魔法忍術作成研究所   作:風雲たぬき

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誰かボルト世代の二次書きませんか


第三話

 

 結局放課後まで医務室に残ってしまった。

 より正確にいうならば寝ていたといえばいいだろうか。

 忍術は魔法と違う。精神エネルギーだけでは発動できない。

 わかってはいたことだが、失敗を連想する負のイメージのせいでたった一つのクナイを呼び出すだけで身体エネルギーが空っぽになってしまった。

 今日の授業の分はどこかで先生に補修をしてもらおう。

 たった一人に放課後時間を作ってもらうのは正直ちょっと気が引けるが……。

 

「あ、シノ先生、さような……え? ええ? これはいったい何事?」

 

 校舎から出て、校門まで足を進めた所で異変に気付く。

 校門前で校舎に背を向けて立っているシノ先生に帰りの挨拶をかけようとすると、まるで対立するように女子と男子が左右に分かれている。

 

「来たか、ヒューズ。君も男子側に混ざりなさい」

「こっちこいよ、ヒューズ! 女子達に一泡吹かせてやろうぜ!」

「いや、え?? な、何が何だかさっぱり……」

 

 シノ先生の言葉と、ボルトから手を引かれることで仕方なく男子側に向かう。

 仕方なく近くのシカダイに事情を聴いてみる。この中では一番冷静そうだ。

 

「ね、ねぇ、シカダイ。これ一体どういう事なの??」

「いやなんかよォ。お昼ごろにボルトとサラダのやつが焼きそばパンを取り合って……説明すんのもめんどくせぇ」

「要は女子対男子の合同演習ってやつだよ。シノ先生がやる気になっちゃってさぁ」

 

 事情の最初の部分で説明を放棄したシカダイと、補足する気のないイノジンの完結すぎる言葉に余計に混乱する。

 とりあえず事情を察するに、男子の中心人物であるボルトと、女子の中心人物のサラダで焼きそばパンをめぐって争いが勃発。

 なまじ発言力のある二人の争いのため、クラス全体で男子と女子に分かれて不和が広がり、シノ先生がそれを仲裁するためにひとまず舞台を用意してくれた。

 

「ってことであってる?」

「すごいねヒューズくん。たったあれだけでそこまで予測できるなんて」

「まぁ、概ね間違ってねぇな。説明する手間が省けて助かったぜ」

 

 く、くだらなさ過ぎる。

 

「ルールはたった一つ。ここからスタートして、本館屋上にある旗を先に取ったほうが勝利。負けたほうは、勝ったほうのいう事を一つ聞くことだ」

 

 子供同士の喧嘩……それも女子を相手に大人の俺は本気を出していいんだろうか。

 いや、子供相手だからと油断できないのはこの数日、忍の授業を受けたのでわかっているが……。

 前の世界とルールが違うこの世界では、俺はまだ子供と言ってもいいだろう。

 で、あるならば、女子たちには申し訳ないが本気でやらせてもらおう。

 

「では……よーい、始め!!」

 

 シノ先生の号令とともに、即座に脳内に魔法陣を展開、集団なので上位魔法を行う必要がある。ここは一気に……!!

 

「ここはオレに任せろ!! 【土遁・土流壁】!!」

 

 上位魔法陣に魔力を流し込もうとした所で、イワベエが背中の棒を地面に突き立て、女子側の進行ルートに土の壁を迫り上げ妨害する。

 しまった、と思う。

 俺はさっきまで寝ていたから作戦に参加する時間もなかったし、始めの合図まで事情をかいつまんで聞くだけが精いっぱいだったからな。

 上位魔法は脳内で構築する魔法陣もやや複雑で、簡単なものでも数秒はタイムラグがある。

 一網打尽にしようとして裏目に出てしまった。これならサラダやチョウチョウと言った厄介な相手に下位魔法で素早く妨害すべきだった。

 

「皆、今のうちに行け!!」

 

 とはいえ、文句は言うまい。

 足止めという目的は果たしたし、ここはお言葉に甘えて先に行かせてもらおう。

 

「イワベエ、ナイス!」

「サンキューな、イワベエ!」

「おうよ! ヒューズ、ボルト! さっさと行きな!」

 

 先手は男子がゆずってもらった。あれならしばらくは持つだろう。

 そう思った瞬間、後ろでイワベエの悲鳴が上がる。

 

「無駄なカロリー使っちゃったじゃん」

 

 お、おおぅ。ちらっと見えたけど、あれは巨大化した拳だろうか。

 チョウチョウはああいう術を使うのか。単純に攻撃力が強いし、リーチもありそうだな。あれはスタッフでは受け止める処か受け流すことも難しそうだな……。

 

「【影縛りの術】!」

 

 追いかけてきた女子を今度こそ足止めしようとしたところで、俺より先に振り返ったのはシカダイだ。

 咄嗟に彼の頭を飛び越えるようにジャンプすることで、彼の足元から伸びた影を避ける。

 

「シカダイ! お前俺までかかったらどうすんだ!」

「わーるかったって! おかげで一網打尽にできただろ!」

 

 あれは俺を壁にすることで術の発動する瞬間を見せなかったんだろうな。

 信用されているとすれば聞こえはいいが、避けられなかったらどうするつもりだったんだ。

 ……それにしても、やっぱり彼の術は俺の魔法より使い勝手がいい所が――。

 直後、先頭から爆発音が聞こえる。

 見れば校舎の入口の昇降口から煙が噴き上げてしまっている様子だ。

 

「一体なんだってばさ!?」

「言い忘れていたが、校舎にはトラップが仕掛けてある。何故なら、より実戦に近い緊張感を持つためだ」

「い、いくら何でも、やりすぎじゃないかコレは……」

 

 流石に呆れてしまう。

 とはいえ、こんな事では誰も怯まないらしい。いや、女子の何人かは怯んでいるようだが……。

 シノ先生の言葉を無視して俺も男子に混じって突入する。

 

「ぎゃあああぁぁ!」

「うおおぉぉお!?」

「きゃああぁっ!!」

 

 阿鼻叫喚とはこの事か。

 一人、また一人と爆発に巻き込まれて人数が減っていってしまう。

 ボルトたちのやや後方を自分のペースで走っていくことで体力を少しでも節約するつもりだが、石や破片が時折飛んでくるため、それを避けながら進むのは意外に体力を使う。

 

「全く。シノ先生ってば何考えてんだよ! あれじゃあ校舎が壊れちまうってばさぁ!」

「というか既にガラスは粉々だし、扉はひしゃげたり外れたりしてるし、柱にも傷が入ってるんだけど……この修理費ってシノ先生が出すのかな?」

「そんな事より、ずいぶん人数が減っちまったなぁ」

「残っているのはボクたちだけ?」

 

 ……殺気!

 後ろを振り返ると同時に、スタッフを回転させて手裏剣を叩き落とす。

 メタルのほうも飛んできた手裏剣をすべて受け止めたようだ。

 

「こ、こここ、ここはボクがぁっ!?」

「よし、任せた!! いくぞ、ボルト!」

「えぇ!?」

 

 明らかに緊張した様子のメタルだ、本当ならばフォローしたほうがいいのだが……。

 とりあえず見捨てて逃げる!

 

「さらばメタル。お前が時間稼ぎしている間だけは忘れない……」

「ヒューズお前、メタルに容赦ねぇーな」

「ボクもあれはちょっと……」

 

 ちょっとした冗談のつもりだったのだが、なぜか俺がメタルに当たりが強いみたいな言い方をされてしまった。

 後方で彼の悲鳴が聞こえたが、ここは心を鬼にして彼の雄姿を胸に前に進ませてもらう。

 

 

「誰も気づかなかったのか?」

「……っ!? ……女子の数が足りない」

「なんだって!? じゃあ……!」

 

 メタルを見捨てた理由は簡単。多少の時間稼ぎをしてでも前に進まなければいけないからだ。

 

「生き残ったのはここにいるボルト、シカダイ、イノジン、デンキ、そして俺だけ」

「先頭を走っていただけ、男子の数は減っているが……」

「なるほどな、一度発動したトラップを後ろから追いかける女子はもっと数がいてもいいはずだ」

「別動隊がいるってことだね」

「やってくれんじゃん」

 

 ここにいる全員、頭の回転は速い。

 何度も思うが、子供と侮っていられないな。

 

「一番の最短ルートを行くぞ」

「今だって一番の最短ルートを言ってるはず、なんだけど……?」

「いや、本当の一番の最短ルートはこっちだ」

 

 シカダイの自信のある発言に、俺たちは顔を上げて頷き合う。

 ここにいるのは皆、今の俺には出来ないことが出来て、見習うべきところがしっかりある。

 背中を預けるに値する仲間といえる。仲間の言葉は信じるべきだろう。

 シカダイが途中でルートを変更し、俺たちはそれに追従する。

 追ってきている女子側も最短ルートは知っているため、これで追っ手を振り切れるはずだ。

 

「何も馬鹿正直に中を行く必要はねぇ。要は屋上につければいいんだ。そしてここが恐らく一番最短ルート」

「なるほど、非常階段! 任せてよ!」

 

 非常階段は災害時以外では使用禁止だから、頭から抜け落ちていた。ここからなら確かに屋上一歩手前の廊下までショートカットできるな。

 出入口にある鍵のかかった扉はデンキに任せる。

 この世界にある電気という物質は魔力庫を使用すれば再現が出来そうだ。

 彼の操作するパソコンという機械はよく分からないが、このあたりの技術も勉強していけば、いざ元の世界に帰るときの手土産としては十分かもしれない。

 

「彼女や、他の遠回りのルートでいっただろう別働隊はどうしても処理されていないトラップを慎重に進む必要がある」

「それならボクたちも強行突破しないで多少はトラップを警戒しつついけるね」

「いやまて……デンキ、今の女子たちの動向は探れるか?」

「え? それはまぁ、監視カメラを探ればできるけど……」

「いい事、思いついたぜ」

 

 

 

 

 

 

 

「これも先生のトラップ!?」

 

 セキュリティシステムとやらに侵入できるデンキは、屋上までの最短距離を走る女子の道を防火扉でうまく塞いでみせる。

 シカダイの作戦。

 外の非常階段からはどの階へも校内へ入ることが出来る。

 逆を言えば、女子の位置を探ることが出来ればこうして先回りして、さらなる足止めをすることも可能というわけか

 まぁ、しなくても最上階に入って屋上にそのまま向かえば普通に勝てていただろうけど、シカダイもなんだかんだ言って、女子に対して多少の腹立ちはあったのかもしれないな。

 こういう所は年相応だ。

 

「【忍法・鳥獣戯画】」

 

「なにこれっ!」

「イヤぁあっ!? カエル嫌いーー!!」

 

 物陰に隠れながら様子をうかがってみるが、女子の苦手なカエルを出して嫌がらせする所がエゲつないし、腹にすえかねてる証拠だろう。

 

「一泡吹かせられたわけだし、そろそろ行こうか」

「シカダイも自分の手を汚さずに相手を痛めつけるなんて、容赦ないよねぇ」

「誤解を招くような言い方すんじゃねぇ」

「なぁデンキ、これ押したらどうなるんだってばさ」

「あっ」

 

 ボルトがデンキの手元を勝手にいじると、警報装置とともに女子の頭上から水が大量に流れはじめる。

 カエルの絵がどろどろと水で溶け始める様は正直ゾンビやグールと言ったモンスターを彷彿とさせるな。

 

「あーあ。やっぱりまだパパと同じようにはいかないなー」

「うーん、これは俺たち、余計な恨みを買ったかもな」

「潮時だな」

「やべ、さっさと行こうぜ」

 

 急いでこの場を離れる。

 女子は身だしなみに気を遣うし、カエルだけならまだしも全身水浸しにされたらちょっとやりすぎかもしれない。

 急いで離脱して、先ほどの非常階段のもとへと向かうが、曲がり角を曲がったところでついに別動隊とかち合ってしまう。

 

「あちしらから逃げられると思ってんの?」

 

 正面を封鎖されてしまった。

 先ほどの警報装置で位置がバレてしまったようだ。

 

「くそ、とにかく正面突破だっ!」

「ええ!?」

 

 シカダイが窓へ、イノジンが逆の壁へ飛び込み、壁を蹴り上げて女子の頭上を飛び越える。

 同時に左右へ行くことで相手を一瞬怯ませる、その隙で抜けていく息のあったコンビネーションだ。

 ボルトもそれに続いてチョウチョウの足元を滑り込むように抜けていく。

 

「じゃあ俺はっ、っと!」

 

 ボルトへと視線がうつったのをいいことに、体をひねりつつジャンプし、天井を踏みつけて頭上を越えさせてもらう。

 

「デンキ!」

 

 ……デンキには、まだこれらの芸当は無理なようだ。

 

「ボルト、シカダイ、イノジン! 先に行け!」

「くっ、すまねぇってばさっ!!」

「逃がさないわよ!!」

 

 騒ぎを起こせば当然、気付かれる。

 先ほど嫌がらせをされたサラダチームが追いつき、チョウチョウチームと合流を果たされてしまう。

 人数で圧倒的に不利なこの状況、誰かが残って足止めをしなければならないが、この中で一番足止めに向くのは俺だろう。

 ついでに大きく声を上げて俺が残ることで、逃げ遅れて女子に取り囲まれてしまったデンキから意識をそらさせる。

 流石に全員分の恨みをデンキ一人で担うのは可哀そうだからな……

 半数が投げてくる手裏剣をスタッフを回転させてすべて撃ち落とす。

 

「くっ、ヒューズは要注意よ、皆!!」

「俺自身は女子に思うところはないけど、せっかくだから精一杯邪魔させてもらおうか」

 

 トラップに巻き込まれた子達はわからないが、ボルトたちは意図して女子を傷つけないように攻勢に転じることはなかった。

 問題児と噂されるこの忍術科で、女子まで悪く言われてしまっている現状を男子側も申し訳なく思っているのかもしれない。

 で、あるなら、俺が使うべき魔法は。

 

「気を付けて! 何か来るよ!!」

「【遅延魔法:スロウガ】!!」

 

 スタート時にイワベエに譲って使わなかったものを、ここで使わせてもらう。

 自分を中心に魔法陣が大きく広がっていく。

 最前列にいたサラダとチョウチョウはこちらの魔法の発動を見て大きく後ろに飛ぶが、その後ろにいた委員長やツインテールの女の子を筆頭に、大半の女子に魔法をかけることに成功する。

 

「あわわ、な、なにこれ、体が思うようにうごかない……!?」

「ワサビちゃん、逃げてぇっ!」

「ナミダ!」

 

 魔法陣の射程ギリギリまで伸ばしきると、魔法陣が消える。

 ワサビと呼ばれた尻尾のアクセサリーをつけた少女も、ツインテールの子の言葉に合わせて逃げたらしい。

 スロウの魔法は相手の脳が体に流す電気信号を妨害する魔法。かかった者はしばらく走ることも、飛び跳ねることもできないだろう。

 

「サラダにチョウチョウに、君はワサビだね」

「やってくれるじゃん……【忍法・部分倍化の術】!」

「【防御魔法:プロテス】! 何のこれしきっ!!」

 

 青い光の結界が体に沿って鎧のように展開される。

 防御を固めて両手を前に突き出し、チョウチョウの迫りくる巨大な拳を受け止めるが、あくまでこの魔法は物理防御力を上げる魔法なので、衝撃を流すことはできず、そのまま押し込まれていく。

 チョウチョウの拳を受け止めることが出来ず、彼女の倍化の射程限界まで圧されてようやく止まってくれた

 

「なっ、あちしの部分倍化を正面から受けて立ってるなんて!?」

「チョウチョウ! 何か変だよ、ヒューズって確か受け流したり相手の力を利用する体術をつかうはず!」

「じゃあ今度はあたしの番だ! 【忍法・猫かぶり】!」

 

 巻物を開き、口寄せのようにチャクラを流し込むと、わさびの被ったフードから猫耳を模したチャクラが現れる。

 

「行くぜ!!」

「っ、はやいな!?」

 

 四つん這いになった低い姿勢から、四肢へと力を込めて飛び出す爆発力は、想像を大きく超える程の速さで、振るわれた引っかき攻撃は受け流す事をできずにひたすら防御せざるを得ない。

 

「いまだ! いけサラダ、皆!」

「ありがとう、ワサビ!!」

 

 ひたすら猛攻を繰り替えすワサビの攻撃を受け続けることに精一杯で身動きが取れない!

 衝撃を防ぐことは出来ないからな、この魔法は……!

 スロウの効果も薄れてきているのか、小走りで何人かにまんまと抜かれてしまった。

 とはいえ、これ以上やらせるわけにはいかない!

 

「【加速魔法:ヘイスト】!!」

「なっ!? こいつ、急に動きが……!!」

 

 自分が速くなり、その速さに合わせて脳の処理速度も上がる。

 スロウ魔法の反対にあるこの魔法は、神経系への伝達スピードも上げてくれる。

 ワサビに合わせて魔力を注いだため、強化自体は不十分だが、怪我をさせないという意味でもこれで十分だろう。

 全員が最初のスロウガを受けたときのように遅く感じる。

 ワサビの連撃も打ち払える程度に加速し、しっかり受け流し、力を利用して元の位置に向けて優しく放り投げる。

 

「ちくしょう、あしらいやがって! もう一度だ!!」

『両者そこまで!! 男子チームが旗を取得したため、この勝負は男子チームの勝利とする。皆、校舎前に速やかに集合するように』

 

 ワサビが最初のようにとびかかろうとしたため、すぐに迎撃態勢を取ろうとしたが、その寸前にシノ先生の校内放送が響き渡る。

 しっかり時間稼ぎをしたおかげで、無事ボルトたちはうまくやったようだ。

 

「そ、そんなぁ……」

 

 ヘナヘナと落ち込むワサビを前にしながら、女子達を捕縛していた魔法を解いてあげる。

 

「やったね、ヒューズくん!」

「あ、デンキ。ごめん、途中ですっかり君のこと忘れてた」

「ええっ!? ひ、ひどいよヒューズくん、助けるために残ってくれたんじゃ……」

「あははは、ごめんごめん! さ、校舎前に急ごう?」

 

 

 

 

 

「今日は皆、よくやった」

 

 放課後に始めたので日も落ちてきた頃、ようやく全員が集まってきたため、シノ先生が口を開く。

 

「へんっ、女子なんて目じゃねーぜ! ボルトも何か言ってやれよ」

「イワベエ、本当にそうだったか?」

「ええ? んだよ急に」

 

 勝ち誇った様子のイワベエに、ボルトが待ったの声をかけて項垂れるサラダ達に視線を向ける。

 その表情は真剣で、シカダイやイノジン、デンキ、メタル、他の皆もまた、思うところがあるように女子側を見つめる。

 

「なぁサラダ」

「な、何よ……負けたんだから、何でも言いなさいよ。ハンバーガーでも驕りましょうか?」

「いや、お前ら女子、本当にすごかったってばさ」

「え?」

 

 真剣な表情から一変、男子側の空気が一気に軽くなる。

 みんな笑顔で、わだかまりなくお互いの健闘を称えるように立っていた。

 

「俺ら男子は皆固まっちゃいたけどよ、サラダたち女子は皆で連携取って、しっかり追い詰めてきた。すごかったってばさ」

「まぁな。俺らも結構焦ってたんだぜ」

「な、何よ……あんたたちも、皆強かったじゃないの……」

「先生。つまりシノ先生が伝えたかった事って、こういう事ですか?」

 

 女子の顔も明るく、ボルトとサラダが握手する。

 その様子を見て、俺が話を続けたそうなシノ先生へ会話を振る。

 対立をしたついでに競争させながら評価していたのかと思っていたが、それは副次的なものでしかなかったのだろう。

 終わって、この光景を見るまではわからなかったが。

 

「……そうだ。お前達はいずれ立派な忍になるだろう。競争は大切だ。だが、チームを組んで活動する中でお互いの長所をよく知って、しっかり連携をすれば自分達の力以上のことが出来るようになる。何故なら、忍にとって必要なものはチームワークだからだ」

 

 シノの言葉に、女子と男子がお互いを見つめ合う。

 今まで対立してしまうのは、お互いの悪い面ばかりを見てきたからだが、今回こうして戦うことで良い所を見ることが出来るようになった。

 

「これからも、お前たちは自分を磨き、周りのクラスメイトの良さをしって、悪い面ばかりではなく良い面も見つけられるように――」

 

 シノ先生の言葉の途中で、ピシリと空気を割くような嫌な音が響く。

 見つめ合っていた視線はすべて音のした方向へ、校舎のほうへと向けられる。

 数秒置いてまるでそれが広がるようにピシピシと鳴り響いたかとおもうと、一気にそれが広がり、真新しい綺麗な校舎は一気に崩れ去っていった。

 

「これは、しばらく青空授業ですかねェ。コレ」

 

夕日が広がる中で、木の葉丸先生の言葉ではっきりとオチが付いた。

 

 




独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー

【土遁・土流壁】
イワベエが使う忍術。上忍クラスの忍術らしいけどイワベエ普通につかってるよな……まぁきっとチャクラ量とかで大きさが変わったり、形が変わったりするんだろうけども……
実は結構、音が好き

【遅延魔法:スロウガ】
ゲームだと相手の中心にエフェクトでたりするけど、この作品では魔法陣が広がってそれに触れたらアウトな感じにしてみた。
でもあんまりスロウって使わない……使わないよね??

【防御魔法:プロテス】
物理防御力を上昇させる魔法。どのタイトルでも大体エフェクトカッコイイ。
ボス戦とかで重ねて使ってカッチカチやぞってネタが使える。
実際カッチカチの腹筋や大胸筋で敵の拳を一身に受け止める盾役はかっこいいぞ。
盾は飾りだ、かっこいいからな。筋肉の前では不要

【焼きそばパン】
うまい。濃い味付けはパンととても合うってどっかで聞いた。
いじめっ子といじめられっ子を繋ぐ架け橋、それが焼きそばパン。
でも作者はパンではなくご飯派であり、焼きそばもそのまま食べたい派
子供達に内側だけ食べられる可哀そうなパン筆頭だと思ってる。
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