「お、始まったねぇ。」
「二人はいつもあんな感じなんですか?」
その様子を見てつぶやいたにとりさんに近づいて聞いてみた。
「そうだよ。本当に仲いいよね。」
俺の質問ににとりさんは答えてくれた。
俺に慣れたのかな?
さっきのように逃げ出すことはなかった。
「欧我~手伝って!」
上空で文さんが叫ぶ。
またか、行くぞ!
「無理だよ、天狗のスピードに人間が敵うはずが…」
「あ、はい!分かりました!」
すでに文さんのイメージを自分に投影し終わっていた。
ゴーグルを目の位置に合わせ、身構える。
あの時写真を撮ることに夢中で尻尾を触ることができなかった。
今日こそ触らせてもらいますよ!
そして上空に飛び上がる。
椛さんは…あそこか。行くぞ!
その人間離れしたスピードに、にとりさんはもちろん神社に集まったみんなから驚きの声が上がる。
「あのスピード、天狗に匹敵しているじゃないか…」
文さんとともに、椛さんを追いかける。
ちらっと文さんの方を見ると、余裕そうな表情が見て取れた。
おそらく、この状況を楽しんでいるのだろう。
手加減をしていることは明らかだった。
一方の椛さんもものすごいスピードで飛んで逃げている。
逃げているっていうか、あの動きからはこの追いかけっこを楽しんでいるように感じられる。
俺も、今のこの状況を楽しみたい。
しかし、それよりも早く椛さんの尻尾を触りたい欲求でいっぱいだった。
あの文さんを虜にするほどの尻尾とは一体?
そしてその尻尾をおそらく毎日ケアしているであろう椛さんとは一体?
もう気になって仕方がない。
とにかく自分もモフりまくろう。
二人から距離を置き、空中で静止した。
椛さんは右に方向を変えた。このスピードでUターンをすれば、必ず通らなければならないのは…。
「ここだ!」
イメージによってはじき出した場所に向かった。
「うそっ!?」
椛さんは突然目の前に現れた俺の姿に驚いて思わずスピードを緩める。
そんな椛さんに文さんが追いついた。
「捕まえたぁ~!」
「文さん、俺も触らせてください!」
椛さんは観念したらしく、文さんの腕を振り払うことはなかった。
とりあえず写真を1枚撮る。
なんか、椛さんはうれしそうにしているけど。気のせいかな?
地上に降り立つと、にとりさんが駆け寄ってきた。
早口で聞き取りにくかったが、要約すると「どうして天狗並みのスピードが出せるのか?」ということらしい。
「これは俺の能力によるものだよ。文さんから天狗のスピードを真似したんだ。」
「能力?真似?どういうこと?」
「私の真似、ですか?」
「そうらしいぜ。詳しくはわからないけどね。」
そんな3人のもと魔理沙さんが近づいてきた。
「見せて見せて!」
「え?」
なんか、にとりさんの目、やけにキラキラしてないか?
文さんなんかカメラ構えちゃっているし。
「みんな注目!欧我が今から能力を見せてくれるぞー!」
「え?ちょっと!!」
魔理沙さんの声によって、俺に集中する視線。
もうこれで逃げ道はなくなってしまった。
一体、何枚の写真を食べることになるのやら…。