「お帰りなさい。」
「お疲れ様です。」
「ありがとう。」
俺と椛さんの言葉に、文さんは笑顔で応えた。
そして椛さんの姿を確認すると、笑顔の輝きが一層増した。
「あ、椛!ちょうどいいところに!」
「??」
「配達先でいろいろあって疲れたのよ。ほら、尻尾を触らせなさい!」
「え!?嫌です!」
「逃げないでよ!減るもんじゃないでしょ?」
椛さんの尻尾…。
「俺も触りたい!椛さん、待て!」
「欧我さんまで!?わぁーん!」
その後、俺も参加しての天狗同士の高速での追いかけっこが始まった。
そして、ようやく椛さんを捕まえることができた。
今まで文さんだけだと思っていた高速で飛び回る能力は、どうやら天狗全般に共通する能力らしい。
ただ単に、その中で文さんのスピードがずば抜けているだけだ。
「ひ、ひどいですよぉ。ひぃっ!」
「いいじゃないの。やっぱり椛の尻尾は格別よね。あ、それよりも欧我さん。」
「呼び捨てでいいですよ。敬語も使わなくていいです。」
椛さんの尻尾に頬ずりしている文さん、なんだか幸せそう。
椛さんっていつもこんなことをされているのかな。
「そう、分かった。欧我ってものすごいスピードで空を飛んでいたよね?もしかして、あなたの能力?」
「まあ、そうですね。詳しくは言えませんが、真似をする能力ということにしておきます。」
だって、写真を食べるなんてそんなこと言えないもんね。
文さんは相変わらず椛さんの尻尾をモフり倒している。
そのたびに椛さんは半泣きでひゃんっ!とか反応している。
なんだか微笑ましい光景だな。
俺も、こんな人たちとずっと楽しく笑い合っていたい。
この一瞬、宝物にしましょうか。
パシャッ!
今まで撮った椛さんの写真とともに、今撮った写真をアルバムにしまう。
いつか、このアルバムを笑顔の写真で埋め尽くす。
これは俺の宝物だ。
明日、さっそく外へ飛び出そう。
この幻想郷には、まだ知らない人や妖怪がたくさんいる。
その笑顔でアルバムを埋め尽くす。
それと、この世界についてもっと学びたい。
どこかに図書館とかはないだろうか。
あとで文さんに聞いてみよう。
~翌朝~
「ふあぁ~っ…」
外に出て、大きな欠伸をする。
あの後3人でお酒を飲みながら夜遅くまでどんちゃん騒ぎ。
椛さんは飲み過ぎてダウンしているけど、文さんはお酒に強いのか、全く酔っているようには見えなかった。
それよりも、俺って酒に強いのかな?
まあそんなに多くの酒があったわけではないし、2人が大量に飲んじゃったからそんなに飲めなかったなぁ。
さて、と。そろそろ出かけよう。
文さんに聞いたところ、紅魔館という洋館の地下に大図書館があるらしい。
そこには大量の本が所蔵されており、調べ物にはもってこいだそうだ。
だが、道中の妖怪には気をつけなきゃいけないらしい。
攻撃手段を持っていない俺は格好の標的にされる。
だから、誰かにボディガードをしてもらう必要があるらしいが、あいにく文さんは記事の執筆で手が離せない。
ま、とにかくまずは博麗神社と言う所に向かおう。
もしかしたら、そこに行けばあの人に会えるかもしれない。
文さん曰く、紅魔館の専門家(スペシャリスト)に。
「それじゃあ文さん、いってきます!」
「うん、気をつけてね!」
ゴーグルを目に当て、肩掛けカバンを提げる。首からカメラを提げ、準備完了!
文さんのスピードをイメージし、自分に投影して…。
大地を蹴り、上空へ飛び上がった。