空から女の子が!
「親方!空から女の子が!!」
このセリフ、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。
空からゆっくりと落ちてきた女の子を見つけた少年が放ったセリフです。
この出会いをきっかけに、空飛ぶ島を目指して冒険の旅が幕を開けます。
そう、あの名作の中で出てきたセリフです。
俺も何度も見ていました。
それが…。
まさか、自分が言うことになろうとは思いもよりませんでした。
霊夢さんの手伝いで博麗神社の境内の掃除をしていたら、いきなり目の前に空から女の子が降ってきた。
ゆっくりと、そして華麗に着地を決めた。
その時に思わず…。
「霊夢さん!空から女の子が!!」
あのセリフを口にしてしまった。
俺の言葉を聞き、神社の中から霊夢さんが顔を出した。
そしてその女の子の顔を見た時、はぁっとため息を漏らした。
え、知り合いなんですか?
その女の子は腰まで届くほどの青いロングヘアーで、桃の実と葉がついた不思議な帽子をかぶり、半袖にロングスカートといった格好をしている。胸元には赤、腰には青のリボンがつけられていた。
なんか、とてもかわいらしい見た目だ。
「あら、あなたが欧我ね。ふーん、新聞で見るよりもいい男よね。」
「あ、え、あの…。」
「ちょっと、また来たの?」
いつの間にか、霊夢さんが俺の隣にいた。
何だろう、ものすごく迷惑そうな表情だ。
「あの、この人は…。」
「ああ、こいつね。名前は比那名居天子(ひななゐ てんし)。過去に2度にわたって神社を壊した迷惑なやつよ。」
神社を!?
「そんなことは後回し!それよりも、暇つぶしに付き合って。」
「…俺?」
えーと…。
暇つぶしってやっぱりこれの事ですか。
神社の上空で天子さんと向き合い、写真を構える。
天子さんから「勝負しよ!」って言われたときはまさかって思ったけど、そのまさかだった。
「弾幕ごっこ…ですか。」
「ううん、ちょっと違う。」
…え。
「緋想天形式で行きましょう!」
「え?緋想…え?あのー、霊夢さーん!」
「はぁ、しょうがないわね…。」
少女説明中…。
「なるほど、いわゆる格ゲー形式ですか。」
正直、女の子を殴るなんてやりたくないな…。
軽く手を抜いて…。
「言っておくけど、手を抜いたりしたら命がいくつあっても足りないわよ。」
「マジで!?」
霊夢さんから言われた衝撃の一言。
まあ、そうだよね。格闘は一瞬でも気を抜いたら終わる。
殴りまくるのは気が引けるけど、本気で行かせてもらおう。
それに、昨日真似たばかりの能力も使ってみたいし。
写真に意識を集中させ、4つの大きな光弾を出現させた。
赤く光る球体、青く輝く立方体、オレンジ色の光を放つ棒状、そして緑色に発行する円盤状。
4色に輝くそれらの光弾は、俺の周囲を回転する。
「あら、面白い技ね。」
「そうですか?ありがとうございます。」
天子さんは右手を俺の方に向ける。
すると、注連縄が巻かれた尖った岩がものすごいスピードで飛んできた。
「えぇっ!?」
慌てて、防御用の立方体の光弾を自分の前に持ってくる。
その直後、岩は光弾に命中したが、驚いたことに岩は高速で回転しており、まるでドリルのように光弾を掘り進んできた。
しかし、岩は回転する力を失い、光弾のちょうど中間あたりで止まった。
防御用の光弾が、まさかここまで貫かれるとは思わなかった。
これ、生身で受けていたら完全に風穴開いたぞ…。
「あぶねぇ…。」
「ま、これくらい耐えられないとつまらないよね。」
マジかよ…。
この女の子、ものすごく強い…。
だったら俺も。
さっそく使おうかな。
昨日真似たばかりの能力。
能力自体はそれほどでもないんだけど、凡庸性に富み、何でも使えそうな能力。
「はぁっ!」
その能力を自分に投影し、指先に意識を集中させる。
指先から糸を放出し、4つの光弾とつないだ。
そう、ヤマメちゃんの糸を操る能力だ。
初めて見た時から、これは真似しておきたいと思っていた。
だって、遠くにあるジュースを動かずに取れるってすごくない?
昨日、技を真似させてもらおうと勢いに任せて頼みに行ったら、糸を操る能力だけではなく依頼の代金までもらっちゃった。
いやー勢いってすげぇなぁ。
「ん?何も出てないじゃない。」
もちろん、糸は細いから天子さんからは見えない。
「いーや、出ているんですよね。これが。」
腕を動かし、糸を操って球体の光弾を天子さん目がけて放った。
しかし、その光弾は天子さんの目前で急に動きを止めた。
「なによ、これ。」
天子さんは拍子抜けしたようだ。
でも、これはおとりなんだよね。
次の瞬間、真後ろから円盤状と棒状の光弾が現れ、天子さんに襲いかかった。
「うそっ!?」
何とか岩を繰り出し、ガードしたようだ。
あの岩、何なんだよ一体。
「いつの間に攻撃したの!?」
「球体の光弾を放ったすぐあとさ。この光弾には天子さんの死角を作り出すという目的があったんだよ。」
間一髪で防がれちゃったけどな。
まあ仕方ないか。
さあ、次の攻撃に移ろう。