「まさか、この私が…。」
レミリアさんは自分が負けたショックにがっくりと肩を落とす。
「お嬢様!?」
そこに紅魔館のメンバーを集め終わった咲夜さんが現れた。
上空で対峙する二人の様子を見て、状況がつかめないでいる。
「あ、欧我!お姉様に勝ったの?」
「ええ、なんとか。」
フランちゃんに向かって笑顔で手を振る。
その言葉を聞いて、美鈴さんが信じられないといった顔をする。
「そんな、まさか…。一体どうやって!?」
「欧我を弾幕ごっこに誘ったのは私よ。」
レミリアさんはそう言ってこれまでの経緯を話しだした。
~十数分前~
「ねぇ、弾幕ごっこをしましょう。」
嫌な予感が的中した。
吸血鬼と弾幕ごっこ!?
初めて弾幕を出せるようになったばかりの俺とじゃ、力の差は歴然だ。
「え、無理ですよ!レミリアさんには勝てません!」
俺の返事を聞いて、レミリアさんはため息を漏らす。
「そう、じゃあこうしない?」
「はい?」
レミリアさんから1つの提案をされた。
「どんな手を使ってもいいわ。私の顔をアップで写真に収めることができれば、貴方の勝ちにしてあげる。」
「写真…ですか?」
そう言って首に提げているカメラに目を落とす。
「そうよ。貴方は写真屋でしょ?その実力を見せてみなさい。」
「そこまで言われたら…。」
カメラを握りしめ、顔を上げる。
その顔には、不安と恐怖の表情は浮かんでいなかった。
「受けて立ちます!写真屋としての実力、見せてやりますよ!」
「うふふふふ!それじゃあ行きますわ!」
レミリアさんはそう言うと椅子から立ち上がり、空中に浮かぶ。
やると決まった以上、俺は絶対にあきらめないぜ。
ゴーグルを目の位置に合わせ、文さんのスピードを自分に投影させた。
~~~~~
「そのようなことが…。」
レミリアさんと俺の話を聞き、みんなは経緯を理解できたようだ。
(すごいじゃん、欧我。)
小悪魔はそう心の中でつぶやいた。
大量の本の後片付けを自分に押し付けた文句を言ってやろうとロビーに来たのに、お嬢様との弾幕ごっこに勝ってうれしそうに話す欧我を見ていたら、その怒りはどこかへと飛んでしまっていた。
「さて、今度は俺の番です。集合写真を撮りますよ、集まってください!」
俺の指示のもと、ロビーにかかる階段に横2列に並ぶ。
1段目の中心には昨夜さんが立ち、その両側にレミリアさんとフランちゃんが並ぶ。
レミリアさんの隣に椅子を置き、そこにパチュリーさんが座った。
そして2段目には美鈴さんとこあさんがその間から顔を出すように立つ。
「1枚目行きますよ、まずは笑顔でポーズなし!」
みんなのまぶしい笑顔をカメラ越しに見る。
今の素敵な瞬間を、永遠に。
そして、シャッターを切った。
「ありがとうございます!次はポーズをとっちゃいましょう!」
両手でピースを作るこあさん、ぐっとサムズアップをする美鈴さん、ポーズをとらずに笑顔のままのパチュリーさん。
それぞれが思い思いのポーズを決める中、レミリアさんとフランちゃんは同時に咲夜さんの両腕に抱き着いた。
その予想外の行動に、驚いた表情で顔を赤らめる咲夜さん。
本当に、この紅魔館の住人はみんな仲がいいんだな。
見ているこっちまで笑顔になってくる。
本当に、紅魔館に来てよかった。
無事写真を撮り終え、写真と依頼の代金を交換した後、調べ物の続きをしようと図書館に戻ろうとした。
しかし、はっとして足を止める。
「今、何時ですか!?」
「今は午後6時50分です。」
6時50分!?
まさか、こんなに長居をするなんて。
このあと10分後に宴が始まるじゃないか!!
霊夢さんが俺のために開いてくれる歓迎パーティ。
ある意味主役である俺が遅れたらせっかく集まってくれたみんなに申し訳ない。
急いで博麗神社に!!
「みなさん、今日は本当にありがとうございました!この後7時から博麗神社で宴会が始まるのでよかったら来てください!」
そう言うとドアを開け外に飛び出した。