翼を失くした少年   作:ラグーン

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 生徒会長が重いわけないじゃないか!!……でも、普段は飄々としてる人がクソ重い感情隠してるの大好きなんだよね、私(性癖)
 そして私はきちんとハッピーエンド歴だから!!本当だよ!!信じて!!インフィニット・ストラトスの青春パワーを信じろ()


第35話 地上最強(ブリュンヒルデ)のプライベート

 

 

「──お邪魔します」

 

 時刻は朝の七時。シャルロットは淡い恋心を抱いている相手、キラの部屋へと訪問していた。

 返事は当然返ってくることなく、居間へと彼女が歩み進めば毛布に包まり静かに寝ている彼の姿が。

 

「もうちょっと寝かしてあげても大丈夫だよね」

 

 時計の針を確認しながら彼女は起こさないように小さな声で呟く。最近忙しそうにしていた彼に少しでも休息を取ってほしいと、彼女なりの気遣い。

 そして、熟睡している想い人と少しでも長く2人きりでいたい、小さな独占欲。

 一度起きれば意外にも足早く食堂に向かうのだ。そのように鈴によってとことん躾けられたのをシャルロットは知らないが。

 

「……最近は中々2人きりになれないもん。いつも誰かと一緒だし……」

 

 彼の寝顔を堪能しながら不満そうに小さなため息。

 2人きりになれるタイミングをシャルロットは窺っているが中々そのチャンスは訪れない。

 同性の一夏はわかる。生徒会の1人だから生徒会長の更識楯無も百歩譲って彼女は納得している。

 それ以外はどうなってるのかな!? と熟睡している本人を彼女は問い詰めたくなる。

 最近は物腰が柔らかくなったラウラ・ボーデヴィッヒとは兄さんといつの間にか親しくなっていて、今ではそれが当然だと世話を焼く鈴音。

 なんなら、担任と織斑千冬と副担任の山田真耶も人一倍気にかけてるんじゃないかって、シャルロットは疑っている。もちろん、根拠は女の勘。

 

 

「……むー」

 

 彼と親しい人間を思い出せば、メラメラと嫉妬心が湧き上がる。 

 特に鈴音は彼を世話するのが当然だと振る舞っているのが、乙女心としてはいただけない。

 一夏が今すぐにでも自堕落になれば解決するんじゃないかなーと思わなくないが、もしなれば大一次織斑一夏大戦が始まるのは目に見えているので頭痛に襲われる。巻き込まれるという意味で。

 それなら好きな人の自堕落を改善すればと名案を浮かんだが、それでも鈴音の世話を焼く姿が幻視できるのは何故だろうとむぅと可愛らしく声を唸らせる。

 

「……もう少し、あの関係続ければよかったなぁ……」

 

 残念そうに、もったいなかったかもと呟く、シャルロットの後悔。

 それは数日で終わってしまった、シャルロット・デュノアとキラ・ヤマトの秘密のいけない関係。

 壊れた少年と愛情に飢えた少女の、お互い思考を放棄した共依存。

 一度常識という理性が外れ、溢れ出るドロドロとした熱く濁った感情、本能へ従った。

 

「……キラの手、暖かかったなぁ」

 

 大きすぎず、そして小さすぎない自分の胸を彼女は制服の上から触る。

 生き続けることを絶望した少年に、少しでも生きる理由(いみ)を与えようと身体を差し出した。結果は少年が拒み未遂で終えたが。

 シャルロットは記憶、体に刻んでいる。あの日、キラの僅かに反応した指の動き、手の感触、体温も。

 触れられた時間は数秒と満たしていないのに、あの日の彼の手を思い出せば少女の体は熱を帯びる。

 

「あの日の言葉は嘘じゃないから。キラのためならなんでもする……その気持ちは変わってないんだよ?」

 

 寝ているキラの耳元で、シャルロットは起こさないように小さな声で艶めかしく囁く。

 あの日の夜に口にした想いは変わらない。むしろ、その想いは時間が経つごとに膨らんでいく。

 自分って結構重いのかなー? と客観的に冷静に分析はしたが、彼が折れている姿を直接見ちゃってるんだから、丁度いいんじゃないかな、と内なる悪魔のシャルロットに唆され納得しかけてるのは内緒。

 織斑一夏は鈍感で唐変木だからこそストレートにぐいぐいと責めるのが攻略法だが、キラ・ヤマトは繊細だから程よい距離感を保ちながら押していくのが一番だとシャルロットは学んだ。

 

「そろそろ起こさないと」

 

 時計の針は七時二十分を指していた。

 シャルロットとしてはもっと彼の寝顔を堪能していたいが、起こしに来たというのに遅刻したら本末転倒である。

 それに鈴音とラウラ・ボーデヴィッヒが同じ目的で部屋へと訪問するだろうと、シャルロットの女の勘が囁いている。

 今日彼を起こすのは私なのだと意気込みとちょっとした優越感。

 とびっきりな笑顔で好きな人を迎えると決めていたシャルロットだった──

 

 

 ◇◇◇

 

 

(……もう夏かぁ)

 

 シャルロットに起こされ、今日も遅刻することなくSHR(ショートホームルーム)を過ごしながらぼんやりと考える。

 季節は七月に入り、梅雨は明け蒸し暑い夏。この世界へと漂流してはや数ヶ月。この世界で夏を迎えるなんて、これっぽっちも考えてなかったので感慨深い。

 

「今日は通常授業だが、その前に来週の校外特別実習期間についてだ。すでにお前たちも知っているだろうが、三日間学園から離れることになる。自由時間もあるため、手荷物は多少は見逃すが余分な物は持ってこないように。ああ、特に忘れ物には気をつけろよ。当然だが、忘れ物をしたからといって当日に取りに戻るなどは出来ないからな」

 

 校外特別実習期間──すなわち臨海学校らしい。

 すっかり頭から抜け落ちてたけど、最近また周りが浮き足立っているなぁと他人事のように過ごしてたらこれが原因だったのか。

 

「……海かぁ」

 

 記憶を振り返れば前回は海域でも戦闘だったり、カガリの探索なりで満足に観る余裕もなかったなぁ。観光気分で海を眺める余裕があったわけでもないけど。

 楽しみと言えるかどうかは分からないけど、街中ではなく広い砂浜で満天な星空を時間が許される限りはずっと眺めていたいかなぁ。

 

「織斑先生ー! まや先生の姿が見かけないんですが、今日は休みなんですかー?」

 

「山田先生は校外実習への現地視察へと向かっているため今日は休みだ。なに、彼女の仕事は今日一日私が代るので安心するといい」

 

 クラスメイトが織斑先生への質問で昨日放課後に山田先生が僕の部屋に訪れて色々と言ってきた疑問が解けた。たしか昨日──

 

『私は明日は一日居ないけど体調には気をつけてね? 少しでも今日が辛いと感じたらすぐにお友達に織斑先生を呼ぶように言うんだよ? それと、ストライクの整備を夜遅くまでやらないこと。明日は織斑先生が私のお仕事を代わりにやるから分からないところは織斑先生に遠慮することなく聞くんだよ? ええっと、それからそれから──』

 

 などと、あたふたと思いつくかぎり言葉を並べる山田先生に本当に良い人だなーとちょっと心が癒されてたり。

 その後も久しぶりに山田先生と2人で落ち着いて雑談もしたりした。ここ最近はずっと教師と生徒との関係でしか話してなかったなぁ。

 

「くっ、まや先生だけバカンスだなんて!!」

 

「私も行きたかったなぁー」

 

「山田先生は仕事で行っているだけだ。浮かれるのは結構だが、それで授業態度を疎かにするなよ」

 

 ヒソヒソと賑わい始めたクラスを一喝で静かにさせるのは流石織斑先生である。A組の女子もはーいと元気よく返事を返しながら今日一日が始まるのだった──ー

 

 

 ◇◇◇

 

 

「……もうこんな時間か」

 

 提出期限が明日までの課題を終わらせ、時計を見れば夜の十時と針は刺していた。

 夕食を摂った後に溜まりに溜まった課題と睨み合っていたのだからこんなに時間が経っていてもおかしくはないか。

 立ち上がり冷蔵庫から水を取り出しコップへと注ぐ。渇いた喉を水で潤していれば数回のノックオン音が。

 誰だろうと思い扉を開ければそこにはスーツを脱ぎワイシャツとスラックス姿の織斑先生の姿が。

 

「やはり起きていたか。キラ、時間はあるか?」

 

「ありますけど……?」

 

「そうか。ならば私に少しばかり付き合え」

 

 満足そうに織斑先生は軽く笑みを浮かべる。

 ついてこいと短く簡潔に誘われたので、大人しく織斑先生の後について行くことにする。

 誘われた理由も心当たりがなく不思議に思いながらも案内されたのは織斑先生の部屋。

 

「あっ、えっと……」

 

「躊躇う必要はない。私が誘ったのだから遠慮なく入れ」

 

「お、お邪魔します……」

 

 ここの部屋主に遠慮せずに入れと言われ、戸惑いながらも織斑先生の部屋へと足を踏み込む。

 意外にも織斑先生の部屋はちょっと散らかっていた。

 普段から忙しそうだから部屋を片付ける時間とか取れないのかな? うーん、一夏にそれとなくこっそりと教えてあげたほうが良さそうかも。

 

「飲み物はこれでいいか?」

 

「ありがとうございます」

 

 織斑先生が冷蔵庫から取り出した缶ジュースを受け取り椅子へと腰掛ける。

 織斑先生の手には缶ビール。カシュリとプルタブを開け、そのまま缶ビールへと口付ける。

 手持ち無沙汰で織斑先生が飲む姿をマジマジと眺めるわけにもいかないので缶ジュースをちびちびと飲んでいれば、織斑先生がじっとその姿を頬杖しながら見てくる。

 

「どうだ。少しはこの世界にも、クラスにも馴染めてきたか?」

 

「……どうでしょう。僕がこの世界に、クラスメイトの1人として馴染めてるのかはよく分かりません。ただ、織斑さんが倒れていた僕を助けてくれて、それで僕という存在が今ここにいるんだとは受け入れて、考えられるようにはなりました」

 

「……そうか」

 

 口元を隠すように缶ビールへと織斑さんは口付ける。ほんの一瞬だけ見えた口元は緩んでいて、微かに声が弾んでいたのは勘違いではないだろう。

 

 

「そう言えばお前はどうするつもりだ。校外実習の自由時間は」

 

「水着はなくても大丈夫なんですよね? それなら旅館で一日過ごすつもりです」

 

「そこで水着を買いクラスの女子と共に青春を過ごすと考えないのがお前らしい。……一夏は多少は意識するだろうが、お前は経験があるようだから意識などしないだろに」

 

「んぐ……っ!?」

 

 例外のラウラを除いて誰にも言っていない経験を、2本目の缶ビールを呷る織斑さんにさも平然と言われて思わず咽せる。

 ゴホゴホと何度も激しく咳き込んでいれば、心配そうに織斑さんは覗いてくる。

 なんとか呼吸を落ち着かせて動揺を隠せない声で聞いてしまう。

 

「えっ、いや、その、いつから……?」

 

「女性しか居ない環境に突如と入れられていながら、やけに落ち着いていたからな。初めは精神的にも余裕がないと考えてはいたが、私の中で確信を得たのは事故とはいえ山田先生を押し倒した時だ。何を掴んでいるのかと感触を確かめるよりも前に、自分の手が何に触れているか理解して飛び起きるなど、それが何なのかを知っていなければできない行動だよ」

 

「……う、うぅ……す、すみません……」

 

「謝る必要はない。学園内ならば大問題で当然教師としては厳しく説教しているが、お前の世界で性交した経験にとやかく口煩く説教する気はないさ。そうなった経緯も知らぬ私が無闇に口を出すにはいくまい」

 

「こ、このことは、秘密でお願いします……」

 

「私が言いふらすと思うか?」

 

 楽しそうにニヤリと口元を緩ませる織斑さんへ痛くなるぐらいに首を横に振る。

 これは話し相手が欲しかったのではなく、お酒を美味しく飲みたかったんですね!! 

 

 

「くくっ、そう拗ねるな。久々にお前とこうやって2人で話ができて私も嬉しいんだ。多少は大目に見てくれ」

 

「……そう言ってくれるのは、嬉しいですけど……」

 

「それで、本当にどうするんだ? 臨海学校は一日は自由時間だ。私と山田先生がお前の水着を買うのも一興だがそれでは青春になるまい。お前に好意を抱いてくれている子がいるんだろ?」

 

「それも見ていたりしたんですか?」

 

「まさか、ここは女子校のようなもの。耳を塞いでいようが、嫌でも噂というのは我々教師にも小耳に挟む。それに私はお前らの担任だぞ? 普段から見ている教え子なんだから、ある程度は察するさ」

 

「……一夏のように鈍感だったら僕としては良かったんですけど」

 

「ほう、私の前で一夏を引き合いに出すとはいい度胸だ。お前が勇敢なのは知っているが、今回はそれが無謀だと教育する必要があるな」

 

 腕を伸ばしてガシガシと雑だけど慣れた手つきで頭を撫でられる。織斑さんは教師としては厳格だけどプライベートでは楽しげに冗談も言ったりするだよなぁ。

 

「シャルロットから好意を向けられていること自体は苦痛ではないのだろ?」

 

「それは、はい……その、僕はまだあの子を好きだったこの感情を忘れたくなくて……忘れたら全部消えてしまいそうで怖くて……他の誰かを好きになるのはちょっとまだ考えられなくて……」

 

「……そればかりは時間に委ねるしかないさ。お前のその感情はきっと間違いではないよ。それを失恋だと簡単に割り切れる人間は何処にもいないさ」

 

 織斑さんには以前縋りついて泣いた時に感情のままに吐き出したのだからある程度の事情を把握してくれている。

 フレイへの想いが思い出へと昇華するのが怖い。平和なこの世界だからこそ、彼女が死んだという事実がまだ呑み込めていないんだろう。

 

「とりあえずシャルロットからデートに誘われれば応じてやれ。あの子もお前と自分だけの特別な思い出が欲しいのさ。もちろん、お前が辛くなければだが」

 

「それは、大丈夫ですけど……その、金銭面が……」

 

「それは私が出すから気にする必要はない。ISに適合しているとはいえ、異世界から来た人間を保護すると決めたのは私だからな」

 

「そ、そこまでしてもらうわけにはっ!? ただでさえ、織斑さんと山田さんには迷惑をかけてるばかりなのに──」

 

「大人からの厚意、特に私からは大人しく受け取っておけ。……それに私はお前との約束を守れなかった。これぐらいはさせてくれ」

 

「あ、あの約束は初めから難しいと織斑さんも言ってたじゃないですか! ISを学ぶ学園で扱うのが当たり前なのに、それをただ自分が戦いたくないとか、撃ちたくないとか、都合のいい言い訳を並べて一方的な要求を突きつけたというか!」

 

 重々しい表情で織斑さんの滅入るような口調に驚き必死に弁解をする。

 慌てながら思いつくかぎり必死に言葉を並べていれば、織斑さんは次第に押し殺すようにくつくつと笑い始める。

 

「批判するどころか、お前に励まされる日がくるとはな……」

 

「僕も織斑さんにいつまでも甘えてばかりではいけませんから」

 

「少し言い返せたからと言って調子に乗りおって。だが独り立ちを許すにはいかないな。それで立ち直った、などと笑えない冗談は言うなよ」

 

「そ、そこまで言いますか……」

 

「幾らでも言ってやるさ。お得意の処世術で私の目が誤魔化せるなと思うなよ、小僧」

 

 お酒を飲んでいるのにその眼光は衰えるどころか鋭く睨まれる。

 反論をするため口を開こうすると、肉体言語という手段が飛んでくる気配を感じとったので小さく項垂れるしか出来なかった。

 

「やれやれ、最近は教師という立場が枷で邪魔くさい。療養も兼ねて、お前を山田先生へと同伴させたかったがそれもできん。……まぁ、彼女が暴走した時は止められる者がいないのが頭を悩ませるが」

 

「山田先生が暴走……?」

 

「私と日本代表を競った女だぞ? まぁ、お前に人一倍入れ込んでいるのさ。はははっ、母性本能が高い彼女だ。一度スイッチが入れば2人きりの時なにが起こるか分からんぞ」

 

「そ、そんな他人事のように笑わないでくださいよ!?」

 

「私は具体的に何が起きるとは言っていないが、何を想像した? 隠さず言ったらどうだ」

 

「……酔っているのなら水持ってきますよ」

 

「私が酔っていると希望的観測は捨てておけ。ふんっ、これの3倍は持ってこい」

 

「余計にタチ悪いじゃないですか!?」

 

 悲鳴に近い声を上げれば、それを心地の良い音楽にも聞こえてるのか上機嫌に笑いながら3本の缶ビール追加である。

 ちょっと顔が赤くなってるし、テンションも高いから酔ってるんだろうなー思えばまさかの素面だった。世界最強は伊達じゃないってこと……? 

 

「……そういう織斑さんはいないんですか?」

 

「いない。うちには手間のかかる弟がいるからな。あの朴念仁に彼女ができれば私も作るさ」

 

「……頑張ってください」

 

「……意識はしていないはずなんだがな。友人であるお前の貴重な意見を聞きたいが……実際はどうなんだ?」

 

「意識はしてるとは思いますよ? ただ、その、友人として誘われていると考えてたり、友人として接している節が。誰かが、そのきちんと告白すれば自覚とか持つ、はずですよ……」

 

「……はぁ、頭が痛くなる話だ。我が弟ながらいい男だとは思うんだがら当人がアレだからな……」

 

「……頑張ってください」

 

「……2度も言うな。2度も」

 

「一度もなかったんですか? その、一夏が誰かを好きになったりとか……」

 

「現状を見れば分かる初歩的な質問をするな。それがあれば私が弟の友人に励まされるわけなかろう」

 

 織斑さんは額を抑えて深いため息を吐く。

 その、失礼だけど一夏が誰かに対して恋愛感情を抱く姿がちょっと想像できなくて。

 意識しているのは間違いないんだ。だけど、当人は異性の友達として接しているようでそういった目で見ないように自粛してるんじゃないかなぁ。

 

「教師として学園内で火遊びはないと喜べばいいのか、姉として嘆けばいいのか……」

 

「あの、ちなみに一夏が誰かと付き合ってそれで会ったら織斑さんはどうするんです……?」

 

「男性操縦者という希少価値で近づいたくだらん奴ならば別れさせる」

 

 冗談混じりに答えると思っていれば、まさかの真顔で即答である。

 ……なるほど。これがブラコン? というやつなのだろう。

 なぜ知ってるかと聞かれれば、最近ラウラがまた新しい日本の文化を知ったと嬉々として説明してきたのだ。今度は更識さんが教えたとか……。

 

(一夏大変そうだけど……うん、僕は一夏なら乗り越えられるって信じてるよ)

 

「他人事のような顔をしてるが、お前もその該当者だからな」

 

「えっ……っ!?」

 

「何を驚く必要がある。お前を拾ったのは私だぞ? 後見人としてお前を見る義務が私たちにはある」

 

「い、今は特に誰かと特別な関係になろうとは思っていませんし……それに今後人と付き合うとかちょっと考えられないというか……」

 

「時間が経てば考えが変わるのも人間だよ。傷心中だから、誰かに好意を抱く余裕がないだけさ。今は友を守るために戦うだろうが、いずれ好きな人を守るために戦いへとな」

 

「……尚更、ですよ」

 

「そうか。ならばお前は永遠に私のものということか」

 

「へっ……っ!?」

 

 予想外の答えに間抜けの声が出た。

 織斑さんはどうした? と平然と涼しげに聞いてくる。

 いや、だってと言葉がまとまらないではくはくと口を動かすと織斑さんはその姿を面白がるように口角を上げる。

 

「なんだ、ストレートに言われるのは慣れていないのか」

 

「い、いや、誰だって急にあんなこと言われたら驚きますよ……っ!?」

 

「顔が少し赤いぞ? くくっ、そうかそうか照れているか。可愛らしいじゃないか」

 

「そ、そんなことはありませんよ」

 

「言ったろ? 私に誤魔化しは通じないとな。女子からも人気の高いシャルロットから告白された男が照れるとは。いやはや、久々に美味い酒だよ」

 

 自分の顔が少し赤くなっているのが分かる。

 だって目の前の人は何度も僕を受け止めてくれた人だ。何も言わない僕を何も聞かず、何度も受け入れて、信頼してる人の口から堂々と言われたら嬉しくないだなんて嘘を言えるわけないだろ。

 

「ああ、もうこんな時間か」

 

 つられて時計を見れば時刻は夜の0時。

 部屋へと誘われて約2時間ほど話していたらしい。こうやって織斑さんと長時間落ち着いて話ができたのは久々で楽しかった。

 

「時間も遅いですので、そろそろ僕は戻ります」

 

「遅くまで付き合わせて悪かったな。遅刻したら大目に見てやるさ、私が原因だからな」

 

「その時はよろしくお願いします」

 

「……まだ悪夢は見ているか?」

 

 夜も遅くなり退出しようと席を立ち上がると、それを呼び止めるように真っ直ぐな眼差しで聞いてくる。

 前にも聞かれたが結局相談することもなく今日まで過ごしてきた。

 ああ、この人はあの時の相談を今でも待ち続けてくれてるんだ。

 

「……前に比べれば最近は見る頻度は少なくなりました」

 

「そうか。……前にも言ったが何かあればいつでも相談しに来い。ご覧のように私も、山田君も話し相手には飢えているからな」

 

「それなら、時間がある時に来ます。……それに、()()さんと話すの僕も好きですから」

 

「はっ、私を口説こうなんざ後2年ほど出直してこい」

 

 立ち上がった千冬さんに乱暴に頭を撫でられる。

 仕返しで言ったつもりだったけど、アルコールで薄らと顔が赤くなってるのからわかるわけないか。

 だけど、嬉しそうに薄らと笑みを浮かぶ千冬さんの顔が見れた。それだけで僕は満足だった──





 色々詰め込みすぎだけど、ちっふーとキラ君とのお話回!!物語は少し進んだから許せ、サスケ()
 くだらない話で軽口を言い合って、盛り上がるのは一番最初に出会ったちっふーかなって。この2人が話すのほんと久々だな……

 そういえばバレンタインイベで某都市サーヴァントが湿度高くて大変おハーブでしたわ!!徐福ちゃんも距離感近すぎない??……卑しいでしゅ!!
 そしてテスカトリポカがもうギャグ時空に染まってました。やっぱ負けたらギャグ要員だなって…()

誤字&脱字報告いつもありがとうございますっ!!感想も毎度してもらえてとても励みになっておりますっ!!次の更新は未定ですが気長にお待ちくださいー!!
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