことには絶対に使わないで」

 

「ええ、私もこれ以上あの子に傷をつけるようなことをするのは好んでいませんので肝に免じておきます」

 

実際私もこれ以上あの子を追い込むようなことはしたくはない。今はかろうじて踏み止まってるだけで、きっかけがあれば再度必要以上に精神的に自身を追い込むだろう。それならキラ君とはきちんと話をした上で、あの子が納得するように動いてもらった方が精神的にも楽なはず。

 

『それでぇ?この私にどんな取引をしたいのさ、時間がないから簡潔に答えなよ』

 

「私とあのISの搭乗者がVTシステムの鎮圧、および取り込まれたドイツ代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒの救助ができたのなら貴女の手で未完成であるストライクを完成してもらえないでしょうか?」

 

『……へー、それが失敗した場合による私の方のメリットは?』

 

「このUSBメモリに入っているストライクのデータを無料で譲歩します。貴女はこのISのデータを必ず手に入れることができますので悪い条件ではないと思いますよ?ただ、どちらにしてもこのISのデータを悪用、兵器への運用だけは絶対にやめてください。それの約束ができないのならこのデータは貴女がどんな手段を使おうと処分します」

 

『私はそのデータを手に入れることができるってこと。だけど、お前は理解してる?確実にらーちゃんを救助できるのにそれを蹴落とそうとしてるのが。全部ちーちゃんと私に任せれば簡単にすむ話をわざわざ難易度を上げてるってのが。お前とあのISの搭乗者だけで偽物とはいえVTシステムを止められるとでも?』

 

「ええ、私と彼の力ならVTシステムを止め、ラウラ・ボーデヴィッヒさんを助けることは可能であると判断しています。……取引の件の返答はいかがでしょうか?」

 

『お前のその口車に乗ってあげるよ。クーちゃんに無理をさせないで、あのISのデータをこの程度の取引で入手できるのならお釣りが出るくらいだからね。制限時間は30分、その時間内にVTシステムとラーちゃんの救出ができなかったらお前らの失敗とみなすから』

 

「……ええ、分かりました」

 

時間制限を設けられたのは予想外だけど、30分もあると考えれば何とかなるはずよ。消耗しているキラ君をバックアップに専念させ私が抑えるようにすればこれ以上は彼が目立つこともないはず。撤退をさせるのも考えたけど、やっぱりあの子は私の目が届く範囲に居てもらった方が一番安心するもの。

 

「それでは私はこれで失礼させてもらいますね。これ以上彼に負担をかけるわけにはいきませんので」

 

「……最後にこれは確認しておく。私はお前を信じていいんだな、更識楯無」

 

「もちろんですよ、織斑千冬先生。私は私のやり方で彼を守るのだと約束をしましたので」

 

織斑先生や山田先生が教師として、一大人として彼を支え守るのなら私は更識の当主として、1人の先輩として彼を肉体的にも精神的にも守るのだと約束したもの。“更識楯無”としてではなく私としては彼のことはそこそこ気に入ってるのだ。

 

「……あそこにいる3人のことをよろしくお願いしますわ」

 

「……一夏と箒、そしてアイツのことは今回はアンタに任せるからっ。お願い……アイツが変に無茶しないように見てて」

 

「ええ、2人の分まで私があの場にいる3人を守ってみせるわ。だから、貴女たちもお馬鹿なことだけはしないようにね?」

 

ISが使えない2人は力になれなさそうなことを気に病んでいるけど、今回ばかりは万全だったとしても自分らではどうすることもできないと理解しているでしょう。特に鈴音ちゃんは何もできないことが人一倍歯痒く感じてるんでしょうね。

 

(彼女らはこれから少しづつ学び、強くなっていけば良い話よ。それまでは生徒会長である私がしっかりと守らないとね)

 

彼が守りたい人たちは私が守るべき対象だ。今後はあの子にも誰かを頼ることをもう少しだけ覚えさせるようにしないとねぇ。……その前にまずはVTシステムをどうにかするとしましょうか。




今回は区切りが良かったので…その、ねっ?次こそ本当にVTシステム編は終わりますから……((目逸らしそしてこの後にはもちろんキラ君に休息なんてないです()VTシステムなんて誤差であって、本命はシャルちゃんの問題解決だからネ!!

更識会長がこのタイミングで動かないと、いったいいつ動くっていうんだ……キラ君と約束をした以上はその約束は守らないとですねっ!!VTシステムは本来かなりヤバい代物だから……素のストライクだと流石のキラ君でも無理ゲー範囲なはず()

誤字&脱字報告いつもありがとうございますっ!!感想も毎度してもらえてとても励みになっております……っ!!次の更新は未定ですが気長にお待ちください!!
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