このページには、出血・流血表現があります。
苦手な方は飛ばしてください。
えーと…どうしてこうなっちゃったんだろうなぁ。
枯山水の中庭で、妖夢ちゃんと向き合っている。
普通に見つめあっているのであれば今すぐにでもカメラを向けるが、今はそんな雰囲気ではない。
妖夢ちゃんは白楼剣と楼観剣を構えている。しかもめちゃくちゃやる気だ。
なぜこのような状況に陥っているのか、少し振り返ってみよう。
さかのぼること2分前、幽々子さんたちへの取材交渉も無事に終え、縁側で楽しくお茶を飲んでいた。
すると、突如紫さんがみょん…いや、妙なことを言い出したのだ。
紫
「この際だから、欧我君の実力を見てみたいわね。」
欧我
「実力…ですか?」
幽々子
「それもそうね。妖夢、相手をしてあげなさい。」
欧我
「…へ?」
妖夢
「はい!私も戦ってみたいです!」
なんでそんなにやる気なの?
欧我
「でも、俺たちは取材に来ただけなので…って!?」
文さん、なんでカメラなんか構えちゃっているの!?
しかも目がキラキラと。
これ、四面楚歌じゃん…。
…というわけだ。
はあ、死なない程度に頑張ろう。
懐から3枚の写真を取り出した。
それに写っていたのはソード、サーベル、レイピアの3種類の剣だ。
それらに意識を集中させ、弾幕として実体化させた。
妖夢
「3本の…剣?」
欧我
「前からやってみたかったんだよね。三刀流!」
そしてレイピアのグリップを口にくわえた。
これは俺の能力で実体化した弾幕だから重さは無い。・・・んだけど、しゃべりにくい。
妖夢
「いいでしょう。迷いを断ち切る白楼剣、妖怪が鍛えた楼観剣。この二本さえあれば、斬れない物はぁ~あんまりない!!」
うわ、なんかかっこいい。
よし、俺も!
レイピアを離し、地面に突き刺した。
欧我
「なるほど、二本ともかなりの名刀だ。でも、こちらは外の世界から来たソードにサーベル、レイピア!あとクロウがあればどこかの海賊亡霊だが…。まあいい。海賊らしく言えることはただ一つ。派手に行くぜ!!」
今考えれば何言ってんだ?
海賊亡霊は星の形をした宝石を探し出すゲームの5面ボスだし、派手に行くぜ!は5人組の宇宙海賊じゃん。
もういいや。
妖夢
「さあ、行きますよ!!」
欧我
「うん!!」
そしてソードとサーベルを構える。
レイピアとは状況に合わせて使い分ける戦法だ。
あれ、これって二刀流だよな。
…もういいやどうだって。
妖夢
「はぁっ!」
妖夢は楼観剣を上段に構えると突進して振り下ろす。
その一撃を、体を左へ傾けながら右手に持つサーベルではじき、がら空きになった背中へ左手に持つソードを振り下ろした。
しかし、その一撃は白楼剣によって防がれてしまった。
いったん離れ、相手との距離を広げた。
さすが妖夢だ。
これ、敵うかなぁ…。
次々と迫る妖夢の連続攻撃の勢いはすさまじく、俺はそれらを受け流すだけで精一杯だ。いつの間にか、防戦一方になってしまった。
妖夢
「それっ!」
欧我
「うわっ!?」
しまった!サーベルがはじかれた!!
空中をくるくると回転しながら、はるか後方へと飛んで行くサーベル。
レイピアまで距離があるし、今手元にはソードしかない!
欧我
「こうなったら…。」
ソードを右手に持ち替え、右回りに回転する。
そして遠心力を伴った一撃を、水平に打ち出した。
ガキィン!!
妖夢
「くっ!」
妖夢はその一撃を両手の剣で受け止める。
欧我
「いくぞ!」
再び右回転を行う。
そしてさっきのような水平の一撃を連続で繰り出した。
妖夢はその連続攻撃を後退しながら防いでいるが、遠心力のおかげで威力が増した一撃を防ぐのに精いっぱいらしい。
攻撃を受けるたびに顔をしかめている。
何度かその攻撃を行った後、いきなり左に回転しソードを思い切りたたきつけた!
妖夢は何とか白楼剣で防御したものの、完全に不意を突かれたため吹っ飛ばされた。
よし!
思わずガッツポーズをとる。
その隙にレイピアのある場所まで戻って、地面から引き抜いた。
妖夢
「いたた…。」
幽々子
「妖夢。」
妖夢
「っ!?」ビクッ
幽々子
「本気を出しなさい。」
妖夢
「は、はい!!」
妖夢は白楼剣を仕舞い、楼観剣を構えて目をつむった。
意識を集中させている。
文
「欧我!私の能力を使って!!」
欧我
「はい!」
俺も目をつむり、文さんの能力を投影させる。
文さんから真似た能力、それは幻想郷一を誇るスピード。
このスピードで翻弄してやる!
投影が完了したら、猛スピードで妖夢の周りを飛び回った。
一方妖夢は目をつむったままだ。
俺の動きを探知しようとしているのか?
…これじゃあ翻弄する意味はないな。
だったら一気に切りかかる!
ソードとレイピアを構え、妖夢目がけて斬撃を繰り出した!
…しかし
欧我
「…!?」
そこに、妖夢の姿はなかった!
さっきまではいたはずなのに!
どこへ行った!?
妖夢
「妄執剣…」
不意に、背後から妖夢の声が聞こえた。
いつの間に!?
妖夢
「修羅の血っ!!」
欧我
「ぐあぁぁ!!」
次の瞬間、脇腹の激痛に襲われた!
ソードとレイピアは両断され、脇腹から吹き出す鮮血。
そのまま、前のめりに崩れ落ちた。
右手で脇腹を押さえると、べっとりとした生温いものがどくどくと溢れだしている。
震える手の平は、真っ赤に染まっていた。
文
「欧我ぁ~!!」
文さんがこっちに駆け寄ってくるのが見えた。
この状況からわかること…。
それは、俺は負けたということだ。
欧我
「参り…まし…た。」
やっぱり、妖夢ちゃんは強いな。
文
「欧我!死なないでよ!」
そう言って文さんは俺の体を揺さぶる。
気持ちはわかるけど…
欧我
「文さん、痛いです。」
俺の声に、文さんはびくっとして両手を離した。
幸い、傷はそれほど深くはないようだ。
おそらく妖夢ちゃんが手加減をしてくれたからだろう。
そのおかげで、気を失わずに済んだ。
妖夢
「早く手当てをしましょう。」
欧我
「お願いします…。」
その後俺は文さんによって運ばれ、布団に寝かされた後妖夢ちゃんの手当てを受けた。