リグル
「あれ?いないなぁ。」
リグルに案内された場所。
それは、このあたりで向日葵が最もきれいに咲いている場所らしい。
リグルちゃんの話によれば、ここに置かれているピクニックテーブルに腰を掛け、お茶を飲んでいるらしいが。
今、この場所にはリグル達3人以外誰もいない。
リグル
「あれ?どこ行っちゃったのかな?」
リグルちゃんはあたりをきょろきょろと見回す。
欧我も辺りを見回すが、あるのは向日葵くらいだ。
小傘
「あ!」
小傘ちゃんが何かを見つけたようだ。
小傘ちゃんが見つけたもの、それは地面に倒れている1本の向日葵だった。
小傘
「かわいそう…。」
欧我
「そうだね。埋めなおしてあげようか。」
小傘
「うん。」
小傘ちゃんは頷くと、地面に穴を掘り、そこにやさしく向日葵を立てる。
そして周りを土で覆った。
欧我もにとりさんの能力を投影させて手の平から水を出し、向日葵に与えた。
これでこの向日葵が元気になるということはない。
しかし、地面に倒れたまま1人寂しく枯れていくよりはましだろう。
それに、この向日葵…
欧我
「いい笑顔をしている。」
小傘
「え?でも向日葵だよ?」
欧我
「そうだよ。でも、向日葵だって生きているんだ。苦しみから解放されると笑顔になるでしょ?それに、小傘ちゃんは倒れている向日葵を見てかわいそうって言ったでしょ?あれとおんなじだよ。」
欧我はそう言うとその向日葵にカメラを向ける。
欧我
「ほら、輝いているだろ?じゃあその笑顔を永遠のものに。」
パシャッ!
「あら、あなたにも花の笑顔が分かるの?」
リグル
「あ、幽香さん!」
欧我が振り返ると、こちらに向かって日傘を差した女性が近づいてきた。
緑色の癖のある髪に真紅の瞳、白いカッターシャツとチェックの入った赤いベストとロングスカートを着用している。
そして首元には黄色いリボンが結ばれている。
欧我
「こんにちは。俺は写真屋の葉月欧我です。」
小傘
「私は多々良小傘。」
「よろしく、私は風見幽香よ。花が咲いているところを回って生活しているわ。」
花が、好きなんだね。
だからなのか、やさしい笑顔だ。
だが、次に幽香さんが放った言葉に、欧我から笑顔が消えた。
幽香
「あら、貴方人間ね。そういえばアリスから聞いたわ、貴方ものすごい力を秘めているって。興味深いわぁ。ねぇ、私と戦ってみない?」
欧我
「え…?」
一瞬寒気を覚えた。
幽香さんは笑顔のままだ。
でも、にじみ出てくるオーラと言えばいいのか分からないが、明らかにこちらを威圧してくる。
これほどの恐怖を覚えたのは、幻想郷に来て初めてなのかもしれない。
欧我
「え、いや、俺は戦いに来たんじゃありません。…えっと。」
幽香
「ふふふ、冗談よ。ちょっとがっかりだけど。」
欧我
「あ、はい。」
幽香さんから威圧のオーラが消えた。
この人、怒らせたらやばいんじゃないか?
以後気を付けないと…。
幽香
「それよりも、貴方達には感謝しないとね。その向日葵を植えなおしてくれて。」
幽香さんの目線の先には、先ほど小傘ちゃんが埋めなおした向日葵があった。