欧我
「ふふ、寝てるよ。」
そう言えば、小傘ちゃんの寝顔を見るのは初めてなんじゃないかな?
いつも俺が寝るときはずっと起きていたし。
可愛い寝顔なんだね。
でも、起きてもらわないと話ができないし…。
欧我
「起きてー。」
小傘
「ん~?」
小傘ちゃんの体をゆする。
しばらく揺すっていると、ようやく目を覚ましてくれた。
眠そうに眼をこすると、辺りを見回した。
そして欧我の姿を見つけると、笑顔になった。
小傘
「あ、欧我。おはよう。」
欧我
「あ、うん。おはよう。あのさ…」
小傘ちゃんの笑顔を見て、欧我はためらった。
でも、戦いに巻き込みたくない。
ここから逃げてほしい。
そういう気持ちが強まり、意を決して話し出した。
欧我
「ごめん。小傘ちゃんにお願いがあるんだ。」
小傘
「うん、なあに?」
欧我
「ここから…出ていってほしい。」
小傘
「え…?」
欧我の言葉を聞き、小傘ちゃんの顔から笑顔が消える。
小傘
「どうして…?」
欧我
「ごめん、詳しくは言えないんだ…。」
小傘
「いやだ!!」
小傘ちゃんは床に両手をつき、声をあげて泣いた。
相当ショックだったようだ。
もちろん、俺も悲しくないわけではない。
小傘
「そうだ、私欧我の助手よ!だから残って…。」
欧我は首を横に振った。
欧我
「そうだけど。でも、だからこそなんだ。ごめん。」
小傘
「欧我のバカ!大嫌い!!」
小傘ちゃんは欧我の頬をはたくと傘を担いで家を飛び出した。
ごめんね、小傘ちゃん…。
荷物をまとめ、滝の上へと向かう欧我。
まさか、こんなことが起こってしまうなんて…。
小傘ちゃんを追い出すことに胸が痛んだが、仕方のないことだ。
これは文さんと俺だけの秘密。
でも、まだヒリヒリするな。
右の頬をさすりながら思う。
俺、師匠失格だよな…。
滝の上についた。
そこに、文さんの姿はなかった。
欧我
「文さん…。」
胸ポケットから文さんの写真を取り出した。
文さんのあんな顔初めて見た。
あの時約束したじゃないか。
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欧我
「だからね、文さん。もっと、文さんの笑顔も見せてほしいです。ずっと、そばで。」
文
「わかりました。だから、欧我も私にそのまぶしい笑顔を見せてください。ずっと一緒に、ね?」
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文さんの笑顔を取り戻すためなら、俺はなんだってする。
というか、俺は今まで文さんのためになることをして来れたのだろうか…。
あの時文さんに命を救われなければ、今この場所にいることはできなかった。
写真屋になることができず、助手もできなかった。
そんな恩人に自分ができることは一体…?
欧我
「俺、文さんのこと…。」
そうだとしても、文さんは俺の事をどう思っているのだろうか。
それはわからない。
正直言って、自分の気持ちさえもはっきりしないのだから。
今まで文さんと暮らしてきた思い出。
少し振り返ってみようかな。
そうすれば、自分の気持ちがはっきりするかもしれない。