翼を失くした少年   作:ラグーン

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31話の最後を僅かに訂正し報告をこちらで……そこまで内容は変わっておりませんので!それでは32話にどうぞー!

そして先に言っときます……ここから更にグダリます(真顔)


第32話 消える孤独

 

 

「……暫くは自室で過ごしてようかなぁ」

 

 VTシステムの暴走から翌日。みんなと一緒に食堂で朝食をとりながら周りからの好奇の視線と目の前にある一枚の紙。昨日の出来事を新聞部は早速記事にしていて、記事にする提案をしてそうな新聞部副部長である黛薫子さんを思い出す。相変わらず味は感じないサンドイッチを頬張り、ため息を吐きながらぼんやりと呟く。

 

「止めはしないけど全部自分でやりなさいよ」

 

「それなら私が朝食と夕食持ってこようか?」

 

 何気ない一言に心底呆れたように見放す鈴と見放すことなく微笑んで手助けをしてくれるシャルが同じタイミングで口を開く。空気が僅かに凍りお互い顔を見合うが何事もなかったようにみんなの会話は続いていく。

 

「学内の取り上げられた新聞に過剰に反応すれば身が保たんぞ。まず引き篭もる選択を真っ先に取り出すな馬鹿者」

 

「ええ。それに悪さをしたと言うわけではありませんから身を隠す必要はないかと。堂々としているのが気分も幾分か楽というものですわよ」

 

「ほら。俺と箒、それに生徒会長さんも記載されてるからこの前よりかはマシだって。まずキラが自室で食べ始めると俺の肩身が狭くなるんだ……だから一緒に食堂で食べてくれよ!」

 

 一夏に縋るように懇願されると自室で食事を取るのは諦めるしかない。男の肩身が狭く感じるのは男女比の差が大きすぎるのもあるけど、あと単純にことあるごとに注目の的になるのが結構面倒くさいのだ。

 

「あっ、鈴は今度時間はあるか?」

 

「へっ? そ、そりゃ時間は言ってくれればいつでも作るけど……」

 

「それなら今度休みの日に一緒に出かけようぜ。鈴が戻ってきたのにまだやってなかったからさ」

 

 一夏の発言に約2名ほど呆然としながら言葉が出ないのかハクハクと口を動かす。僕とシャルも聞き間違いじゃないかと、お互いに顔を見合わせてしまう。いや、だって、一夏が鈴をデートに誘ってるんだよ? 

 

(一夏どうしたんだろ!? あの誘われても鈍い反応とか、友達だからだろ? って疑問を持たない一夏がデートに誘ってるよ!?)

 

(ど、どうしたんだろ? ……う、うーん。なんだろう。なんか引っ掛かるんだよなぁ……だって、一夏だよ?)

 

「……ちなみになんだけど、2人でやるわけ? そのお出かけって」

 

「ん? 弾と数馬もいるぞ。だってこの前遊んだ時に言ってたじゃんか。帰国祝いしろって。久々に色々周りたいと思ったしな」

 

「あー。そんなこと言ったわねぇ……はいはい、そうだろうと思ったわよ」

 

「友人との帰国祝いとやらは楽しんでくるといいぞ」

 

「ええ。友と気兼ねなく交友を深めるのも大切なことですわ」

 

 鈴は赤面していた顔ががらりと変わり頭を抱えながらため息を吐く。なぜため息を吐かれたのか一夏は理解できず首を傾げ、箒さんとセシリアさんは何事もなかったかのように食事を再開する。僕とシャルは一夏だねーっと苦笑いをしてしまう。

 

「……少しいいか。キラ・ヤマト」

 

「……ボーデヴィッヒさん」

 

 朝食も食べ終えて教室に向かおうと立ちあがろうとするとボーデヴィッヒさんから呼び止められる。彼女の顔色はまだ悪く体調は本調子じゃないのが窺える。

 

「体調は大丈夫なの? まだ休んでいた方がいいよ。顔色も悪そうだし……」

 

「あ、ああ。問題ない。体はまだ痛むが日常生活に支障はない」

 

「そっか。それならよかった。……それで僕に用事があるんだよね?」

 

「……お前と2人で話したい。いや、話したいことがある。教官には事前に話を通している。多少の遅刻は多めに見るそうだ」

 

「うん。わかったよ。僕も、もう一度君と話をしたいと思ってたから。みんなは先に教室向かってて」

 

「織斑先生に怒られないように時間には気をつけて戻ってこいよ。どうやら大事な話でありそうだしな。ほら、私たちは遅刻すれば怒られるからサッサっと行くぞ。……まったく。あまり抱え込みすぎるなよ」

 

 睨みながら今すぐに噛み付きそうな鈴とシャルと一夏を箒さんが宥めて無理矢理引き連れて行く。僕らの間に何かがあると察したのか、すれ違いぎわに小声で心配してくれるのは良い友達を持ったなとつくづく思う。

 

「ついて来てくれ。教官から話し合いするには誂え向きの場所があるそうだ」

 

 行き先を知っている彼女の後ろを歩く。学園内に話し合いにうってつけな場所なんかあったかと、記憶を探っていると今僕らが向かっている目的地の道筋はよく知っている。目的地に辿り着けば織斑先生が言っていたお誂え向きと言った理由がよく分かる。

 

「やっぱりここだったんだ。確かに誰にも聞かれないように2人で話すにはうってつけだよね」

 

「なんだ? この場所を知っているのか?」

 

「うん。少しの間は此処で生活してたから」

 

 織斑先生が提案した場所は入学する前に僕が一時期生活していた個室だった。てっきり撤去されていると思っていたが、内装は変わらず綺麗にそのままに残してあるのは意外だったけど。

 

「……まず第一に礼を言う。VTシステムに呑まれた私を救出してくれたことには感謝する」

 

「えっ!? いや、僕1人の力で助けたわけじゃないし……なにより放っておくことはできなかったから気にしなくて大丈夫だよ。僕は出来ることをことをやっただけだから」

 

「それはお前が……人の理想、最高のコーディネイターだからか?」

 

「なっ……」

 

 この世界では誰も知らないはずの知識を目の前の彼女が言葉としてはっきりと口にしたことに激しく動揺する。異なる世界の人間なのは教えていても僕が最高のコーディネイター、人の理想であることは織斑先生、山田先生、そして更識さんには教えていない。

 

「……やはり真実か。正直に言えば今でもお前が成功作であり、最高傑作だと信じ難い……」

 

「な、なぜ君が……そのことをっ? いったいいつから……っ?」

 

「……VTシステムに取り込まれ、意識を失くしている間にお前の記憶が流れ込んできた。相互意識干渉(クロッシング・アクセス)が原因だろう。お前も似たような現象が起きたはずだ」

 

 似たような現象には確かに心当たりがある。VTシステムとの戦闘の最中に彼女の記憶の一部、そして声が脳内にまるで映像のように流れ込んできた。もし彼女が言っていることが真実ならば彼女が僕の記憶を見て正体を知ったのならば辻褄は合う。

 

「……僕の記憶はどこまで見たの?」

 

「全て見たわけではない。……お前が住んでいたスペースコロニーヘリオポリスへとザフト襲撃から、ジェネシスのレーザーに巻き込まれた瞬間までな」

 

「……そっか。君は最後まで見たんだね」

 

「ああ……知ったんだ……全部知ったんだ……っ!! 失敗作じゃない!! 出来損ないではないっ! 人の理想……っ!! 最高傑作のお前を……っ!!」

 

 感情に身を任せるように彼女は襟首を掴む。震えた声で、今にも泣き出しそうな顔で何故なんだっと苦しそうに呟く。今なら簡単に彼女の拘束からは振り払えるだろう。だけど、彼女の抱えている感情は僕が受け止めなくてはいけない。

 

「……お前が……っ! お前が、傲慢だったら……っ! 薄情だったら!! 力に溺れればっ!! 人を殺すことに躊躇いもなくなれば……っ!! そんな、そんな貴様ならば……っ!! 私は……っ! 私は……っ!」

 

「……うん」

 

「……全部知ったら……っ! お前が……苦しんで、悲しんで……傷ついてるなんて……知ってしまったら……っ! 憎めない、ではないか……っ!!」

 

 力が入っていない拳で何度も何度も胸を叩いてくる。幼い子供のように泣き叫ぶ彼女の複雑に入り混じった感情を落ち着くまで静かに受け止め続けるしか僕にはできなかった。偶然で起きてしまった出来事なのにズルいことをしてしまったと罪悪感に襲われる。知らなければ、見ることもなければ彼女はきっとこんなに苦しむことだってなかったはずなのに。

 

「……見苦しいところを見せた」

 

「そんなことないよ。……それに、ほら、僕の方がもっと見苦しい姿とか沢山あったから」

 

「……ふ、不可抗力だぞ!! そ、そのだな!! 興味本位で見たわけではないぞっ!? 目は逸らそうとしたのだ!! 本当だからな!! し、仕方ないではないか!? 流れ込んできたのだから!!」

 

 励ましたつもりで言ったら、なにかを思い出したのかボーデヴィッヒさんは顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を横に振る。気まずそうに目まで逸らしてソワソワと落ち着きのない様子。そんな彼女の様子を見て疑問を抱いた束の間でそんな反応を見せてしまってる原因に激しい心当たりが。

 

「……ヘリオポリスから最後までって言ってたもんね。……ああ……うん……フレイと……フレイ……」

 

「部屋の隅で蹲るな!? コメントのしずらい落ち込みは止めろ!!」

 

「……フレイ…………」

 

「頼むから戻ってこい!? ……ええいっ!! そうなる理由が分かるからタチが悪い!!」

 

 予期していなかったフレイの話題を出されて暫く部屋の隅で蹲る。ボーデヴィッヒさんが必死に声をかけてくれて辛うじて話の続きはできるまでには回復した。話が終わったらこのまま部屋に戻って欠席しようかな……正直授業なんてもうどうでもいいし……。

 

「はぁ、お前は本当に調子が狂う。……なぁ。兵器として造られた存在がそれ以外の道を探していると言ったらお前は笑うか?」

 

「そんなことないよ。歩みたい道を決めるのは自分自身だ。僕らは造られた存在でも……確かに人間なんだから。ボーデヴィッヒさんは望んだ生き方をして良いと思うよ」

 

「……ラウラでいい。偶然といえどお互いに記憶を見てしまったんだ。今更さんなど付けられても違和感しかない」

 

「そういうならそうするけど……」

 

「うむ。そうしてくれ。どうやらこの日本では尊敬している相手を兄と慕う文化があるらしい。だから私は今後は兄さんと呼ばせてもらう」

 

 そんな文化はないじゃないのか? っと一瞬ツッコミを入れたくなったけど、こっちの日本の文化に詳しいわけではないから一概に否定できない。今度一夏たちにそれとなく聞いていた方がいいかなぁ。まず、ラウラはさっきの情報はどこから仕入れたんだろ……? 

 

「……そ、そのだな。違う生き方を探すとは言ったがやはり1人は不安なんだ。……造られた理由も違うし、異なる世界なのも理解はしている。ただ……私も家族なようなものを少しでも感じたい。……だから、だな……兄さんと呼ばせてくれないか……?」

 

「あははは……僕がそんな慕われるようなことはできると思えないけどね」

 

 断る選択肢も勿論あったけど不安そうに上目遣いで見られれば断る勇気がなかった。僕には両親という存在と、実は血のつながった唯一の姉がいたけど彼女はそうじゃない。同情かも知れない……だけど少しでも彼女が抱いていた孤独を少しでも埋まるのならこれで良いんだ。

 

「……ラウラは僕のことが羨ましいとか思ったりした?」

 

「昔は妬み憎んだ。だが真実を知った今はこちらから願い下げだ。……私には人類の理想という身勝手な願いは重すぎる。それに私は私で兄さんは兄さんだ。力だけが僕の全てではない……そうだろう?」

 

「……ごめん。くだらないことを聞いてしまって」

 

「気にしないでくれ。ちなみに兄さんは誰に身の上を明かしているんだ? 実はこの人物には明かしていないのに、私が口を滑らせては冗談ではすまされなくなる。情報共有もこのまま行おう」

 

「それもそうだね。えっと、僕のことを知っているのは────」

 

 自身がまだ人の理想で造られた存在であるのは誰にも明かしていないと前置きをしながらそのままラウラと情報共有する。ついでにだけど、この世界に来た後は記憶は見ていないらしく洗いざらい話すことになった────

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

「やっぱり胴体と左腕にダメージが残ってる。PS装甲のおかげで損傷は抑えられてるけどしばらくは無理をさせられないかな……」

 

 全ての講義を終えた放課後。人目から逃げるように整備室へと駆け込み前日に受けたであろうストライクの損傷具合を調べていた。この世界で2度目の激闘はストライクへ負担をかけすぎた。PS装甲のおかげで他のISよりは多少頑丈ではあるがPS装甲は万能ではない。

 

「なんだ兄さんはここに居たのか。てっきり自室に向かったのかと思っていたが」

 

「ストライクのダメージレベルを知りたくてね。ラウラこそどうしたの?」

 

「私もにな。シュヴァルツェア・レーゲンにな……ご覧の通り無理をさせすぎた」

 

 ラウラは自業自得だがなっと苦笑しているが、VTシステムに取り込まれたシュヴァルツェア・レーゲンのダメージは大きく一部の装甲は破損している。VTシステムが禁止されているのはISに対しても多大なダメージを残すのも含まれるのかも知れない。

 

「シュヴァルツェア・レーゲンは大丈夫なの?」

 

「予備パーツは持ってきているからな。これならば組み替えた方が早い。問題はコアが無事かどうかだ。ISコアが無事なら良いんだがな……」

 

「手伝おうか? そんなに役に立てるかは怪しいけど……」

 

「気持ちは受け取っておく。……これは私がやらなくてはいけないことだからな」

 

 自身の心の弱さでこうなってしまった責任感もあるんだろう。その後は会話をすることはなくお互い作業に没頭する。

 

「キラキラだー! 昨日は大変だったねー」

 

「あっ……キラ君。怪我とか大丈夫……?」

 

「のほほんさんに更識さん。うん。今回は体は大丈夫だよ。痛めたところとかは特にないからさ」

 

「……それなら良かった」

 

「かんちゃんずっと心配してたもんねー」

 

 いつの間にか整備室へと来ていた更識さんとのほほんさんに声を掛けられる。怪我をしていないと答えれば更識さんはホッと安堵する。真っ先に体の心配されるのは初めに会った時に怪我をしていたのが原因な気がする。近くでラウラがISの整備している姿にのほほんさんは気が付き駆け寄る。

 

「ラウラウもISの整備してるのー?」

 

「……ラウラウ? それは私のことなのか……?」

 

「うん! ラウラ・ボーデヴィッヒだからラウラウー!」

 

 そうだよーと柔らかな声でニコニコと微笑むのほほんさんにラウラは戸惑いを隠さないでいた。声を掛けられたことよりもあだ名を付けられている事に困惑しているのだろう。

 

「……ラウラ・ボーデヴィッヒさん雰囲気が変わった気がする」

 

「ラウラのこと知ってたの?」

 

「……遠目から何度か見かけたぐらいだよ。昨日までの彼女なら人と楽しそうに話している姿は想像つかないかな。なんとなくだけど、キラ君が関係してたりする?」

 

「大したことはしてないよ? 偶然きっかけになったのかな……? それが無くてもラウラならきっと同じように笑ってるはずだよ」

 

 朝の話はあくまでお互いの感情を打ち明かして折り合いをつけただけ。その話をする前から彼女は違う道を探すのを決意していた。その道を選ぶ背を押したのはきっとあの人だろう。

 

「兄さん! 初めて友達ができたぞ!!」

 

「えっへん。ラウラウの初めてのお友達は私なのだー!」

 

「……兄さん? えっ、兄さん……?」

 

 のほほんさんとすっかり打ち解けたラウラは嬉しそうに僕のもとへと駆け寄ってくる。更識さんが先ほどの発言を聞いて僕のことを二度見してくるけど彼女が困惑してる姿は新鮮だなー。

 更識さんにどう説明しようかと悩んでいると不思議そうにラウラがクビを傾げながら答える。

 

「日本では尊敬している人物を兄と慕う文化があると聞いてな。それで兄さんと呼んでいるんだ」

 

「う、うーん……間違ってはいないけど文化と言われると、違うと思うよ……?」

 

「むっ? そうなのか? だがクラリッサはあると言っていたが。……まぁ、どちらにしろ兄さんは兄さんだ。うむ」

 

 自己満足して満足そうに頷いてるラウラに更識さんはそうなんだと戸惑いながらも納得する。奇妙な関係だと自覚してるけど、それを説明するには僕らの過去を話さなければならなくなるから日本の文化は結構誤魔化すには都合が良い。

 

「兄さんは日本代表候補生の更識簪とは知り合いだったんだな。私のことは既に知っているだろうが、ドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒだ。以後よろしく頼む」

 

「う、うん。よろしく……ラウラさんのISは、えっと、大丈夫? 組み替えてる途中なんだよね?」

 

「装甲の損傷が激しくてな。予備パーツと組み替えている最中だ。それと私はラウラでいい。同い年だからな!」

 

「それなら私も簪でいいよ。……更識はお姉ちゃんと被るから」

 

 その一言には複雑な感情が入り混じっていた。のほほんさんを見れば察した彼女は悲しそうに首を横に振る。姉妹喧嘩をしていることは薄らと聞いているけど内容までは把握していない。更識会長が妹である更識さんを大切に強く想っているのを知っているし、あの言葉には嘘偽りはないはずだ。

 

「むふー。難しい顔をしているキラキラには美味しい飴玉をあげるのだー」

 

「あ、ありがとう……?」

 

「昨日頑張ったご褒美だよー! ……ありがとうねー。かっちゃんとたっちゃんの事を気にしてくれて〜」

 

 ポケットから飴玉を取り出したのほほんさんは手を握って飴玉を渡してきて周りには聞こえないようにそっと小さな声で耳打ちしてくる。どうやら無意識に眉を顰めてたようでのほほんさんは気を遣ってくれたようだ。

 

「簪は自らの手で未完成の専用機を完成させようとしているのか。いくら探しても日本の代表候補生のISが見つからないわけだ」

 

「えっ……? 私のISを探してたの?」

 

「己が強者であると証明するのに手短なのは、各国の代表候補生に勝利することだったからな。タッグ・トーナメントが開催されるのを知った後は其方で優勝する方が手間が省けると考えてたわけだが……」

 

「……鈴とセシリアさんを襲ったのも専用機持ちって立派な理由があったんだね」

 

「……話がややこしくなるから兄さんは黙っていてくれ」

 

 今は喋らないでくれとギロリと睨まれたので大人しく静かにしておこう。だってラウラ自身が一夏を誘い出すために狙ったとは言ってたじゃんか……まずそれでお互いに色々とヒートアップして口論まで発展したわけだし。

 

「その、今でも私のISを狙ってたりするの……?」

 

「糧として他者を踏み台にするのは止めた。今は純粋に代表候補生の1人として同じ代表候補生である簪と手合わせをしたいんだ。……そ、その、駄目か?」

 

「……ううん。そんなことはないよ。ISが完成した時はお願い。私は他のみんなと比べるとずっと出遅れているから」

 

「私とキラキラは2人を応援するね〜! えへへ、うちわとか作るよ〜!」

 

「それはやめて」「それはやめてくれ」

 

 作る気満々ののほほんさんを本気で嫌な顔をして止める2人の姿が息ぴったらなのが可笑しくてつい笑ってしまう。のほほんさんは釣られてニコニコと笑うけど2人は納得いかなさそうに不機嫌になるけど許してほしい。

 

「あっ。もう食堂に行かなくちゃいけない時間だよ〜! 今日キラキラを食堂へと連行するのは我々なのだー。きちんと食べるまでは本音さんはキラキラを離さないよ〜」

 

「……きちんと食べるまでって?」

 

「私たちのクラスではキラキラはご飯を食べないで有名なんだ〜。最初は織斑先生に頻繁に呼び出されてたんだよー!」

 

「……きちんとご飯は食べよ? 食べないと駄目だよ?」

 

「……理由はあっても食べないは擁護しないからな」

 

 逃げられないようにのほほんさんに左腕を掴まれる。彼女からのカミングアウトにより更識さんから詰められて諭すように怒られてしまう。ラウラは味覚がないとはついでに説明していたけどジト目で睨まれて庇ってくれることはなさそうだ。

 

「……最近はきちんと食べてるんだよ?」

 

「……教官に呼び出された男の判決は決まってるだろ?」

 

「食堂まで出発進行〜!」

 

「……それじゃあみんなで行こっか」

 

 ラウラからの無慈悲な宣告を受ければそのまま3人に食堂へと連行されていく。こんな時は抵抗をするだけは無駄だと鈴に嫌というほど教えられたので大人しく食堂に向かうことにした────





 歪みに歪んだ兄妹ごっこが始まるよ()この2人を和解させるのは考えるより感じさせるんだ……知れば誰もが望むだろうキラ君のようにはなりたいけど、過酷な人生は歩みたくないよねって。一日悩んで、感情も全部吐き出したので一息ついて丸くなったラウラでした。

フレイ関連は克服したのでは?と見せかけて自分から覚悟決めて話せば耐えられるよって見栄張ってるだけで、他人がポロッと話題に出したら余裕で引き篭もるよ!……ギャグテイストにしないとシリアスにしかならないよ……
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