縁側に足を投げ出し、壁にもたれかかる。
あのあと宴会は夜遅くまで続き、幽々子さんたちは今でも盛り上がっている。
食堂の中からはみんなの笑いあう声が聞こえてくる。
それにしても、幽々子さんの食欲には驚いた。
あれほど大量に用意された料理が、跡形もなくきれいに無くなったからだ。
さらに追加でおつまみを頼む始末。
…ってか、おつまみとは呼べないほどの量だったけどな。
俺はもう、その光景を見ているだけでお腹がいっぱいになった。
だから、酔い覚ましも含めこうやって外に出て休憩しているというわけだ。
季節はもう秋。
優しく吹く風は冷たくなってきた。
橙
「にゃ~ん」
あ、そうそう。
ついに、橙ちゃんに完全に懐かれてしまいました。
俺の脚を枕にして気持ちよさそうに眠っている。
こんな状況、文さんや藍さんに見られたらどうなるのだろうか…。
こうなったら、この寝顔を写真に撮って藍さんに高く買ってもらおうかな?
…あ、カメラを持ってくるのを忘れた!
もういいや。俺も寝ちゃおう。
欧我
「おやすみ、橙。」
~翌日~
文
「取材の協力、ありがとうございました。」
欧我
「ありがとうございました。」
白玉楼の門の前に立ち、幽々子さんたちにお礼を言った。
妖夢ちゃんと藍さんの調理現場も取材できたし、幽々子さんの食事風景や紫さんの持ってきたお酒のせいで始まった宴会など、かなりの量の情報を得ることができた。
それに、唐揚げのレシピも無事入手することができた。
コツやポイントも聞くことができたし、さっそくこれを試したい。
幽々子
「ええ。新聞ができたら見せて頂戴ね。」
文
「はい!出来上がったら持ってきます。」
藍
「いいか?変なことを書いたら…」
文
「焼き鳥…ですか?」
妖夢
「いいえ、油でカラッと。」
釜茹での刑かよ。
ってか、妖夢ちゃん、笑顔でとんでもないこと言うのは止めて。
文
「あやややや!?それはご勘弁を!」
紫
「欧我。」
文さんたちの会話を聞いていると、いつの間にか紫さんが隣に立っていた。
紫
「あなたには私たちがついている。それを忘れないで。」
欧我
「わかりました。」
俺の返事を聞くと、紫さんは笑顔になった。
優しく、美しい笑顔だ。
紫
「それから、なぜか橙があなたに懐いちゃって。見かけたら遊んであげてね。」
欧我
「はい!」
小傘
「お帰りー!どうだった?」
文さんの家の前に着地すると、小傘ちゃんが家の中から顔を出した。
欧我
「ばっちり取材ができました!…あれ?」
小傘ちゃんの髪にきれいな花飾りがついているのが見えた。
小傘ちゃんの方も、充実した1日だったんだね。
小傘
「どう?似合うでしょ?ぬえちゃんからもらったの!」
うれしそうにぬえさんと過ごした1日を話す小傘ちゃんの笑顔は、いつも以上に可愛かった。
夜…。
無事に新聞の記事が出来上がった。
後は印刷を担当してくれるにとりさんに手渡すだけ。
今回の取材では、本当にいろいろなことがあった。
妖夢ちゃんとの剣術勝負や、紫さんからされた異変に関する話。
未だに、異変の惨状が忘れられない。
おそらく、俺のイマジネーションが弾き出した異変の惨状は絶対に忘れることはできないだろう。
だから、せめて今はこの幸せな時間を思いっきり楽しもう。
出会う人すべてを大切にし、良好な関係を築く。
これが、異変に打ち勝つための近道な気がしてならないからだ。
特に、大好きな文さんとはね。
文
「さて、お腹減ったし何か作りましょう!欧我は何が食べたい?」
欧我
「玉子焼き。」