幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

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急襲、妖怪の山

 

地霊温泉で戦う決意ができてから、早くも1週間が経過した。

この1週間で影鬼の手下の出現頻度が増してきている。

エレメントを操ることができる人や妖怪たちと協力しながら、そして分身も使いながらなんとか侵略を食い止めている。

 

特に妹紅さんの活躍はすさまじく、不死身の体を生かして幻想郷の各地を転戦してくれていた。

みんなも大切なものを護るために戦っている。俺も負けてはいられないな。

 

 

 

 

 

「仮宙『ロケットドリルキック』!!」

 

 

右手の平からロケット噴射の要領で炎を放出し、大地を操る能力で作ったドリル状の岩を左足にまとい、身体を高速で回転させながら強力なキックを放つ。

 

火炎放射によって生まれた推進力と、ドリルの先端に集中させたパワーを伴ったキックはものすごく強力で、いとも容易く敵の巨体を貫いた。

 

 

 

 

 

「腕を上げたわね、欧我。」

 

 

「そうですね。1度手合わせをしてみたいです。」

 

 

「あら、珍しいわね。あなたがそんなことを言うなんて。でも、咲夜では今の欧我には勝てないわ。それくらい成長している。身体も、心もね。」

 

 

紅魔館のバルコニーから、たった今行われた戦いを観戦していたレミリアと咲夜の2人。

 

両腕を上げて大きく伸びをしていた欧我にお茶とタオルを持って駆け寄る美鈴。

2人の話す声はここまで聞こえてこなかったが、2人はとても楽しそうに笑い合っている。

 

なんだか、少し羨ましい。

 

 

 

 

 

「あら、あれは何かしら?」

 

 

欧我のもとに現れたのは、白い耳と尻尾を生やし、背中に帯刀をした妖怪だ。

あれは…。

 

 

「白狼天狗かしら。山にいるはずの天狗がどうしてここに現れたのでしょうか。」

 

 

その様子を眺めていると、欧我の顔から笑顔が消えた。

白狼天狗と何かを話していたが、その直後2人は慌てて空へと飛びあがった。

 

飛んで行った先にあるのは、妖怪の山。

 

もしかして…。

 

 

「きっと、山に敵が現れたのかしらね。欧我も、この運命からは逃げられない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当なんですか!?」

 

 

先ほど聞かされた話は簡単には信じられなかった。

 

まさか…。

 

 

「山に大群が現れたって本当なんですか!?」

 

 

「はい。我々白狼天狗が立ち向かっているのですが、こちらの攻撃が全く効かないのです。負傷者が増える一方で。」

 

 

「わかった。わざわざ知らせてくれてありがとうございます。」

 

 

「はい、実は…。」

 

 

そう言うと、隣を飛ぶ白狼天狗は暗い顔をしてうつむいた。

 

 

「実は、天狗の中にはあなたのことをよく思っていない人がたくさんいるので、呼ぶべきか悩んだのですが…。」

 

 

やっぱりか。

天狗と言うのは排他的な組織を築いている。

山に侵入してきた人間を殺すこともいとわない人も中にはいる。

それほど、天狗の領域を他の人が荒らすことは我慢ならない。

 

俺が文さんの家に居候した直後だっていろいろと問題が起こった。

白狼天狗の大群がやってきて家を包囲したり、命を狙われたり。

その度に文さんが必死に弁明してくれて、さらに上司の鶴の一声を得て、ようやく問題が解決した。

 

その後も山を歩いているたびに白狼天狗から攻撃されたり、ちょっかいをかけられたりもした。

 

 

しかし、夏に起こった永嵐異変の時に俺が天狗の一員として戦ったことで考えを改めてくれた。

 

…その後に文さんと恋仲になったことで余計に俺を毛嫌いする天狗も増えたけどね。

 

(簡単にするために、前者を好グループ、後者を嫌グループと表記することにします。)

 

 

「そんなことはもう慣れました。それに、仲間を護るためにはそんなの関係ない。…ところで、柊さんは俺の事をどのように考えているのですか?」

 

 

隣を飛ぶ白狼天狗は驚いて顔を上げた。

 

 

「あ、え…その…。」

 

 

「どうしたのですか?」

 

 

「いえ…まさか、名前を覚えていてくれたとは。」

 

 

「仲間ですから。」

 

 

俺は笑顔でそう答えた。

 

 

そうこうしているうちに、山が目前まで迫っていた。

白狼天狗のみんな、どうか無事でいてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奇跡『ミラクルフルーツ』!!」

「贄符『御射山御狩神事』!!」

「土着神『ケロちゃん風雨に負けず』!!」

 

 

3人同時にスペルカードを発動させる。

一斉に放たれた大量の弾幕は目前に迫っていた手下の大群に命中した。

 

弾幕が命中した手下は後方へ弾き飛ばされたが、弾幕の効果は無く何事もなかったかのように立ち上がった。

 

 

「くぅ…。効果が無いのは堪えられません…。」

 

 

「早苗、敵はまだたくさんいるよ!気を抜かないで!」

 

 

「そうだぞ!私たちの後ろには負傷者や戦えない妖怪たちがいるんだ。倒せなくてもいい。守矢神社に近づけさせるな!欧我が来るまで持ちこたえるのよ!」

 

 

「諏訪子様!神奈子様!…そうですね。欧我さんなら絶対に駆けつけてくれます。それまで頑張りましょう!」

 

 

「ええ。さぁ手下ども!我が直々に神罰を下す。覚悟するがいいさ!!」

 

 

「神奈子、完全にスイッチ入っちゃってるよ。」

 

 

「そのようですね。諏訪子様、どんどん行きますよ!」

 

 

3枚目のスペルカードを構えた。

 

正直に言って、疲労がたまってきた。弾幕の効果が無いから精神的ダメージも負っている。

…でも、皆さんを護るためには私たちが戦わなければいけません。

神奈子様も諏訪子様も必死で立ち向かっている。

私も負けていられません!!

 

スペルカード3枚目、参ります!

 

 

「奇跡『客星の明る…!?」

 

 

発動しようとしたその瞬間、上空から水の弾幕が大量に降ってきた。

猛スピードで迫る弾幕は手下の身体を次々と貫いて行く。

 

貫かれた手下は霧となって消滅した。

 

 

この攻撃…。もしかして!

 

 

「欧我さん!?」

 

 

「いや、この攻撃は…」

 

 

「私、参上!!」

 

 

上空から現れたのは青い髪をツーサイドアップにして緑のキャスケットをかぶった女の子だ。この子は…。

 

 

「にとりさん!」

 

 

「椛から守矢神社が危ないと聞いて、加勢しに来たよ!」

 

 

「助かります!」

 

 

にとりさんは私たちに向かってにっと笑うと手下の大群と向き合った。

私たちに心強い仲間が加わった。

 

 

「私が倒すからサポートをお願い!」

(この日のために作ったさまざまな発明品では効果が無かった。つまり、私自身の能力だけが頼りだということ。欧我、早く来てくれ。)

 

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