幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

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本当の想い

 

夜…。

 

俺は布団の中に入り、紫さんから言われた言葉を思い返していた。

 

俺の感情はプログラムされたことによって生まれた。

しかし、文さんの気持ちは本物だ…。

 

こんな状態で、俺は本当に文さんを愛し続けることはできるのだろうか…。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、欧我。」

 

 

その声と共に部屋の障子が開き、文さんが俺の部屋に入ってきた。

今帰ってきたばかりなのか、表情には少し疲労がたまっている。

 

 

「文さん…。」

 

 

その笑顔を見て、気付いたら涙を流していた。

動画の中でプログラムされているものだと言われたこの感情。

 

改めて考えてみても、信じることができなかった。

文さんが好きだというこの感情は、本当に作られたものなのだろうか。

じゃあ、今この感じている胸の苦しみは一体何だ!?

 

 

「あややや、どうしたのですか?」

 

 

俺のそばに腰を下ろし、心配そうに顔を覗き込む。

俺はただ何も言わず、文さんの肩に両手を置くと引き寄せ、抱きしめた。

 

 

「あっ。」

 

 

「文さん、俺…。」

 

 

本当に、この恋という感情が偽物だとしたら、今俺の感じているこの幸せな気持ちは一体何なんだ。

このドキドキは!?大好きという感情は!?

 

俺は、本当に文さんを心から愛している。

誰が何と言おうと、俺はこの気持ちは本物だと信じている。

 

 

「俺は…。文さんのことが大好きです。この世界のだれよりも、一番大好きです。」

 

 

まるで自分に言い聞かせるように、ゆっくりと、そしてはっきりと口にする。

背中に回したシャツを握る手に力が入る。

 

もう、全てを打ち明けよう。

今、俺が感じている感謝、幸せ、そして愛…。

 

 

「文さんに初めて会った時、俺はすでに文さんに恋をしていました。笑顔が素敵で、その笑顔に一目惚れをしていました。そして一緒に一つ屋根の下で過ごした生活、俺にとっては、毎日が楽しくて、そして幸せでした。」

 

 

今まで一緒に過ごしてきた思い出を、ゆっくりと口にする。

一緒に取材に行った時の楽しさや、一緒に空を飛んだ時の爽快感、そして一緒に過ごした何気ない日常の中で感じた幸せ。

 

俺の中には、文さんと過ごした幸福な日々が次々と思い浮かんでくる。

それらをゆっくりと言い聞かせるように耳元で言葉にする。

その間、何も言わず俺の話に耳を傾けてくれていた。

 

 

「ううっ…。」

 

 

「…文さん?」

 

 

俺を抱きしめる腕の力が強くなるのを感じる。

肩を小刻みに動かし、声を上げて泣いていた。

 

止めどなく溢れる文さんの涙。

俺はしっかりと抱き締めたまま頭をやさしくなでる。

 

 

「よかった…。」

 

 

「え?」

 

 

「私…ずっと不安だった。」

 

 

文さんは胸の内を語ってくれた。

 

 

「私…欧我が好きだという気持ちに、自信が持てなくて…。本当に、好きなのかとか…欧我は、本当に私の事を…好きでいてくれるのか…。不安で…っ…たまらなかった。」

 

 

文さん、そんなこと思ってたんだ…。

 

 

「ぐすっ…私、本当にこれでよかったのか…分からなかったの。日々の接し方や、取材中での対応とか…。欧我が…本当に幸せになってくれるかどうか…不安で不安でたまらなかった…。」

 

 

俺を抱きしめる腕に、さらに力が入る。

肩に顔をうずめ、文さんは泣き続けた。

 

俺も涙を流しながら、抱きしめる腕に力を込めた。

 

 

「でも、欧我は今…私を大好きだと言ってくれた。世界で一番だと言ってくれた…。幸せだと言ってくれた…。それが本当にうれしかった。今まで感じていた不安を取り除いてくれた。本当に…あ」

 

 

自分の体から引き離し、唇を使って文さんの言葉を遮った。

 

 

「それを言うのはこっちさ。文さん、本当にありがとう。」

 

 

「うんっ!」

 

 

文さん涙を流しながら、にっと笑顔になる。

俺も、泣きながら笑顔になった。

 

見つめあい、再び唇を重ね合わせた。

 

 

文さんの体に力が入る。

俺は抵抗することなく、その力に身をゆだねる。

 

唇を重ね合わせたまま、布団の上に押し倒された。

 

 

文さんは上体を起こし、俺の上に馬乗りになった。

俺を見つめたまま、自分の胸元に両手を持っていく。

 

そして、するするとシャツのボタンをはずしていった。

 

 

「欧我。私の愛、受け止めてください。」

 

 

ボタンをすべてとり、上着を脱ぐ。そして両手を後ろに回し、ホックをはずした。

 

その様子を見ても、また、これから何をするかが分かっても、なぜか動揺したりうろたえたりはしなかった。

 

…いや、文さんだから動揺しないのだろう。

文さんだからこそ、全てを受け止めることができる。

 

 

「はい、受け止めます。全身全霊で。」

 

 

俺の言葉を聞き、文さんはほっとしたような笑みを見せた。

そして俺が着ている服の裾に手をかけ、そっと脱がしてくれた。

 

 

しばらく見つめあった後、2人は抱きしめあった。

1つの屋根の下、1つの布団の中。

お互いの愛を感じるように、忘れることのできない一夜を共にしたのだった。

 




 
愛を確かめ合った欧我と文。
これからずっと文を愛し続けようと心に決めた欧我でした…。


どうも、作者の戌眞呂★です。

実を言うと、この展開は一度書いてみたかったです。
上手く表現できているのか不安ですが…。



さて、この章で欧我の正体が判明しました。
自分の正体を知りながらも幻想郷を守るために苦悩する欧我。

彼はいったいどんな決断を下すのか、楽しみに待っていてください。


この章で、秋編は終わりを迎えました。
そして季節は最後の一つ、冬へと向かいます。


物語が始まった春…
文との恋に気付いた夏…
自分の正体を知った秋…

起の春、承の夏、転の秋ときて、最後は「結の冬」です。

結、決、欠…。

いろんな「けつ」がありますが、今後の展開を楽しみに待っていてください。


それでは、失礼します。
 
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