欧我
「うーん…」
欧我はゆっくりと目を覚ます。
ここは、どこだろうか。
見慣れた家やビルが立ち並ぶ街。
車が走る2車線の道路のそばの街路樹の下。
俺はここに横たわっている。
歩道を多くの人が行き交い、店は活気で満ち溢れている。
ここは…どこだ?
辺りを見回しているうちに、欧我の記憶を閉じ込める金庫に2つ目のカギが挿入された。
その結果取り戻した記憶。
それは、外の世界についての記憶だった。
俺は、外の世界から幻想郷にやってきた。
そしてここは…俺の故郷だ。
俺はこの街に住んでいる。
年齢は、18歳。
でも、それ以外の記憶はまだ思い出せない。
外の世界にいた時の記憶は取り戻せたが、自分自身に関する記憶はまだ解放されていないようだ。
もちろん、どうして、どのようにして幻想郷に来たのかということも。
ん?
不意にこの街を黒い雲が覆う。
そこから巨大な燃え盛る隕石が落ちてきた!
次々と破壊されていく街。
瞬く間に、街は火の海に包まれた。
逃げ惑う人々。
いたるところで響く悲鳴、叫び、名前を呼ぶ声。
欧我は、ただその様子を見つめることしかできなかった。
そんな欧我へと落下してくる隕石…。
欧我
「わぁぁぁぁ!?」
はぁ…はぁ…
欧我は慌てて飛び起きる。
何だ、夢だったか…。
体中から汗が吹き出し、心臓が早鐘をうっている。
ここは…?
畳の部屋。
布団の中。
辺りを見回していると、襖が勢いよく開いた。
そして部屋の中に入ってきたのは、早苗さんだった。
早苗
「どうしました!?悲鳴が聞こえたのですが。」
欧我
「ええ、すみません。悪い夢を見ていまして。…ここは?」
早苗
「そうですか。ここは守矢神社です。それよりも心配しましたよ、丸1日も気を失ったままで。」
え?
丸一日?
「師匠!!」
欧我
「小傘ちゃん!?」
小傘ちゃんが部屋の中に飛び込んできて、抱き着かれた。
小傘
「師匠のバカ!心配したんだから!」
小傘ちゃんは泣きながら言った。
そっか。ずっと心配していてくれたんだ。
欧我は小傘ちゃんをゆっくりと、優しく抱きしめる。
パシャッ!
欧我・小傘
「「!?」」
文
「あらあら、起きて早々アツアツよね。」
欧我
「文さん!?」
部屋の中に、カメラを構えた文さんが入ってきた。
まさか、今写真撮られた?
ってか、それよりも。
欧我
「文さん、すみませんでした。」
文
「もういいのよ。それよりも、あなた小傘さんにお礼は言ったのかしら?」
欧我
「小傘ちゃんに?」
その後、文さんから俺が気を失ってからの事を聞かされた。
気を失い、地面に向かって落ちていく欧我。
文さんはロープによって思うように動けず、助けに行くことができない。
地面と激突する直前、欧我を助けたのは小傘ちゃんだった。
その後、欧我が意識を取り戻すまでの間、付きっ切りで看病をしてくれた。
そっか、そんなことが。
欧我はもう一度、今度はしっかりと小傘ちゃんを抱きしめた。
欧我
「ありがとう、小傘ちゃん。」
小傘
「うん。」