穴のかなり奥深くまでやってきた。
ヤマメちゃんの話によれば、穴の底までもう少しだそうだ。
もう穴に飛び込んでからどれくらいたったのか。
それはもはや分からない。
外が今昼なのか、それとも夜なのか…。
地下にいると、それらを知り得る術は何一つない。
欧我
「にとりさん、ランタンってまだ持ちますか?」
にとり
「うん!事前準備はばっちりさ!」
小傘
「明かりが消えたら怖いなぁ。」
相変わらず文さんはキスメちゃんへの取材に勤しんでいる。
引っ込み思案なキスメちゃんも、ヤマメちゃんのサポートのおかげでインタビューに答えることができている。
うん、まずまずの収穫だね。
「そろいもそろって楽しそうに…。妬ましいわね。」
そんな中、穴の中に響く声。
一体どこから響いてくるのか。
ヤマメ
「あ、パルスィちゃん!」
そんな一行の前に、一人の少女が現れた。
金髪のショートボブに、まぶしく輝く緑色の目。
そしてとがったような形の、いわゆるエルフ耳をしている。
服装は…鮮やかというか、うん。言葉にできない。
パルスィ
「はぁ、ヤマメか。こんな暗闇の中で楽しそうに、妬ましい連中ね。」
欧我
「文さん、この人、さっきから妬ましいって。」
文
「そうね。この人は水橋(みずはし)パルスィと言って、嫉妬深い性格なの。それに、相手の嫉妬心を操ることもできるのよ。」
欧我
「嫉妬心…ねぇ。」
パルスィ
「何よ2人で仲良さそうに…。」
ヤマメ
「まぁまぁ、そんなこと言わずに一緒に写真を撮ろうよ!ちょうど写真屋もいるし!」
パルスィ
「はぁ…。貴女のそんな明るいところが妬ましいのよね。」
ヤマメちゃんとパルスィさんが2人で話し合っている間に、欧我は距離を置いてカメラを構える。
その隣では小傘ちゃんもカメラを構えていた。
うん、一緒にいい写真を撮ろうか。
欧我
「はい、みなさん笑顔で!」
小傘
「はい、チーズ!」
パルスィちゃんは少々不満があるみたいだが、それでもかわいい笑顔を見せてくれた。
3人に現像した写真を手渡し、これで欧我の仕事はいったん終了した。
本当は依頼という形で2000円を徴収したいが、3人で笑いあう様子を見ていると、そのような気持ちは和らいでいった。
欧我
「それにしても、かわいい笑顔だね。ヤマメちゃんにキスメちゃん。そしてもちろん、パルスィさんも。」
パルスィ
「か…かわいい!?私が?」
欧我
「うん。」
パルスィ
「べ、別にかわいくなんてないわよ、バカ!」
あー、照れてる。
耳まで赤くしちゃってさ。
ヤマメ
「そうだ!今度はみんなで撮ろうよ!」
小傘
「でも、誰が撮るの?」
にとり
「私がやるよ。必殺ののびーるアームで。」
欧我
「俺が行くよ。分身できるし。」
パルスィ
「妬ましい能力ね。」
文
「それではみんなで集まりましょう。」
ヤマメちゃんの提案で全員そろっての写真を撮った。
今までを振り返ってみると、自分が写っている写真を撮るのはこれが初めてだったな。
自分が写るのも、まあ悪い気はしないか。
その後、文さんの取材も無事に終わり、3人と別れた欧我達ご一行。
それからは何もなく、4人で談笑しながら穴をどんどん降りていく。
そして、ようやく穴の最深部に到達した。