こんにちは、作者の戌眞呂☆です。
今日は皆様に報告があります。
なんと!
お気に入り登録者が100人を突破いたしました!!
まさかこんなにもたくさんの方に読んでいただけるとは思いませんでした。
毎回コメントをしてくれる方。
欧我の清書を申し出てくれた方。
間違いを指摘してくれる方。
そして、この物語にしおりを挟んでくれた方。
皆様に支えられたおかげで、ここまで来ることができました。
この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。
本当に、ありがとうございました!!
これからも完結に向けて精進していきますので、応援をよろしくお願いいたします。
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何もない不思議な空間…。
空中に浮かびながら、神経を研ぎ澄ませる。
いつ、どこに影鬼の手下が現れてもいいように、体を休ませつつ気配を探る。
「っ!?」
来た!
場所は無名の丘。
初めて行く場所だ。上手くイメージできるのだろうか。
手の平をかざし、スキマを作り出した。
無名の丘…。
ここは妖怪の山とは正反対の方向にある低い山にある草原で、春過ぎになるとたくさんの鈴蘭が咲き誇る。なぜ無名の丘と言われるようになったかというと、それには悲しい話があるんだが、今話している暇はなさそうだ。
「手下どもはどこかな?」
辺りをきょろきょろと見渡す。
しかし、手下の姿はどこにも見当たらなかった。
あの時はっきりと感じたはず。
もしかして場所を間違えたとか?
「キャァァァァァァ!!」
「悲鳴!?」
まずい、急ごう!!
文さんの能力を投影させ、全速力で悲鳴が聞こえた場所へと向かった。
「あっ!?」
その場所は、意外と近かった。
見ると、人影が一人の小さな女の子を取り囲んでいる。
女の子は地面にしゃがみ込み、頭を押さえてぶるぶると震えていた。
早くあいつらを倒さないと!
にとりさんの能力を投影させ、人差し指のみに意識を集中させる。
そこにすべての水を集め、高い圧力をかけて放出した。
高速で噴き出された水は鋼鉄さえも切断するほどの威力を持っている。
「お前ら、その子から離れろ!!水符『水斬横一閃』!!」
女の子はしゃがんでいたため、その頭上の高さで真横に薙ぎ払った。
水を受けた人影は2つに両断され、霧となって消滅した。
一丁上がり…かな。
「大丈夫?」
その女の子のもとに走り寄る。
ウェーブのかかった金髪のショートボブで、赤いリボンがヘアバンドのように結ばれている。黒い服に赤いスカートを穿いており、かなり幼い。
どうやら、怪我とかはしていないようだ。
良かった…。
「うん、ありがと…!?」
その女の子はそう言って顔を上げる。
そして俺の顔を見た途端顔がひきつった。
「あ…あなた人間よね!?」
後ずさり、俺との距離をとる。
…どうしたのだろう。
表情から推測すると、人間に対して何かしらのトラウマや恐怖を抱いているように見える。
いや、それだけじゃないようだ。この目つきは…恨みか?
「ねぇ、どうしたの?」
一歩足を踏み出す。
「来ないで!!」
女の子はそう叫ぶと不気味な色に光る弾幕を展開した。
女の子のほうに歩きながら、目を閉じて意識を集中させる。
次の瞬間、身体中を激痛が駆け巡った。
弾幕が命中した。
「ぐっ・・・!くそっ!」
体のあちこちが痺れてきた。
ヒリヒリとして痛い。
この感じ…毒か!?
毒に侵されながらも、俺は決して足を止めなかった。
「人間め!来るな!!」
女の子は再び弾幕を放つ。
体中を襲う痛みと痺れ…。
しかし、俺は歯を食いしばって激痛を耐え、女の子との距離を縮めていった。
どうしてこの女の子が人間に恨みを抱いているのか。その理由が知りたかったからだ。
女の子の目の前にしゃがみ、震える腕でぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫…俺は、何も…しないから。」
抜け出そうと必死にもがく女の子にの耳元で優しく言った。
俺の言葉を聞いて、女の子は動きを止める。
「君が…どうして人…間を恨んでいるか…教えて…くれない…かな?」
「お前ら人間に捨てられたからよ!私はこの地に捨てられ…ずっと独りで寂しかったんだから!」
そっか。そう言うことか…。
人間に捨てられ、誰にも見向きもされないまま妖怪となった。
長い長い年月をたった独りで過ごした孤独は俺でもイメージできなかった。
俺の脳裏に、小傘ちゃんの笑顔が浮かぶ。
この子、小傘ちゃんと同じだ。
「ごめんな…。」
「えっ…?」
「ごめんな…俺たち人間が…君を捨てたばかりに。ずっと一人で…寂し…かったんだね。本当に…ごめんな。許…し……」
身体から一気に力が抜け、地面に倒れこんだ。
毒が回り、身体が痺れて力が入らない。
声も出すことができない。
白蓮さんの能力で防御力と免疫力、自然治癒力を高めたはいいものの、真似したてで上手くできなかった。
これは、無茶をしすぎたな…。
目の前がかすんできた。
くそ、もう終わりかよ…。
「ぐっ!?」
次の瞬間、口の中にとてつもない苦味が広がった。
その苦味を吐き出そうと口を開ける。
「ちゃんと飲んで!」
しかし、女の子に口を塞がれてしまった。
振りほどこうと手足を動かそうとしたが力が入らない。
意を決して、その苦い物体を飲み込んだ。
飲み込んだ直後、体中から痺れが無くなった。
わずかだが指に力が入る。
毒が、無くなった…?
「君…これは?」
「私はメディ。メディスン・メランコリーよ。今あなたに飲ませたのは解毒薬。」
解毒薬…?
「ありがとう…。でも、なぜ?人間を恨んでいるはずの君が、どうして人間の俺を助けたの?」
「分からないわよ。でも、あなたが言ってくれた言葉がうれしかった。死なせたくないと思った。」
「そっか、ありがとうメディちゃん。俺は葉月欧我。よろしくね。」
お腹に力を込め、上体を起こす。
解毒されたからと言って、すぐに動けるようにはならなかった。
まだ完全に回復していない。
「まだ動いちゃだめよ!」
メディちゃんが慌てて止める。
気持ちはうれしいけど、俺にはまだやることがある。
こうしている間にも、手下が現れるかもしれない。
「ありがとう。でも、行かなくちゃ。」
「だめよ!安静にしていないと。」
身体に力が入らないため、メディちゃんの力に抗えずに押し倒されてしまった。
…確かに、この状態では戦えない。
そうだ、いいこと考えた!
目をつむって、元気な状態の自分をイメージする。
「禁忌『フォーオブアカインド』。」
フランちゃんの技を投影させ、3体の分身を作り出した。
イメージ通り、この分身は3体とも毒によるダメージを負っていない。つまり、分身たちなら戦える。
「お前ら、かわりに戦ってくれ。」
3体の分身は頷くと、スキマの中へ消えていった。
「さて、オリジナルは一回休みだ。」
そう呟くと、ゆっくりと目を閉じた。