幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

117 / 157
今書いている芸術の秋の物語に触発されて、俺も欧我のイラストを描いてみたんだ。

せっかくだから載せようとは思ったけど、
ここって、画像を載せることってできるのかな?
詳しい人がいれば教えてください。



絵心

 

筆を置き、大きく伸びをする。

そして鞄から水筒を取り出し、お茶を口に含んだ。

 

すると、案の定小傘ちゃんからクレームが飛んできた。

 

 

「じっとしててよ!」

 

 

「そんなこと言ったって、ねぇ。」

 

 

俺生きてるんだし。

石像でもあるまいしずっと同じ姿勢を保つことなんかできないんだよな。

 

はぁ、もっと俺に絵心があればなぁ。

こうなったら鉛筆書きに変更しようかな…。

それとも場所を変えるとか。

 

 

「小傘ちゃんはどう?見せて。」

 

 

「えー、だめ。」

 

 

マジかよ。

 

はーあ、俺の方は全然だな。

どうしようか…。

 

 

「ほー、上手く描けていますね。」

 

 

「文さん!?」

 

 

いつの間にか、小傘ちゃんの後ろに文さんの姿があった。

顎に手を当てたまま、小傘ちゃんの描いている絵を覗き込む。

 

 

「見ちゃダメ!」

 

 

小傘ちゃんは慌ててキャンバスを掴み、自分の方に引き寄せた。

そんなに見られたくないのかな?

 

 

「あー、そうやってしまうと絵具が。」

 

 

「へ?」

 

 

身体からキャンバスを引き離すと、小傘ちゃんの服に絵具がべったりと付いていた。

 

 

「わー!!どうしよー!?」

 

 

べったりとついた絵具を見て慌てふためく。

そりゃあキャンバスを身体に密着させちゃったから仕方ないよ。

 

洗濯するまでそのままでいるしかないな。

 

 

ドン!

 

 

わたわたと振る右手がキャンバスに当たり、あおむけに倒れる。

 

そこに描かれた絵を見て、俺は目を見開いた。

 

 

「マジかよ…。」

 

 

小傘ちゃんに、こんな才能があったなんて…。

見た目からは想像もつかないが、小傘ちゃんには絵を描く才能があったんだね。

 

そこには、真剣な面持ちで筆を走らせる俺の横顔が描かれている。

しかも、俺の顔ってこんなにイケメンだったのかと自分でも驚くほどかなりかっこよかった。

多少なりの美化は含まれているのだろうが、いくら何でもこれはイケメン過ぎる…。

 

 

「小傘ちゃん…。」

 

 

「あぁっ、見られた~!!」

 

 

「すごく…上手だよ。」

 

 

色の使い方や影のつけ方など、どこを見ても欠点が無いほどの腕前に驚きを隠せなかった。

どのような言葉で表現すればいいのか分からず、ただ「上手」としか言いようがない。

 

俺の言葉を聞き、小傘ちゃんは俺の方を向いた。

 

 

「本当!?」

 

 

「うん、優勝間違いなしだよ!」

 

 

「やったー!!」

 

 

小傘ちゃんはその場で飛び跳ねると、俺に抱き着いてきた。

その勢いで後ろに倒れそうになったが、何とか踏ん張った。

 

いきなりでびっくりしたよ。

 

 

「ん?」

 

 

ふと、小傘ちゃんが俺の書いている絵の方に視線を向けた。

その途端

 

 

「あははははははっ!」

 

 

笑い出した。

 

 

「欧我って絵が下手ー!なにこれ!!」

 

 

「何って、地蔵だよ。」

 

 

「そうだけどなにこれ!あははは!!」

 

 

ちょっと、自分でも下手だなーとは思っていたけど、いくらなんでもそんなに笑わなくてもいいじゃないか。ショックだよこれ。

 

俺の絵がツボに入ったのか、笑い続ける小傘ちゃんを引き離す。

 

 

「ほー、どれどれ?」

 

 

その後ろから文さんが俺の絵を覗き込む。

 

ちょ、見ないでー!!

 

そう叫ぼうとしたが、もうすでに遅かった。

 

 

「これは…。欧我さん。」

 

 

「な、何ですか…。」

 

 

「これは、いかがなものかと。」

 

 

「え…」ガーン

 

 

文さんまで…。

あまりのショックに、真後ろに倒れこんだ。

 

地面にあおむけに寝転がると、目の前には青く輝く雄大な空が広がっている。

その中を飛びまわる鳥の鳴き声。

 

鳥よ…。

お前たちまで俺を笑っているのか…?

 

 

「まさか、カメラから筆に変わるだけでこんなにも違いが現れてしまうとは。」

 

 

「絵に関しては私の方が師匠だね!」

 

 

俺の事はお構いなしに、面白そうに話す文さんと小傘ちゃん。

俺には何が面白いのかわかりませんが…。

 

 

「ねー師匠、私の事を師匠と呼んでもいいのよ。」

 

 

小傘ちゃんが俺をからかう様に言った。

もう、今にも泣きそうだ…。

 

 

「あーもー。」

 

 

こうなったら…。

 

 

「棄権してやる。」

 

 

もう俺は絵を二度と書かない。

絵を描く大会にも二度と出ない。

俺には絵を描く才能が無いんだから…。

 

しかし、文さんが思いもよらない一言を口にした。

 

 

「知らないの?棄権しようものならレミリアさんにボコボコにされるわよ。」

 

 

「ええ!?」

 

 

なんだよその罰ゲームみたいなの。

これじゃあ棄権なんて恐ろしくて出来やしない。

 

かといって、文さんと小傘ちゃんに酷評されたこの絵は、もう誰にも見せたくない。

もう自信のカケラも失ってしまった。

 

 

どうしよう…。

他に出せる絵は…。

 

 

「え?」

 

 

出せる、絵?

 

 

「あるじゃないか…。」

 

 

恥ずかしくて封印していた絵があるじゃないか。

絵に関して、今の俺にはもう失うものは何もない。

 

封印を解くか。

 

 

今の俺には、この絵しか残っていない。

 

おまえに任せた、ちびぃ丸!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。