それを理解し合ったとき、
2人は結ばれる。
「文さん!!」
守矢神社の境内に着陸した。
俺の登場に、守矢神社に集まっていた人々から歓声が沸き起こる。
走り寄ってきた鈴仙さんに葵さんを任せ、文さんと向き合った。
腕を組み、上空から俺を見下ろす文さんの表情には怒りが含まれていた。
「欧我、説明してもらえるかしら?」
「文さん…。」
「なぜ私が戦えないと嘘をついたのか、説明してください!」
「それは…。」
何と言えばいいのか、全く浮かばなかった。
目を合わせることができず、視線を下におろす。
すぐ目の前に文さんが空中から降りてきた。
「それは…。」
この際、本当のことを言おう。
「文さんが傷つくところを見るのが嫌だからです。もし重傷を負ってしまったらどうしようって。大好きな人を危険から護り」
パチン!
いきなり文さんに頬をはたかれた。
ヒリヒリと痛む頬を押さえ、文さんの顔を見上げた。
「あの時の私と…同じじゃないですか。」
文さんは優しい笑みを浮かべていた。
「あの時、私があなたを泣いて止めたのを覚えていますか?」
あの時…。
文さんのもとを離れ戦いに向かう決意をした俺を、文さんは泣いて止めた。
小傘ちゃんとともに説得をして、何とか頷いてくれたけど。
でも、それが一体…。
「私だって、大好きな人が傷つくのは耐えられません。もし命を落としたら?そう考えると怖くて怖くて…。」
文さんの頬を一筋のしずくが流れ落ちる。
「戦いに出た後も、私はずっと不安でした。怪我でもしたら、重症を負ってしまったらどうしようって…。私だって、大好きな欧我を危機から守りたかったんですよ。」
「文さん…ごめんなさい。」
俺は…。
あの時の文さんの気持ちを考えることができなかった。
文さんの気持ちを考えず、自分の気持ちだけを押し通した結果文さんを戦いに巻き込まないように嘘をついた。
…でも、それは間違っていた。
文さんだって、俺のことを心配していたんだ。
今の俺と同じように、大好きな人が傷つくことが耐えられなかった。
その気持ちを汲み取ることができなかった…。
「私の気持ち、わかってくれましたか?」
「うん…。ごめん。」
文さんは俺の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「さあ、早苗さんたちのところへ行きましょう。」
「はい。」
守矢神社の門の屋根に立ち、迫ってくる大軍を見下ろした。
にとりさんの活躍で大軍の数は減ってきているが、後方にはまだまだたくさんいる。
「私も戦えることが分かった。つまり、大切なものを護ることができるというわけですね。」
「うん。」
隣に立って葉団扇を構える文さんの方を向いて笑いかけた。
文さんの気持ちを分かろうともしないで、自分の感情だけで文さんを戦いから遠ざけた。
でも、文さんの心の内を知ることができて、一緒に戦う決心がついた。
「あの、今のうちに言いたいことがあります。」
「なんですか?」
深呼吸をし、ゆっくりと、優しくその言葉を口にする。
「文さん、これからもずっと、俺の隣にいてください。そして、最後まで一緒に戦ってください。」
俺の言葉を聞いた直後、文さんは驚いて顔を赤く染めた。
「まさか、今のって…。」
「ええ、そう受け取ってください。」
文さんににっと笑いかけた。
本当は2人で夜景を見ながらとか、もっとロマンチックなところで別のセリフを言うつもりだったんだけど。
今、戦いの場で言うことができるセリフはこれ以外に見つからなかった。
今の状況で言える、俺なりの…プロポーズ。
「はい。これからもずっと、欧我と一緒にいます。」
2人で手を繋ぐと、大軍の中に飛び込んだ。
右手に持つソードに雷撃を込め、次々と斬撃を叩き込む。
その隣で、文さんは風の刃を放って大軍を切り刻む。
「これじゃあ、大軍入刀だな。」
「初めての共同作業がこれって私たちらしいのかもね。」
冗談を言い合いながら、次から次へ手下を撃破していく2人。
2人の呼吸はぴったりと合い、無駄な動きは全くなかった。
妹紅さんの炎の能力を投影させ、目の前に炎を放つ。
間髪入れずに文さんが風を送り、その炎を大きく燃え上がらせる。
火&風符「ウィンドエクスプロージョン」
にとりさんの水の能力を投影させて文さんが起こした竜巻の中に飛び込み、高速で回転しながら全方位に水弾をばらまく。
水&風符「スプラッシュトルネード」
屠自古さんの雷を投影させ、風で作られたドームの中で雷を放電させる。
放たれた雷は風の壁で跳ね返り、ドーム内の敵を瞬く間に消滅させた。
雷&風符「ダウンボルテージ」
天子さんの能力を投影させて大地の隆起と沈降を操り、文さんが放つ風の動きを変えて大軍を次々と切り刻む。
大地&風符「大地の乱れ風」
まるでお互いの動きを理解しあうかのように、2人の能力を重ね合わせて合体スペルカードを放つ。
守矢神社に迫っていた敵の大軍は、あっという間に全滅していた。
「一丁上がり…かな。」
「欧我、まだ山には敵がたくさんいるわ。」
「そっか。じゃあ、次の戦場に行こう。一緒に、ね。」
「ええ。」
大地を蹴り、上空に飛び上がった。
「本当に、仲がいいのですね。」
「早苗も、早く相手を見つけないとねー。」
「諏訪子様!?わ、私はまだ大丈夫です!」
その後、妖怪の山に現れた影鬼の手下の大軍は、お互いの気持ちを確かめ合った欧我と文の2人の活躍により全滅され、妖怪の山に平和を取り戻した。
後日2人が何をしたのかは、みなさんのご想像にお任せします。