異変の始まり
幻想郷に、夏が訪れた。
小傘ちゃんとのデートを報じた文々。新聞によって殺到した手紙や写真撮影以外の依頼も日を追うごとに減少し、最近では写真屋としての依頼も全く来なくなった。
それと反比例して、本業ともいえる(?)文さんの助手としての仕事がだんだんと多くなった。
人間の里で祭りがあればそこへ行って取材をし、白玉楼で幽霊の数が増えたという知らせを受けたら行って原因を調査し、迷いの竹林で輝夜さんと妹紅さんのタケノコ堀りツアーが開催されると聞けば行って二人の殺し合い(?)を写真に収めた。
何もなければ、博麗の巫女の生態調査を行った。
もっとも、ほとんどは霊夢さんに追い払われたけどね。
しかし、この2週間は本当に暇だ。
2週間前の迷いの竹林のウサギの生態調査から帰ってきて以来、文さんは上層部から徴収があったらしく、ちょくちょく家を留守にしている。
だから、今文さんの家にいるのは俺一人だけだ。
あ、小傘ちゃん?
最近は見てないな。
「写真を撮りに行ってくる!」って言って家を飛び出してから、もう一週間が経過している。
小傘ちゃんの写真を撮る技術も上達してきて、教えることはもう何も無い。
ってか、師匠として小傘ちゃんに教えることができたのか不安だけど。
欧我
「はぁ、暑い…」
畳の部屋にごろんと寝転がり、団扇を片手に暑さをしのぐ。
着替えが無い俺に貸してくれた文さんのシャツも汗で湿っている。
汗でびしょびしょで、肌にまとわりついてくる。
とめどなく流れる汗。
欧我は何もせず、ただ時間をつぶす。
しかしさすがに暇だ。
よし、今まで撮った写真を見てみるか。
欧我は立ち上がると、鞄の中からアルバムを取り出した。
アルバムの中には、今までにとった笑顔の写真がたくさん並んでいた。
初めて撮った笑顔の写真は紅魔館での一枚だ。
その後も命蓮寺メンバーや博麗神社でのパーティ、守矢神社での宴会から小傘ちゃんと行ったデート先で出会った人たち。
その時にあったことを思い出しながら、ページをめくっていく。
欧我
「文さん…。」
アルバムの最後のページにあった写真は、文さんの笑顔の写真だった。
被写体になることが好きではない文さんは、何度お願いしても写真を撮らせてくれることはなかった。
でも、10日前にお願いしたらなぜか写真を撮ることを承諾してくれたけど。
それで撮れたのがこの写真。
文さんの可愛い笑顔が写っているが、どこか疲れているような雰囲気を感じられる。
正直に言うと、2週間前から文さんの顔から笑顔が徐々に消えて行っているように感じられる。
仕事に疲れたからではない、もっと別の原因がある。
なんかこう、悩みや不安がにじみ出ているといった感じだろうか。
アルバムから文さんの写真を取り出し、じっと見つめる。
俺は、文さんのために何かしてあげられたのだろうか…。
小傘
「欧我、大変!!」
欧我
「小傘ちゃん!?」
そんな欧我のもとに、突然小傘ちゃんが現れた。