それではみなさん、ご唱和ください。
行くぞー!1!2!3!・・・キャーイクサーン!!!
「本当に、総領娘様がご迷惑をおかけいたしました。」
「いえいえ、もう過ぎたことですから。」
今、俺達は縁側に座ってお茶を飲んでいる。
博麗神社に、再び平穏は訪れた。
後から話を聞けば、先ほどの天子さんが発動しかけていたスペルカードは、自分の『大地を操る程度の能力』を使って地面を隆起させる技だそうだ。
こんなにも恐ろしい能力を持っていたなんて。
能力に恐怖を抱いたのは空さん以来だ。
「それに手当までしていただいて。本当にありがとうございました。」
「もういいですから。だから頭を上げてください。」
あの後負傷した天子さんを神社の一室まで運び、そこでずっと手当てを行っていた。
数々の攻撃や雷の直撃を受け、天子さんの体はボロボロになっていたが、驚くべきことに意識を失ってはいなかった。
本当に、この人はいったい何者なんだろうか。
え、天子さん?
今布団に包まれてこちらをじっと見つめています。
まあ、元気そうですよ。
あ、それよりもこっちだった。
この女性、名前は永江衣玖(ながえ いく)さん。
龍の世界と人間の世界の間に棲む「竜宮の使い」と呼ばれる妖怪で、ここに来た理由は突然姿を消した総領娘様、つまり天子さんを捜しに来たのだそうだ。
そして、博麗神社で俺と対峙する天子さんを見つけた。
俺の「カリスマガード」と天子さんの剣を見て、これはまずいと思い天子さんを止めるために雷を落とした。
ってか、あの防御姿勢ってカリスマガードっていうんだ。初耳だ。
あの吸血鬼とどこか関係がありそうな気がするが…まあいい。
「それに、あの時俺は思いっきり攻撃をしていました。今になって、それがものすごく怖くなって。まるで、自分の中の別の人格が現れたような気がして、それが…。」
湯呑を握る両腕に力が入る。
お茶が波打っていることから、自分の体がぶるぶると震えていることが分かった。
頬を一粒のしずくが伝う。
ぎゅっ
「え!?」
いつの間にか、衣玖さんに抱きしめられている。
状況がつかめないでいると、耳元でそっと話し出した。
「欧我さんって優しい人なんですね。」
「…え?」
「確かに、思いっきり攻撃したことに対する恐怖は相当なものです。私も感じたことはあります。しかし、それに負けずにあなたは総領娘様の手当てをしてくれましたね。その時の貴方は輝いて見えました。貴方はとても優しい心を持っています。その心があれば、きっとこの恐怖に打ち勝つことができます。ですから、もうそのことを悔やむ必要はありませんよ。」
「衣玖さん…。」
衣玖さんの言葉が、まるで心にかかった濃い霧を晴らしてくれるかのように、俺の中に渦巻く恐怖を追い出してくれた。
体の震えはもう治まっていた。
湯呑を置き、衣玖さんをぎゅっと抱きしめ返す。
「おぉ~ラブラブだね!」
ずっとこっちを見ていた天子さんがふいに放った一言に、カチンと来てしまった。
それは衣玖さんも同じのようで…。
「総領娘様、もう一度雷を落としましょうか?」
「実は俺も雷を使えるんだよねー。」
「「ダブルで落としましょうか?」」
同時に同じ言葉を口にした。
なぜか呼吸がぴったりと合ってしまった。
「雷はもう勘弁してよー!」
「それよりも、欧我さんも雷を放てるのですか。ぜひ、どちらが強いのか勝負を!」
「もう勝負はこりごりですよ!」
(もうこれ以上騒がしくしないでほしいわ。)ずずっ
「はーい、じゃあ2人そろって仲良くピース!」
無事に天子さんは回復した。傷ももう大丈夫らしい。
かわいくポーズを決める2人にカメラを向けた。
2人とも笑顔が非常に輝いている。
そしてこの仲の良さは見ていてほほえましくなってくる。
「はい、ありがとうございましたー。」
2人の写真撮影も無事終了。
でも、やっぱり霊夢さんは撮らせてくれませんでした…。
「いいえ、こちらこそありがとね!」
「そう言えば、総領娘様と写真を撮ったのはいつ以来でしょうか。」
現像したばかりの写真を手渡し、しっかりと依頼の代金を受け取った。
本当は代金は受け取らないつもりだったんだけど、どうしてもというから仕方なく受け取りましたが…。
だって、霊夢さんがまるで獲物を狙う肉食動物のような眼でじっとお金を見つめていたからね。
気迫というか…怖いよ霊夢さん。
「それにしても、大地を操る程度の能力ですか…。どんな能力か興味ありますね。」
「ほんと!?じゃあ欧我の能力も見せてよ。」
「ええ、いいですよ。俺の能力は真似をする能力なので、まずは天子さんの能力を写真に収めさせてください。」
そう言ってカメラを構える。
天子さんはにっと笑うと、右手を天高く掲げた。
「ちょっとちょっと!地震を起こして神社を倒壊させないでよ!」
「大丈夫よ、ちょっとへこませるだけだから。」
そして右手を地面にたたきつけた。
次の瞬間、激しい揺れを伴いながら地面に大きな穴が開いた。
これ、恐ろしい能力だな…。
「どう?これは序の口だけど、本当は地震や土砂崩れなどを自在に操作できるのよ。」
「すげぇ…。あ、じゃあ真似してきますね。」
今の能力をとらえた写真を手に、みんなの前から姿を消し、森の中へと入っていく。
やっぱり、未だに写真を食べることに抵抗を感じる。
でも、約束した以上絶対に真似しないといけないしな…。
写真を口に含み、お茶で流し込んだ。
うん、体に異常なはい。戻ろう。
「おまたせ!じゃあ行きますよ。」
天子さんの能力をイメージし、自分と重ね合わせる。
…え?
次々と浮かぶ技のイメージ。
これって、にとりさんや屠自古さんの能力を真似た時の感覚と似ている。
「よし、いくぞ!」
両手を地面にたたきつけると目の前の地面が鋭く隆起し、まるで針山のような状態になった。
さらに力を込めると、自分を取り囲むように壁が出来上がる。
これ、真似というレベルじゃないぞ…。
「うっ!?」
突然激しい衝撃に襲われた。
頭を押さえて倒れこむ。
全身を、激しい痛みと衝撃が駆け巡った。
これ、まさかあの時と同じ状況じゃないか。
「うあぁぁぁぁ!」
でも、この強烈な痛みは何だ!?
水に雷、そして次は大地…。
3つ目のピースが、欠けていた部分にぴったりとはまり込んだ。
これ、ピースが増えるたびに衝撃がどんどん強くなってくる。
くそっ、頭が痛い…。
「大丈夫!?」
「どうしたのですか!?」
俺を取り囲む壁がなくなり、天子さんと衣玖さんが駆け寄ってきた。
しかし、今の俺にはその言葉に返事をすることができない。
ただ、苦痛に悶えることしかできなかった…。
「早くこっちに運んで!」
霊夢さんのその言葉を最後に、俺は意識を失った。
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最初の「行くぞー!1!2!3!…」を見て「ダーッ!」を思い浮かべたあなた。
体育館裏へどうぞ。
…なんてね。
はい、作者の戌眞呂☆です。
今日はみなさんにお詫びとお願いがあります。
これから続く数話分をまとめて投稿したいので、それらが完成するまでこの物語の更新は一旦ストップします。
続きを楽しみに待っていただいている皆様には大変申し訳ありませんが、ご理解とご協力をお願いいたします。
では、しばらくお別れしましょう。
さようなら!
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