第7話 寄り道、博麗神社
博麗神社の上空についた。
幻想郷を取り囲む博麗大結界を管理している巫女が住む神社だから、もっと荘厳で壮大な神社をイメージしていたが、思っていたよりも普通の神社だ。
それとなく趣があって、大きくないし、ぼろいし…。
でも、神社って大抵こんなものだよな。
…えっと、お賽銭は持ってきたかな?
鞄から財布を取り出して確認する。
うわ、小銭が500円玉しかない。
…仕方ないか。
500円玉を握りしめ、鳥居の前に降り立った。
その光景を縁側に座って盗み見る霊夢と魔理沙。
「嘘っ!人間の参拝客が!!って言うか、見知らぬ顔よね。」
「いや、どっかで見たことがあるような。」
そんな二人に気づかず、俺は足を進める。
まずはお祈りをしよう。
賽銭箱は、目の前のあれがそうだな。大きく『奉納』と書かれている。
賽銭箱の前にたどり着いた。
あばよ、俺の500円。
ちゃりんっ!
「!!?」びくっ
2回お辞儀をし、2回手を叩いて、心の中で願い事を言う。
何を願うか、それはもう決まっている。
(この世界のみんなと仲良くなれますように。)
そして最後にもう1回お辞儀。
よし、お参り終了!
500円を投じたのだから、絶対に何かしらのご利益があるよね。
「さて、と。まりs…ん?」
どたどたどた
こちらに向かって走ってくる足音が聞こえる。
次の瞬間、ものすごい顔をした少女が現れた。
赤い大きなリボンが特徴的な少女。
服装からして、この子が博麗の巫女なのかな?
腋をむき出しにした服装って、どうなのだろうか。
「あんた、今お賽銭入れたよね?」
「え、ええ。入れちゃダメなんですか?」
あっけにとられている俺の目の前で、腋巫女は賽銭箱の中を確認する。
そして…
「うひょぉ~っ!500円!!」
歓喜の声を上げた。
そんなに嬉しいのかな?
「ありがとう!お茶飲んでって!」
「えっ、ちょ!うわっ!」
強引に腕を引っ張られる。
向かった先には、縁側に座っている魔法使い風の少女がこちらをじっと見つめていた。
巫女からお茶を受け取り、自己紹介を済ませる。
「へぇ、あなた欧我っていうのね。よろしく!」
「はい、よろしくお願いします!」
2人とも笑顔が可愛いんだな。
「あっ!」
「えっ、どうしたんですか!?」
俺の顔をじっと見つめていた魔理沙さんが、何かに気付いたように声を上げた。
「そっか、どっかで見たことがあると思ったら、お前、昨日の新聞に載っていた人だよな!?」
「新聞ってことは、文さんの新聞ですか!?」
「あの新聞はガセじゃなかったのね。」
ガセって…
新聞は事実のみを公衆に知らせるためのもの。
文さんに限ってそんなことは。
…無いよね?
「そうだ!」
「今度はどうしたんですか?」
「今夜宴会をやりましょうよ!欧我の歓迎パーティ!」
え、宴会?
しかも、やけにノリノリだな。
「お、名案だな!私も手伝うぜ!」
霊夢と魔理沙の勢いに押され、宴会に出席することを承諾した。
でも、何かを忘れているような気が…。
そうだ!
「その前に、魔理沙さんにお願いが。」
「ん?なんだぜ?」
「図書館でこの幻想郷について調べたいので、紅魔館という所まで案内してくれませんか?」
「紅魔館までか?良いぜ、あそこは庭みたいなものだからな。」
おお、流石紅魔館の専門家!
「ありがとうございます!攻撃手段持ってないのでボディガードもお願いしますね。」
「いい?7時にはここに来るのよ。」
「おう!んじゃ行ってくる。」
魔理沙さんはそう言うとほうきに横から座った。
この格好。もう、100%魔女だな。
魔理沙さんに後れを取らないように、自分に文さんのイメージを重ね合わせ、力強く大地を蹴った。
気が付くと、ずいぶん上空にいる。
魔理沙さんは、まだ神社から離陸したばかりだった。
「お前早いよ!もっとゆっくり!」
ようやく追いついた魔理沙さんがそう叫んだ。
「ごめんなさい。文さんのスピードを真似したので、このスピードしか出せません。」
「真似って、それがお前の能力なのか?」
「はい。相手の写真を取り込むことで、その写真に写っている能力を真似ることができるんです。」
「へぇ、面白い能力だな。私の能力は『魔法を使う程度の能力』だぜ。」
「やっぱり。いかにもって格好していますよね。」
「だろ?よし、飛ばすぜ。遅れるなよ!」
「魔理沙さん、それ俺のセリフ!」
魔理沙はそう言うと猛スピードでほうきを走らせる。
でも…
「欧我!もっとゆっくり!」
文さんのスピードには敵わないようだ。
あっという間に魔理沙さんを追い抜かしていた。