ある異聞帯の一室
そこには、円卓上の机が置かれ、八つの椅子が置かれていたが、生身の人間は二人しかいなかった。
他は立体画像の様に椅子に座るように投影されていた。
生身の人間の一人である金色の長髪をした貴族服を身に纏った男、
【キリシュタリア・ヴォーダイム】は、話し始めた。
「さて、それぞれ落ち着いた頃だとは思うが、」
彼の問いを受け、それぞれが自らの治める異聞帯について説明をし、残り二人となった所で、
「では、空想樹の種が足りなく異聞帯の上書きされる可能性の話だが、丁度昨日のことだ。ベリルの異聞帯が上書きされた。」
他のクリプター達が声をあげる。
「えっと、と言うことはベリルはリタイアしたってことか?」
カドックは、ベリルの方に視線を向けつつキリシュタリアに問いかけ、
オフェリアは、信じられないという表情で、尊敬するキリシュタリアを見る。
「 」
普段と共に飄々としているペペは、口を開けて呆然としていた。
芥子とデイビットは、無言だが眼は驚いていた。
「ああ、その通りだ。カドック。彼には私の異聞帯で保護しているよ。」
「だが、君達もこれからは争う仲だ。その事を注意しておくように。」
キリシュタリアは無言で佇んでいるベリルに促した。
「ああ、お前ら、今はキリシュタリアのとこでゆっくりさせて貰っているよ。まぁ、何だ?文明的に終わっているような異聞帯だったからここでの生活は天国みたいなんだが。」
何か落ち込んでいるようなベリルにカドックが、
「ベリル。あんたが落ち込むなんて調子が狂う。おい!どうやってここまで落ち込むようなしたんだ?」
最後の一人に対して問いかけた。
すると、他のクリプターも最後の一人の方を向いた。
「ん?特に何も。まさかあんなにも簡単には異聞帯を奪えるとは思ってなかったな。計画上用意していた数万の計画が水の泡になったよ。」
問いの答えにカドックは言葉を失った。
彼は更に続ける。
「そして、抵抗すら無かったからな。たかが魔力が枯渇した程度で反撃できないとは、見通しが悪いにも程がある。魔力の使用を前提とした戦いをしているんだ。なら、それが使えなくなった場合も考えて行動すべきだろ?」
先に対象の魔力の枯渇、つまり霊脈を瞬時に枯らしたことに他のクリプターも唖然とした。
だが彼はまだ、
「そもそも異聞帯に移動してから数千年の月日が有ったのに、何の対処もしていないなんて、それこそあり得んだろう?」
彼以外のクリプター達は、驚きを隠せなかった。
「数千年?何を言っている!僕達が復活してまだ3ヶ月しか経っていないだろう!」
そもそも経験が異なっていたのだから。
だが、彼は、
「3ヶ月か。それでは異聞帯の王とも友好を築けないのも納得は出来るな。しかし、何故だ?時間が足らないのなら、もっと有効的に時間を使わない?そこは理解できん。」
「来るべき脅威が有るのなら、慢心などしていないで具体策の千の二千は用意すべきだろう。なら何故行動せん。」
「やはり君達に無いのは危機感だな。人間は可能性の化け物だ。既に少人数となったカルデアの者達対して慢心しているのがその証拠だな。」
「どうせ。奴等は『気合い』だの『根性』だので限界を超えてくるのだ。何故その事も考慮しない。今までもそうして人理焼却を防いだのだから。」
彼の言葉にクリプター達は完全に思考を手放していた。
最後に、
「これはうちのリーダーの言葉だが、」
「『数多の犠牲を、数多の喪失を、無限の希望と絶望を重ねたからこそ。』」
「『完勝以外許されん。我々には世界を変えた責任があるのだからな。ならばこそ、我らの歴史をこの星の未来とする!』以上だ。」
呆然とした彼等を残して彼は席を立った。
立体画像は消えた。
その後、キリシュタリアは自らのサーヴァントである【カイニス】に英国異聞帯へ向かってもらったが、魔力枯渇における消費魔力の増大により、異聞帯を調査できず帰還することとなった。
カルデアに対しての認識の違い
ラスボスガチ勢と格下への慢心