欧我
「やってきました、旧都です。まさか地下にこのような町が広がっているなんてびっくりしました!それに、意外と明るいですね。この幅の広い街道の左右には大きな家が何軒も建っており、人間の里に負けないくらいですね。」
周りの建物を見渡し、頭に人間の里のにぎわいを思い浮かべる。
道中には居酒屋や飲食店などがあり、中からまぶしい明りが漏れ出している。
まるで、平安時代の町を歩いているかのような感覚だ。
しかし、道を歩いている人はあまり見られない。
それに、この明かりはどこから来るのだろうか。
地上の太陽が降り注いでいるわけでもないし。
ま、そのおかげでメモを読むことができるけどね。
欧我
「ここはもともと地獄の一部だったのですが、地獄のスリム化によって切り捨てられた場所です。今現在、ここに移り住んだ鬼などが中心になって巨大都市を築きあげています。鬼の楽園って言っても不思議ではないかな?」
そう言えば、鬼という種族は昔妖怪の山を取り仕切っていた。
その時、鬼はトップに君臨していて天狗や河童は鬼におびえながら過ごしていたそうだ。
しかし、天狗や河童の勢力が強まるにつれて鬼は居場所を失い、その多くがここに移り住んだという話を聞いたことがある。
実際、文さんとにとりさんは取材の途中で鬼に遭遇してしまうことをやけに恐れていた。
天狗や河童にとって、今でもトラウマなんだなぁ…。
欧我
「ちなみにこの先の地霊殿では…」
小傘
「師匠…ストップ。」
欧我
「ん?どうしたの?」
ふと小傘ちゃんの方を見ると、汗をだらだらと流し、手で風を送っていた。
まあ、外の季節は夏だし、熱がこもりやすい地下にいるから暑いのも無理もないかな?
小傘
「どうしたのじゃないのよ。師匠は暑くないの?」
にとり
「そうだよ、これじゃあキュウリも生温くなっちまう。」
そう言うと手に持つキュウリにかじりついた。
まあ、キュウリは冷たいほうが美味いからな。
小傘
「師匠は暑くないの?」
欧我
「俺?まったく暑くないよ。」
2人のやり取りを不思議そうに見ていた文さんは、欧我の体の変化に気づいた。
文
「あやややや?左目が水色…ということは!」
欧我
「…ばれた?そう、俺は最強だからね。ここに着いた時からチルノちゃんの能力を真似て冷気を放出していたのさ。だから涼しくて快適だよ。」
今になってチルノちゃんの能力を真似て本当に良かったと思うようになった。
まさか、弾幕ごっこ以外で非常に有効な活用方法が見つかるなんて。
おかげで、今汗を一粒も掻いていない。
予備として多めに持ってきたお茶も減ってないし。
小傘
「師匠ずる~い!おんぶ!」
欧我
「うわっ!」
突然小傘ちゃんが背中に飛び乗ってきた。
小傘
「はぁ~、涼しい…」
にとり
「本当かい?じゃあ私も。」
そう言うと俺の左足にしがみついた。
これじゃあ歩けないよ。
文
「2人とも羨ましいですね。じゃあ私も失礼して。」
欧我
「わ、ちょっ!」
あわわ、文さんまで!?
文さんに前から抱き着かれてしまった。
まあ、嫌な気持ちはしないでもないがこれじゃあちっとも動けないじゃないか。
文
「はぁ…幸せ。」
欧我
「あ、ねえ。取材は?」
文
「いいのよ、涼しいからもう少しの間このままで。」
欧我
「はぁ…。」
このままどうしよう。
道の真ん中でずっと立ち往生しているわけにもいかないし。
いい加減離れてもらわないと。
正直暑くなってきた…。
「なんか騒がしいと思って来てみたら。」
「おやおや、暑苦しいことしているじゃないか。」
その声にびくっと反応する文さんとにとりさん。
欧我にも、この声には聞き覚えがあった。
そして4人の前に2人の鬼が姿を現した。