もはやサブタイトルのネタなど殆どなく血反吐吐いてます。だいたいは適当に思い浮かんで書くとか思いつきが殆どなので……うん、とりあえずサブタイトルはこれからもこんな感じでズボラですけど許してください(白目
『コーディネイターでもキラは敵じゃねえよ! さっきの見てなかったのか! どういう頭してんだよ、お前らは!』
──夢でとっても懐かしい夢を見ていた。初めてストライクを動かした後に、僕に銃を向けてくる人たちから庇うように前に立ってくれたトールのことを。あの時彼がそうしてくれた時とても嬉しかった。コーディネイターである僕を友達と言ってくれることが。……でも、僕はそんな友達であるトールを守ることができなかったんだ。
『えっ……!?』
アスランが搭乗するイージスとの戦闘の時にトールが搭乗する一機のスカイグラスパーが援護してきた。それを鬱陶しく思ったアスランはシールドを投擲し、そのシールドはトールへと弧を描くように飛んでいきそのままトールが乗るスカイグラスパーに直撃する。そしてトールは────
「──やめろぉぉぉぉ!!」
飛び起きて手を伸ばすが空を切り、伸ばした手は何かを掴むことなく力なく落ちていく。呆然としながら肩で息をしてさっきまでの出来事が夢であったことに気づいたのは数分後だった。大量に汗をかいたのか、その汗を吸っただろう服が気持ち悪い。
「……夢なら、よかったのに……」
虚な瞳で天井を見上げながらボソリと呟く。そうだ、アレは実際に起きた現実なんだ。あの時に僕は彼を守れずにトールは死んだ。僕の大切な友達の一人である彼を僕は守れなかった。……本当ならきっとトールだって生きてこうやって普通な生活に戻れたはずだったのに。今は何も考えなくはないと項垂れていたら扉からノック音が聞こえてくる。
「──キラ大丈夫っ!?シャルロットだけどっ!?」
(……どうして、シャルロットさんが……?)
どうして彼女が?っと疑問が浮かぶけど、そんなことを考えるほどの余裕はなく彼女に大丈夫だと伝えるのも億劫だった。今は動きたくなく考えたくもないっと、思っていれば鍵が開いていることに気づいた彼女が扉を開けて部屋へと入ってくる音が聞こえた。
「キラ大丈夫……っ!?」
「……大丈夫だよ……嫌な夢を見ただけだから……」
「けど、すごく顔色悪いよ……?汗もすごい量だし……それに涙出てるよ?」
慌てて近づいてきて項垂れている僕の表情を確認した彼女の言葉で自分が今泣いているということに初めて気づく。自分が今泣いている自覚がないことに戸惑いながらも、自身に言い聞かせるように大丈夫だよっと覇気のない声で言う。納得はしていなさそうだけど彼女は渋々と引き下がる。
「一度シャワーを浴びた方がいいよ。汗も凄いし……サッパリすると気分も落ち着くと思うから。まだ時間はあるから、ね?」
「……そうするよ。シャルロットさんはゆっくりしてて」
「う、うん。そうさせてもらおうかな」
シャルロットさんは緊張でもしているのかぎこちない笑顔を浮かべる。けれど僕もそれを気にかける余裕もなくタオルと着替えを持ち、おぼつかない足取りでシャワー室へ向かう。制服を持ってくることを忘れたことに気づくけど、後で着替えれば大丈夫だよねっと思い、シャワー室に入り蛇口をひねり冷水を頭から浴びる。シャワーが冷たいけれど目を覚ますこと、汗による体のベタつきをなくすのにちょうどいいやと割り切る。
「えっと、キラ。制服も一緒に置いておくね?忘れていたようだったから……」
「あっ、うん……助かるよ」
考えることもなくぼうっとシャワーを浴びていたら制服を持ってきてくれたようで、扉越しからシャルロットさんの声が聞こえてくる。ありがとうっと伝えて彼女の気配が消えたのを感じ一度扉を開けタオルだけを取り、そのまま体を拭き制服へと着替える。……髪はまだ少し拭き足りないけどこれぐらいなら大丈夫かな。
「ごめん、少し待たせたかな……?」
「う、ううんっ!!全然そんなことはないよっ!?えっと、むしろ私が押し掛けてきたしね、うんっ!」
シャワー室から出てくるとあたふたとしてシャルロットさんが首を横に振る。どうしたんだろう……?理由はわからないけど僕が原因かな?そんなことを考えれば僕を心配するように顔を見る。
「キラ、本当に大丈夫なの?今から一緒に朝食をとろうと思って誘いに来たら凄い声で叫んでたけど……」
「僕は大丈夫だよ。嫌な夢を見るのはよくあることだから……」
「よくあることって……」
「シャルロットさんが気にする必要はないから。……それに、これは僕が見ていないといけないものなんだよ」
嫌な夢を──―悪夢を見て魘されるのは別に今日が初めてというわけじゃない。この世界に来てから寝ていれば必ずと言っていいほど夢を見る。それは今日みたいに覚えていることもあれば、覚えていない日だってある。夢の内容だって毎日変わりあの世界で体験してきたことや、夢だとわかる怖いような夢を見ることだってある。けど、どんな夢だって僕が目を逸らしてしまったら駄目なんだ。だってそれは僕があの世界で生き残り、この世界へと来てしまった贖罪だと思うから。……ううん、きっとそう思うこと自体が痴がましいことなんだろうね。
「それじゃあ行こっか、シャルロットさん。もしよかったらだけど一夏も誘っていいかな?」
「う、うん。私は大丈夫だよ」
戸惑いながらもシャルロットさんは頷く。申し訳ないけど彼女と2人きりになるのはできる限り避けたいかな。一夏の部屋はどこにあるのかわからないけど……シャルロットさんは知ってるかな?うーん、食堂に行けば会えるとは思うから食堂に向かうことにしよう。急に押しかけるのは迷惑になると思うしね。
「よかった、やっぱり先に食堂にいたんだね。おはよう、一夏」
「おはよう、一夏」
「おう、2人ともおはよう」
食堂にへと行けば一夏は先に居て、そんな彼の隣には篠ノ之さんもいた。一夏と篠ノ之さんの前の席は空いているようだしこのままこの場所に座ってしまおうか?悩んでいれば一夏が一緒に食べようと誘われたので遠慮なく座ることにする。
「篠ノ之さんもおはよう」
「……ああ、おはよう。確か、シャルロット・デュノアだったか?できれば私のことは名前で呼んでくれ。あまり名字で呼ばれるのは好きではない」
「うん、わかったよ。それじゃあ、これからは箒さんって呼ばせてもらうね。私のことは気楽にシャルロットって呼んでくれていいから」
コクリと篠ノ之さんは頷きシャルロットさんはそれを見て笑顔を浮かべる。2人の様子を見る限りでは仲良くなるのにはそう時間がかからないかな。シャルロットさんは今僕よりも一夏や篠ノ之さんと話している方が気が楽だと思うしね。
「そういえば昨日の夜の時、食堂でキラの姿見なかったけど、どうかしたのか?」
「昨日は部屋に戻った後にすぐに寝ちゃったから。起きたのは食堂の使用時間が過ぎた後だからいけなかったんだ。もしかして心配をかけちゃったかな?」
「少しな、けどそれならよかった。……なら、それって少し足りないんじゃないか?昨日の夜食べてないなら尚更」
「そうかな?特にお腹空いてないから僕はこれぐらいで大丈夫だよ」
「まぁ、キラがそれで大丈夫ならいいけどよ……」
一夏が心配しているけど僕の朝食は洋食寄りでパンにスープ、そこにサラダといったメニューだ。昨日の夜は確かに食べていないけど元が小食だし、そこまでお腹は減っていないのが本音だ。
「まぁ、僕のことよりも一夏は今後どうするの?決闘までは約一週間だけど……」
「それなんだけど出来ることをやろうとは思ってる。少しでもISの知識を身につけようかなって思ってんだけど……キラとシャルロットはなんか他にいい案はないか?」
「そうだね……私はセシリアさんの情報を集めるべきだと思うかな。セシリアさんはイギリスの代表候補生だから知る人ぞ知る有名人であることには変わりないんだよ。そんな有名な人のISの情報を探す、なんてどうかな?」
「僕もシャルロットさんと同じ意見かな。僕と一夏は少なくとも他の人よりも情報が圧倒的に足りていないから、まずはあの人のことを知るべきなんだと思う。相手がどんなISなのか、その武器の特性を知っていれば多少は有利になると思うよ」
僕もシャルロットさんと同意見で、一夏の相手であるオルコットさんのISの情報を手に入れることを提案する。実際に彼女とは対峙はしていない以上は彼女がどれほどの実力者かはわからないけど、今の一夏にとっては容易に勝てる相手じゃない。むしろ圧倒的な不利であるのは変わりないから、少しでも勝てる方法を考えたらまず相手を知ることなんだと思う。
「休み時間や、昼休み辺りに織斑先生か山田先生に聞いてみるといいんじゃないかな。きっと2人とも教えてくれると思うよ」
「うーん、千冬姉が教えてくれる気はしないけど……そうだな、とりあえず今日中には尋ねてみるか」
この後の方針が一旦決まったこともあり一夏に少しばかり余裕が生まれたようで安堵する。僕がこれ以上一夏のためにやれることはもうないかな。ISの操縦については僕よりもシャルロットさんに聞くことになるだろうし。朝食は量が多いこともないため僕は先に食べ終わり、みんなが食べ終わるのをゆっくりと待っていると食堂に織斑先生の声が響き渡る。
「先に伝えておくが、これから遅刻した者は問答無用で校庭を5周走ることになるため嫌な者はサッサっと朝食をすませるようにしろ。そして、キラ・ヤマトはいるかっ!いるのならば5秒以内に返事をしろっ!」
「は、はいっ!」
織斑先生から名前を呼ばれたこともあり挙手しながら立ち上がれば、今食堂にいる人たち全員に視線を向けられる。織斑先生に指名されたということは何かしら理由があるんだと思うけど……どうしたんだろうか?
「よし、いるな、ヤマト。今からお前は私と職員室へと来い、拒否権はなしだ」
「わ、わかりました」
「キラ、千冬姉に直接指名されるって……なんか、したのか?」
「キラ、食器は私たちが戻しておくからお前は織斑先生と共に職員室へと行ってこい。織斑先生の様子から見るに重要なことみたいだからな」
「うん、助かるよ。しの──箒さん」
「また、教室でね、キラ」
「うん、また後でね、みんな」
箒さんの言葉に甘えて僕は織斑先生の元へと向かう。僕の姿を確認した織斑先生はついてこいと短く会話をすませて、僕と織斑先生は職員室へと向かう。職員室へと向かう途中で織斑先生と話をすることもない、けど僕はこの静かな空気は嫌いではなくむしろ好きな方だ。職員室へと辿り着き、織斑先生が事前に用意していたであろう椅子へと座り向かい合う。
「入れ、そう身構えなくてもいい。コーヒーは飲めるか?」
「は、はい、いただきます。えっと、どうして僕を職員室に呼んだんですか?」
「……お前に関することではあるから念のために職員室へと来ただけだ……まぁ、面談だと思え」
言葉を選ぶように間があいた答えに不思議に思えば、出来上がったコーヒーを織斑先生から受け取る。少しだけ息を吐きながら冷まして、飲めば味はブラックでその苦味がまだ抜けていない眠気を覚ましてくれる。
「さて、時間もないため本題へと入るが昨日の夜はどうしていた?夜の食堂の時間の時にはお前の姿が見えなかったが」
「えっと、ですね。僕は昨日は織斑先生と山田先生と別れて部屋ですぐ寝ちゃったんです。起きた時にはすでに食堂の時間を過ぎてしまって、それで昨日の夜は食堂には行きませんでした」
「つまり、昨日はただ寝過ごしただけだということか。お前は人よりも少し痩せているようだから3食はきちんと食べろ。お前は食べ過ぎるくらいがちょうどいいだろうからな」
「あ、あはは、次からは気をつけます」
呆れた顔で溜め息を疲れてしまい僕は苦笑いを浮かべる。これでもきちんと食べている方なんだけど……うーん、せめて織斑先生の言う通り3食きちんと食べた方がいいのだろうか?お互いにコーヒーで一息つきながら織斑先生は少しだけ気まずそうに話を続ける。
「……今朝、お前の部屋から叫び声が聞こえたと報告があった。朝にシャルロットがそれを聞いてお前の部屋に入ったと聞いたが本当か?」
「……っ、はい、本当です。でも、シャルロットさんは別になにもしていませんよ。全部が僕が悪いんですから」
「その原因はなんだ?お前のことだから悪ふざけというわけでもあるまい」
「……夢を、見るんです。この世界に来てよく嫌な夢を見るんです……今日の嫌な夢は僕にとって、とっても嫌な夢だったから……止めたくて叫んでしまったんです……」
「……それは毎日のようにか?」
声に出す気力もない僕は震えながら小さく首を縦に振る。そんな僕の姿をみて表情を歪め織斑先生はそうかと静かに呟く。織斑先生と視線を合わせづらくなり俯きコーヒーが入っているマグカップを持つ両手に力を込める。
「次また何か悪夢を見たら私か山田先生の元へと来い。……お前の根本的な解決にはならないだろうが誰にも話をしないよりかはマシだろう」
「……考えておきます」
期待して待っておくと織斑先生は言葉にするけど、僕の様子を見て相談をすることがないのはなんとなく察しがついていると思う。それに見た夢をそのまま話にすると言うのは躊躇いがあるから、どうにしても誰かに話せるようなものじゃないと思う。
「私からの話は以上だ。事前に山田先生にはお前の朝話すことがあると伝えていたから遅刻扱いにはならないはずだ」
「わかりました。えっと、突然なんですけど、その、お願いがあるんです。……今日、一夏が織斑先生か山田先生に尋ねてきたらセシリアさんのISについての情報を教えてあげてくれませんか?」
「ふむ、それはアイツの行動次第と言っておこうか。一夏が自身から少しでも勝つ意欲があるのならばセシリア・オルコットの専用機の持つ武装等は教えよう。私か山田先生の元へ今日中に来たのならば考えておこう」
織斑先生は少しばかり考え込み、そして一夏が来れば考えなくはないとそう口にする。僕としてはその言葉が聞けた時点で目的は達成したようなものだ。この様子だと織斑先生は一夏が尋ねてくればきっと教えてくれるだろう。
「はい、それで構いません。僕はそろそろ教室に戻りますね。コーヒー美味しかったです」
「ああ、わかった。そして最後に念を押しておくが……何かあるのならば私の元へ相談しにこい、話ぐらいはいくらでも聞いてやる」
「……はい、その時はお願いします」
最後にぎこちない笑顔で僕は織斑先生の言葉に頷けば、それを痛々しいものを見たかのように表情を歪める。織斑先生がなぜそのような表情を浮かべたのか僕にはわからないけど、きっと僕が何かしらまたやってしまったのだろう。
(……今日はいつも以上にちょっと気をつけないといけないかな)
職員室を後にして密かにそんなことを思う。僕自身が気分がまいっている自覚は僅かながらある。多分、今日はみんなの前では上手く笑えないだろう。一夏の手伝いをするつもりだったけど……今日はやめた方が良さそうかな。そんなことを考えていれば教室にたどり着いて、少しだけ気まずさもあるけど扉を開ける。もちろん視線は僕に集まり、身体が硬直してしまうが遅れてくる理由を知っている山田先生は穏やかに微笑みながら話す。
「ヤマト君、事前に織斑先生から聞いてるので遅刻にはなってないから安心してね。それでは、みなさん授業再開しますよー。ヤマト君は何かわからなかったら遠慮なく私に言ってね」
「はい、わかりました。その時はよろしくお願いしますね、山田先生」
生徒である僕に頼られることもあるのか山田先生は嬉しそうで僕も少しだけ頰を緩めてしまう。僕が席につくことで授業は再開していく。少しだけ教室の空気がなんとも言えない空気のようだけど……どうしたんだろ?それが気になったけれど授業に集中しよう。そうしたらその時だけは嫌な事も忘れることができるはずだから──―
「あー……、疲れた……これで今日まだ午後が残ってるって考えると正直気が気が滅入るぞ……」
「いつからお前はそれほどだらしなくなった。もう少しシャッキリしろ、一夏」
「昼休みぐらいだらしなくさせてくれよ、箒」
疲労を隠しきれない一夏は疲れた様子で息を吐き、そんな一夏を見て箒さんは呆れたような視線を向ける。僕はそんな2人を見て仲がいいんだなっとつい頬を緩めながら眺める。すると耳元で囁くように小声でシャルロットさんは今朝のことを聞いてくる。
「ねぇ、朝に織斑先生に呼ばれてたけど……大丈夫だった?」
「うん、織斑先生に呼ばれたのは昨日の夜に姿を見なかったことの確認とちょっと朝のことで確認されたぐらいだったから」
「そっか……今朝のことは余り言わない方がいいんだよね?」
「うん、そうしてもらえると僕としては助かるかな」
「んっ?シャルロットとキラは何話してるんだ?」
僕とシャルロットさんがコソコソと話していることに不思議に思った一夏が聞いてくれば、ビクリと身体が反応するシャルロットさんを見て僕は苦笑いを浮かべる。この様子だとあまり隠し事とか得意じゃないのかな?僕も余り言えるわけじゃないけれど。
「うん、気にするようなことじゃないよ。今朝に織斑先生に呼ばれたことを聞かれただけだから」
「あー、それは俺も気になるな。千冬姉に呼ばれるっていったい何をしたんだ?」
「一夏、キラは自身から問題を作るというよりも巻き込まれる方が近いだろう。だが、私も少しばかり気になるな」
「特に大したことじゃないよ?昨日の夜の食堂の時にどうして姿を見せなかったのか確認されて、少し注意を受けたぐらいだからね」
「ちょっと注意されるだけですまされるのは、俺としては羨ましいかぎりだぞ……」
「一夏には容赦がないからね、織斑先生。でも、僕としては少しだけ羨ましいかな」
そうかぁ?っと首を傾げる一夏に僕はそうだよっと笑いながら答える。そうやって壁もなく遠慮なく接する姿は僕としては羨ましい。きっと今の僕では前のように両親へと接することができる自信はない。……結局話すことなくこの世界に来ちゃったわけだしね。
「ねぇ、君が噂の子でしょ?」
自分の世界のことを考えていた事もあり、一夏が誰かに話しかけられていることに気づくのが遅れる。誰だろう?っと思い姿を確認すれば僕が知っている人ではなく、同学年というよりも雰囲気は大人びている。リボンの色を確認すれば赤色で3年生のようだ。
「えっと、噂って事なら多分俺のことだと思うけど……」
「なら、こっちの彼じゃなくて君の方かな?専用機持ちの子と決闘をするって噂を聞いてどんな子かと思って気になっちゃってね。もし、よかったらそれまでの間は私がISについて教えてあげようか?」
ISについてと言われ一夏は悩むそぶりをみせ、そんな一夏の様子を見て箒さんは表情は無表情ではあるけれど少しだけ焦ってるように感じる。どうしたんだろう?っと思うけど箒さんと一夏は幼馴染であるのを思い出して、彼女がなぜ焦っているのかが何となく察する。箒さんが何かを言おうと口を開く前にシャルロットさんがそれを遮るように口を開く。
「その決闘の日まで一夏は私たちと訓練することになっていますので。先輩のお気持ちは嬉しいですけど、すみません」
「あら、そうなの?それは残念ね。それに貴女はフランス代表候補生であるシャルロット・デュノアさんのようだし……織斑一夏君、気が変わったらいつでも声をかけてきてね」
箒さんの気持ちを察したのか、シャルロットさんがやんわりと3年生にお断りをし、彼女はシャルロットさんが何者かを知っている事もあり特に何かが起こることなく去っていった。最後に一夏にウインクをしてたところを見ると気が変わったら声をかけては本気そうかな。
「……すまない、助かった」
「ううん、気にしないで箒さん。私も一夏の特訓には元から付き合うつもりだったから。だから、一夏も特訓のお誘いがあっても今後は自分から先約があることを伝えて断るんだよ?」
「お、おう、わかった。シャルロットも代表候補生の1人だから特訓に付き合ってくれるのは正直助かるぜ。だったら今日の放課後に早速お願いできるか?」
「うん、もちろんいいよ。キラはどうする?もしよかったらキラも今日の放課後どうかな?」
「そうだね……今日は少し遠慮しておくよ。僕にできることは正直なさそうだし、いても邪魔になりそうだからね。それに少し放課後は用事があるから」
「俺としてはキラも来てくれると嬉しかったんだけど用事なら仕方ないよなぁ……けど、いつでも来てくれよ?キラなら俺はいつでも歓迎だからさ」
一夏の言葉に少しだけ胸が痛くなりながらも僕は頷く。今日の放課後に用事なんてなくもちろん嘘だ。みんなとこうやって過ごすのは楽しいけど、少しだけ1人の時間が欲しいと思うのは自分勝手なんだろうね。
「それなら今のうちに一夏に伝えておこうかな。今日の内に放課後に織斑先生か山田先生の元に尋ねたらいいことがあると思うよ」
「いいことって……?千冬姉の元に行くだけで正直そんなことがあるなんて想像もできないんだけど……」
「悪いが私も少しばかりそれは想像できないな。千冬さんはどちらかといえば一夏をしばく方じゃないか?」
「あはは、僕は織斑先生は優しい人だと思うけどね。けど、放課後に行って損は絶対にしないと思うよ。きっと一夏の欲しい情報が手に入るから」
「キラ、もしかしてそれって──―」
シャルロットさんが答えを口にする前に織斑先生の声が食堂に響き渡る。つまり昼休みの終わりが近いってことかな、僕たちは既に食べ終わっているのでトレーを返却して教室に向かうことにした。
「あー、ようやく今日の授業全部が終わった……!!」
「喜んでいるところ悪いが早速今から特訓だぞ。決闘となった以上は勝利するつもりで取り掛からなければな」
「そんなのわかってるって。うっし、それじゃあ今から行こうぜ2人とも」
「その前に織斑先生のところに行こうね。キラの教えてくれたヒントはとっても重要なことだから。あっ、ちゃんとメモできるものとか持っていった方がいいかも」
今すぐにでも教室から飛び出そうとしている一夏と箒さんをシャルロットさんが宥める。この様子だとシャルロットさんは少し苦労しそうかな?僕が遠くから見ていることに気づいた彼女は僕の元まで来てそっと耳打ちをする。
「今日の夜食にまた誘うね。そして、織斑先生にセシリアさんの情報をもらえるように頼んでくれてありがとう。また後でね、キラ」
伝えることを伝えたシャルロットさんはすぐに離れて一夏と箒さんを連れて教室を出て行く。ちなみに彼女が耳打ちをしてきた姿は教室に残っているクラスメイトにはバッチリと見られているわけで、その視線は教室に残っている僕へと向けられているから居心地が悪い。
(……うーん、シャルロットさんがワザとやったのかちょっと勘繰りたくなるよ)
居心地が悪い事もあるから教室を出てある場所へと向かう。あのまま教室にいたら変に質問をされそうな感じだったしね。廊下ですれ違うごとに視線を向けられるけどさほど気にするほどでもなく、誰かに呼び止められる事もなく目的地にはアッサリと着いた。
「……何度見ても空の色だけは僕の世界とは変わらないんだね」
僕の世界と変わり映えのない空を眺めながら呟く。僕の向かった場所は学園の屋上で放課後という事もあり誰一人として人はいない。昼休みとかだったら違っただろうけどね。仰向けに倒れて空をただ眺める。この行動に意味があるのか?っと聞かれたら僕には答えられないだろう。手を伸ばしたところでもちろん空に届くわけはない。けれど、それが無意味だと知っていてもそうしたかった。
「……空は確かに同じだけど、その先の宇宙には君はいないんだよね」
僕の目の前で宇宙の闇へと消えていった彼女をただ想う。許されようと思っていたわけじゃない、ただ彼女に謝りたかったんだ僕は。彼女を傷つけてばかりで、約束も守る事もできなくて、そして最後には守ることもできなくて。
「……つらいんだ、みんなと過ごすのがつらいんだよ……僕はどうしたらいいのかな、わからないよ……フレイ……」
縋るように彼女の名前を呼ぶけれど彼女の声は聞こえない。押し潰されそうになり、苦しんでいた時に優しく声をかけてくれた彼女の声は聞こえない。立ち上がる気力もなく、伸ばしていた手を力なく下ろして虚ろな目で空を見る。左腕のブレスレットであるストライクに触れれば気のせいかも知れないけれど暖かい温もりを感じた──まるで僕を励ましてくれた彼女のような温もりを。
いつのまにか評価の色が赤になってちょっと驚きましたが、更新遅くなり申し訳ありません。そして先に伝えておきますが次はガッツリとセシリアさんとの決闘回へと持ち込みます。ねれば後1話はオリジナル出せなくはないですが蛇足になりそうなので素直にカットです。ちなみに決闘回も長引かせるつもりはありません、だって視点がね?あとやりたいことの都合上短くなるのは許してください……それでは次回は未定ですが気長にお待ちしてもらえると助かります!
誤字&脱字の報告いつでもお待ちしております!もちろん感想もですよ((ボソッ