記憶を失った少年を一目見ようと、博麗神社には多くの人々が集まっていた。
地面の上に大きなシートが何枚も敷かれ、その上に豪華な料理が所狭しと並べられている。
そしてその傍らには何かの屋台があって、そこから良い匂いが漂ってくる。
その屋台には赤い提灯がぶら下がっていて、何かの文字が書き込まれている。
ん?「八目鰻」?なんだ?それ。
「おっ、来たか欧我!」
その人たちの中から、魔理沙さんが顔を出した。
その声に反応して、一斉に視線が俺に集まる。
そして、次の瞬間笑い声が博麗神社にあふれた。
「お前、来て早々災難だな。にとりに逃げられ、ルーミアに噛みつかれ、そして霊夢に抱き着かれて。」
「ええ、まあ。」
魔理沙さんの発言に苦笑いを浮かべる。
でも、その発言の中に新たな名前が2つ出てきた。
魔理沙さんの話から推測すると、俺の顔を見て逃げ出した水色髪の女の子がにとりさんで、今俺の腕に噛みついている女の子がルーミアちゃんってことかな?
「ルーミアちゃん、離してくれないかな?」
「ん~ん。」
どうやら離してはくれないようだ。
仕方ない、こうなったら…。くすぐってやる。
こちょこちょ
「んわぁぁぁ」
右手でルーミアちゃんの脇腹をくすぐり、口を開けた瞬間を狙って腕を引き抜く。
タイミングは上手くいったようで、無事に腕を引き抜くことに成功した。
…いや、無事じゃないか。
そこにはくっきりと歯形が残されているし、唾液でベトベトだ。
後でしっかりと洗っとかないと。
「ごめんね。またあとで噛ませてあげるから、今は我慢して?」
「うん…わかった。」
よしよし。
ルーミアちゃんの頭をなでる。
妖怪だからといっても、言動は小さい子供みたいだ。
かわいいなぁ、この笑顔。
「さて、霊夢はあの状態だから代わりに私が紹介するぜ。」
2人のやり取りを見ていた魔理沙さんが、手をパンッと叩いて言った。
霊夢さん?
あ、この人のことを忘れていた。
あっ、ちょっ、胸が当たってる!
離れろって!
この、乱れいむめ!
しかし、一向に離してくれる気配がない。
はぁ…仕方ない。
もういいよどうだって。
「この人が、文の新聞に載っていた人間の葉月欧我だ。」
「葉月欧我といいます。皆さんよろしくお願いいたします!!」
自己紹介をし、みんなにお辞儀をする。
その後、いろんな人から歓声や質問が次々と飛び出したため、質問の内容に驚き、笑いながらもそれらに応えていった。
その中で気づいたことが一つ。
博麗神社に集まってくれた人は、全員が女性だった。
この場にいる男は、俺1人だけ。
なんでこんなにも女性が多いのかな?
ま、それは気にしないことにしよう。
今はみなさんの写真を撮ることが先決だ。
今日は思いっきり撮りまくるぞ~!