幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

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ついに影鬼が幻想郷に侵略を開始した。

幻想郷中を巻き込んでの戦いが今、始まる。


第17章 戦い
侵略の始まり


 

ぶるぶるっ…

 

あー、寒い。

ゆっくりと目を開ける。

 

 

「っ!?」

 

 

目の前に、幸せそうに寝息をたてる文さんの顔があった。

 

…あれ?あの後どうしたっけ?

たしか、小傘ちゃんも含めて3人で酒を飲みまくって…。

で、思いっきり酔っぱらって…。

それからが思い出せない。

 

ゆっくりと上体を起こす。

 

 

「なっ!?」

 

 

何も着ていなかった。

部屋の隅には脱ぎ捨てられた服が散乱している。

俺のだけではなく、文さんのも…。

 

って!?

慌てて文さんの状態を確認する。

身体には何も身に着けておらず、滑らかな肌があらわになっていた。

 

男女が裸の状態で一つの布団で寝ているということは…。

 

 

「思い出した…。」

 

 

あの夜は酔った勢いに任せて文さんを布団に押し倒したんだ。

初めてこちらから仕掛けたけど、結局は文さんに主導権を握られて…。

 

 

「ん~師匠~。」

 

 

「小傘ちゃん!?」

 

 

え!?なんで小傘ちゃんもいるの?

布団を並べ、幸せそうに眠っている。

あの時小傘ちゃんは自分の部屋に戻ったはずなのに…。

 

まさか、俺は小傘ちゃんにまで…?

そっと掛布団をめくってみる。

 

…良かった。ちゃんと寝巻を着ている。

小傘ちゃん(助手)にまで手を出してしまったら、俺は一体どれくらいの人から非難されるのだろうか…。

 

 

…はぁ、もう起きよう。

っていうか寒い!

冬にやるのは良くないな。

 

 

布団から出て、掛布団をそっと文さんにかけてあげた。

そして2人を起こさないように、脱ぎ捨てられた服を着て台所に向かった。

 

朝食の準備はほぼ毎回俺がやっている。

今日のメニューはスクランブルエッグにしようかな?

 

卵をボウルに割り、箸でかき混ぜる。

 

 

「欧我。」

 

 

「紫さん!?」

 

 

不意に、紫さんの声が聞こえた。

後ろを振り返ると、空間にできたスキマから紫さんが顔を出していた。

 

一体どうしたというのだろう。

 

 

「気づいていないの?手下が現れたわよ。」

 

 

「なんだって!?」

 

 

そんな!

こんな時間に!?

 

確かにあの時影鬼は俺には現れた場所がわかるって言ってたよな。

でも、なぜ今気づかなかったのだろうか。

 

 

「場所はどこですか?」

 

 

「里の近くよ。」

 

 

「分かった、行こう!」

 

 

紫さんの能力を投影させ、スキマを作って飛び込んだ。

 

 

 

 

 

「欧我~?」

 

 

あれ?いない。

テーブルの上にはボウルに割られた玉子が置いてあった。

 

そうですか…もう、戦いに出かけたのですね。

ご武運をお祈りしています。

 

 

「あやややや!?わ、私なんで裸に!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっと。」

 

 

スキマから飛び出し、地面に着地する。

不思議な空間を通っているときに分かったが、不思議な空間に入ると手下の存在を強く感じることができた。

もしかしたら、この空間にいればすぐ感知できるのかもしれない。

 

そして、手下はどこに?

 

 

「あっ!?」

 

 

人間の里のすぐ近くに黒い人影がたくさん集まっている。

その数約十数人。里の農民が襲われている。

 

すぐに助けないと!

妹紅さんの能力を投影させ、体から炎を放出させる。

 

 

「行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」

 

 

そう叫びながら、その人影目指して飛び出した。

 

 

 

 

 

両腕に炎を集め、人影とすれ違いざまに拳を叩きこんでいく。

攻撃を食らった人影はもだえ苦しみながら霧となって消滅した。

 

…よし、これなら倒せる!

 

 

「皆さん、早く逃げて!」

 

 

「す、すまねぇ!!」

 

 

農民と人影の間に割って入り、農民の逃げ道を確保する。

 

人影は手に刃物のような武器を持っており、それを振りかぶって襲ってきた。

数はあと6体。

この距離じゃあソードを出している暇はない…。

 

 

「…ん?」

 

 

ふと足元を見ると、そこには自分の身長と同じくらいの長さの鉄の棒が転がっていた。

なんでこんなものがここに?

 

…まあいい、とにかく使おう。

 

 

鉄の棒を拾い上げ、人影の攻撃を防ぐ。

ガキィン!と鉄同士がぶつかりあったような音が響き渡ったが、どうやら鉄の棒は無傷のようだ。意外と頑丈だな。

 

 

「よし、決めるか。今のうちに自分たちの罪を数えておけ。」

 

 

後ろへ下がって距離をとると、鉄の棒に意識を集中させる。

すると棒の両端が真っ赤に発光し、炎が立ち上がった。

 

棒を構え、走り出した。

 

 

「仮双『メタルブランディング』!!」

 

 

すれ違いざまに燃え上がる棒の両端を次々と叩き込んでいく。

 

人影は霧となって消滅した。

初戦は、俺の勝利だ!

 

何だ、手下と言っても随分とあっけないものだったな。

 

 

 

 

 

「なんだ、もう終わっちゃったのか。」

 

 

「あれ、屠自古さん?それに布都さんも。」

 

 

棒を地面に置き、息を整えていると俺の前に2人が姿を現した。

 

 

「お主、かっこよかったのお!見ていて惚れてしまいそうじゃ。いや、惚れたぞ!」

 

 

「え?布都さんったら…。もう。」

 

 

…いや、そうじゃなくって。

 

 

「どうしてここに?」

 

 

「ああ、太子様から言われたのだ。不思議な気を感じるから様子を見てきてくれとな。」

 

 

「そうですか。」

 

 

太子様…って初めて聞く名前だ。

誰だろう。

 

 

「それよりも、あの黒い人影が悪の手下というやつか。白蓮から言われたことは本当だったのか。」

 

 

「はい。」

 

 

「で、雷を操れる私はその手下と戦うことができるのか。欧我よ、こうなってしまった以上私はお前に協力する。絶対にこの地を護ろう!」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

 

屠自古さんと固い握手を交わす。

 

そうだ、戦う人は俺一人じゃない。

俺には力強い仲間たちがいる。

 

みんなと協力すれば、絶対に打ち勝つことができる。

 

 

「ちょ、ちょっと!我を仲間外れにしないでくれぬか!?」

 

 

「するわけないじゃないか。布都さんもよろしくね。」

 

 

「うむ!それっ!」

 

 

「わわっ!?」

 

 

いきなり布都さんに抱き着かれた。

状況がつかめなかったが、俺も布都さんを抱きしめた。

 

 

「お主には強い運が味方に付いておる。だから大丈夫じゃ。そしてこれはお守り、受け取るがいい。」

 

 

布都さんは俺をぎゅっと抱きしめる。

すると、なぜか体中に力が湧きあがってきた。

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

…あれ?屠自古さん、顔を真っ赤にしちゃって。

 

 

「屠自古さんもやりますか?ぎゅって。」

 

 

「わ、私は大丈夫だ。」

 

 

「おやぁ?屠自古、もしかして妬いておるのか?」

 

 

「なっ!?そ、そんなわけないだろ!」

 




初戦を勝利で飾った欧我。

しかし、この戦いは熾烈を極めていくのでした…。
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