幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

73 / 157
嫉妬の姫

 

穴のかなり奥深くまでやってきた。

 

ヤマメちゃんの話によれば、穴の底までもう少しだそうだ。

もう穴に飛び込んでからどれくらいたったのか。

それはもはや分からない。

外が今昼なのか、それとも夜なのか…。

 

地下にいると、それらを知り得る術は何一つない。

 

 

欧我

「にとりさん、ランタンってまだ持ちますか?」

 

 

にとり

「うん!事前準備はばっちりさ!」

 

 

小傘

「明かりが消えたら怖いなぁ。」

 

 

相変わらず文さんはキスメちゃんへの取材に勤しんでいる。

引っ込み思案なキスメちゃんも、ヤマメちゃんのサポートのおかげでインタビューに答えることができている。

 

うん、まずまずの収穫だね。

 

 

「そろいもそろって楽しそうに…。妬ましいわね。」

 

 

そんな中、穴の中に響く声。

 

一体どこから響いてくるのか。

 

 

ヤマメ

「あ、パルスィちゃん!」

 

 

そんな一行の前に、一人の少女が現れた。

 

金髪のショートボブに、まぶしく輝く緑色の目。

そしてとがったような形の、いわゆるエルフ耳をしている。

服装は…鮮やかというか、うん。言葉にできない。

 

 

パルスィ

「はぁ、ヤマメか。こんな暗闇の中で楽しそうに、妬ましい連中ね。」

 

 

欧我

「文さん、この人、さっきから妬ましいって。」

 

 

文

「そうね。この人は水橋(みずはし)パルスィと言って、嫉妬深い性格なの。それに、相手の嫉妬心を操ることもできるのよ。」

 

 

欧我

「嫉妬心…ねぇ。」

 

 

パルスィ

「何よ2人で仲良さそうに…。」

 

 

ヤマメ

「まぁまぁ、そんなこと言わずに一緒に写真を撮ろうよ!ちょうど写真屋もいるし!」

 

 

パルスィ

「はぁ…。貴女のそんな明るいところが妬ましいのよね。」

 

 

ヤマメちゃんとパルスィさんが2人で話し合っている間に、欧我は距離を置いてカメラを構える。

 

その隣では小傘ちゃんもカメラを構えていた。

うん、一緒にいい写真を撮ろうか。

 

 

欧我

「はい、みなさん笑顔で!」

 

 

小傘

「はい、チーズ!」

 

 

パルスィちゃんは少々不満があるみたいだが、それでもかわいい笑顔を見せてくれた。

 

3人に現像した写真を手渡し、これで欧我の仕事はいったん終了した。

本当は依頼という形で2000円を徴収したいが、3人で笑いあう様子を見ていると、そのような気持ちは和らいでいった。

 

 

欧我

「それにしても、かわいい笑顔だね。ヤマメちゃんにキスメちゃん。そしてもちろん、パルスィさんも。」

 

 

パルスィ

「か…かわいい!?私が?」

 

 

欧我

「うん。」

 

 

パルスィ

「べ、別にかわいくなんてないわよ、バカ!」

 

 

あー、照れてる。

耳まで赤くしちゃってさ。

 

 

ヤマメ

「そうだ!今度はみんなで撮ろうよ!」

 

 

小傘

「でも、誰が撮るの?」

 

 

にとり

「私がやるよ。必殺ののびーるアームで。」

 

 

欧我

「俺が行くよ。分身できるし。」

 

 

パルスィ

「妬ましい能力ね。」

 

 

文

「それではみんなで集まりましょう。」

 

 

ヤマメちゃんの提案で全員そろっての写真を撮った。

 

今までを振り返ってみると、自分が写っている写真を撮るのはこれが初めてだったな。

自分が写るのも、まあ悪い気はしないか。

 

 

その後、文さんの取材も無事に終わり、3人と別れた欧我達ご一行。

 

それからは何もなく、4人で談笑しながら穴をどんどん降りていく。

 

 

そして、ようやく穴の最深部に到達した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。