はぁ、くそっ…
さっきから走りまくって、疲れてきた。
息も上がっている。しばらく休もう…。
地面に腰を下ろし、息を整える。
こんなのがまだ続くのか。
正直ギブアップしたい。
・・・でも、ブン屋の助手として何としても体験レポートを達成しないと!
ざっ… ざっ…
欧我
「わっ!?」
地面を歩く音が聞こえた。
音からして、足を引きずっているような歩き方だ。
そして…。
こちらに近づいてきている!
いつでも逃げられるように、立ち上がって構えた。
そして音のする方を睨む。
欧我
「…え?」
暗闇の中から人魂とともに現れたのは、欧我の予想とかけ離れていた。
青い大きな帽子とゴーグル。
白のカッターシャツに半ズボン、首からカメラを下げ、黒の肩掛けカバンをしている。
帽子から出た髪は濃い銀色で、エメラルドの瞳には光が灯っていない。
これって…俺じゃないか!?
目の前から、俺が足を引きずりながら迫ってくる。
しかも、体中ぼろぼろだ。
その俺はこちらに向かって両手を伸ばしてきた。
欧我
「わぁぁぁぁ!!」
もう見てられない!
こんなの見たくない!!
自分がぼろぼろで、しかも迫って来て!!
マミゾウ
(ふう、練習の成果が出たのう。)
合わせ鏡…二ッ岩マミゾウ
あと、3分の1…。
やっとここまで来た。
でも、さっきのやつは精神的に来た。
もうあんなの見たくない。
…ん?
墓の陰に、着物を着た誰かがうずくまっているのが見える。
なんか、定番のシチュエーションだ。
でも、このまままっすぐ行かなければならない。
近づくのは怖いけど…。
近づくにつれて、その人物の特徴を見ることができた。
赤いショートヘアに、大きな青いリボン。
そして、その少女のすすり泣く声も聞こえてきた。
欧我
「あの、どうしました?」
勇気を振り絞り、声をかける。
この子は命蓮寺メンバーにはいない。つまり、ただ迷っただけという可能性もある。
いや、絶対そうだ!
だが、俺の期待はその直後裏切られた。
欧我
「ひっ!?」
声をかけた直後、鳴き声がぴたりと止み、なんと首が回転し始めたのだ!
まるで胴体から切り離されたかのように、360°ぐるぐると回りだした。
思わず後ずさる欧我の背中に何かがぶつかった。
後ろを振り返ると、そこには泣いていた少女と同じ顔が浮かんでいた!
はっとして後ろを振り返ると、さっきまであった頭が無い!
欧我
「え?え!?ええっ!!」
こんな事ってあるの!?
あまりの恐怖に腰を抜かしてしまった。
目の前には、空中を漂う頭が7つ…。
「ふふふ…」
「ははは…」
欧我
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
逃げようにも、腰が抜けて立ち上がれない!
でも、何とかして逃げないと!!
両手両足をバタバタさせながら、何とかしてその場を離れる。
提灯と地図を残して来たけど、そんなのもうどうでもいい!
もう戻りたくない!!
蛮奇
(ちょっとやりすぎたかな?)
飛び入り参加2人目…赤蛮奇(せき ばんき)
スペルカード…飛頭「セブンズヘッド」
ぐすっ…
えぐっ…
怖かったよぉ~。
もう嫌だぁ~。
帰りたい~。
手元には地図も提灯も無い。
でも、地図上では後はまっすぐ進めばゴールにたどり着くと書いてあったから、このままいけばゴールできる。
あまりの恐怖に、泣き出してしまった。
こんなの、文さんには見せられないよ。
服も土で汚れちゃったし。
欧我
「ん?」
墓の間から見慣れた傘が顔を出している。
ナス色の傘を持っているのはあの子しかない。
欧我
「小傘ちゃんか…。」
距離的に見て、小傘ちゃんが大トリを務めるのかな?
さあ、楽しみだ。
下からにゅっと飛び出すのかい?
それともぶつかってくる?
その傘との距離を縮めていく。
まるで、初めて会った時を思い出すな。
あの時はちょうどこれくらいの距離でぶつかってきたんだよな。
欧我
「あれ?」
目の前に来たのに、飛び出してこない。
ためしに、傘を持ち上げてみた。
欧我
「わっ!?」
傘を持ち上げた腕が止まる。
傘があったところには、小傘ちゃんの・・・頭が置かれていた。
首から下が無い!!
口や首からはおびただしい量の血が流れ出している…!
欧我
「え?え!?小傘ちゃん!?」
一体どうしてこんなことに…。
「うらめしやぁ!!!」
欧我
「わぁぁぁぁぁぁ!!?」
傘を放り投げ、全速力で走りだす。
後ろを確認している余裕などなかった。
小傘
(欧我が驚いてくれた。幸せ~。)
後ろからドッキリ…多々良小傘