ある程度完成したので投稿します。
…感情の描写がもっと上手くなりたいです。
「あれ、ここは…?」
どこだろう。
俺は今真っ暗な闇の中にいる。
右を向いても、左を向いても、あるのは真っ暗な空間だけ。
上を向いても真っ暗だ。
でも、不思議なことになぜか自分の体だけははっきりと見える。
真っ暗な闇の中、ぽつんとただ一人空間を漂っている。
自分が立っているのか、浮かんでいるのか、それさえもわからなかった。
「…ガ…。」
「えっ!?」
慌てて後ろを振り返る。
今、誰かの声が聞こえたからだ。
しかし、そこには誰もいなかった。
「オーガ…」
「っ!!」
今度ははっきりと聞き取ることができた。
オーガって…俺の事か!?
これは聞き間違いではない。
今、はっきりと「欧我」って聞こえた。
…でも、俺はこの声に聞き覚えがない。
文さんはもっと高くかわいらしい声だ。
この声の主は一体…。
「欧我、目を覚ましなさい。」
今度は右の方から声が聞こえた。
その声を合図に、四方八方上下から一斉に俺の名前を呼ぶ声が放たれた。
それらの声は、俺の頭の中でぐるぐると渦を巻く。
耳を押さえてしゃがみこんでも、その声は否応無しに脳内に侵入してくる。
「うぁ~黙れ黙れ!」
大声で叫んでも、声は全くとだえなかった。
それよりも大きな声で俺に問いかけてくる。
「黙れって…言ってんだろぉぉお!!!」
お腹の底から声を出し、周りから響く声をかき消す。
「はぁ…はぁ…。」
いつの間にか声は止んでいた。
それだけではなく、俺を包んでいた闇も晴れ、周りの様子が見える。
この部屋の光景はもはや見慣れていた。
ここは、博麗神社だ。
神社の中の一室に敷かれた布団の上に座っている。
体中から嫌な汗が吹き出し、布団を濡らしていた。
「くそっ…夢か。」
勢いよく襖があき、部屋に霊夢さんたちが駆け込んできた。
かなり慌てていた様子だが…。
「どうしたのですか?」
「それはこっちのセリフよ。いきなり大声を出すんだから。」
霊夢さんが迷惑そうに言った。
「ごめんなさい。悪い夢を見てしまいまして。」
本当に、あの夢は一体何だったんだ。
「ひどい汗じゃないですか。ほら、着替えましょう。風邪をひいてしまいますよ。」
「ありがとう、衣玖さん。でも大丈夫です。」
俺のことを心配してくれた衣玖さんに、笑顔でお礼を言った。
布団から出て、霊夢さんの後について縁側まで足を進める。
とりあえず霊夢さんにお茶をもらおう。
ゆっくりとお茶を飲んで、今の夢をきれいさっぱりと忘れたい。
「あれ?」
霊夢さんが何かを見つけたようだ。
目線の先には、テーブルの上に置かれた1部の新聞が。
新聞…ってことは文さんの号外かな。
「何よ、これ。中央新聞?」
「なんだって!?」
霊夢さんが口にした新聞の名前に、俺は驚きの声を上げる。
俺に注がれる視線。
信じたくはないけど、でも、これは間違いない。
「その新聞は…外の世界の新聞です。」
「なんですって!?」
しかも、かなり有名な新聞だ。
そんなものが、なぜここに?
ふと、天子さんが何かを見つけたようだ。
新聞に付いた1枚のメモを取り、そこに書かれている文字を読んだ。
「えーと…。欧我クンへ。この新聞を読んでみてね。記憶を取り戻す手がかりになるかもしれないから。PS…私に用があったら博麗神社に来なさい。八雲紫。って丸っこい字で書いてあるわ。」
「俺の…記憶?」
「はぁ、全く迷惑なことしてくれるわね。ほら、欧我。」
霊夢さんはため息をつくと、俺に向かって新聞を放り投げる。
新聞を何とかキャッチすると、その紙面に目を通した。
「なに!?今日のロードショーはこれかよ。」
見たい…。
あ、ごめん。
今はそれどころじゃなかったよね。
謝るから、今すぐそのお札をしまってください!
「ふぅ…。」
大きく深呼吸すると、新聞をひっくり返す。
紙面に書かれている記事を見て、目を見開いた。
そこには、無残に破壊された都市の写真が大きく乗せられていた。
そして見出しには『また都市壊滅。影鬼の仕業か』と書かれている。
「かげ…き?」
「外の世界にも、悪い奴はいるんだね。」
霊夢さんが新聞を覗き込んで言った。
さらに新聞を読み進めていく。
どうやらこの影鬼という人物は不思議な能力を持っていて、それを活用して世界中の都市を破壊して回っているそうだ。
彼女の最終目的や意図などはまだ解明されていない。
「影鬼…。」
この人、俺と関係がありそうな気が…。
「っ!?」
次の瞬間、記憶が…解放された。
影鬼という名前が脳内で形を変え、記憶を閉じ込める金庫の鍵穴の一つに差し込まれた。
カチャッと鍵が開く音とともに、一つの記憶が解放されたのだ。
その記憶は、またしてもひとつの単語だった。
でたらめに並ぶアルファベットと数字の列。
…これってもしかして!!
新聞を床に落とし、空へと飛びあがる。
そしてまっすぐ文さんの家を目指した。
「行っちゃったね。」
「放っておきましょ。欧我には欧我の抱えている問題があるのよ。」
「そうね…。」
博麗神社に残された3人は、心配そうに空を見上げた。