魔法忍術作成研究所   作:風雲たぬき

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第一話

 

少し古ぼけたキッチンとダイニングに、風呂とトイレと洗面所。

そして4畳半ほどの部屋がワンルーム。

周りの真新しい共同住宅に浮くように存在する小さな木造家屋は息を吸い込むと少しだけ埃っぽい。

とはいえ独り暮らしするなら広さなんてこれで十分だし、布団のセットと調理器具一式、生活に必要な雑貨はある程度そろっている。

それだけではない。

磨き上げられた忍具というものは基本的なものがそろっているらしい。

投げて使うらしい手裏剣、近接戦闘時に短剣として扱うらしいクナイ。チャクラを流すと数秒後に小さな爆発を起こすという起爆札や、いざという時の兵糧丸という食料。

そして、お願いしておいた身の丈程の頑丈な木の棒。先端には重さを出すためにしっかり安物ではあるが大きめの純度の低いクリスタルをつけてもらっている。

……お金がたまったら硬い宝石をつけてもらおう。魔力を封じた宝石じゃないので魔法の威力は上がらないが、見てくれは大事だ。

修行できるようにと小さいが庭もついていて、的のついた丸太と木偶人形が置かれている。

起爆札は訓練場に行くように言われているが、他の者はしっかり使えるように練習しておけ、という事だろう。

ワンルームから窓を開ければ縁側があり、庭先に立ってみれば二つの共同住宅の隙間からしっかり太陽の光が降り注ぎ、洗濯物がよく乾くいい環境だ。

息を大きく吸い込むと、この世界の空気を感じることが出来る。

木の葉隠れの里、とはよく言ったもので、周りに広がる森や山のおかげか発達した街中でもしっかり緑の匂いがする。

忍術と呼ばれる魔法に似たものがあり、それを操ることが出来る忍というものがこの世界を支える職業として定着しているならば環境の問題あまり大きくないのかもしれない。

そういえば、研究所の所長になって物資もしっかり届くため、もうずっと研究所から出ていなかった気がするな。

目いっぱいに肺に空気を取り入れると、気合を入れて的を見る。

 

「っ、はっ、そら!! 」

 

そうして投げた手裏剣は物の見事に的の張り付いた丸太を外れ、家を囲む石垣、その石材の隙間にぶっ刺さった。

 

「まだまだぁっ!!」

 

さらに俺は大きく飛び上がり、腰のポーチから取り出したクナイを真っすぐ投げる。地面に向かって。

さらにさらに、空中では大きく身をひるがえして後ろに下がるように縦に一回転する、ここで脳内の敵は俺に手裏剣を投げてきたからだ。

空中では大きく動くことはできないが、ここでよけながらすぐに反撃に転じることが出来れば大きな武器になる。攻防一体の武器に。

イメージに合わせてしっかり頭の中で手裏剣を避けつつ、その隙を逃さずにクナイをさらに2射!!

 

「これで終わりだな!」

 

回転中に軸がぶれたせいで体が斜めにずれていたため、縁側に置いておいたミカンはクナイによってまるで破裂する頭部のようにその瑞々しい果汁をぶちまけた、もう片方のクナイは窓ガラスをぶち抜いてカーテンにからめとられてしまった。

 

「……」

 

そして華麗に着地。

 

「……黒魔道士、白魔道士、赤魔道士に召喚士のジョブしかやってない俺に一体何を求めているのか。こういうのは狩人の仕事であって俺の仕事じゃないんだなぁ」

 

ナルトさんがつけているだろう監視の目はさすがに位置を気取らせない。

だが見られているというわずかな気配は感じる。

本気で調べれば割り出せるだろうが、そんなことはどうでもよかった。

ここは自分の名誉のためにとりあえず言い訳をしておく。

 

「そもそも魔道士とは近接はともかく投擲武器なんて使わない、自前の魔法でアウトレンジは自分のフィールドなんだからな。牽制のために前衛が行うか、魔力を乗せた一撃を放てる職業に比べたら威力なんてそれ事その辺の石ころよりはマシってレベルなわけだ」

 

……居たたまれないとか思われている気がする。

 

「逆にこの攻撃のタイミングでしっかり魔法や術を放つことが出来れば、こんな道具に頼る必要はないわけで……まぁ、魔力の節約という意味ではその重要さはわかっているつもりだけど?」

 

視線がそれた気がするのに、なぜか哀れみの気配をぶつけられて意図せずに監視の位置がわかってしまった。

もうやめろ、と言われている気がする。

 

「……ま!! 元の世界に戻ったらシーフか狩人のジョブも経験と思って取得しておこうかナ!!」

 

心のメモ帳に屈辱の記憶とともにどす黒いインクで書き残しておく。絶対。

ついでに今監視しているヤツは覚えたからな。

呪ってやる。黒魔道士なめんなよ。

 

 

 

さて。クナイや手裏剣は消耗品なのでしっかり拾っておく。

石垣に刺さったものが一番気になるが、どれも刃こぼれ一つない。

 

「ん、んんっ!!」

 

全て回収し終えると気を取り直すつもりで咳ばらいをする。

 

「次はチャクラを練る練習、だな。アカデミーの教本では確かこう……」

 

人差し指と中指を立て、もう片方の手でそれを包み、こちらもしっかり指を立てる。

サスケさんが魔力を動かした際に精神エネルギーがどう、と言っていた。つまり精神エネルギーは魔力を動かすイメージでいいんだ。

問題は、身体エネルギーのほうだが。

 

「ええーっと……細胞からエネルギーを抽出する。その際、イメージは各個人の一番しっくりくるイメージで行うほうがより効率よく抽出することが出来る。この教本はあくまで一例だという事を念頭に置いて、まずは……ふんふん」

 

縁側に開いた教本を読み、今度こそ庭に真っすぐ立って目を閉じる。

精神エネルギーは問題ない、若返ったといえど修練で増やしたコレは膨大にあるし、動く感覚もわかる。

身体エネルギー、抽出。抽出……細胞を、雑巾を絞るようなイメージでやってみるか。

細胞を絞る。雑巾から余った水分が滴るように、筋肉を構成する細胞を絞りあげていく。

 

「……!! あった、これが身体エネルギー……」

 

溢れてきた身体エネルギーに、精神エネルギーのほうが反応している。

まるで一つであることが自然かのように。

身体の内部で自分の意思通りに動く二つの熱をしっかり混ぜ合わせていく。

なるほどこれがチャクラ。1:1で混ぜ合わせたはずなのに、相乗効果でものすごく増幅されている。

割合で言うならば魔力換算で10と言ったところだろうか。

だが練ったチャクラは長時間体にとどめておくことが出来ないようだ。

少しずつ体から外に溢れて量が減っている。

勿体ないのでこのまま放つことにする。

人差し指を真っすぐに木偶人形にむけ、いつものように魔法陣を脳内で構築、そこに魔力の代わりにチャクラを流し込んでいく。

 

「これで……【水遁・ウォーター】!!」

 

構築した魔法陣に練ったチャクラを3ずつ区切って送ることで、拳大に生成された水弾を指先から射出させる。

連続で2射目、3射目が素早く指先から射出されると、木偶人形の頭、胴、足へとぶつかり、大きく揺らして術が終わった。

 

「ふぅ。身体エネルギーと練り合わせるだけで、とても燃費が良くなるし、練ったチャクラをどの程度注ぐかで威力も変えられる。これは便利だ」

 

とはいえ、いくつか欠点もある。

まず第一に、身体エネルギーの抽出に少し時間がかかる。

これならば多少の訓練である程度は使いこなすことは出来るだろうが、今現在では戦闘で使い物にならないだろう。

魔法を行使する際の魔法陣を脳内に構築するプロセスと並行して、そのタイミングでチャクラも練れるのが理想だろうか。

魔力を流すだけと違い、どうしても練るという工程が増えてしまうのは、ナルトさんやサスケさん、それより一つ二つ劣るくらいの最上位クラスの相手だと致命的な隙につながる。

精神エネルギーである魔力は元の世界の影響か膨大にあるため、子供の体でなければ負けはしてもナルトさん相手に食い下がることは出来るが、それでも鍛えた身体エネルギーと合わせてチャクラにして使用すれば、単純に普通に魔法を行使するよりも10倍の威力向上が見込めるのは大きな利点か。

そして第二に、子供の体は身体エネルギーが精神エネルギーに比べて圧倒的に少ない。

たとえ精神エネルギーが膨大にあったとして、今の俺の体の身体エネルギーはスカスカだ。

どうあがいても、身体エネルギー分しかチャクラを練れない計算になる。

そもそもどちらかが切れたらチャクラ切れになって気絶してしまうので、全部使うこともできないのだが。

体術も、打根術は高いレベルで使えるが、子供に戻った幼児体型ではイメージ通りとまではいかないだろうな。

大人の時と比べて魔力、精神エネルギーは減らなかったのが不幸中の幸いだ。

 

「んっ、ん、ん……ぷはっ」

 

さて、朝の準備体操は終わり、忍術学校とやらに登校しますかね。

友達、出来るといいんだけど。

学校なんて魔術院以来だ。あの頃は俺もトッゲトゲの強さに貪欲な、まわりを目の敵にしてたやつだったからなぁ。

断じてぼっちではない。周りも皆ライバルって感じだったしな、卒業後にいい成績であればあるほど、師匠選びもできるしな。

でも友達は欲しい。たとえ子供たち年下が相手でも、友達は欲しいさ。うん。

忍具入れのポーチを一応腰につけて、背中には特製のクリスタルスタッフを背負う。

ツバの広い帽子やローブを着たい……どこかで売ってないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

立派な塀に門構えを超えると、中央を真っすぐ行けば大きな建物。

歴史のある建物だとライブラが教えてくれたが、改修を定期的にしっかり行っているのか屋根や壁の塗装は真新しく、周囲の教育用と思われる施設も外見はとても立派だ。

ここからでも見える建物内部の廊下はさすがに距離があってわからないが、やはり15年ほど前とは言え、戦争をする際の主力が忍者なこの世界では、それを教える学校もしっかりとしたものなのか、それともこの発展した町に合う学校の基準がこれなのかはわからないが……。

見上げている事数分。急に後ろのほうが騒がしくなってくる。

 

「ん?」

 

振り返ってみれば、三人の少年が一人の少年に追っかけまわされている。

ふざけているんだろうか、子供は元気がいいというか。

……なんであの子らはこっちに向かってくるのかわからないが、ふざけてるにしては表情が真剣なような

 

「あっやべぇ!! なんでこんなとこにガキがいんだよ!? おーいそこのお前ー!! お前も早くにげろってばさーー!!」

「え、あー……」

 

もうすぐ目の前まで三人組に距離を詰められると、追いかけているほうの緑の服を着た、ちょっと印象深い顔つきの少年が何やら異様な雰囲気を放っているのがわかる。

こういう時は大抵、やっかい事なのは人生経験でよくわかる。

編入早々問題は起こしたくないので、することはただ一つ。

後ろに向かって前進である。って……。

 

「せっかく逃げたのに、なんでこっちに向かってくるんだよ君たちは!」

「うっ、す、すまねぇってばさ」

「あーあ、巻き込まれちゃったね、いけないんだボルト」

「オレのせいかよ!?」

「ちっ、とにかく今は逃げるぞ! 君も速く走るんだ」

「まだ全然鍛えてないからダッシュはよくても体力が厳しいんだからな俺!」

 

頭髪が黄色で青い瞳の前髪が特徴的な少年、色白で薄いクリーム色の少年、オールバックにしたうえで後ろで髪を結ぶ少年とともに、緑の少年から逃げ回る。

渡り廊下から学校に入り、その先を抜けて裏手にある丸太のある訓練場へと抜けると、オールバック少年の「隠れろ!」の号令とともに手近な草むらに四人で飛び込んだ。

 

「……隠れても無駄です」

 

幸い、飛び込むところは見られていないのか、遅れて出てきた緑服の少年はあたりを探し始める。

不意打ちを警戒してしっかり周囲全体に気を配っているところを見るに、訓練はしっかり積んでいる子なんだろう。

 

「こえぇ……」

「静かに!」

「逃げてるだけじゃ、ラチあかねーなぁ」

「お前が逃げろつったんだろーがよ!」

「今度こそ作戦練ったから大丈夫だ。反撃に出るぞ」

 

草むらに隠れながら、巻き込まれた俺を蚊帳の外に三人の少年が相談をしていく。

 

「いいか、まずボルト」

「お、おう」

「まずはお前の【影分身】で不意打ちを行い、メタルの気を引き付ける」

「なーるほどなぁ、不意打ちして気を引いた後に、お前の【影縛りの術】で動きを止めるってわけだな?」

「ばっかお前、それじゃあ今のメタルには通用しねぇよ。本来の力をしっかり出してるメタル、かなりやるみたいだぜ」

「なっ、馬っ!? じゃ、じゃあどんすんだよ」

「ボルト、お前は俺に【変化の術】で化けておくんだ。そんで、いのじんは【鳥獣戯画】で黒くて長いヤツ……そうだな、ヘビでいいか、ソイツをボルトの影に潜ませておく」

「へぇ……シカダイ、よく考えるもんだねぇ」

 

ええと、黄色髪の子がボルト、色白の少年がイノジン、そんでオールバックの子がシカダイね、なるほどなるほど。

さっきから術の話をしてるみたいだから忍術科、つまり今日から同級生になる子たちってわけだ。

 

「で、最後、ボルトが影を伸ばしたふりをしたうえで、ボルトへ意識をさかせつつ接近戦で気を引き必要があるんだが……ボルト、お前影分身は後一人出せるか?」

「いや、三人全員でとびかからせないとオレが影を伸ばすフリするのに信憑性薄れちまわねぇか?」

「だよな、仕方ねぇ。ちょっと気が引き切れるか不安だけどイノジン」

「俺がやろうか?」

 

後1手足りない。

そんな様子を見せる司令塔のシカダイに声をかける。

近接戦闘なんて久方ぶりだし、この体で打根術をする際のすり合わせに、ある程度訓練を受けた少年は丁度いいはずだ。

それに何をするのかわからないけど、忍術らしき名称がぽんぽん出てくるこの状況は正直、とても面白いし見学料として協力するくらいはしてもいいだろう。

背中のスタッフを手に取って軽く2,3度握りしめる。

愛用していたものほどはやっぱり手に馴染まないし、重さも違うから、慣れていかないといけない。

注文したはいいけど、お金に余裕が出来たら新調させてもらわないとな。

 

「君……たたかえるの?」

「うちの妹やデンキより小さいじゃんか」

「小さいのは関係ないでしょ、これからクラスメートになる相手に向かってずいぶんだなぁ」

「ゲッ、お前そんなちいせぇのに忍術科かよ……」

 

シカダイ、それはどういう意味だろうか。

というか、小さいのは種族柄だ。

肉体があまり成長せず、小柄な種族だからこそ魔法の扱いに長ける種族なんだから仕方ないだろう。

この世界には人間しかいないのか、種族という概念はないのか?

 

「んじゃ、転入生の実力、拝見させてもらうとするか。皆、ヘマすんなよ? ボルト!」

「おう! 【影分身の術】! そんで、【変化の術】だってばさ!」

「へぇえ……」

「ボクもいくよ、【忍法・鳥獣戯画】!」

 

シカダイの表情が、ピタリとピースが嵌ったかのような気持ちのよさそうなものになっている。

この作戦はきっと成功するんだろう。

声をかけられたボルトが即座に術を発動したようで、彼が3人増えたかと思うと、本体はシカダイにそっくりそのまま変身する。

それだけではなく、イノジンは描いた黒い蛇の絵が動き出し、シカダイに化けたボルトの影に潜み始めた。

なるほど、これが忍術。

魔法よりもずっと多様性がある。

増えたボルトは実体も持っているようだし、変化に至っては見た目は完ぺきにシカダイくんだ。

イノジンの術も絵が動くということは、描いたものに合わせて色々できるんじゃないか?

汎用性が高いな……で、ヘビを影に潜ませたということはシカダイのソレはきっと影に関する術なのかもしれないな。

 

「じゃ、いってくるぜ! うおぉぉ!」

 

興味深く初めて目にする忍術というものを目に焼き付けていると、分身のボルトが草むらから勢いよく飛び出していく。

分身しているボルトは自分のよく目が揺動だと理解しているので、一つ一つが迎撃されることを前提とした隙をわざと見せる大振りなので、すぐに対処されてぽんぽんと消えていってしまう。

ちょっとした衝撃でも消えていくのはやや不便かもしれないな、あの術は。

 

「忍法、影縛り!」

 

そして分身が消えると同時に本体のボルトがシカダイの恰好で影に扮したヘビを伸ばしていく。

動いているのはボルトだけではない、完全に不意打ちを入れられる位置に、草むらを伝って本物のシカダイも移動している。

皆冷静だ。

これはうかうかして失敗していられない。

 

「どうやらその影は射程距離があるようですね!」

「くっ!」

「そこっ!」

「!? まさか影縛りをさらなる揺動に使うとは! ですが惜しかったです、ね!」

 

この二段構えで行けるとおもっていたのだが、気絶させるためにやや力を籠めすぎたスタッフに一撃は寸前で回避されてしまった。

シカダイが後ろからしっかり不意を突けるように、メタルと呼ばれた緑少年の視界に入る位置から飛び出したのだから仕方ないといえば仕方ないのだが。

それにしてもこのメタルという少年、とても体幹がいいのか、避けてからすぐに反撃に転じてきた。

身体を必要以上によける動作に使わず、勢いのまま回転、回し蹴りを放ってくるので、スタッフを縦にしてそれを受け止める。

子供の体なので体重は軽いし、威力は高いようで受け止めた手もしびれるが、しっかり踏めばとりあえず吹き飛ばされることはなさそうだ。

体幹を崩そうと受け止めた足を押し返すと、簡単には崩れてくれず、その勢いを利用されて第二の回し蹴りが飛んでくる。

スタッフでそれもしっかり受け止めると、今度は押すのではなく一歩体を後ろに下げつつ棒を蹴りと同じ方向に引いてみると、そこでようやく変化があった。

 

「っく!?」

 

一度押されたので、今度はその押された力も計算して力を込めていたようだが、引かれてしまったために足は空を切っていく。

蹴りというのは威力は高いが、体を支えるための足が地面についてるのだから一度体幹を崩してあげると隙ができやすい。

回し蹴りも避けられれば背面を取られてしまうので、メタルは当然俺の目の前で蹴りの勢いのままお尻を晒す形になる。

それを突くようにスタッフを横なぎに振るう。

狙うのは当然、防御しずらい下側で、しかも相手の選択肢を狭めることが出来る軸足……本来ならそうなのだが、そこを狙ってジャンプで避けられでもしたら、影と体のつながり切れてしまう。

影を扱う術で足止めをするのなら、きっと影と本体はつながっていないといけないのではないだろうか。

仕方なくメタルの側頭部を狙って先端のクリスタルをぶつけるが、やはりうまくはいかないようで、余っていた腕で防がれてしまった。

 

「……素手で受け止めて痛くないのか?」

「鍛えてますからね」

 

軽口を一つ入れるが、攻撃の手は緩めない。

ここで気絶させてしまってもいいはずなので、今度は踏み込んでスタッフを2度3度と振るっていく。

先端が重いため遠心力によって威力もあり、長い分先端だけでなく反対側で捌くこともできる、手数は割と多いこの武器。

大技である蹴りは危険と判断したメタルは両足をしっかりつけて両腕だけでガードしていくことにしたらしい。

しっかり守ってたまに拳を突き付けてくる。

隙が現れたら先端を振るって気絶や悶絶を狙い、突き付けられた拳は打ち払う。

もう少し力を入れればガードに利用した腕や攻撃の拳の骨にひびを入れられるが、今回は無力化をしたいようなので捌くにとどめておく。

ひきつけ、互角の演出でわざと戦闘時間を引き延ばしていくうちにメタルの背後の草むらから影が伸びてくる

 

「っ、しまった!?」

「!! もらいました、ぁ!? か、体がっ……!!」

 

互角だという演出のおかげで、じれてきた彼の拳にはじかれるような形で大きく隙をみせると、ここぞとばかりに攻撃に転じてくる。

それがぶつかる瞬間、彼の動きは完全に停止した。

 

「そんな、馬鹿な。彼には意識を払っていたはず、動いていないのにどうしてっ! か、影がっ!?」

「わりぃな、メタル。【影縛りの術】成功だな」

 

なるほど、【拘束魔法:バインド】に似ているな……。

でもあっちは足を止めるだけの魔法だから、こっちのほうがずっと使い勝手がいい。

いいなぁこの忍術、教えてもらえないだろうか、凄く気になる。

 

「な、なにっ!?」

「へへん、変化の術だってばさ」

「じゃ、じゃあその影はっ!?」

「ボクが描いたヘビだよ」

 

後ろから現れたシカダイの声に、うろたえたようにボルトのほうを見るメタルだが、続々とネタばらしをしていく。

 

「ぐ、ぐ、ぐぐぐっ……僕を騙すなんて、ぇっ!?」

「あ、おいお前っ!?」

「ごめん、やばそうな雰囲気だったから……すぐに起きると思うけど、とりあえずタンコブは出来たかもしれないから医務室に運んであげて」

「いいんじゃないの、冷静じゃないというか、様子がおかしかったし」

 

急に雰囲気が変わり、さらに力が上がりそうだったのでスタッフの柄で後頭部をぶっ叩いておいた。

申し訳ないが、そろそろ時間も時間なのでお暇させてもらう。

職員室に行かなければならないので、後のことはこの子たちに任せてしまおう。

 

「じゃあ、俺はもう職員室いくからさ、これからよろしくな」

「えー、いっちまうのかよ」

「めんどくせぇこと押し付けんなよなぁ」

「あはは……じゃあね、またあとで!」

 

気絶させてしまったお詫びではないが、とりあえずメタルを木陰まで運んであげて、すぐに踵を返して先に校舎に向かう。

彼らとこれから生活すると思うと、退屈はしないかもしれない。

色々な忍術も見れたし、空間魔法テレポの研究は魔力不足だし、まずは時空間忍術を調べるまでの間、しばらくはこの生活を楽しんでしまおう。

 

 

 

 




独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー

ジョブ/職業
たまにあるやつ。キャラの性能が変わったりするよね
魔道士
黒は攻撃魔法、白は回復魔法、赤は阻害や属性付与したりとかそんな感じよね
召は精霊とかよんだりして戦ったり、攻撃魔法うってくれたり、回復魔法うってくれたり。
主人公の世界では気軽にチェンジできたんじゃないかな、きっと!

主人公
体術 中忍くらい。ただし体力が全くないためすぐバテる。
忍術 下忍くらい。チャクラの元のエネルギーが圧倒的になりない。
幻術 アカデミーくらい。興味はある

【水遁・ウォーター】
脳内で構築したウォーターの陣にチャクラを流し込んで発射する。

【影分身】
ナルトやボルトの代名詞。
実体の伴う術のため、普通の分身よりも使い勝手がいい。

【変化の術】
アカデミーで習うレベルの術。諜報向きだし低難易度なのにめちゃくちゃ使い勝手いい。

【鳥獣戯画】
絵が動く。汎用性は高そう。個人的に好き。

【影縛りの術】
影を接続すれば本体を縛れる術。便利だしよく出てくる。
ジャンプで影と離れると拘束できないかどうかは不明。この部分は主人公が勝手に考察してるだけで捏造ではないからセーフ、セーフ

【拘束魔法:バインド】
実はそんなに出てこない魔法
足を止めて毒、足を止めて毒。定石。何時間とテレビの前で耐えられるなら強い魔法。
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