幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

10 / 157
第10話 潜入、紅魔館!

 

「え?」

 

 

紅魔館の門の前。

その門扉にもたれかかるようにして、一人の女性が寝息を立てていた。

 

この女性、門番だよな?

眠っていていいのか?

 

その女性は中国を思わせる緑色の服を着ており、髪は赤く腰まで伸ばしたストレートヘアー。側頭部を編み上げてリボンを付けて垂らしている。

そして帽子についている星形の中心には『龍』の一文字が。

 

 

っていうか、この人を起こさないと門を開けることができないじゃないか。

塀を飛び越えていくのはちょっと抵抗があるし。

 

 

「あのー!起きてください!」

 

 

大声で叫んだが、起きる気配は全くない。

近づいて頬を突っついてみたが、結果は全く同じだった。

 

どうすれば起きてくれるのだろうか。

もっと強い衝撃…例えば頭上から石を落とすとかすれば起きるのかな?

 

 

「おーい、起きろー!!」

 

 

叫んでみたが効果なし。

 

こうなったら、一撃を与えるしかない。

暴力は好きじゃないけど、仕方ないよね?

 

 

「よし!」

 

 

距離を取ってこぶしを握り締める。

そしてパンチを叩きこもうと駈け出そうとした次瞬間、

 

 

 

 

「おや、あなたは誰ですか?」

 

 

背後から女性の声が聞こえた。

振り返ると、その女性と目があった。

 

銀髪のボブに両方のもみあげ辺りから、先端に緑色のリボンをつけた三つ編みを結っているその女性は、青と白を基調としたメイド服を着ており、頭にもカチューシャを身に着けている。

そして、手には買い物の帰りなのか、食材がたくさん詰め込まれたバッグが下げられている。

 

見た感じ、この館のメイドかな?

 

 

「あ、はじめまして。俺は葉月欧我といいます。紅魔館の地下にあるという大図書館に調べ物をしに来たのですが、門番の方がずっと眠っていて、入ることができずに困っていました。」

 

 

俺は自己紹介とここに来た理由を話す。

 

 

「そうでしたか。私は十六夜咲夜(いざよい さくや)。この屋敷のメイド長をしております。美鈴(メイリン)にはあとできつく言っておきますので、塀を飛び越えて中にお入りください。」

 

 

やっぱり飛び越えて入るしかないのか。

美鈴っていうのは、おそらく門番の名前だろう。

 

あとで写真に収めておこう。

 

 

「それでは参りましょうか。」

 

 

「はい。おじゃまします。」

 

 

 

 

 

紅魔館の大きな扉を開け、中に入った。

ロビーも外と同じように紅色で統一され、きれいに掃除されていた。

 

 

「すげぇ…。」

 

 

思わずカメラのシャッターを切る欧我。

 

 

「あら、そういえばあなた文の新聞に載っていた人よね。確か写真屋の。」

 

 

「あ、そうです!文々。新聞購読ありがとうございます!」

 

 

「別に購読はしてないわ。ただ、文から言われたのよ。記憶を無くしているから仲良くしてあげてねって。」

 

 

ありゃ、購読はしていないのか…。残念。

 

でも…

 

 

「えっ、文さんが?」

 

 

文さん、俺のためにそんなことを。

なんか、うれしいような恥ずかしいような。

 

 

「まあ、いずれ何かしら依頼をするかもしれないから、その時はよろしくね。じゃあ私はこれから仕事があるのでこれで失礼します。」

 

 

咲夜さんは一礼をすると、次の瞬間目の前から姿が消えた。

咲夜さんっていったい何の能力を持っているのだろうか。

 

あ…

写真を撮るのを忘れていた。

 

…じゃなくて、図書館までの道を聞いておくべきだった。

 

ま、どこかへ行けば見つかるだろう。

まずは正面の扉からだな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。