幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

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恋心に気付くとき

 

初めて文さんと出会ったのは、山で記憶を失った時に命を救われ、文さんの家で目を覚ました時だ。

 

その時に見た文さんの笑顔を見てなんだか気持ちが安らいだことを覚えている。

その笑顔が好きになったことも。

 

 

その後も記憶を失った自分に対して、記憶が戻るようにいろいろ試してくれたり、幻想郷中に俺に関する号外を作ってばらまいてくれたり、行く当てのない俺を家に住まわせてくれたり。

 

今俺がやっている写真屋という仕事も、文さんのアイデアによるものだ。

 

 

つまり、今の自分を作り上げてくれたのは文さんだといっても過言ではない。

 

何も知らない自分にこの世界の事、紅魔館にある大図書館の場所、その場所に詳しく、強い魔理沙さんの事を教えてくれた。

 

 

 

2週間に上る飛行訓練の時だってそうだ。

文さんだって忙しいはず。それなのに俺との時間を作ってくれて。

 

しかも、その時に文さんが弁当を作ってくれたな。

具無しのおにぎりと玉子焼きしかなかったけど。

 

でも、家庭的というか、薄めの味付けはとてもおいしかったなぁ。

なぜか途中から玉子焼きがハートの形になったし。

 

 

 

小傘ちゃんと行った守矢神社での宴会では、本当に文さんに対してひどいことを言っちゃったよな。

 

でも、その時に言った文さんの笑顔が一番好きだという言葉は本心だ。

 

文さんの笑顔は、見るたびに落ち着くことができる。

自分も笑顔になって、幸せな気持ちになる。もっとずっと一緒にいたいって思うことも。

 

 

文さんとの弾幕ごっこの時だって、俺が意識を失うときに慌てて助けようとしてくれたし。

自分がロープに縛られて思うように動けなかったというのに。

 

 

 

 

 

それと、もう一つ忘れられない光景がある。

 

文さんが俺と小傘ちゃんとのデートの号外をばらまいた次の日の事だ。

 

文さんの部屋の襖が少し開いていた。

そこから中をのぞくと、その新聞に目を落としている文さんの姿があった。

その時の顔は非常に暗く、悲しみと後悔が混じったような感じだった。

 

見間違いかもしれないが、一滴の雫が新聞の上に落ちた。

 

 

 

 

 

俺のために時間を作り、心配し、いつも支えてくれた文さん。

 

そんな文さんに、感謝と一緒に抱いていった感情…。

椛さんがうらやましく、時に妬ましさを抱いた原因となった感情…。

小傘ちゃんと一緒にいた時に、気になってはいたが感じることができなかった感情…。

 

 

笑顔を見ると、胸がドキドキして…。

それでも、もっとずっと見ていたいと思うようになって…。

この笑顔をずっと守っていきたいと思って…。

 

 

 

 

欧我は思わず文さんの写真を握りしめた。

 

なぜ今まで気づかなかった!?

よく考えればわかるじゃないか!

 

 

 

俺が…

 

俺が、文さんに「恋心」を抱いていることに!

文さんが好きだということに!

 

もっと言うと、初めて会ったあの時の文さんの笑顔に一目惚れしたのかもしれない。

 

 

 

文さんは俺のことをどう思っているのだろうか。

 

まあ、今はそれを考えている暇はないか。

 

今は、自分に課せられた任務を全うしなければ。

 

 

欧我は文さんの写真を胸ポケットにしまうと、侵入者が来ないか見張りを始める。

 

 

 

1時間後…。

 

侵入者が現れた。

 

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