欧我
「うう…」
体を揺すられているのを感じる。
自分の名前を呼ぶ声も。
目を開けると、小傘ちゃんが心配そうに顔を覗き込んでいた。
かすむ目で辺りを見回す。
ここは滝のそばの川岸。霊夢たち3人の姿もある。
そして右手には、テレビの写真が握られていた。
そっか…。
あの時寸前のところで立方体の光弾を出して防御していたのか。
遅れていたら、命はなかったかもしれない。
小傘
「もう!心配させないでって言ったのに!!」
欧我
「ごめん。…でも、文さんの頼みは達成できなかったな。この命を失っても戦い抜くって誓ったのに。」
霊夢
「欧我、それは間違っているわ。」
欧我の発言を聞き、霊夢が話し出した。
霊夢
「文は、あなたがここで戦って、万が一命を落としたら笑顔でいてくれるのかしら?」
欧我
「それは…。」
もしここで俺が命を失ったら…。
文さんは、笑顔にはならない。
せっかく助けてくれた命なのに…俺はどうしてこんなことを。
霊夢
「それに、文のことが好きなんでしょ?だったらずっと一緒にいてあげなさいよ。」
欧我
「でも、文さんは俺のことを…。」
霊夢
「あら、小傘の言ったこと聞いてなかったの?安心して、文はあなたのことが好きなんだから。」
そして、霊夢さんは文さんにされた相談について教えてくれた。
~~~~~
文
「あの、霊夢さん。」
霊夢
「どうしたの?そんな顔をして。」
文
「実は、人間の男の子を好きになってしまいまして。」
霊夢
「ぶっ!!」
思わず口に含んだお茶を吹き出す霊夢。
霊夢
「文が?意外ね、あんたも人を好きになることがあるなんて。」
文
「心外ですね!私だって少女ですよ。恋ぐらいします。でも、どうすればいいか分からなくて。霊夢さんはどうすればいいと思いますか?」
霊夢
「別に、どうでもいいわ。自分で考えなさい。」
文
「あやややや…。そうですか。」
文は立ち上がると、賽銭箱の方に向かって歩いて行った。
チャリン!
霊夢
「!!」
そして、賽銭箱に小銭を入れた。
文
「霊夢さん、教えていただけませんか?」
霊夢
「わかったわ、よく聞きなさい!」
その後、文は霊夢から色々な方法や情報を聞き出した。
~~~~~
霊夢
「お賽銭に釣られていろいろと教えちゃったわ。その中で私が提案したのは『時間を作って長い時間を一緒に過ごす』ことと、『お弁当を作ってあげる』ことよ。」
欧我
「そんなことが…。」
霊夢さんからの告白を受け、思わず赤面する欧我。
まさか、文さんがそんなことを。
だから俺のためにゆっくりと飛ぶ方法を教えてくれたり、弁当を作ってくれたりしたんだ。ちょっとした取材にも連れて行ってくれたり。
それも、文さんなりの一緒に過ごす時間を作るための方法だったんだね。
魔理沙
「ちなみに、ハート形の玉子焼きの作り方を教えたのは私だぜ。」
欧我
「そうですか…。」
それを聞けて安心した。
文さんも、俺のことを好きでいてくれる。
それが分かっただけでも良かった。
それと同時に、再び視界がかすんできた。
意識も朦朧とする…。
欧我
「文さ…ん…」
そう言い残し、欧我は気を失った。
小傘
「欧我!死なないで!!」
幽香
「大丈夫、気を失っているだけよ。」
霊夢は大きくため息をつくと、立ち上がって山頂を見上げた。
霊夢
「幽香、小傘と一緒に欧我を永遠亭に連れて行って。後は私たちが行く。」
幽香
「ええ、わかった。」
霊夢
「待っていてね、欧我。今、文の目を覚まさせてあげるから。」