翼を失くした少年   作:ラグーン

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もう、僕頑張ったから来月の投稿サボっていいよね?……へへっ、だって、今月3回も投稿したんだもの((


第5話 代表候補生

 

 

(うん、やっぱりこの世界でのISの立ち位置は兵器に近いと考えた方が良さそうだ。……ううん、兵器そのものとみた方がいい)

 

山田先生の言葉に耳を傾けながら5冊の中の一冊の教科書のページをめくりながらそう結論づける。専門的な用語は流石に聞かないとわからないけど適性検査が終わったその後に渡されたあの参考書を読んでいて正解だった。今のところはなんとか山田先生の言っている意味がわかる。でも、山田先生や織斑先生に直接教えてもらったこともあるから周りの人より少し――ううん、かなりズルをした気がしなくはないけど元はこの世界の人間じゃないこともあるからそれぐらいは許してほしいかな。

 

(わからないことがあればシャルロットさんに聞けば教えてもらえるとは思うけど……彼女を頼って大丈夫なのかな?)

 

先程の休み時間に声を掛けられたシャルロット・デュノアという少女に頼るのは些か不安になってしまう。山田先生や織斑先生に頼るのは確定で安全だけど、2人に頼ってばかりなのは流石に気が引ける。このクラス内で唯一馴染んでいるわけじゃない僕が織斑先生と山田先生以外に頼れそうなのは消去法で彼女だけになってしまう。

 

「……もう少しだけ様子を見た方がいいのかな」

 

誰にも聞こえない範囲でボソリと独り言を呟く。たった数分しか話したことがない以上は下手に警戒心を露わにしたら彼女に失礼でもあるし……今後このクラスで共に過ごしていくことを考えると率先してクラスの雰囲気を悪くはしたくない。……あの時のようにみんなに距離を取られるみたいな結果になるのは嫌だから。

 

(うん、今はシャルロットさんについてはこれで考えるのはやめよう。……それにしても僕とそれほど変わらない子がISの知識を持って、それを学んでいるのは正直複雑かな)

 

流石にノートを取っている周りの女子が懸命に学んでいるのを邪魔する訳にもいかないのでチラリと見る。ISはこの世界の女性にとっては当たり前なものと聞かされた時は驚愕したのは記憶に新しく、この世界で戦争が起きるというわけではないけど率先して兵器と同等またはそれ以上のISの扱い方を習おうとしている姿を実際に見て思い浮かぶのはただ彼女たちが取り返しがつかない状況にならない事をひっそりと願うことだけだ。

 

「織斑君、ヤマト君。何かわからないところはありますか?」

 

「なんとか大丈夫です」

 

「…………」

 

山田先生が僕たち2人が授業についてこられているかを確認することも含めてかはわからないけど、僕は多少わかっていることを伝えれば『えっ、マジで』っと一夏がギョとした様子で僕を見てくる。……えっと、参考書は確か一夏ももらったはずだと思うから全部と言わなくても少し読んでれば専門用語はともかく少しは分かると思うけど。終始無言だった一夏は何かしらの覚悟を決めたのか山田先生の言葉に口を開いた。

 

「ほとんど全部わかりませんっ!」

 

はっきりと堂々とした物言いには清々しさを感じるけれど一夏の一言で教室内の空気は固まる。一夏が参考書を読んでいるかについては後で考えるけど、一夏の言葉は僕にとっては別に衝撃なことでもない。だって僕も含めて一夏もISが未知な領域であるのは確かであって知っているのが当たり前と思ってるのはちょっと間違いだと思うかな。

 

「……はぁ、入学前に渡された参考書は読まなかったのか、うん?」

 

「古い電話帳と間違えて捨てましたっ!」

 

敬礼をして一種の覚悟を決めた一夏の頭に容赦なく本日で5回目の鉄槌が振り落とされる。……うん、流石の僕もちょっとそれはフォローはできないかな。確かに参考書の分厚さについては僕も同意見だけど。

 

「後日再発行するからそれを1週間以内に覚えろ。……いいな?」

 

「は、はい……喜んでそうさせてもらいます」

 

自身の落ち度ということもあるからかそれとも織斑先生に睨まれたからか、参考書を捨ててしまった罰に一夏は大袈裟に首を縦に振る。けどあの量を1週間で覚えるのは相当大変だろうなっと苦笑いを浮かべてしまい後で手伝ってあげようかなと思う。ちょっと緩んだ空気を引き締めるために織斑先生は咳払いをしてそのまま話を続ける。

 

「いいか、諸君らは知っていると思うがISは機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深くも知らずに軽い気持ちで扱えば必ず事故は起こる。そういったことにならないように事前に防ぐのが基礎知識と訓練だ。理解ができなかろうが覚えろ、そしてそれを守れ。それが規則だ、それを守れない奴がISなど扱えると思うなよ」

 

(……事故か。ヘリオポリスが崩壊したのは確かにザフトが襲撃したこともあるけれど僕にだって責任があるんだ。あの時に訳もわからないでランチャーパックを使ったからっ……)

 

織斑先生の言葉で思い浮かぶのはヘリオポリスの崩壊していく光景だった。ストライクに乗り突然と再度現れたザフトのMSであるシグーに訳もわからずランチャーパックの主力武装であるアグニを深く考えることもなく撃ち、半壊していたヘリオポリスはそれで崩壊という道を歩んでしまった。もしあの時にヘリオポリスが崩壊しないでいればみんな、まして彼女だって戦争に巻き込まれなかったんじゃないのか……?

そんな考えが一度よぎれば頭の中で、そのもしもという話が頭の中でぐるぐると何度もよぎる。

 

「望む望まざるにかかわらず、人は集団の中で生きなくてはならない。それすらも放棄するなら、まずは人であることを辞めるんだな」

 

織斑先生の言葉で僕は現実へと戻される。一夏にも言っていることではあるけれどそれは僕にも言われているような気がして、少しだけその言葉が肩に重くのしかかる。……でも、僕はISに乗る必要はないんだ。ここでは戦争なんか起きない……僕が戦う必要だってないんだ。そんなことばかりが頭の中で何度も繰り返されこの時間の授業はチャイムが鳴るまで頭に入ることはなかった――――

 

 

「……やべぇ、本当に授業の内容がわからねえよ。キラもやっぱりさっきの授業内容は理解してたりするのか……?」

 

「流石に全部ってわけじゃないよ。僕がわかっているのはあくまで初歩的なことかな。ISの基礎知識は僕も全くないし、専門用語とかはサッパリだから。でも、一夏は一週間以内に色々と覚えることができるんじゃないかな?」

 

「ぐおぉ……それ以上は言わないでくれっ!思い出すだけで今すぐ泣きたくなるんだ……!」

 

一週間以内にあの分厚い参考書の内容を暗記しないといけない現実を思い出した一夏は悲鳴に近い声を上げて頭を抱える。勉強なら手助けできなくはないけど暗記は自身との勝負だから手助けできることは少ないかな。一夏の様子をクスクスと笑えばふっと楽しんでいていいのか?っと思えば再度声をかけられる。僕たちはその声の主を聞けば篠ノ之さんでもなければシャルロットさんでもないクラスの人だった。

 

「―――少しよろしくて?」

 

声の方へと振り返れば腰に手を当ててベリーロングの地毛が綺麗な金髪で蒼い瞳がつり上がっていて、彼女はそんな目で僕と一夏を見ていた。同じクラスである人であるのは間違いないけど……名前を思い出せないでいると一夏は少しだけ嫌そうな表情を浮かべていた。

 

「あー、俺たちになんか用でもあるのか?」

 

「そのお返事に些か不満はありますが……まぁ、いいでしょう。ですが、このわたくしが話しかけているというのにその態度はどうかと思いますけれど?」

 

彼女の言葉に更に一夏の表情が険しくなるのを見て、これが織斑先生が言っていた女尊男卑の社会の一つであることに気づく。口頭では説明があったけど実際に目の当たりするとこの世界でもそういったことがあるのだと虚しく感じる。

 

「気を悪くしたんだったら謝るよ。でも、僕と一夏はこれが当たり前なんだ。それについては少しぐらい目を瞑ってもらえると助かるかな」

 

「……はぁ、いいでしょう。多少の無礼でしたら目を瞑ることにしてあげましょう。わたくしは寛大ですから。もちろんお二人ともこのわたくしをご存知ですものね?」

 

胸を張りながら髪を上げる仕草は似合っているなと思うけれど彼女のその視線は僕たちを見下ろしていて、この空気の中流石にそれを口にしてしまえば馬鹿にされていると勘違いされそうだ。……正直に白状したら僕は君が誰なのかを知らないし、一夏に視線を向ければ誰だ? と頭にクエスチョンマークを出している辺り答えは同じだ。

 

「―――イギリスの代表候補生にして、入試首席であるセシリア・オルコットさん、だよね?」

 

「あら、誰かと思えばフランスの代表候補生であるシャルロット・デュノアさんではありませんか」

 

僕と一夏と彼女の会話に割り込むように話に入ってきたのはシャルロットさんだ。そして先程まで話をしていた彼女の名前がセシリア・オルコットだと判明したのはシャルロットさんのファインプレーのおかげだろう。

 

「そんなに高圧的に接したら2人とも話しにくいと思うよ?一年間は同じクラスの一員だから仲良くしたいのにそんな高圧的に接したら仲良くできないよ?」

 

「あら、わたくしは別にそこにいる下々と仲良くなりたいと思ってなど微塵も思っていませんわ。ただそこのお2人はISの知識たる基礎知識の基礎すらも知らない様子、そんな出遅れている下々に手を差し伸べるのは悪いことではないでしょう?」

 

「そうだね、わからないことを教えてあげるのはいいことだと思うよ。でもそうまでして見下すように言う必要はないんじゃないかな?」

 

「あら?フランス代表候補生であるシャルロットさんはそのお2人を擁護するおつもりで?」

 

「それが何か悪いのかな?知らないだけで人を見下すようなことをするよりも遥かにマシだと思うけど」

 

ただ話している中でお互いに火花を散らしているようでとても2人の会話に割り込む勇気は僕にはない。2人は周りの目もお構いなしにヒートアップしていって僕はどうにかして止めないとっと考えていると一夏はポツリと言葉を漏らした。

 

「―――代表候補生ってなんなんだ?」

 

「―――なっ、なっ、あ、貴方はそんなことも知らないんですのっ!?代表候補生ですわよ!代・表・候・補・生っ!貴方は織斑先生の弟さんならばそれぐらい知っているのは当たり前だと思いますけれどっ!?」

 

「今千冬姉の名前は関係ねえだろ。そりゃ、確かに弟だけどそれとこれとは関係ない。それに俺は生まれてこの方ISなんて調べたことはない。知らないものは知らないって答えて何か悪いのか?」

 

そこだけは譲れないっと一夏はセシリアさんをじっと面と向かう。突然と自身を真っ直ぐと見つめてきた一夏にセシリアさんはたじろぐ。けれど流石代表候補生なのかすぐに持ち直して腰に手を当てる。

 

「っ、ただの猿人だと思っていましたが貴方は違うようですわね」

 

「ちなみに代表候補生は国家代表IS操縦者のことを指していてね、その候補生として選出された人のことを代表候補生って言うんだよ。わかりやすく言えばエリートってところかな?」

 

「へー、そうなんだ。説明ありがとうな。えっと、確か……」

 

「シャルロット・デュノアだよ。織斑一夏君とは初めてだからね。うーん、織斑君は織斑先生と被るから一夏って呼んでいいかな?。私のことはシャルロットって気軽に呼んでね」

 

「おう、よろしくな、シャルロット」

 

「きぃぃぃ!!貴方たちは何いつの間にか自己紹介をすませているんですの!?」

 

あー、うん、多分2人はセシリアさんを雑に扱うことにしたんだろうなぁ。けどさっきの一夏の場違いな発言のおかげでシャルロットさんとオルコットさんの険悪の雰囲気は終わったようだし。セシリアさんは息を吐き自分の威厳を保つように再度咳払いをして腰に手を当て髪をかき上げる。

 

「ま、まぁ?わたくしは入試で唯一、唯・一教官を倒したエリート中のエリートですからぁ?もしISのことでわからないことがあれば泣いて頼まれたら教えて差し上げることを考えなくはなくってよ?」

 

「んっ、入試ってアレか?IS動かして戦うってやつ?俺も勝てたぞ?」

 

「わっ、凄いね一夏!キラはどうだったの?」

 

「えっ、僕……?僕は男性操縦者として判明するのが遅かったこともあるから、その教官と戦うことはなかったかな……そういうシャルロットさんはどうだったの?」

 

「私は惜しくも教官に負けちゃった。ここぞって時に気が緩んじゃって、その隙を見逃してくれなくてそのままって感じにね」

 

突然シャルロットさんが前に詰めるように聞いてきたので驚きながらもなんとか答える。彼女にも聞けばシャルロットさんは負けちゃったと苦笑いを浮かべる。だから唯一ってセシリアさんは強調したのか。シャルロットさんも代表候補生だし。けど、シャルロットさんでも勝つことができなかった教官に一夏は勝ったようだけどどうやって勝ったんだろう?シャルロットさんとそれについてお互いに悩んでいると、一夏の衝撃発言によりフリーズしていたセシリアさんは再起動して呆然とした様子で一夏に聞いていた。

 

「きょ、教官を倒したのですか……?わたくしだけと聞いたのですが……」

 

「それって女子ではってオチじゃないのか?」

 

「……そうだとしてもそれを口にしなかった方がいいと思うよ、僕は」

 

「えっ?そうか?でも、アレって倒したって言えばいいのかわかんないんだよなぁ……」

 

「ちょっ、それってどう言う―――」

 

一夏の言葉に誰よりも反応したオルコットさんが一夏へと凄い剣幕で詰め寄る前にタイミングよくチャイムが鳴る。その音を聞いて一夏の言葉の真意を聞けなかった彼女はぐぬぬっと悔しそうに表情を歪めながら自身の席に戻っていく。シャルロットさんもまたねっと僕らに手を振りながら戻っていき、僕は最後に一夏にその言葉の意味を聞けば「いや、勝手に相手が転けた」っという事実にとりあえず僕はセシリアさんに軽く同情することにして、そのことは彼女には伝えない方がいいとアドバイスを送っておく。……うん、セシリアさんが知ったらさっきぐらいじゃすまないだろうなぁ。

 

 

「このまま三限目の授業を開始する、っと言いたいところだがそうもいかなくてな。再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めなければならん」

 

教壇に立つ織斑先生は面倒だと思っているのかため息を吐き、山田先生の両手には箱がありなんに使うのかと不思議に思う。それにクラス対抗戦、代表者……?未知の単語に首を捻っていると織斑先生の説明は続いていく。

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……わかりやすく言えばクラス長なようなものだ。そしてクラス対抗戦だが、入学時点での各クラスの実力推移を測るもので、今の時点では大した差はないが、競争というものは向上心を生む。ああ、あとこれは注意点だが一度決まったクラス代表者は一年間変更はできないからそのつもりで」

 

これってかなり大事なことだよね。教室がざわついているところを見ると慎重に考えるべきことだ。対抗戦は間違いなくISに乗ることは間違いないだろうし、まず誰かの上に立つことなんて僕には到底できる気はしないのでクラス代表者と言うのは遠慮したいかな。

 

「さて、今回は不正を防ぐこともあり票形式にすることにした。紙を渡すため代表者にしたい人の名前をその紙に書きたまえ。……後々文句を言われるのも面倒なため先に伝えておくが対抗戦で優勝をした場合ご褒美が出る。そのことをふまえて、誰を代表者にするかしっかりと考えて記入するんだな。制限時間は3分だ、その間に書かなかったものの票は無効とさせてもらう」

 

箱の中身はその票で使う予定だろう紙であり、少しの相談もさせないためか一人一人、織斑先生と山田先生が手分けして机の上に置いていく。全員に紙が配られたことを確認したら織斑先生の合図で開始される。

 

(別に白紙として出してもいいんだけど……出すとしたらあの人にだよね)

 

僕は紙にセシリア・オルコットと記入をして周りに見られないように紙を半分におる。さっきの休み時間での話を考えればこのイベントに彼女が代表者になりたいと考えているのは簡単にわかる。それにイギリス代表候補生という肩書きを持つ彼女なら代表者となっても充分にやっていけるはずだ。……性格に難はかなりあるけれど。時間制限である3分が経過し織斑先生と山田先生が紙を箱の中に回収をして教壇に立ち織斑先生がそれを読み上げて山田先生が黒板へと記入していく。

 

「……はぁ、お前たちは私が先ほど言った言葉は覚えていないのか?」

 

頭を抱えてため息を吐く織斑先生は少しだけ新鮮だけど僕も同意見で頭が痛くなる。山田先生もあははっと、苦笑いを浮かべているあたり余程のことだと思うんだけど。

 

「最も多く投票されていたのは織斑一夏、そしてその次にキラ・ヤマト、セシリア・オルコット、シャルロット・デュノア……後ろの2人はわかるがなぜ新米にもなっていない2人にこうも票が入っている」

 

「だって男性操縦者がいるのは私たちのクラスだけじゃないですかー」

 

「ですからそれを有効に活用しない手はないと思うんですっ!」

 

「……これでいいのならば最も票が多い織斑になるが構わないな?」

 

「いや、ちょっと待ってよ、千冬ね―――」

 

「なっっとくがいきませんわっ!!その当選に異議がありましてよ!!」

 

一夏の声を遮るように机を強く叩き、大きく声を出し抗議したのはイギリス代表候補生であるセシリアさんだった。こうなるよねっと半分ほど予期していた事態に僕はため息を吐きたくなったけれどぐっと堪える。

 

「わたくしと同じく代表候補生であるシャルロットさんが選ばれたのでしたら渋々……ええ、本当に悔しい気持ちでいっぱいになりますが大人しく引き下がろうとは思っていました。―――ですが、ISの基礎知識の基礎すらも知らない彼らが代表者になるというのは納得がいきませんっ!それになんなのですかっ!わたくしの票が4票って!わたくしは納得できませんわっ!」

 

 

「我儘のつもりなら話を聞くつもりはない、これは公平で決まった投票だ。イギリス代表候補生であるセシリア、お前が率先してルールを破ってどうする」

 

「っ、ですがクラス代表者として彼が相応しいかと問われればわたくしとしては相応しくないと断言させていただきますっ!いくら彼が織斑先生の弟であろうと簡単には認められませんわっ!ましてやもう一人である彼など―――」

 

「―――おい、このタイミングでキラは関係ないだろうが。クラス代表者として認めることが出来ないのは俺のことなんだろう?千冬姉とキラを巻き込もうとするんじゃねぇ!」

 

ガタリと椅子を倒しながら一夏は立ち上がりセシリアさんを強く睨む。一夏が突然と大きな声を上げたことに周りは驚いていたけれど僕は彼が怒ってくれた理由に驚く。

 

「俺は自分のことをなんて言われようが別にいいけどさ……友達のキラを悪く言うんだったら話は別だ。ようするに俺がアンタの言うクラス代表者に相応しければいいんだろう?」

 

「え、ええ、そうですわっ!貴方がわたくしを差し置いてクラス代表者に相応しいのか示してご覧なさいっ!わたくし、セシリア・オルコットは織斑一夏、貴方個人に決闘を申し込みますっ!織斑先生の弟君であろうと手加減をするつもりはありませんっ!!」

 

「ふんっ、その決闘受けて立つぜ。そして俺が勝ったらキラに謝れよ、いいなっ!」

 

「ふんっ、わたくしが負ければ幾らでも頭を下げて差し上げますわ。そして貴方がわたくしに負ければクラス代表者はわたくしに譲る、これで文句はありませんわよね?」

 

お互いに睨み合う中で織斑先生が手を叩き2人の仲裁に入る。っというか入らないとこのまま更にヒートアップしてお互いになにを口走るのかがわからない。

 

「はぁ、わかった。ならお前たちの要望通りその決闘は一週間後に行うことにする。いいな?その間に余計なことをすれば即座に取り下げるものとする。異論はないな?」

 

「わたくしは構いません」

 

「俺もそれでいい」

 

「今年の新入生は血の気が多いことだ……」

 

一夏とセシリアさんは視線を外すことなく織斑先生の言葉に頷き、その2人の姿を見て織斑先生は肩を竦める。このまま授業をやるぞっ、と織斑先生の言葉で2人は椅子へと座りそのまま授業へと入っていった―――

 

 

「ぬぐぐっ……全然わかんねぇ!!」

 

今日の授業は終わり放課後に入った。一夏は机の上に広げている参考書と教科書を何度も往復して読んだりしているけどその成果はいいとは言いにくい。そんな一夏にこのことを聞くのは気が引けるけれどセシリアさんと本気で決闘をするのか聞く。

 

「ねぇ、一夏は本気でセシリアさんと戦うつもりなの?」

 

「んっー、まあ、そうなるだろうなぁ。クラス代表者になるのは本音を言ったら嫌だけど……キラを巻き込もうとしたのは許せなくてついカッとなったけど後悔はしてない」

 

「……ごめん、僕なんかのせいで」

 

「そんな自分のこと卑下するなって。キラは悪くないし、友達の悪口を言われたら我慢できないのは当たり前だろ?だから気にする必要はないぞ」

 

「……ありがとう、一夏」

 

いいってと爽やかに笑う一夏の姿は僕には少しだけ眩しかった。こんな僕を友達だからという理由で立ち上がってくれたのは正直に言えば嬉しかった。けれど僕がいなければこうならなかったと思うと憂鬱になる。それを気づかせないように彼と話しているとすっかり聞き慣れた少し焦った声で山田先生が声をかけてくる。

 

「よかったぁ。2人ともまだ教室にいたんですね!」

 

「どうしたんですか?山田先生」

 

「2人にはこれを渡さないといけなかったので。はいっ、これが一夏君とヤマト君の部屋の鍵です」

 

ニッコリと微笑みながら僕と一夏に部屋の鍵を渡される。そういえばIS学園は寮生活なんだっけ?僕にとってはこの寮がこの世界の自宅になるけれど。

 

「あれっ、でも俺って一週間は自宅から通うってことになってたと思うんですけど……」

 

「えっと、それについてなんですけど事情が事情なので部屋割りを一時的な処理として無理矢理変更したそうです」

 

その辺りは色々とありましてっと山田先生は申し訳なさそうに表情を暗くする。僕たちが前例のない男性操縦者としてこの学園に入学したこともあり学園側としてもかなり苦労しているんだろうなぁ。そこら辺は本当に申し訳ないと思う。更に僕の場合は異なる世界の人間だし……。

 

「なので2人には申し訳ないんですけど、一ヶ月間は相部屋で我慢してください。一ヶ月後ぐらいには個室も用意できますので」

 

「えっと、それはいいんですけど……俺一度家に戻らないと荷物が―――」

 

「荷物については私が先に手配しておいた。生活必需品だけになるがな。着替えと、携帯電話の充電器……あとは暇つぶしようにトランプをつめておいた。他に必要なものがあれば後で私に言え、時間がある時に取りに行っておいてやる」

 

「いや、千冬姉大雑把だし、多分探してる間に―――ひっ、いえ、ナンデモナイデス」

 

何かを言おうとすればギロリと織斑先生に睨まれた一夏は片言になり目を伏せる。多分、あの様子だと織斑先生は大雑把なんだろうなぁ。そんなことを考えている時に織斑先生は僕へと視線を向けたので思わず背筋に嫌な汗が出る。

 

「ヤマト、お前も相部屋ではあるがその一週間は一人で生活することになる。ある程度自由には生活はしていいがそのことを忘れるなよ?わかったか」

 

「は、はい。わかりました」

 

「わかったのならばいい。お前も生活必需品は部屋に置いてある」

 

「えっ、相部屋ってキラと俺じゃないのっ!?」

 

僕と織斑先生の話でどうやら相部屋をするのは僕と一夏ではなく他の人のようで一夏は驚く。……つまり僕と一夏は女子と相部屋になるってことなのかな?そのことを言えば織斑先生は微妙な表情を浮かべてそうなるなっと呟く。

 

「私たちもどうにかしたかったが上の決定だ。……なるべくお前たちには負担がかからない相手を選んだつもりだ。それについては謝罪する」

 

「い、いや、別にいいって……一ヶ月なら多分大丈夫だと思うから」

 

「え、えっとね!夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってね。えっと、それで大浴場もあるんですけど学年ごとに使える時間は違います。ですけど、その、織斑君とヤマト君は今のところ使えません。その、まだ織斑君とヤマト君が大浴場を使えるように時間調整ができていなくて……当分シャワーになります。ごめんなさい」

 

「シャワーが使えるのなら大丈夫ですよ。一夏もそうだよね?」

 

「まぁ、シャワーがあるんだったら困ることはないかな」

 

一夏は残念そうに肩を落とす。大浴場で入るのが好きだったのかな?……僕にとって今の問題は相部屋の方なんだけど。一夏と相部屋になるのなら大丈夫だとは思うけど他の女子と相部屋になるのは正直断りたい。けれどこれは僕自身の我儘になる。

 

「私たちは今から会議なため、用があるならばその後に職員室へ来い」

 

伝えることは終わったようで織斑先生と山田先生は教室を後にする。その背中を見送って大変なことになりそうだと鍵を見つめる。僕と一夏はお互いに顔を見合わせてとりあえず自分たちの部屋に行こうかと提案をする。さっきの話を聞いて教室内外が騒がしくなってるしね。これじゃあ、一夏が勉強に集中できないから。

 

 

「……ここが僕の部屋か」

 

山田先生に渡された鍵の番号を手掛かりにして同じ部屋番号を見つける。確か織斑先生の話では僕と相部屋をする人はまだいないらしい。それまでは一人で過ごすことと一緒だけど……あまり散らかさないほうがいいよね。散らかすようなものは特にないってのが事実だけど。

 

(ベットは二つあるけどその人が来るまでは使わないほうがいいよね。どっちを使いたいのかわからない以上は)

 

ストライクのコックピットで寝てたこともあるし床で寝るのも大して変わらない。毛布を借りさせてもらうけれど床か壁に寄りかかって寝れば大丈夫かな。

 

(……今日はもう疲れたから少し眠ろうかな)

 

今日一日というより、こんな風に当たり前に自身が生活をしていていいのかと考えてしまう。こうやって皆んなと普通に過ごすことがつらいと感じてしまうし、今すぐにでも僕はここから去るべきなのはわかってる。

 

(……僕はこれからどうすればいいのかわからないよ)

 

壁に背を預けて蹲る。この答えはきっと誰かに求めては駄目なんだろうと思う。けれどその答えを僕自身から見つけることはこの世界に来てから、一度も見つけることができなかった。やがて睡魔に襲われて僕の意識は少しづつ落ちていく。ヘリオポリスで皆んなと過ごしていたことを思い出しながら―――





ははっ、やったぁ!次は多分セシリアさんの独壇場だ!!今のところは予定通りに進んでいる……あとは私が謎にオリジナル回を作らなければ済む話だ((届かぬ願い

えっ?キラ君との相部屋するのは誰かって?……いやね、うん。もうほぼ答え出てるから私はあえて言わないかな。とりあえず登場できるように投下を頑張ります((白目

誤字&脱字報告はいつでもお待ちしておりますっ!それでは次回の更新は未定ですが気長にお待ちください!
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