英国異聞帯~黄金日本教国   作:羽撃鬼

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カルデア以外の反逆者の誕生回です。


EP9 彼と彼女の出会い

何故こんなことになったのだろう。

 

 

自問しながら少女は走る。

 

 

国の中核を担っていた少女は自らに課せられた運命を友に話した。

 

 

「大丈夫ですの、アンジー(親友)一人私が守ってあげますの。」

 

 

いつもと違う彼女が話した与太にしか思えない話を聞いても彼女は変わらなかった。

 

それどころか、頼ってくれて嬉しそうに、宣言する始末。

 

 

少女と親友は緻密に計画を練り、国を出る準備を進めた。

 

しかし、実行に移そうとした前日、奴等は現れた。

 

 

「何処に行く?いや、分かっていて聞いても無駄か。」

 

 

少女の祖にして彼女にとって受け入れがたい運命の相手が配下を連れて現れたのだ。

 

少女を庇うように親友が立ちはだかる。

 

 

「こんな夜中に何様ですの?ザンブレイブ夫人?」

 

 

この国の神祖(カミ)の一人であるイザナ・フォン・ザンブレイブは庇われている少女に向けて、

 

 

「いい具合に育ったのに残念じゃないか。なあ!アンジェリカ!私はこうなって悲しいよ。」

 

 

イザナは笑顔でそう言い放った。対して、

 

 

「悲しい?冗談は止してください、お母様。私は素よりクソ食らえですわ。貴女に抱かれるなんて!」

 

 

少女、アンジェリカに担う運命とは、神祖(カミ)の血を引く子と神祖(カミ)の間に出来る子がどの様な存在になるかの実験。そして、神祖(カミ)の子を宿す今代の胎盤である。

 

成長するに当たって彼女はその忌むべき運命を覆そうと、表では忠実な神祖(カミ)の配下として、裏では神祖(カミ)を抹殺できる人物を探していた。

 

しかし、努力虚しく彼女の願いは叶えられなかった。

 

気を落とした彼女は闇を知らない親友を頼るに至ったのだ。

 

 

「アンジー、ここは私が引き受けますの!貴女だけでも幸せになって!」

 

 

親友、パトリシア・フォン・クイーングラスに言われて、

 

 

「ダメよ、パティ!貴女では敵いっこないわ。」

 

 

アンジェリカは当然、相手の実力は分かっている。親友であるパトリシアにもそれは伝えていたのだが、

 

 

「私の星は足止めに向いてますの。だからこそ貴女が逃げる時間くらいは稼いで見せますの。だから早く行けェェェーーーッ!」

 

 

走るアンジェリカの後ろで銃声がなる。

 

 

「クックックッ、アンジェリカも面白い友人を持ったものだ。だが始末するのが勿体無いな。そうだ!使徒ルーファス。」

 

 

名を呼ばれイザナの隣に騎士が現れる。

 

 

「さぁ、ルーファス。あの少女をお前にやろう。殺しても良いし、生かしても良い。さぁ、お前の好きにして見せろ。」

 

 

イザナの神と言うより悪魔の誘いのごとく彼の耳元で呟いた。

 

ここには白馬の王子様のような潔癖な男はいない。イザナに教えられた肉欲にまみれた男がいた。

 

 

「さて、クイーングラス卿。国家に反逆するなど騎士として黙っておれん。」

 

 

ルーファスは最もらしい理由を述べてパトリシアに相対するように位置をとる。

 

ルーファスが構えるは大剣。

 

パトリシアが構えるは銃。

 

時代が時代では勝つのは後者だろう。されど彼等達、星辰奏者(エスペラント)はその理屈は当てはまらない。

 

星の担い手達は基本となる詠唱(ランゲージ)を唱えた。

 

 

「「創星せよ、天に描いた星辰をーー我らは煌めく流れ星!!!」」

 

 

彼女も聖騎士(エスペラント)として実戦経験がある以上、才能が乏しい筈のルーファス相手には勝てると思っていた。

 

されど、ルーファスは使徒である。かつての自分(ルーファス・ブラウン)ではなく現在の自分(ルーファス・ザンブレイブ)彼女(パトリシア)の想像を優位に超えていた。

 

神祖(カミ)から流れる莫大な星辰体(エネルギー)を受け取る使徒相手に勝てるはずもなく彼女(パトリシア)神祖(イザナ)の手に落ちた。

 

 

 

 

親友の助けを得て彼女は既に皇都を抜けていた。

 

始めに用意していた手段は、神祖(カミ)にバレた時点で使えない。それ故に彼女が向かうのは反逆者の目撃があった場所。

 

しかし、やはりそれも読まれていたようで、

 

 

「まさか伊賦夜(いぶや)衆まで配置されていたなんて。」

 

 

彼女はイザナ・フォン・ザンブレイブの手足である伊賦夜(いぶや)衆に囲まれていた。

 

 

「やぁ、アンジェリカ。鬼ごっこはこれで終わりか?」

 

 

イザナは再び彼女の前に現れた。そして悪どい笑みを浮かべながら、

 

 

「お前の友人。確かパトリシアと言ったかな。」

 

 

アンジェリカはその笑みに恐怖を感じた。

 

 

「ああ、昨夜楽しませてもらったよ。今はルーファスが味わっていると思うがね。」

 

 

それは親友が既にイザナの手に落ちたことを意味していた。

 

アンジェリカは膝から崩れ落ちた。

 

そして彼女はまるで幼子の様に泣き叫んだ。

 

 

「嫌だ、嫌だ、嫌だ。私は………。」

 

 

イザナはその様子に、

 

 

「ああ、アンジェリカ。可哀想な娘、本当に昂ってくる。」

 

 

後付けした生体装置(バイオプラント)を起動させアンジェリカに近づく。

 

アンジェリカは、遂に、

 

 

「助けて!」

 

 

と叫んだ。

 

そんな彼女をイザナは、助けなど来る筈もないと嘲笑う。

 

この国に彼女を助ける者はここには存在しない。

 

親友も既に敵の手に落ちている。

 

 

されどここに奇跡は舞い降りた。

 

 

時空を越え(光のため)世界を越え(未来のため)一人の少女(自分以外の誰か)の為に、鋼の巨人は顕れる。

 

 

「良いぜ、お嬢!」

 

 

アンジェリカを颯爽と抱え、包囲網の外に着地する。

 

 

「貴方は?」

 

 

自らを救った男にアンジェリカは問いかける。

 

 

「帝国のバーサーカーと名乗っておこうか。まあ、お嬢には神殺し(オーバードライブ)と読んで欲しいがね。」

 

 

自らの腕の中にいるアンジェリカに青髪の巨漢は答える。

 

 

「待て、アンジェリカ!お前達やつらを捕らえろ!」

 

 

イザナは伊賦夜(いぶや)衆に指示し、アンジェリカ達を捕まえようした。

 

 

「いきなりで悪いが逃げさせてもらうぜ。おい!お前ら、俺とお嬢の為に死んでくれ。」

 

 

次の瞬間、敵との間に数人の兵士が現れた。

 

 

「「「応さ(ポジティブ)!今度は何度でも隊長達のためにこの命使ってやらァ!ふははははッ!!!」」」

 

「「「我ら破壊弩(バリスタ)、鋼の巨人に栄光あれ!!!」」」

 

 

この日、この国に最大の反逆者が誕生した。

 

機械の巨人達こと、機甲巨人化創星録(フルメタルギガース)

 

不死身の限界突破(オーバードライブ)、ここに有りと。

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