魔法忍術作成研究所   作:風雲たぬき

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用事や予定が入ると文字数少なくなるし、書きたい所まで書き込めない。
書き溜めてから週1とかで上げたほうがいいんだろうか。
みんなどうしてるんだろう……


第二話

 

忍という有事の際の戦力や、普段から荒事までこなす団体を育てる忍術学校と言うからには、戦闘による力に比重を置いてるのかと思っていたが、中々どうして体を動かしたり、実際にチャクラを練って術を使うという授業は少ないようだ。

クラスメイトや教師の話、また歴史の授業では七代目火影が子供の頃にはまだ忍術科しかなかったらしく、さらに前の国同士の仲がよろしくなかった頃はより実践に即した授業を中心に行っていたようで、即戦力になる人間や人員不足の際は飛び級などもあったようである。

今は七代目火影であるナルトさんを筆頭に勝ち取った平和と、近代化が進んだ影響で忍者の人気自体はまだまだ高いものの、将来と現実という視点で見るとどうしても忍者志望は少なくなっているらしい。

年々忍者の質も落ちてきていて嘆かわしいという老人は少なくないが、さて、一度大人になったことがあり、国でもそれなりに有名で優秀だった俺にとってはそんな老人を見返す程度のことは出来るだろうと高をくくっていたわけだが。

 

 

 

 

 

「せいっ! そい! そこっ!!」

「うおっ、おまっ、おいっ!!?」

 

縦に腕を大きく振るって全力で投げた手裏剣は明後日の方向へとすっぽ抜け、横からサイドスローで投げたクナイは横へ大きくそれる。

そのすべてが自習訓練時間でボルトと組手を行っていたイワベエという不良崩れの少年に向かって飛んでいってしまうが、かの少年は持っていたクナイを素早く振るってすべてを叩き落としてみせる。

 

「テメェ! ヒューズ! オレに何か恨みでもあんのか!?」

 

当たり前だが恨み等ない。

 

「……いや今のはほら、不意を突かれたとき君がちゃんと対処できるかのテストだよ、抜き打ちテスト。うん、イワベエは合格」

「思いっきりすっぽ抜けてたけどね~」

「アホかおめぇ、マジに当たったらどうすんだよ。お前先生が見てないとこで手裏剣の練習すんのやめろよな」

「テンメぇ、ボルト、ちょっと待ってろ」

「あっ、おいイワベエ!」

 

咄嗟に思い浮かんだ言い訳を粉々に砕いていくイノジンとシカダイの発言に、ブチギレ寸前といった様子のイワベエが俺に襲い掛かってくる。

 

「あ、あはは。ボクのほうに飛んできてたらさすがに危険だったよ、ボクはまだあんな風に打ち落とせないから」

「そーかぁ? デンキも最近頑張ってるし、何とかなるんじゃねぇ? な、シカダイ!」

「ボルトくんやシカダイくんには簡単に見えるだろうけど、普通刃物が飛んで来たら怖いよ」

「当たらなかったから良かったものの、ありゃヒューズのやつがわりぃ」

 

いつものスタッフでイワベエの拳や蹴りを防ぎつつ、打ち払うことで体勢を崩させ、隙が出来ればそれを振るって攻撃する。

イワベエも怒ってはいるが、訓練だという事できちんと手を抜いているらしく、本気でキレている様子はないので外野へと耳を傾けることが出来るが、正直事故のもとなのでシカダイの言う通り教師のいない場での手裏剣術の練習はやめたほうがよさそうだ。

 

「それにしても、あのイワベエやメタル、ボルトとしっかり組手出来てる時点で体術は中々だよね彼」

「まぁ、体術は、な。それにしたってそろそろ」

「ごぼへぇっ!?」

「体力がなぁ。あんなちいせぇ体で力負けしねぇようにそらしたり避けたり、体の小ささを利用した工夫はすげぇんだけど、持久力なさすぎんだろ」

 

ご明察である。

子供の姿になったとはいえ、研究職はフィールドワークで魔物と呼ばれる相手と戦うこともある。

その分の戦闘における勘は問題ないのだが、いかんせんその勘に体のほうが付いてこない。

全身をしっかり動かして近接戦闘を行っていると、すぐに息切れをし、力が抜けて受け流す最低限の力すら出せなくなってご覧のようにイワベエの拳が顔面に突き刺さるのである。

結構いたいのだ、これが。硬い木材でできたスタッフである程度打っているはずなのに、彼の拳や腕、恐らくあのボンタンに隠れた足もダメージは入っていないんだろう。

何度か入れた一撃も筋力が足りないので痣を作る程度が関の山だ。

急所に当たればその限りではないが、きっちりそこは防御されるか、体の向きが悪くそもそも打たせてもらえない程度には工夫されるしな。

 

 

 

 

 

「では、ヒューズ、【変化の術】始め!」

「そいや!」

「……はぁ。しっかりなりたい自分をイメージするんだ」

 

個人的にはこの変化の術は成功なのだが、シノ先生はお気に召さないらしい。

なりたい自分を想像して変化の術を行うことが課題なので、大人になった自分をイメージしているのだが、そもそもが成人しても小さくあまり肉体的に成長しない種族の体なので、ちょっと前までの大人の自分を想像して変化の術をかけると、ボルトより少し高いくらいの少年の外見になってしまう。

と、言うよりもこの変化の術、なりたい自分にイメージしながらチャクラを練るとその姿に変身する術なのだが、そのイメージというのが曲者で、俺の場合はなんだかんだと子供の姿の不便さが身に染みてしまっているのか、深層心理に反映された大人のもとの姿に戻りたいという気持ちがイメージとして強く反映されてしまうようなのだ。

先生の言葉の意味はわかる。なりたい自分、というのは人や物を客観的に見たうえで、その姿になりたい、という気持ちなんだろう。

俺にとってのなりたい自分、というのは、将来的にどうなりたいか、という深層イメージになってしまう。

言葉とは難しい。意味はわかっているのに、使い分けることが出来ない。『なりたい自分』違いのせいで、まったく変化の術がうまくいかない。

 

「まぁ、忍術は得手不得手の差が激しい。が、変化の術と分身の術くらいはしっかり会得してほしい。なぜならそれはアカデミーの授業クラス、難易度でいうならばE相当の術なのだから。」

「真面目にやっているんですけどね……【忍法・分身の術】!」

 

ぼふん! という煙とともに先ほど変化の術で自分自身が変化した、大人の自分が一人現れる。

こちらもまた、もう一人の自分をイメージしながらチャクラを練る、というもの。

俺の中で、俺自身はこの大人の姿なのだから、こうなるのも当たり前といえば当たり前の話だ。

 

「ヒューズってさぁ、火遁とか水遁とか得意なのに、なんで変化の術や分身の術がまともにできないのかしらね?」

「あわわ、で、でも、下忍でもないのに五大性質変化をすべて扱えるのって、とてもすごいことだと思うんですけど……上忍にもなかなかできることじゃない、そうですし……」

「委員長の言う通りぃ、確かに凄い術がたくさん使えるって、将来は有望かもねぇ~。でも幼いだけじゃなくて顔が可愛い系であちしの好みとは外れるかなぁ~」

 

席に戻ると、後ろから赤縁メガネの少女であるサラダ、紫の長い髪を束ねた少女であるスミレ、ふくよかな体型をしているチョウチョウからちょっかいをかけられる。

 

「だから、これでも真面目にやってるんだよね。チャクラを練るのは成功してるんだけど、ちょっと問題がね……大人になった自分をイメージしてるだけなんだけど……」

「大人って、あんたねぇ。あれじゃあ、いいトコお兄さんじゃないの」

「あちしの想像する大人ってのはぁ、もっと身長が高くてスマートなイケメンなんだけどぉ」

「はぁ……試験の内容が変化や分身じゃないことを祈るよ……」

 

種族柄無理なだけとはいえ、とくに高身長なイケメンになりたいわけではないので、どうにもやる気が出ないのも一つの原因なのだろうか。

身長の高さで使えない魔法は無いし、顔が優れていれば古代魔法を扱えるわけでもないんだから。

 

 

 

 

 

こんな感じで、かなり優秀なのは間違いないのだが色々なところでチグハグというのがクラスメイトからの俺への印象で、教師からはいまいちどう捉えていいか測りかねる生徒、という状態のようだ。

技術が違えば、別の世界ではどれだけ優秀であってもそううまくいかないという事か。

第一にこのチャクラというもの、応用力が高いエネルギーなだけあってイメージの力によるところが大きい。

精神力とか想像力とか、ふわっとしたものを媒介にした力で、それを当然と思う事が大前提なので、一度別の世界で大人としての価値観を培ってしまった自分には使いこなすのが思いのほか難しかった。

 

「オレ達のどこがガキだってんだ」

「そういう、すぐムキになる所だっていってるの」

 

授業中に言い争いをしているボルトやサラダは正真正銘子供なわけで、大人からしっかり習うことで自分なりのイメージを一から作り上げることが出来る。

培った価値観から連想してしまうイメージを捨てることができないのは全く厄介なことだ。

 

「そこまでだ! 全くお前たちは……今授業中だぞ。ヒューズから、忍具の口寄せをしてみるんだ、コレ」

 

言い争いを止めた木の葉丸先生が自分へと話をそらすために振ってくると、俺は手元に視線を落とす。

いま手元にある時空間忍術の忍具を口寄せする巻物とて、俺にとっては空間に作用する魔法のようなものだ。

空間魔法はまだ未知の技術、詠唱の理論から魔法陣に起こすことはできたが、失敗してしまった。

中途半端な知識は忍術へのイメージを大きく阻害する。

それがどういうことかというと。

 

「【忍法・口寄せの術】! ……ぜぇ、はぁっ……せ、成功、しました」

 

ご覧のとおりである。

俺の中で空間へ作用するイメージはあの実験が失敗したテレポの魔法。

長い詠唱の意味をすべて盛り込んだ魔法陣には膨大な量の魔力がいるので、普通は威力を削ぎ、形をシンプルにし、無駄なく効率よく誰でも扱えるようにしたものが完成形なのだが、あれはまだそのまま魔法陣にしたものなので、職員たち全員が少しずつ溜めていった魔力が必要だった。

だからそのイメージに引っ張られ、大量のチャクラを消費してしまう。

何とかする手がないわけではない、が……他の忍術と合わせて、やはり研究と知識は必要不可欠で――。

 

「お、おい、ヒューズ!?」

「!! 木の葉丸先生、すぐに医務室へ!!」

「わかっている!」

 

倒れ込んだ自分を抱き支えてくれた木の葉丸先生の声と、シノ先生の心配する言葉を遠くに、身体エネルギーのチャクラ切れを起こしてしまう。

 

「まさか口寄せの術でチャクラ切れがおきるとはなぁ」

「すみ、ませ……」

「あー、いい、いい。命に別状がなければな、疲れない修行なんてないんだぜ、コレ」

 

取り出した立った一つの忍具であるクナイ。同じ世界で、大して距離の遠くないただの物を取り出すだけでこの体たらくでは、元の世界で、自分自身の質量持った物体を帰らせるには言ったいどれだけのチャクラが必要なんだろうか。

木の葉丸先生に支えられながら、自分が取り出したクナイを眺めながらタメ息を吐いた。

 

 

 




独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー

【忍法・変化の術】
なりたい自分をイメージしながらチャクラを練ることでその姿に変身する術。
ヒューズが使うと身長160くらいの少年の姿になるが、これは彼自身の大人姿。
この作品ではあまり出ないが、彼の種族は本来魔法ジョブに特化した種族なので、肉体的な成長はあまり見込めない。
ただ、魔法ジョブに特化した種族とはいえ、戦士系の職業を使わないことはない。
多少有利不利が決まるだけで、実際の戦闘はジョブの力によるところが大きい

【忍法・分身の術】
もう一人の自分をイメージしながらチャクラを練ることで姿の自分を出す。
やはり少年のような見た目の大人姿のヒューズが出てきてしまう。
実体はないため、攪乱にしか使えない。

【忍法・口寄せの術】
時空間忍術でも比較的簡単な部類の術(と、作者はおもっております)
会得難易度もあまり高くなく、中忍クラスは契約さえできれば使っているものも多いらしい。
時空間に作用する、ということでヒューズ自身は苦手意識がある様子。
どうでもいいけど口寄せの獣って可愛いの多いよね。
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