前回、五大老+エレメントで唯一合体スペカを放てなかった幽々子様ファンの皆様、お待たせいたしました。
「もうお仕舞いか?」
影鬼の手を緩めない攻撃に、みんなは徐々に追い詰められていく。
新しく駆けつけてくれた仲間たちも、攻撃を食らって傷ついている。
本来、避ける隙間が無い弾幕というのはルール違反にあたる。
幻想郷で異変を起こした首謀者も、このルールに則って勝敗を決めている。
しかし、影鬼の繰り出す弾幕にはこのような隙間はほとんど無い。
ルールなど関係ないと言いたげに次々と弾幕を放ってくる。
そう、影鬼は本気でこの幻想郷を乗っ取りに来ているのだ。
「さあ、次の攻撃に移ろう。」
そう言うと、掲げた影鬼の右手に闇の魔力が集まりだす。
十分溜まった時、影鬼とみんなの間に一つのスキマが現れた。
不思議な空間を潜り抜け、スキマから外に飛び出した。
目の前には、見るも無残な光景が広がっている。
変わり果てた大地、倒れて動かない仲間たち、ボロボロになっても尚戦おうとしている仲間たち…。
俺が幻想郷に危機をもたらしてしまったばっかりに、仲間たちがこんな悲惨な状況に陥ってしまったなんて…。胸がきりきりと痛んだ。
「おお、ついに来たか!待っておったぞ、オーガよ!」
影鬼の勝ち誇ったような声が響く。
影鬼の発言を聞き、みんなのため息や絶望の声が聞こえてきた。
「さあ、こやつらに止めを刺せ!」
「はい。」
わざと低く元気がない声で返事をし、両手をみんなに向けた。
技のイメージを自分に投影させるプロセスはもう必要無い。ちょろっとイメージすれば、それだけで技を繰り出すことができる。
もちろん、今繰り出そうとしている技も例外ではない。
はち切れんばかりに魔力が溜まったところで、後ろに振り返って技を発動した。
「恋符『マスタースパーク』!!」
「なに!?」
放たれた強力なレーザー光線は、まっすぐ影鬼目がけて突き進んだ。
予想外の事態に驚きを隠せない影鬼は、驚きによって一瞬反応が遅れた。
左腕がマスタースパークに飲み込まれ、跡形もなく消滅してしまった。
影鬼は自身の傷を治すことができる魔法を持っていない。
回復はいつも使い魔のハルに任せっきりだったが、そのハルも俺が倒した。
影鬼は自分の力、魔力を過信するという癖がある。そこを狙えば、きっと勝てるかもしれない。
これは俺が取り戻した記憶が教えてくれた情報だ。
「なぜ…なぜだ!!」
「だろうなぁ。まさか洗脳が解けるとはお前も予想していなかっただろうね。」
驚きと動揺を隠せない影鬼に、俺はニッと笑いかける。
「わらわの洗脳を解ける者などおらぬ!決して…」
「確かに、洗脳を“自分で”解くことができる人はいないだろう。でも、“解いてくれる”人ならたくさんいる。俺の後ろにいる仲間たちがやさしく手を差し伸べてくれたことで、暗い闇の世界から抜け出すことができたんだ。」
俺にはたくさんの仲間たちがいる。
いつもそばにいて、常に助け合い、たまには喧嘩し、一緒に笑い合う仲間たちが。
その存在は、俺の中でかけがえのない宝物になっていった。
みんなの笑顔を写した写真…。
これが、その宝物が形となって表れたものだろう。
その宝物のおかげで、俺は闇の世界から脱出することができた。
「欧我!文はどうしたの!?」
背後から霊夢さんの声が聞こえる。
「文は無事です!今白玉楼にいます!」
「無事…だと!?」
~白玉楼~
「それそれー!!」
冥界に現れた手下の魔力をキャッチした欧我は、真っ先に駆けつけようとした。
でも、欧我は影鬼と決着をつける必要がある。
だから私が代わりに白玉楼に来て、その手下たちを次々と殲滅していった。
「いくよ、『幻想風靡』!!」
自分の出せる最高速で手下の周りを飛び回り、連続で風の刃を作り出す。
人影は私を捕えることができずに、次々に刃に切り裂かれて消滅していく。
これで大部分は倒せたけど、まだたくさんいる。
欧我のために、ここは私が頑張らないと!
「あらあら、流石は幻想郷最速ですこと。」
「ゆ、幽々子さん!?」
どうしてここに!?
あ、ここは白玉楼だからいるのは普通か。
それよりもここは危険です!なに呑気にゆらゆらと浮かんでいるのですか!?
「あら、私が白玉楼にいてはいけないというの?」
「そうじゃありません!ここは危険ですから早く安全なところに!」
そう言うと、幽々子さんは口元に扇子をあて、可笑しそうに笑った。
「分かっているわ。でも、私も戦いたいの。私に合わせてくれる?」
「はぁ…。」
大きくため息をついた。
まったく、この飄々とした性格には敵いません。いつも幽々子さんのペースに呑まれてしまい、結局その意思を掴みとることはできない。
仕方ありませんね。
「分かりました、行きますよ!」
「ええ。」
幽々子さんが繰り出した蝶弾を、葉団扇で巻き起こした5つの竜巻で操り、手下に次々と命中させていく。
風を纏った蝶弾は、まるで舞いを踊るかのように竜巻の間を飛び回り、手下を斬り刻む。
「「華風『旋風反魂蝶の舞』!!」」
2人の合体スペルカードが見事に決まり、手下は瞬く間に消滅した。
これで冥界に現れた手下はすべて片付けた。
急いで欧我のもとに駆けつけないと。
「それじゃあ私はこれで失礼します。」
幽々子さんに一礼をすると、後ろを向いて飛び上がった。
「欧我と幸せにねー。」
私の背中に向け、幽々子さんはそう言って手を振った。
自分の出せる最高速で、欧我のもとに向かう。
欧我、今すぐ駆けつけるからね。
「今頃、冥界に現れた手下は全員倒していると思うよ。」
霊夢さんたちに向かってこれまでの経緯を話す。
霊夢さんたちは安堵の表情を浮かべた。
「おのれ、オーガ!!」
悔しさと怒りが混じった表情を浮かべ、オーガの名前を叫ぶ。
だが残念だったな。もう、この世にオーガは存在しない。
「俺の名前はオーガじゃねぇ。俺は葉月欧我!ブン屋の助手兼写真屋だ!そして…。」
肺一杯に空気を吸い込み、大声で叫んだ。
「この幻想郷は、俺が護る!!」
記憶を失ってこの地に来た俺にとって、この幻想郷は俺の故郷であり、出会ったみんなはかけがえのない親友である。
それを護るため、俺は戦うと誓った。
みんな、今までありがとう。
後は、俺に任せてくれ。
「ここからは、俺のステージだ!!」