欧我
「今日は本当にありがとうございました。」
門の所に立ち、命蓮寺の皆さんに頭を下げる欧我。
案内が終わった後、お茶を頂いたり、修行の体験をさせてくれたり、やたらとハイテンションなキョンシーに追いかけられたりと色々あったが、途中から同行してくれた雲居一輪(くもい いちりん)さんのおかげで無事に見て回ることができた。
ムラサさんと一輪さんの笑顔も写真に収めることができたし、今日の出来事は大切な思い出となった。
一輪
「ええ、また来てくださいね。」
ムラサ
「いつでも待っているからね!」
欧我
「はい、わかりました。」
「あら、もう帰るのですか?」
欧我
「あ、白蓮さん。」
そんな欧我たちのもとに、白蓮さんが帰ってきた。
その傍らには小傘ちゃんの姿もある。
白蓮
「小傘から聞きました。小傘を貴方の助手にしたのですよね?」
白蓮さんの発言を聞き、驚く一輪さんとムラサさん。
ムラサ
「本当ですか!?どうして?」
一輪
「そうです、理由を教えてください!」
欧我
「実は、写真屋になりたいといったのは小傘ちゃんの方です。初めは断ろうかと思ったのですが、小傘ちゃんの熱意に押されちゃって。」
そう言って小傘ちゃんのそばまで歩いて行く欧我。
そして小傘ちゃんの肩にポンと手を置いた。
小傘
「わ、わたし!一目見た時から欧我の写真が好きになったの!だから私もこんな写真を撮りたいって思った。だから!」
ムラサ
「べつに助手にならなくても、写真くらい…」
小傘
「普通の写真じゃ嫌なの!欧我の…」
白蓮
「もういいです!」
小傘ちゃんとムラサさんのやり取りを遮る白蓮さん。
白蓮さんが声を荒げるなんて。
そして小傘のほうを向いて言った。
白蓮
「小傘、その決意は変わらないのですか?」
小傘
「はい!」
小傘ちゃんの返事を聞くと、白蓮さんは大きく息を吐いた。
白蓮
「わかりました。」
一同
「「「「えぇっ!?」」」」
小傘
「いいんですか!?」
白蓮
「ええ。欧我さん、小傘をよろしくお願いしますね。」
欧我
「ええ、任せてください!」
小傘
「ありがとう!!」
涙を流し、白蓮さんに抱き着く小傘ちゃん。
この瞬間、正式に欧我に心強い助手が誕生した。
命蓮寺を後にする欧我と小傘。
その様子を、白蓮たちは門のところからじっと見つめていた。
ムラサ
「よかったのですか?本当に。」
白蓮
「ええ。小傘は人を驚かし、それで腹を満たす妖怪です。人間を驚かすことだけに努力していた小傘が、初めてそれ以上に熱中できるものを見つけた。私はそれがうれしいのです。それに…あんなに輝いている笑顔の小傘を見るのは初めてじゃないかしら?」
ムラサ
「まあ、聖がそう言うのなら。でも確かに、小傘はうれしそうだったな。」
一輪
「長い間誰にも拾われず、雨風に飛ばされているうちに妖怪になった少女が、初めて人間に拾われた。よかったわね、小傘。」
石畳を歩く欧我と小傘。
欧我
「さて、解決すべき問題がもう1つ。」
小傘
「え?何?」
欧我
「射命丸文さんのことは知っていますか?ブン屋の鴉天狗の。」
小傘
「うん、知ってる。」
欧我
「実は、まだ話していなかったのですが、俺は写真屋でありながら文さんの助手なんですよ。」
小傘
「ええ!?じゃあ私は文さんの助手の助手ってことですか?」
欧我
「そうなるのかは、文さんに話してみないと分かりません。さあ、妖怪の山まで行きましょう。」
小傘
「よ、妖怪の山!?」
欧我
「そうです。まずは文さんに説明をしなければ。ほら、行きますよ!」
小傘
「あ、待ってください!師匠!」
黄金色に輝く空に飛び立つ欧我と小傘。
2人は、まっすぐ妖怪の山を目指す。
そんな2人を見守るように、太陽は笑顔で輝く。