クリプター達の会談前日
「何だ?アレ。」
イギリス異聞帯担当ベリル・ガットは早朝自らの治める異聞帯の有りとあらゆる所が結晶に覆われていくのを眼にした。
彼は急いで事態を修めようとするが、既に遅く異聞帯は彼と空想樹を除いて塗り替えられた。
「あれ貴方何処から現れました?」
上書きした異聞帯の住人らしき者は世界に異常等は感じてないようだった。
「テメェ、ちょっと来い!」
「えっと、何するんですか!誰か助けて!」
ベリルは情報を得ようと住人を連れ去ろうとした。そこに
「待て、悪党!」
金の髪をした青年が立ちふさがる。
「あれは、まさか!」
「ザンブレイブ卿が来てくれたぞ!」
大剣を構えその男、ルーファス・ザンブレイブは
「市民に対す、その様な行いはこの【ルーファス・ザンブレイブ】が許さない!」
(敵は星辰奏者でもない。ならば傭兵か?)
「さあ!悪しき者よ、我が剣で汝を討とう!」
(まぁ、こいつ程度には苦戦しないだろう。良し、功績がやって来たぞ。)
「行くぞぉ!」
「うぉっと。」
ベリルは、ルーファスの剣を避ける。
「へぇ、結構速いんじゃないの。」
(何故だ?魔力が上手く使えない。こいつはヤバイな。あの男だけなら何とかなりそうだが周りの奴等がな。)
ルーファスの後ろには、銃を持つ兵士が数十人存在し、こちらに向けて構えていた。
(ちょっと仕掛けてみるか。)
「なぁ、兄ちゃんよ。ここいら手打ちにしないか?俺もこんなところに急に投げ出されて動揺したんだよ。あんたもすまなかったな。」
ベリルは、ルーファスに対して一言申し、連れ去ろうとした住人に対して謝った。
「んっ?そうなのか?だが、規律上事情聴取は免れん。来てもらうぞ。」
「オーケー、オーケー。俺も事態を知れるならそれに越したことはねぇよ。」
ルーファスは、剣を下ろし、ベリルに近づいた。
ベリルは、笑顔を浮かべながら、ルーファスの方に歩いていった。片手を背に隠し、
「何てなァ!」
十分に近づいたルーファスに向けて拳を放った。
「なっ!」
本来なら彼の拳は鎧を着ているとはいえルーファスの身体を打ち抜くに十分な威力を秘めていたが、なにかを察知したベリルは後方に跳んだ。
「ーーーーォォォォ、ミョルニィィィルゥゥゥーーーッ!!!」
先程、ベリルがいた場所に何かが叩き付けられた。
そこにはクレーターが出来、更には衝撃が彼等を襲った。
「ガッハッハッハ、騎士ルーファスよ。この様な輩の嘘に騙されおって、まだまだ貴様は青いな。」
青い鎧を纏った大柄の男が
「ガラハッド卿。」
(マジかよ、マシュに取りついた円卓の騎士がこんな豪快なオッサンだったなんて。)
「いや、どうしたものか。ん?」
ベリルはどう行動するか悩んでいると、
「ベリル様、こちらに早く!」
「コヤンスカヤか!助かる!」
突如現れた桃色髪の美女と共に、その場に最初から居なかったように消え失せた。
「えっと、これは逃がしたと言うことか。」
(あれ功績は?)
「ガッハッハッハッ!応とも!その様だな!なんと見事な手際よ!さて、騎士ルーファスよ、調査に入ろうぞ!」