門をくぐり、境内へと入った。
門を越えた敷地内には灯篭が並ぶ石畳の参道があり、本堂や鐘などが置かれている。
賽銭箱が置かれた緑灰色瓦の大きな本堂があり、本堂の右には鐘撞き堂、左には赤布がかかった大量の地蔵が並べられている。
欧我
「う~…」
まだ耳鳴りがする。
門のところにいた山彦の妖怪の爆音波(大声)で意識が飛びかけた。
こっちが混乱していると「挨拶がなってなーい!」って怒鳴られたから慌てて挨拶をしたら笑顔で許してくれて…。
名前…幽谷響子(かそだに きょうこ)ちゃんだっけ?
まあ写真を撮ることができたからいいけど、なんか先制攻撃というかなんというか…。
ああ、まだ耳が痛い…。
耳鳴りが収まるにつれて、寺から読経の声聞こえてきた。
僧侶たちが修行をしているのかな?
そして、それとは別に欧我の名前を呼ぶ声が聞こえる。
この声の主は…星さんだ!
本堂のそばに立つ星さんの隣に、2人の女性が並んで立っていた。
金髪に紫のグラデーションが入ったロングウェーブで白黒のドレス姿に表地が黒・裏地が赤のマントをはおり、黒いブーツをはいている女性。そしてセーラー服にキュロットスカート、そして頭に小さめの船長帽を乗せた女性だ。
この人たちも、命蓮寺の人たちかな?
「こんにちは欧我さん。私は聖白蓮(ひじり びゃくれん)と申します。2週間前の宴会では星がお世話になりました。そしてこちらは村沙水蜜(むらさ みなみつ)です。」
欧我
「あ、どうもこんにちは。葉月欧我です。」
あれ?水蜜さん柄杓を持っている。なぜ?
…まあ、聞くのはよしておこう。
白蓮
「星から貴方が来ると聞いて、一目お会いしたくここで待っていました。では、私はこの後用事があるのでムラサ、命蓮寺を案内して差し上げなさい。」
ムラサ
「わかりました!まかせてください!」
そう言うと白蓮さんは門の方へ歩いて行った。
「いってらっしゃい!」という響子ちゃんの大声が聞こえた。
星
「さて、私もナズーリンのところでも行こうかな?じゃあムラサ、あとはよろしく。」
そう言って星さんも門の方へと歩き出した。
境内に残された欧我とムラサの2人。
ムラサ
「よし、じゃあいきましょうか。」
欧我
「はい。水蜜さん、よろしくお願いします!」
欧我が名前を呼ぶと、水蜜さんは顔を赤らめてしまった。
欧我
「どうしました?」
ムラサ
「いえ、べつに。ただ、いつもはムラサって呼ばれているから、名前を呼ばれるとなんか恥ずかしくて。だから、欧我もムラサって呼んでください。」
その後、2人で境内や寺の中、裏の墓地などを見て回った。
欧我
「へぇ、ムラサさんって舟幽霊なんですか。」
ムラサ
「そうだよ。昔は手当たり次第に船を沈没させていましたね。でも、聖に助けられたことで今の自分がある。だから、聖にはすごく感謝しています。」
欧我
「そうですか。ということは、今はもう水難事故は起こしていないのですか?」
ムラサ
「いえ、時々は起こしますよ!私の能力は『水難事故を引き起こす程度の能力』。水のある場所ならば、如何なる場所でも水難事故を引き起こせます!」
うわぁ…
ムラサ
「だから、欧我さんも水のある場所へ行ったら気を付けてくださいね!」
いやいや、なに笑顔でさらっととんでもないことを言っているんだよ…