「あの人って、本当にすごいんだな…。」
人は見かけによらないんだね。
もしこの幻想郷に霊夢さんがいなければ、今の幻想郷は全く違っていたのかもしれない。
この幻想郷の生活が物語になったとしたら、霊夢さんは主人公と言っても差し支えないかもしれない。
いや、主人公以上の働きと言っていい。
…うん、この人とは仲良くなっておかないといけないな。
それぞれの異変について紙にまとめていったが、その異変に関する情報は膨大で紙1枚にはまとまりきらなかった。
それぞれの異変についてまとめた紙を束ね、ホッチキスで止める。
「よし、次は天狗について調べるか。」
「天狗?どうして?」
「だって今俺は鴉天狗の家に居候しているからね。天狗について詳しく知っておきたいんだ。」
「ふーん。天狗についてならこっちの本棚よ。」
「あ、ちょっと待って!」
椅子から立ち上がって駆けだしたこあさんの後を慌てて追いかける。
その光景を、自分の机から1人で眺めている。
(ものすごい集中ね。まるで自分だけの世界に入り込んでいるような。それにしても…)
今も大きくなり続けている本の山を見てため息をつく。
(本は自分で片づけなさいよ…。)
そして読んでいた本に再び目を落とす。
次の瞬間、机の前に咲夜が姿を現した。
「パチュリー様、失礼いたします。」
「あら、咲夜。何か用事でも?」
「はい。実は、お嬢様が欧我君にお会いしたいそうで。」
「レミィが?」
本から目を上げ、咲夜の顔を見る。
レミィはいきなりどうしたというのかしら。
「はい。先ほど紅魔館に欧我君が来ていることをお伝えしたら、ぜひ会って話をしてみたいと。」
「そう。欧我ならあそこの机にいるわ。」
「そうですか、わかりました。」
咲夜は私に一礼すると欧我のいるテーブルの方に向かった。
「欧我君、ちょっといいかしら?」
テーブルに近づき、欧我に声をかける。
しかし、欧我は紙に万年筆を黙々と走らせており、咲夜の存在に気づいてはいない。
ものすごい集中力。
小悪魔
「ちょっと、欧我!」
欧我
「ふぇっ!?」
慌てて小悪魔も声をかける。
小悪魔の大声でようやく咲夜の存在に気づいた。
「あれ、咲夜さん?どうしたんですか?」
「お嬢様があなたに是非お会いしたいと。なのでお迎えに来ました。」
お嬢様?
お嬢様と言えば、この館の主であり、フランちゃんの姉であるレミリアさんだっけ?
吸血鬼で、かなりのカリスマだと書かれていたが、なぜ俺に会いたいと?
とにかく、会って写真を撮ろう。
「わかりました、今すぐ行きます。」
そう言って今まで調べた紙をまとめてバッグにしまう。
そして、こあさんの方を見て笑顔で言った。
「あなたがいてくれて、本当に助かりました。ありがとうございます。」
「いえいえ、それほどでも!」
「それでは、本の後片付け、よろしくお願いしますね。」
「はーい!またねー!」
お互いに手を振り、欧我と別れた小悪魔。
「ん?片付け?」
小悪魔は後ろを振り返る。
そこには、テーブルの上に山積みにされた大量の本が…
「もぉ~~~欧我ぁぁぁぁぁ!!!」
小悪魔の絶叫は、ただむなしく大図書館に響く。