欧我
「はぁ…。」
何とか勝てた。
大技を使い続け、体力も限界だ。
でも、これで…
文
「終わったと思いましたか?」
欧我
「なに!?」
慌てて上空へと飛びあがる欧我。
その足元ギリギリのところを通過していく風の刃。
反応が遅れていたら間違いなく命中していた。
欧我
「文さん!?そんな、当たったはずじゃ。」
文
「危ないところでしたよ。まさか上空から攻撃してくるとは。」
ギリギリでよけたのか!?
あの攻撃を?
くそっ、じゃあこれならどうだ!?
欧我
「まだまだ行きますよ!」
欧我は両手を構えるとそこから水の弾幕を放つ。
その直後、もう1人の欧我が広範囲に闇を展開した。
これはルーミアちゃんから真似た能力だ。
今は夜。
濃い闇は文さんの視界を奪うことができる。
しかし、欧我の視界も同時に奪われた。
自分の手の平さえも見えない。
しかし、俺には文さんの位置が手に取るようにわかる。
もう手は打っておいた。
文
(これでは欧我の位置が分かりません。一体どこにいるのでしょうか。ん?)
風を感じる。
欧我が高速で飛び回っている。
欧我、それで隠れたつもり?
風は嘘をつかないわ。
1人は闇の維持で動けないはず。
つまり、今動いているのは1人だけ。
確かに、今動いている風は1つ。
これなら攻撃を当てることもできる!
文は十分に狙いを定め、風の刃を放った。
欧我
「ぐあっ!?」
見事命中したようだ。
これで欧我の分身はいなくなった。
後はオリジナルが1人だけ。
だんだんと闇が晴れていく。
晴れていくにつれて、文さんの姿が見えてきた。
欧我
(準備完了。)
文さんは何も気づいていないようだ。
これで勝てる。
文
「欧我、もう終わりかしら?」
欧我
「ええ、これで決着です。」
欧我はそう言うと指を鳴らす。
次の瞬間、文さんの背中からロープ状の光弾が現れ、文さんの体を縛り、自由を奪った。
文
「あやややや!?これは一体!?」
欧我
「香霖堂にあったロープを写した写真さ。これを文さんの背中に張り付けておいた。」
文
「いつの間に?」
欧我
「文さんの攻撃で分身がやられたろ?その時さ。」
文
「でも、闇の中で私の位置が分かるわけが…」
欧我
「分かるよ。闇を展開する前に放った水の弾幕、あれは攻撃目的じゃない。霧のように展開させて文さんの動きを探るためのものさ。水の動きを感じ取ることで、文さんの居場所から動きまでを知ることができる。名づけて、水符『ウォーターレーダー』。」
ネーミングはそのままだけどな。
そして枝の写真を取り出した。今の文さんは思うように動けないはず。
これで決める!
欧我
「うっ!?」
揺らぐ視界。
くそ、体力が。
無茶を、し過ぎた…。
もう空に留まることさえもできない。
体中から力が抜け、地面に落ちていく。
視界が暗転する瞬間に見たものは、慌ててこちらに駆け寄ろうとする文さんの顔だった。