小傘ちゃんの姿を見て、欧我は衝撃を受けた。
まず、服がびしょ濡れだ。持っている傘もボロボロになっており、素人目に見ても疲労を蓄積しているのが分かるくらいひどくやつれていた。
欧我
「どうしたのその格好!?っていうか1週間もどこへ行っていたの!?」
小傘
「それよりも聞いて、大変なんだから!」
小傘ちゃんは欧我を遮ると、ポケットから何枚も写真を出して、この1週間の出来事を話し始めた。
写真を撮りに山を出たら、いきなり強風に襲われたの!
そしてその直後豪雨と雷が降ってきた。
最初のうちはあまり気にしていなかったけど、幻想郷中を回って気づいたの。幻想郷のほぼ全域でこのような嵐が発生していたのよ!
それでね、雷が鳴っているからこれは驚かし放題だと思って、いたるところで人間を驚かしていたわ。
そしたらいつも驚かなかった人たちも予想以上に驚いてくれて。
もうその時は幸せで、嵐の事なんかどうでもいいって思った。
でも、4日目にそれは起こったの。
川の氾濫。
大雨によって川の水があふれだし、近くの里を襲ったのよ!
私って空を飛べるでしょ?その時は人間を助けるのに必死で驚かしている暇はなかった。
その時に見た光景が忘れられないの。目の前で人間が流された…。
小傘ちゃんはそう言うと涙をぬぐった。
小傘ちゃんが取り出した写真には、濁流によって流される家が写っている。
それ以外にもいろいろ起こったわ。
強風によって家が倒壊して人間が下敷きになったり、雷が落ちて火事が起こったり、農作物に被害が出たり。
そんなことが…。
その他の写真には、思わず目を覆いたくなるような惨状が克明に映し出されていた。
その時頭をよぎったのは、今まで出会ったみんなの笑顔だった。
みんなは無事なのだろうか?
さすがの妖怪でも、自然災害にはかなわないだろうから。
その様子を見て、心が痛んだ。
私にできることは何か。
そうよ、私は写真屋の助手。
私にはこの様子を永遠に残す義務がある!
そう思って救助の手助けをしながら各地を取材して回ったの。
気付いたら、家を飛び出してから1週間が経過していた。
欧我
「そっか、そんなことが。」
欧我の持つ写真に、一粒のしずくが落ちる。
気付いたら、欧我も涙を流していた。
俺が外に出ていない間に、外ではこのような悲惨な出来事が…。
でも、なんでここは晴れているのだろうか。
まるで、ここの空が幻想郷と切り離されたかのように。
小傘
「欧我も、不思議だと思わない?なぜここが晴れているのか。」
欧我
「知っているの?」
小傘
「わからない。でも、これだけは言える。嵐は、この妖怪の山を除いた幻想郷全土で起きているの!」
欧我
「なんだって!?」
欧我は慌てて立ち上がると、カメラを片手に外へ飛び出した。
小傘
「どこへいくの!?」
欧我
「この前みつけた滝の上だ。ここからなら幻想郷のほぼ全土を見渡せるからね。」
欧我はそう言うと空へと飛びあがった。
文さんの家に一人残された小傘。
小傘
「はぁ、疲れた…。寝よ。」
畳の上に寝転がると、すやすやと寝息を立てた。