この攻撃は、もしかして!
「欧我、お待たせ!」
「文!!」
俺の目の前に、文が姿を現した。
良かった、冥界の手下は無事に倒すことができたんだ。
文との再会を喜び、2人は抱きしめあった。
文が現れたことで、影鬼の怒りはついに爆発した。
「こうなったら大技ですべてを破壊してやる!」
影鬼が両腕を広げると、同心円状に闇が広がり、空を覆っていく。
太陽の光が遮られ、幻想郷は闇に包まれた。
この攻撃は、まさか!?
「まずいな…。」
「どうしたの?」
この攻撃は、俺の記憶にある技の中で最も強力で、防ぐ手段は1つもない。
これはありとあらゆるものを破壊する影鬼の最強のレーザー光線。
辺りを闇で覆って闇の魔力を増幅させ、さらに自らを敵からの攻撃を一切通さない強固な壁で覆う。
なぜなら、この技を発動するには長時間の集中と魔力の凝縮を要するからだ。
誰にも邪魔をされないように守りを頑丈に固め、凝縮された闇の魔力を一気に打ち出す。
これは、影鬼の持つ最強の盾と最強の矛。
これが発動すれば、幻想郷は壊滅する…。
そして阻止する手段は…何一つない。
「そんな…。」
「ああ、残念だが…。」
この技についての説明を聞き、文の顔からは血の気が引いて行った。
こうなってしまった以上、影鬼に対していかなる攻撃も通用しない。
こうなったらこの身を挺して…
いや、リミッターが解除されたからって、自分の持つ能力では強大な魔力を防ぐことはできない。
「あら、お困りのようね。」
「レミリアさん!?」
頭を悩ませる俺の前に、レミリアさんが躍り出た。
「私もいるよ!」
「フランちゃんも!?」
レミリアさんに続いて、フランちゃんも姿を現した。
「今まで日光がまぶしくて参戦できなかったのよ。」
「うんと暴れちゃうもんね!」
そっか。太陽が闇に包まれ、日光が遮られたことで吸血鬼である2人が存分に戦えるようになったということか。
「でも、今の影鬼には…」
「いいのよ、任せなさい。」
俺の忠告を無視し、レミリアさんとフランちゃんは同時にスペルカードを発動した。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
「禁忌『レーヴァテイン』!!」
レミリアさんは真紅の槍を投げつけ、フランちゃんは棒状の不思議な武器に紅い光を纏わせて薙ぎ払い、レーザー光線を放った。
しかし、この強力な一撃は堅い守りに弾かれてしまった。
傷1つも付かないのはさすがに堪えるなぁ…。
「もー、何で効かないの!?」
「はぁ、それはね…。」
レミリアさんとフランちゃんに向かって、もう一度今の影鬼の状態について説明する。
影鬼の持つ最強の攻撃であること、いかなる攻撃も通用しないこと、そして発動すれば幻想郷は壊滅すること…。
「そう、つまり危機的状況ってことね…。」
「ギュッとしてドカーンはできないのかなぁ。」
説明を聞き、2人はそれぞれが思っていることを口にする。
「うん。あのガードを破壊することができる攻撃は1つもないんだ。」
「あーもーどうすればいいの!?」
フランちゃんが残念そうに唸る。
レーザー光線が放たれた隙をついてスキマを作り、影鬼に返す方法が思いついたが、放たれた段階ですさまじい衝撃波が発生する。それに、俺がスキマを作り出してもレーザーの破壊力に耐えられないのかもしれない。
そう考えると、影鬼がレーザーを放つ前に止めを刺すしか方法は無い。
こちらも、最強のレーザー光線が放てれば…。
「あっ!!」
あったじゃないか!
全てを破壊する最強の攻撃が!
5つのエレメントをすべて集めた時に放てる、あらゆるものを破壊できる光線。
俺は水、雷、大地、火の4つを手に入れた。
風の能力を手に入れることはできないが、文と一緒なら…。
俺と文の絆なら、成功するかもしれない!
「文、聞いてくれ。」
俺はそのことについて文に説明した。
「そんなことができるのですか!?」
「これは賭けだ。もし出来なかったら、幻想郷は…。」
本当に、これは賭けだ。
2人の息がぴったりと合わないと、破壊光線を放つことはできない。
「大丈夫ですよ。私たちならできます。」
「文…。」
「ええ、私たちは何ですか?」
文は優しく俺に笑いかけた。
ふっ…そうだよね。その笑顔を見たら、なんだかできそうな気がしてきた。
「俺達は…。」
「「夫婦だ(よ)!!」」
文と手を繋ぎ、破壊光線をイメージする。
自分が真似た4つの能力、そして文の持つ風の能力を重ね合わせる。
すると、2人の手のところにまぶしく光り輝く光弾が出現した。
「やったわ!」
「いいや、まだだ。この調子で大きく成長させないと。」
そう、これはまだ第一段階に過ぎない。
はち切れんばかりまで成長させないと、放ったとしてもすぐ消滅してしまう。
お互いの呼吸を合わせ、息遣いを感じながら少しずつ光弾を成長させていく。
みんなが見守る中、ついに目標の大きさまで成長させることに成功した。
直径が5メートルほどある巨大な光弾はまばゆい光を放っている。
後は、自分の持てる力を乗せて放つだけ。
「行くよ、文!」
「ええ!」
自分の持っている力をすべて乗せ、影鬼に向かって破壊光線を放った。
「「聖光『ビックバンファイナル』!!」」
放たれた極太の破壊光線は、影鬼を護る堅いガードに命中した。
「ふっ、そんなもの効かぬわ!」
勝ち誇ったような影鬼の声が聞こえた。
「それはどうかな?これは普通の攻撃ではないぜ。」
「…まさか!?」
「そう、これはお前の最終目標だ。この破壊光線は標的を破壊するまで進み続け、その間のいかなる妨げをも破壊する。」
「なるほど。しかしこのガードを破ったところで…。」
「ガード?」
俺は思わず笑みを漏らす。
「いいや、違うね。俺の標的は…影鬼、お前自身だ。」
影鬼を護るガードから、ピシピシとひびが入る音が聞こえる。
次の瞬間、激しい音を立ててガードが粉々に砕け散った。
「ぎゃあああああああ!!!」
破壊光線に飲み込まれ、影鬼の断末魔が幻想郷中に響いた。